0-story

18禁 BL小説です。主に拷問・凌辱等ハード系。 こういう小説に興味の無い方、嫌悪感がある方はご遠慮ください。サイトマップより一気読み出来ます
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華燭の城 - 168

「ふぅん・・・ それに見覚えがあるんだ
 で? 中身は何だ?」

「・・・知ら・・・・・ ない・・・」

「なぁ・・・・
 これをどこで手に入れたと思ってるんだ?
 俺を甘く見るな
 何も知らずに ここへ乗り込んで来たと思ったら大間違いだぞ」

「ま・・・ まさか・・・!
 ヤツが喋ったのか!」



男はテーブルを叩く様にして勢いよくソファーから立ち上がり
驚きに身を乗り出した





この薬の、この色・・・・
蓋を閉めていても微かに漂い出すこの香り・・・・

これは間違いなく、自分が作り出した媚薬だ
だがあれは全て自分の手元に保管されている

自分が持っている物以外で、これが外に出ていると言う事は・・・・・


やはり・・・


男の顔が蒼褪めた




自分がガルシアに分け贈った物以外にあるはずがないのだ
あれに間違いない・・・・
だとすれば・・・ 答えは1つ・・・・

まさか・・・・ ガルシアが・・・・
いや・・・・まさか・・・・ まさか・・・・・




男は自らの心を落ち着ける様に、そのままストンと腰を下ろした
だが視線は定まらず、キョロキョロと空を動き続ける

そんな疑心に駆られる男に追い打ちを掛ける様に
ナギの声が冷たく響いた





「ああ、そのまさかだ
 ・・・・ ヤツは・・・・ 全て話したよ」




・・・・!!!!



「嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ!!!!
 クソソソソソソォォーーーー! クソッ!クソッ!!!!
 ガルシアめ!!
 私を売るとは!!!!
 くそっ・・!
 ・・・・・くそっ!!! クソォォォォォォーーーーーー!
 よくも私をーーーーーーーーーー!!!」


男はナギの言葉に一瞬、動きを止めた後、
すぐに頭を抱えテーブルにうつ伏し、
足を踏み鳴らし、のた打ち回った
 




その姿を前に、ナギはグッと目を閉じた


・・・ ガルシア・・・・ か・・・・






この薄紅の薬は、確かにガルシアの城で手に入れた

だが、場所はラウムの部屋だ

そこにあった数多くの薬を
城を発つ前に ヴィルが手あたり次第に少量ずつ、拝借してきたのだ
とはいえ、返すつもりはないので、簡単に言えば盗んだのだが・・・


だからナギは これらの薬の持ち主は
あくまでもラウムだと思っていた
薬師が薬を持っていても 何らおかしくはない


勿論 中の成分はどれも自国で検査済み

この薄紅の液体に いわゆる媚薬的な、
興奮剤に似た成分が含まれている事も知っている


・・・・でも、だからと言って何だ?
中年期となった子の居ない王の為に
城の薬師がその様な薬を作り、持っていたとしても
何の問題もない、説明は付くのだ


実際、ナギが注視していた薬は他にある
言い方を変えればこの薄紅の薬は 数多くの中の1つに過ぎず、
いわゆる雑魚だった


その雑魚で、何故これほど取り乱す・・・?
こちらが鍵なのか・・・?




