0-story

18禁 BL小説です。主に拷問・凌辱等ハード系。 こういう小説に興味の無い方、嫌悪感がある方はご遠慮ください。サイトマップより一気読み出来ます

華燭の城 - 43

広場を後にし、並んで歩きながら 
ラウが前を向いたまま口を開いた


「先ほどの手合せ・・・・ 本当に楽しまれましたか?」


その言葉に シュリがふと足を止め
黙ったまま隣のラウを見つめる



「途中から 何を考えていらっしゃいました?
 心、ここに在らず・・・・ でしたよね」

「さすがだな、ラウ・・
 あれだけの剣を振るいながら、それに気が付くなんて・・・・・」

「いいえ・・・・ 
 考え事をされながらのシュリ様にさえ 私は負けたのですから
 大した事はありません」




大きく息をつくシュリの横で ラウが静かに頭を下げる

だがそれは謙遜ではなく、
シュリが本気を出せば実力に大差があることは
誰の目にも明らかだった




「弟を思い出していた・・・・・」

「ジーナ様・・・でしたね」

「ああ・・・私の宝だ
 そして、神国の宝でもある・・・ 
 何としてもジーナを、元気にしてやりたい・・・・
 ジーナの病を治せる医師さえいれば
 これからはジーナが私の代わりに・・・・
 立派に神儀の責務も果たしてくれるはず・・・・」

「・・・・しかし・・・」


何かを言いかけてラウが言葉を止めた





「・・・しかし・・・・ 何だ?」

問われたラウは頭を下げたまま、言い難そうに続けた



「神国の神儀は、神の子とされる者だけに受け継がれる
 一子相伝と聞いた事があります
 シュリ様がその一子であるなら、ジーナ様は・・・」


「ラウは何でも良く知っているな・・・・」


シュリの目が再び遠い空へと向かう
そこは青空ではなく、暗い雲がどこまでも広がっていた






「ラウ・・・・ 
 通常、年に1度 あるはずの神儀は 
 ある年を境に数年行われなくなるんだ
 それは世代が代わる時・・・・ 
 その数年間、神は不在となり、
 疫病や不作、恐慌が続く凶年と呼ばれる事を知っているか?」


「いいえ、それは初めて聞きました」


「私の父王も皇后と結婚するまでは ”神”として
 その責を忠実に務めた

 王の結婚は、普通ならば国を挙げての祝事だ
 だが神国では、皮肉にもその年から凶年に入る

 皇子・・・ 私が生まれ、
 父の跡を継いで 私が神儀を初めて行ったのは6歳の時

 ・・・・ではどうして6年もの間、
 父王は凶年と判っていながら神儀を行なわなかったか・・・
 ・・・わかるか?」



その問い掛けはラウに答えを期待したものではない




「躰(からだ)が穢れて(けがれて)しまっては
 神の器には成れないと言われているからだ

 神儀とは・・・
 ”神”が私のこの身体を依代(よりしろ)にし
 世の人々に災いをもたらす”百鬼悪魔”と戦い 祈る事・・・
 神儀を行う・・・・
 つまり百鬼と戦い、人を守る事が出来るのは、穢れ無き者のみ

 他者と交わることはどんな形でも許されない
 それが結婚という形であっても、だ・・・・ 
 だから父王は結婚と同時にその資格を失った
 
 その為に、生まれた子は ものごころ付いた時から・・・
 やっと歩けるようになった頃から、厳しい修練を受ける
 一刻も早く神儀を行い、皆を救えるようにと・・・・」




「結婚さえも・・・・ ですか・・・
 それほどまでとは・・・・ 存じ上げませんでした」



「それほどに 厳しい掟があるんだ
 躰を穢がしてはならぬ、という・・・・
 
 祖父の代までは、実母である皇后でさえも
 産まれた我が子を育てる事は疎か(おろか)、触れる事さえ赦されなかった
 さすがに、今は皇后が自身の手で育てられる様になったが・・・
 
 そういう意味で・・・・
 そういう・・・・ ”身体”の事に関しては今でも・・・・
 神の子と成るべくして生まれた皇子の世話が出来るのは、
 俗世から隔離された聖職者と、父王のみ・・・
 中でも侍従長と呼ばれる特別な資格を持った者は
 一生を一人の皇子の為のみに捧げ生きると言われている」




「侍従が・・・ 生まれた家の、代々の家職として付き添い
 その一生を捧げるのは判ります
 近衛でもそういう家柄はありますし・・・・
 ですが・・・・
 シュリ様はそれでよろしいのですか?
 たったお一人で、世界中の信仰を背負い
 幼い頃からその様に厳しい掟に身を置く事・・・・
 ・・・・もっと自由になりたいと思った事はないのですか?」



「もっと自由に・・・・・か・・・・
 幼い頃は、他の子と同じ様に遊びたいと泣いた事もあったそうだ
 ・・・・・もう忘れてしまったが・・・・

 でもそれが私の生まれ・・・・ 運命(さだめ)・・・・」



「そんな・・・・・」



「正確には・・・・・・運命(さだめ)だった・・・
 ・・・・・・・・だが、私には・・・
 ・・・穢された私には・・・ もうその資格もない」




その言葉に一瞬 顔を上げたラウだったが、
すぐにまた目を伏せる
そんなラウを視界の端に捉えながら、シュリはゆっくりと息をついた





「お前の言う通り・・・・・
 私の思いは一子相伝の教えには背くかもしれない
 永い神国の掟には沿っていないかもしれない
 だが、このままにはできない・・・・
 
 これからはジーナが私の代わりを果たしてくれる・・・
 きっと・・・ 
 ・・・・そう信じてる」






シュリの言葉を、ラウはじっと下を向いたまま聞いていた

この年頃の青年が いきなり同じ状況に置かれたならば、
暴れ、悪態を付き、呪い叫ぶのが本当だろう

吐き出してしまいたい思いは溢れているはずだ



だが、淡々と静かに話すシュリが、ラウには返って傷ましかった






華燭の城 - 44 に続く
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プロフィール

凛

Author:凛
BL・MLを日々妄想してる腐女子

しかもかなりハード目が好きな壊れかけ

SM・拷問等の酷い描写が苦手な方は、ご遠慮ください

1作目 『刻印』
2作目 『華燭(かしょく)の城』 
完結しました。
ブログタイトル下のマップより全話読んで頂けます。
『刻印』の簡単な解説はこちら から


まだまだ初心者故、描写の至らない点
設定の矛盾は笑って見てください 

読みやすく・・と思っているので、長編小説ですが、各回短く、短文、1日1回UP予定です


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