「……んっ……」
小さく声を上げ、壁に両手を付いたまま一瞬天を見上げた。
薄暗い天井を視界にゴクリと息を呑む。
そしてすぐに頭を下げ、今のうちにと必死で肩で息をした。
額から頬を伝った汗が、
自分の裸の体に沿ってポタポタと床に滴っていくのを見つめながら、
……やっと終わった……そう思った。
だが、数度呼吸をしただけで再び腰を掴まれた。
グイッと尻を突き出す形で、背中を強く押さえ付けられる。
「……ンっ!!
……ま……だ……これ以上……何を……!
これだけ……辱め(はずかしめ)れば……もう、気が済んだだろ……!」
思わず叫んでいた。
「もう……だと?
お楽しみは、まだまだこれからだぞ?
お前は、男が男を犯すという事を知らないのか?」
シュリの腰を掴んだまま、ガルシアが鼻で嗤う。
「なっ……!」
驚き、声を上げ振り返ったのと同時だった。
露わになったシュリの後ろ、
自分のその場所へ、何の前触れもなく、
ガルシアの太い指がズブリと突き立てられた。
「……ンっっぁ!! ……ぁああぁッッ……!!」
思いもしなかったその行為と痛みに体が仰け反る。
「やっっ……め……ろ……!!
……な……何……を…………離せ……」
「どうした? 男はここを使うのだぞ?
ああ、そうか……。
お前は清浄にして醇乎(じゅんこ)たる存在……神の子であったな。
このように醜穢(しゅうわい)で賤(いや)しい行為など知らなくて当然か」
ガルシアがニヤリと片唇を上げ、突き込んだ指をグイと捻る。
「……ッッ……!!」
嘲笑う(あざわらう)ようなガルシアの声とその痛みに、
壁に手を付いたまま首を振って抵抗し、
自分の体内に突き挿されたガルシアの指を引き抜こうとした。
しかし、大きな筋肉の塊のようなガルシアの体はビクともせず、
壁に挟まれ、ほんのわずかに体を動かす事も、
ましてその指を引き抜く事など、できはしなかった。
そうしている間にも、ガルシアの指はさらに奥へと動いていく。
「……んぁぁっ!!
……痛っ……!!
……やめろ……んっっ!!!!」
痛みにもがき、それでも自分の体を抱え込む太い腕を引き剥がそうと、
思い切りガルシアの左腕に血の滲む爪を立てた。
「……ツっ!!!」
ガルシアの太い腕に、見る見る赤いミミズ腫れが盛り上がっていく。
「……くそっ!! じっとしていろ!!!!
すぐに気持ち良くさせてやる!
おい! ラウム!!!
こいつの手を縛れ!」
右手指をシュリの体内に挿し入れ、
左腕でその美しい体を抱え込んだまま、
側に落ちていた自分の革ベルトを、
横に立っていたラウの足元へ蹴って寄こした。
二人の行為を黙ったまま見つめていたラウは、側まで来ると、
自分の上体を必死に支えるシュリの手を、
易々と壁から引き剥がした。
「……っ!」
支えを失い、ガルシアの重さで前のめりに倒れそうになったシュリは、
咄嗟に目の前のラウのシャツを掴んでいた。
ラウが無表情のまま、シュリの両腕を拾ったベルトで縛ると、
シュリはラウにしがみつき、抱き締められる格好で、
ガルシアにその後ろを差し出していた。
「手首を避けて縛るとは、
さすが、お前も慣れたものだな……っ……!」
言い終わるか終わらないかのうちに、
ガルシアは指をさらに奥まで突き込んだ。
ビクンとシュリの体が跳ね上がる。
「ンぁッッ……!!
いやだっ!! ラウ!! こんなっ……!!
離せ…………ラウッ!!」
華燭の城 - 35 に続く
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