テーブルの上の瓶、どれもすべて成分は把握しているし
男が適当な嘘を付けば、すぐ判る

そういう意味で、先の ”何も知らずに・・・” の発言だったのだが
この男の尋常でない取り乱し様は・・・・



諜報という仕事柄、薬には長けているというこの男と
城の薬師ラウム、そして自分を売ったというガルシアと媚薬、取引・・・

いったい何がどう繋がるんだ・・・・
もっと単純な話ではなかったのか・・・


意に反し舞台の駒が推理を超えて増えていく

この想定していなかった事態に
ナギの中に言い様の無い黒い雲が湧き上がっていった






華燭の城 - 169に続く
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華燭の城 - 167

大きな客人用応接室の中央

3人はテーブルを挟んでソファーに座った 
ナギの後ろには10名の近衛兵が並び控えている


対する男は一人きり
1対12の圧倒的な力差で男は顔を上げる事さえ出来なくなっていた





「さて・・・・」

ナギのその一言で男の体がビクリと震える





「まず、ガルシアの城に居た理由を聞こうか」

「そ・・・ それは・・・
 ・・・・私は・・・・・・・その・・・脅されて・・・・」

「脅された?
 言っておくが、嘘は付かないのが身の為だぞ」


ナギの低い声に、男は無意識に頷いていた
カクカクとぎこちなく
同じ動作を幾度も繰り返す様子は まるで木の玩具の様だ





その玩具が短い沈黙の後、口を開いた


「ガルシアに・・・・呼ばれて・・・・
 取引を・・・ しないかと・・・・」

ようやくそれだけを言葉にすると、
ナギの顔色を伺う様にチラを顔を上げた

が、無言のまま自分を射る冷たい視線に
男はまた慌てて目を伏せる




「その・・・・ 我が西国の軍の情報と・・・
 様子を教えろと・・・
 ・・・・・・ それだけだ・・・・・」

「へぇ・・・それだけなんだ」


ナギは身を乗り出す様にして男の眼前まで迫ると
テーブルに肘を付き、
俯き逸らした男の目を下から煽る様に覗き込んだ




「そんな訳があるか・・・!
 取引だと言ったのはお前だぞ!!
 その情報に対する見返りは何だ?
 取引だと言うからには お前も何か得たのだろ!? 
 ガルシアから 我が帝国軍の内情でも探ったか!?」

