0-story

18禁 BL小説です。主に拷問・凌辱等ハード系。 こういう小説に興味の無い方、嫌悪感がある方はご遠慮ください。サイトマップより一気読み出来ます

華燭の城 - 62

「シュリ様、そろそろ昼食に・・・・ ここはもう・・・・」

墓地から出ようと促すラウに
「いや、昼食はここで食べよう」  シュリが立ち上がる


「ここに亡者など居ない
 皆、神に召された安楽の場だ
 あ・・・ しかし さすがに墓標の前では不謹慎か・・・・」




 
周囲を見回したシュリの目線の先
湖のすぐ側の崖に 大きな岩があった

「あそこにしよう」

先導してシュリが歩き始めると

「シュリ様、ご注意ください
 この先の崖は柵もなく危険です」

ラウが慌てて後を追った






崖傍まで行くと、そこはラウの言った通りの断崖絶壁だった


湖の水は青く澄み、一見するだけならとても美しかったが
その底は果てを知らぬほど、
どこまでも暗い深淵に続いている様に見える


「ここから落ちた者は、その遺体さえ上がりません
 故に(ゆえに) その底を見た者も居らず
 この湖は 底無しと言われているのです」

 





大岩に腰を下ろそうとするシュリを ラウは一度制してから
岩の上に自分の上着を掛け広げた

「どうぞ」 とシュリに座るよう促してから
袋の中から 少年にもらったパンを取り出す

ハムやサラダを器用に挟むと、
ナイフで食べやすく切り分けシュリの前に置き
飲み物も準備していくと、
岩の上が あっと言う間に ランチテーブルになっていく





「ラウは、何をさせても完璧だな」

切り分けられたパンの半分を シュリはラウの前に置いた



「パンはこれだけですので、私は結構ですよ」 

そう言って微笑むラウの顔を シュリがじっと見つめた



「どうかされましたか? 何かお嫌いな物でも?」

「いや、そうじゃない
 ラウは優しいなと思っただけだ」




その言葉にラウは不思議そうな顔をした

「私が優しい・・・・ ですか?」

「ああ、他の食材同様、
 パンを余分に持って来ようと思えば出来たはず
 だがそれをしない」



ラウは ああ・・・・ と言った様子で
少し照れた様な笑みを浮かべる

少年が下りたすぐ後に パンを取りに行けば
やはり小さい方では足らない と言っているようなものだ

それを少年が見れば、やはり大きい方を渡すべきだったと
後悔するかもしれない
だからパンは少年のものだけで、他には持って来なかった・・・




シュリは微笑みながらもう一度 ラウに半分のパンを差し出す

ラウもシュリと目が合うと、クスリと笑って そのパンを受け取った




遅めのランチは少し焦げの味がしたが
緑風に髪を揺らすそのシュリの顔は本当に嬉しそうで
今までで最高の笑顔を ラウは見る事が出来ていた







「ラウ? あのロジャーはいくつだ?
 あんなに小さな子も ここではたくさん働いているか?」

紺青の湖を見ながらシュリが尋ねた




「あの子は10歳のはずです
 今は他の使用人達と一緒に
 城内の使用人専用の別棟に住んでいます
 両親が亡くなり、街で路頭に迷っていたのを 
 官吏の誰かが連れて来たと聞いています」


「10歳でたった1人・・・・」


「はい、ですが・・・・
 街で家も食べ物も無い時に比べれば、城に居る方が幸せです
 ここに居れば暖かい部屋も、食べ物にも困りません
 学校へも通わせてもらえますし
 幼くても 午後、働いた分は、きちんと給金も出ます

 15歳で学校が終わり、独立出来る年になっても城を出ず
 そのままここで働く者がほとんどです
 皆、ここが好きなのです」




シュリは あの地下室でも
楽しそうに働いていた人々の顔を思い出していた

辛い仕事だろうが、その顔は皆、楽しそうで活気に溢れていた
そしてあのロジャーも、明るく元気だった

ラウの言う通り、皆の城での暮らしや待遇は
自分が思う程、悪くはないらしい






「・・・良かった」

シュリが安堵の表情を見せる




「シュリ様・・・・
 陛下はあのような・・・ 
 懸命に咲いた草花を一掃しろと言われ、死者を忌み・・・
 そして神国を攻め、シュリ様にあの様な酷い事を・・・・・・ 
 
 それでも・・・・
 それでも城は・・・ 
 この国の ”王” という存在は
 この城で働く者にとっても、 国民にとっても
 無くてはならないものなのです」



ガルシアを語るラウの声が重くなっていた

ガルシアの所業に納得ができないのは、
ラウが一番 身をもってわかっているはずだ

だが それでも。 と言うラウの気持ち・・・・




シュリが顔を上げた



「わかっている、ラウ・・・・」

ガルシアが 自分やラウに対してどんなにおぞましい行為をしようと・・・
その本質がどんな王であったとしても
今 この大国が、そこに暮らす多くの民が、
戦さもなく平和に豊かに暮らせている事だけは確かだった







シュリは静かに湖面を見つめた

薄い陽に映る湖は何事もなかったかの様に 静かに、ただそこにあった
ガルシアの あの醜行も夢だったと思わせてくれる程に・・・・






華燭の城 - 63 に続く
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
↑ ランキング参加中です。クリックして頂けると励みになります m(__)m
コメントありがとうございます。励みになります!














非公開コメントにする
トラックバック
この記事のトラックバックURL

プロフィール

凛

Author:凛
BL・MLを日々妄想してる腐女子

しかもかなりハード目が好きな壊れかけ

SM・拷問等の酷い描写が苦手な方は、ご遠慮ください

1作目 『刻印』
2作目 『華燭(かしょく)の城』 
完結しました。
ブログタイトル下のマップより全話読んで頂けます。
『刻印』の簡単な解説はこちら から


まだまだ初心者故、描写の至らない点
設定の矛盾は笑って見てください 

読みやすく・・と思っているので、長編小説ですが、各回短く、短文、1日1回UP予定です


拍手・ランキング・感想など頂けると励みになります

ツイッター @0storyRin
UP情報や裏話を呟いてます

サイトマップ・全記事表示
最新トラックバック
カテゴリ
COUNTER



にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

↑ ランキング参加中です
1ポチ してもらえると嬉しいです
検索フォーム
QRコード
QR