0-story

18禁 BL小説です。主に拷問・凌辱等ハード系。 こういう小説に興味の無い方、嫌悪感がある方はご遠慮ください。サイトマップより一気読み出来ます

華燭の城 - 9

泣いて引き留める母と弟の手を握り
悔しさに顔を歪ませる父王に跪き(ひざまづき)
その指に最後の口づけをしてから、どれほどの時間が経ったのか・・・


シュリは揺れる車の中で 目を覚ました






頭が重く、初めは自分の置かれた状況さえ のみ込めなかった


” ここは・・・・ ”


徐々に覚醒していく意識の中で
「・・・・・ っ!・・・」
慌てて腰に手をやった
が、持っていたはずの神儀の双剣は 既にそこには無い





国を出たあの日、
幼い頃から自らの分身として大切に持っていた剣を差し出せと言われた

それを拒否し、かなり抵抗したのを覚えている・・・・


自分の左手首に残る赤い血の跡を指でなぞった
あの時、ふいに何かの薬を打たれ眠らされたのだ






チラと顔を上げたシュリの視線の先
その正面に 向かい合う様にして1人の男が座っていた

・・・・ガルシアではない



その男もシュリが目を覚ました気配に気付いたのか
腕を組んだまま 伏せていた顔を上げる事もせず
ただ、ジロリと 目だけを静かに向けた



黒い上下のスーツをきちんと着ている所を見ると
ただの兵士では無さそうだった



あれから何日・・・・
自分の剣は・・・・・
そう聞いてみた所で、この男が何も話しはしない事は
その鋭い眼光と 微動だにしないその態度から明らかだ


くそっ・・・・・・・!








唇を噛むシュリの視線の先
車窓には、自国よりも遥かに大きな街が広がっていた
綺麗に連なるオレンジの屋根、馬と車とが行き交う石畳の道

その道を行く車列・・・・ 
車の前部中央に小さな黒旗をなびかせ進む車は ガルシアの物だと判るのか
前を行く馬は道を譲り、街行く人は足を止め、車に向かって笑顔で頭を下げる
ジーナと同じぐらいの男の子は 
母親に手を引かれたまま 元気に手を振っていた


穏やかで、幸せそうな街


この国の王が 他国に戦を仕掛けたという事など知らない人々
自分の返事次第で、戦火に巻き込まれたかもしれない人々・・・

”何も知らなければ幸せに暮らせる” そう言ったガルシアの言葉を
シュリは思い出していた




街の大通りを抜けると
雨上がりの霧に包まれた 巨大なガルシアの城の門が遠くに見え始める




その城は小高い丘の地形を丸ごと利用して建てられていた

丘全体をぐるりと取り囲む様に造られた大きな堀
その掘の直上、見上げる程に切り立つ高い石の城塀には
砲を据える為の窓がいくつもあり
門の両脇には 見張りを置くための門塔がある

先端には国旗だろうか、鳥の様に見える紋章を白抜いた・・・・
この車にあるのと同じ黒旗がはためいていた



シュリを乗せたガルシア達の車列が 門の前に止まると
その城門が ギシギシと重い音を立てゆっくりと開く






そこは、寂寞(せきばく)とした風景だった

美しい庭園に囲まれた自分の城とは違い、
緑の木 一本、花一輪さえも無い

ただ何処までも 暗い石の道が続き
丘の裾から頂上に向かい立ち並ぶいくつもの館棟


そしてそのずっと奥・・・・
丘の頂に同じ石造りの巨大な城が、薄い夕陽を背にして立っていた







車が近づくに連れ、
霧を掻き分け 次第にハッキリと姿を現し始めた城塀の内部


一見 無機質にそびえる壁には
細やかな幾何学模様に似た精密細工が
折り重なるようにして びっしりと施されている


黒一色の石でありながら
その陰影だけでこれほど見事に・・・ と思わせる贅の産物だ


それは塀だけではなかった
連なる館棟の壁の上部にも屋根にも 様々な紋様、彫刻が刻み込まれ
雨露に濡れたそれは夕陽を受け輝き、一級の芸術作品にも劣らない



王族として生まれ、芸術・美術品の類には慣れ親しんでいたシュリも
その光景には思わず車窓を開けずにはいられなかった


雨上がりの冷たく重い湿気を含んだ風が流れ込み頬を打つ
それは暖かく温暖な神国とは正反対の 寒い冬の国の空気だった



これからは ここで・・・

石畳の上を進みながら シュリは思わず目を伏せていた






華燭の城 - 10 に続く
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プロフィール

凛

Author:凛
BL・MLを日々妄想してる腐女子

しかもかなりハード目が好きな壊れかけ

SM・拷問等の酷い描写が苦手な方は、ご遠慮ください

1作目 『刻印』
2作目 『華燭(かしょく)の城』 
完結しました。
ブログタイトル下のマップより全話読んで頂けます。
『刻印』の簡単な解説はこちら から


まだまだ初心者故、描写の至らない点
設定の矛盾は笑って見てください 

読みやすく・・と思っているので、長編小説ですが、各回短く、短文、1日1回UP予定です


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