「ち・・・違う!!
 そんな・・ 帝国の情報など・・・
 ・・・ そんな事は絶対にしてない・・・!!」

「では何だ!」

「・・・その・・・・・・」



男はまた下を向いて目を伏せたまま、貝の様に口を閉じた
言える訳がない
神の子を犯し・・・・・
その上、召魔滅神の紋までその体に灼き付けたなど・・・・







「では、話を変えよう」

ナギの手が 男の伏せた狭い視界に割り込んだ
その手の中にあった小さな瓶が数個、順番に男の目の前に並べられる




「これに見覚えは?」

テーブルに置かれたのは、どれも見た目は全く同じガラスの小瓶
透明な本体に銀の蓋が付いている


「知らない」

男は即答した
目の前にあるのは、自分の知っているどの薬品とも違う瓶であり
これは断じて嘘ではない

男の顔には 
こんな物は一切 見た事がないぞ! とでも言いた気な
場違いの誇らしさが浮かぶ



その表情に気が付いたナギは

「ああ、瓶は入れ替えてあるからな
 知らなくて当然だ
 中身だ、開けてもいい
 よく確かめろ」

すかさずそう斬り込んだ



男はの心臓がドクンと大きく鳴った
勝ち誇った顔が一瞬で歪み崩れる



「さあ・・・よく見るんだ」

ナギの声に 男は目の前の瓶を恐る恐るに1つずつ手に取った




シャンデリアの明かりに透かして見たり
蓋を開けて臭気を確かめてみたり・・・・
そして、首を捻り、頷いて・・・・・ と反応は様々だ


が、5つ目の瓶を手に取った時、男の表情が変わった
明かりに揺れる薄紅の液体・・・・



「これをどこで・・・・」

思わずそう呟いていた






華燭の城 - 168 に続く
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華燭の城 - 166

重厚な造りのテーブルが、振動で揺れ動く程
ガルシアの動きは激しくなり
シュリを押さえ付け、自身を捻じ込み抽挿を繰り返す


少しでも体を捩り、逃れようとするシュリの脚は
それを逃がすまいとするガルシアの肩に抱え上げられ
益々 大きく開かれる


その光景は・・・・ そのモノの出入りは
シュリの腕を押さえるオーバストからも ハッキリと見えていた



そこから聞こえる湿った音と、ガルシアの荒い息遣い使いの合間に
シュリの、喉の奥で必死に息をする引き攣った呼吸音がする





既にシュリは激しい責めに声も出ず、唇を嚙んで嫌がるのみだった
薄っすらと開かれた瞳が 壁の双剣だけを朧気に見つめる


神を自身に下ろす為の神器である双剣
その神の剣の前で犯される屈辱に
ただ口惜しさと怒りと悲しさがこみ上げる




オーバストも絶句していた


この王に仕えてもう長い
ガルシアという男の性癖は充分に知っていた

新しくやって来た美しい皇子と、そういう関係にあるのだろうという事も
勿論 気が付いていた

だが、ガルシアを父王と呼び、
いつも優しく穏やかに微笑むシュリだけを見ていたオーバストは
そこには合意もあるのだろうと、勝手に思い込んでいた

皇子もそれを受け入れ、半ば楽しんでいるのだろうと・・・・・





それが まさか・・・・ こんな・・・



これではまるで強姦であり、拷問ではないか・・・・

いや、あのおびただしい数の体の傷は・・・ 
実際に拷問を受けたのだ・・・・

神の子を・・・
こんなになるまで・・・・






「陛下・・・もう・・・」

思わず 止めてください・・・ と言いそうになった時
ガルシアが小さく喜の声を上げ呻いた



シュリの脚と腰を鷲掴み、最奥まで突き込んだ自身はそのままに
わずかな動きだけを残し 恍惚の表情で天を仰ぐ

シュリは肩で激しく息をしながら、ぐったりと動かない・・・




終わったのか・・・




オーバストはその時、密かに安堵した
陛下に ”止めろ” などと、恐ろしい言葉を吐く前で良かったと・・・




体内からガルシアのモノがヌルリと引き抜かれると
シュリは小さく呻き、テーブルの上で身を丸めようとする

オーバストも、慌ててその手を放していた



シュリは自由になった右手を胸に抱え込む様にして蹲り
ハァハァと痛みに耐えながら、乱れた呼吸を繰り返す

その痛々しい姿にオーバストは
思わず今までシュリを押さえ付けていた拳を強く握り締め
「申し訳ありません・・・・」 と呟いていた


命令とはいえ、神の子を犯すという醜行に
自分も加担してしまったのだ・・・・
なんという恐ろしい事をしてしまったのか・・・



その声が聞こえたのだろうか・・・

シュリがフッと顔を上げる
オーバストに視線を向け・・・
そして静かに目を閉じ、穏やかに微笑んで・・・ 小さく首を振った



それは罪悪感に圧し潰されそうになっていたオーバストにとって
まさに神の赦しだった


シュリ様・・・・・・・・


オーバストはヨロヨロとその場に膝を付く



蹲るシュリの尻間から、ガルシアの精がトロトロと溢れ出るのが見える

それがテーブルの上でシュリの血とゆっくりと混ざり合っていくのを
オーバストは ただじっと見つめる事しか出来なかった





「どうした、腰が抜けたか」

そんなオーバストを見てガルシアは面白そうに笑い
下半身を露出させたままソファーにドッカと腰を下ろす




「ラウム、さっさとここを片付けて、連れて行け」

満足がいったのか、上機嫌でそう言うガルシアに
ラウは 「はい」 と返事をし、そっとシュリを抱き起す

その声はいつもと同じ、とても静かだ
そして 手際よく汚れたテーブルを片付け始める
何事も無かったかのように・・・・




そんな・・・ ただ黙って命令をこなすラウムにも
オーバストは驚きを隠せなかった

どうしてそんなに冷静なんだ・・・・
こんな場を見せられて・・・・
皇子のあんな体を見て・・・・
神が犯される様を見て・・・・
みんなオカシイ・・・
どうかしている・・・・





