0-story

18禁 BL小説です。主に拷問・凌辱等ハード系。 こういう小説に興味の無い方、嫌悪感がある方はご遠慮ください。サイトマップより一気読み出来ます

華燭の城 - 105

「・・・・シュリ様」

その時、直接 頭の中に響いたのかと思う程の近くで
いきなり名を呼ばれ、
シュリはビクンと身を震わせて直立した

一気に血の気が引いて行く
ギシギシと音がしそうな体をぎこちなく動かし、
シュリはやっとの思いで振り返った




「・・・こちらに、お茶を置いておきます」

バルコニーの中央にあるテーブルには既に2つのお茶が置かれ
オーバストが、体が触れ合おうかと言う程の真後ろに 無表情で立っている




シュリは思わず息を飲んだ




「あのなー・・・・・ 驚かさないでくれ
 気配消して近付くって、お前は密者かよ
 心臓止まるだろーーー 死んだらどうするんだ」


同時に振り向き、冗談半分に笑って見せるナギにとは正反対に
シュリの顔には明らかな狼狽が浮かんでいた


オーバストはシュリのその表情をチラと伺い見ると
ほんの数秒、シュリの目を見つめた

鋭く細められた目は言外に物語る
”黙っていろ” と・・・

それは神国からここへ連れて来られた日、車の中で見たあの目だ


そしてオーバストは二人に無言で頭を下げ
室内へと戻って行った





今、ほんのわずかでも自分の脳裏に浮かんだ事・・・・

口にはしなかったが、それが見透かされたのではないかと
シュリの心臓はドクドクと体中で荒鳴り、鼓動を早くする




「な?? あの反応だもんなぁ・・・
 やっぱ、何かアヤシイよなぁ・・・」

ナギは挑発成功と言わんばかりに 笑いながらテーブルに向かうと
ティーカップを手に取った




その姿を見ながら、シュリは自分の平衡感覚が
おかしくなっていく事に気が付いた

鼓動が早くなり、激しく上下する胸に合わせ、呼吸が苦しくなる

小さく煌めいていた星が 徐々にぼんやりとその輪郭をぼかしていく
霞んで行くその星が頭上にあるのかどうかさえ・・・・





「折角 淹れてくれたんだ、シュリも飲もうぜ」

ナギが振り返ったその視線の先で、シュリの体がガクンと崩れた



片腕は倒れまいとバルコニーの手すりを掴んではいるが、
両膝は既に冷たい石の床に着いている






「・・・・!! ・・・おいっ!!」

ナギが慌てて走り寄り シュリを抱き起こす



「どうした!? おい! シュリっ!!!」

ナギがシュリの額に浮かぶ大粒の汗に気が付くとほぼ同時
そのシュリの体は 走り寄ったラウの両腕に奪われていた




「・・・・シュリ! ・・・・・シュリ!!」

呼びながら額に手を当てる




シュリの手が胸の上で強く握り締められている
傷が痛むのか、呼吸が苦しいのか・・・


「水を!」

ナギと並んで膝を付くヴィルの後ろ、 
駆け寄って来たオーバストにラウが叫んだ




「・・・シュリ!・・・・・ おい!大丈夫か!?」

ナギとヴィルも覗き込む様にして必死に呼び掛ける




その二人の姿に、ラウは数秒で冷静さを取り戻していた

「・・・大丈夫です
 元々風邪気味でしたから、
 今日は楽し過ぎて また熱が上がったのでしょう」

ラウは静かに答えた



「・・・・そういえば、そう言ってたが・・・・
 こんなにも苦しそうだぞ・・・・・ 本当に大丈夫か??
 ああそうだ!・・・・・ヴィル! 
 薬を持っていたろ? あれを部屋から持って来い!」

「はい!」

立ち上がるヴィルをラウが片手で静止した




「ありがとうございます
 でも 薬なら私が持っていますのでご心配なさらず」

そう言って自分の上着の内ポケットから白い包みを取り出し
中の錠剤と、オーバストの差し出す水とを一緒にシュリの口元へ運んだ



「シュリ・・・薬です・・・さぁ飲んで・・」

「・・・・ん・・っ・・・」




ラウの腕の中で目を閉じたままのシュリが小さく口を開け、
薬を含むとコクリと喉が動く


ラウはグラスをオーバストに返すと、シュリの額の汗を拭い
そのまま・・・ シュリを抱いたまま立ち上がった



「あ・・・ 私が部屋までお連れしよう」

ヴィルが慌てて両手を差し出したが

「大丈夫です、シュリ様は私が」

そう言って、抱いたシュリの負担にならない程度まで
ゆっくりと腰を折る




「・・・・城に従医はいないのか? 診せた方がいいんじゃないか?
 かなり悪そうだぞ・・・」

ナギが心配そうにシュリの顔を覗き込む



「私は薬師もしておりますので、大丈夫です」

「薬師? そうなのか・・・・?
 いや・・・  本当に大丈夫なら良いんだが・・・・・」

「はい、シュリ様の事は御心配なく・・・
 殿下、申し訳けありませんが今夜はこれで・・・・」

もう一度頭を下げる



「ああ・・・・そうだな・・・・
 じゃあ・・・・ ラウム、シュリを頼んだぞ
 今夜はゆっくり眠らせてやってくれ
 ・・・・長時間、悪かったなシュリ・・・・・・・」



ナギはそう言うと、シュリの頬に軽く指で触れた





4人2組はそれぞれ自分たちの居室へと戻って行く
そしてオーバストはそのまま、ガルシアの部屋へと足早に向かった






華燭の城 - 106 に続く
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プロフィール

凛

Author:凛
BL・MLを日々妄想してる腐女子

しかもかなりハード目が好きな壊れかけ

SM・拷問等の酷い描写が苦手な方は、ご遠慮ください

1作目 『刻印』
2作目 『華燭(かしょく)の城』 
完結しました。
ブログタイトル下のマップより全話読んで頂けます。
『刻印』の簡単な解説はこちら から


まだまだ初心者故、描写の至らない点
設定の矛盾は笑って見てください 

読みやすく・・と思っているので、長編小説ですが、各回短く、短文、1日1回UP予定です


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