ガルシアに忠誠を誓い、仕えてから10年以上
一点の曇りもなく、この仕事に誇りを持ちやってきた

だがこの時 自分の胸中に突如として湧き上がったもの・・・
それがこの王に対する不信感という感情であることを
オーバストは初めて自覚していた






華燭の城 - 167 に続く
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華燭の城 - 165

「どうだ・・・ このシュリの体・・・ 美しいだろう」

「はい・・・・」


問われたオーバストは仕方なく目を開け
黙ってその光景を見つめるしかなかった
少し離れた場所に立つラウは無言で目を伏せたままだ




ガルシアがシュリの脚を掴んだまま、動き始めると
室内には すぐに湿った音がし始める

挿入前から大きく猛り、穴の先から滴らせていたガルシアの汁が
シュリの中で溢れ、混ざり合っているのだ



それを嫌がり、排除しようとするシュリの内部と
そのシュリの内壁を えぐり出そうとでもするかの様に
破壊的に犯し続けるガルシア・・・



「ンッ・・・・ンンンァッ・・・・・!!  ンッ・・!・・・ンンッ!!」


激しいせめぎ合いにシュリの体内で痙攣が起こる
ガルシアはその不規則な快感にさえ酔い
益々その動きは猛々しく凶暴になった


シュリの悲痛な声と、ガルシアの荒い息遣いが響き渡る







「ラ・・・ ウ・・・・ ・・・・・ラウ・・・・」

何度目かの痙攣を起こした時
シュリの叫びはラウを呼ぶ声に変っていた



じっと目を閉じ立っていたラウが、その声に顔を上げる




「・・・ラウ・・・・ 私の剣を・・・・・」

ガルシアのモノを突き込まれ、朦朧としながらも
シュリの目が壁の双剣に向けられていた

オーバストに押さえ付けられたまま
左手を懸命に伸ばそうとしている




「シュリ・・・・・」

「頼・・・む・・  ・・ラウ・・・ 取って・・・・・」



「ほう? 自分の剣で何をする?
 自害するか? それともワシを斬るか?」


手を伸ばしながら、自分の体内にあるガルシアを引き抜こうと
ずり上がっていくシュリを逃がさまいとして
ガルシアの両手がシュリの白い両腰を掴みグッ・・ と摺り寄せる

そして、その力のままに、自身のモノをシュリの最奥にまで突き立てた



「ンッッッッ・・・・!!!
 ・・・・・・ぁああっ・・・っ・・・!!」


「出来るものなら・・・ やってみるがいい・・・・」


「・・・・・ラウ・・・・・・たのむ・・・・
 ・・・・ンッ・・・  ンッ・・・・・   ンンァァッ・・!!!」





必死に抗うシュリをガルシアは容赦なく凌辱し続け
突き上げる度に、シュリの全身からは血が零れ落ちた





その壮絶な光景を、目の前に
オーバストの心臓はドクドクと鳴り響く


もう見ていられなかった
だが、押さえた手を離す訳にも行かず、目を閉じる事も出来ず
ただ唇を嚙んで 視線だけが焦点を定めず彷徨っていた


その視線が、ラウムで止まる


ラウムもまた、じっと拳を握り立ち尽くすままだ
シュリの命令に動く様子はない




「・・ラウ・・・・・  ラ・・ウ・・・・・っ・・・・」

シュリの声が懇願に変わった頃だった
 

「それは・・・できません・・・・・」

ラウがポツリと呟いた






「・・・・ラウ・・・・・・・・・・っ・・・・・」

「よく言った・・・ッ・・・
 それでこそラウムだ・・・・ ンッ・・ンッ・・・・!
 シュリ・・・ わかったか・・・・
 お前は不要だと言ったが・・・・・・
 従順な下僕は・・・ 持っていて損は無い・・・・・ 
 ・・・・・ああぁ・・・イイぞ・・シュリ・・・・・・っ」



上機嫌のガルシアの動きが一層激しくなった



「・・・ンッッッッ!!!!!!!!」






華燭の城 - 166に続く
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華燭の城 - 164

「・・・・陛下・・・ ・・・・申し訳ありません・・・
 ・・・・ やはり私は・・・ これで・・・・」

「・・・待て」



初めて見た皇子の無残な身体・・・・
そして、血を吐く召魔滅神の印・・・・
これから行われようとしている行為・・・・

今、目の前で起こっている現実の全てから目を逸らす様に頭を下げ
出て行こうとするオーバストを ガルシアが止めた




「・・・出て行く事は許さん
 側へ来い、近くで見ていろ
 シュリは他人に見られると興奮するのだ
 見物客が多い程 喜ぶ」



そう言うと片手で押さえ付けたまま
シュリの残りの衣服も剥ぎ取り、引き下げていく

破れたシャツだけを残し、裸にすると
傷から滲み出る血を ゆっくりと舐めながら
ガルシアはシュリの その白い肌に舌を這わせ始めた

そして自分の付けた悪魔の紋章を確認するかの様に
そこに歯を立て、傷をギリと噛む





「やっ・・・・めっ・・・・!! ンッ・・・・!!
 ・・・・・ンッッ!!!」


痛みに叫び暴れるシュリをテーブルに押さえ付け、
オーバストの目の前で ガルシアの凌辱が始まった







胸の傷を、腹を、腰を、下腹部を・・・
体中の傷に舌を這わせながら
嫌がるシュリの片脚を自分の肩へと抱え上げる

太腿の縫合痕は、ゆっくりと確かめる様に舌でなぞった後
ブツ。。と指で圧し開く



「・・・ンッ!」

薄い皮膚は容易く裂け、ガルシアの指先を朱に染めた

ガルシアは、その指を自らの口に運ぶと
片頬だけで怪し気に笑い、そのまま・・・
濡らした指でシュリの後ろをまさぐっていく


「ンッ・・・! やめっ・・・・!」

身を捩る度に、シュリの傷からジワリと血が滲んだ




「・・・どうした?
 見物人も揃えてやったというのに
 ここはまだ硬いままではないか・・・・
 さあ、開け・・・・ たっぷりとワシのモノを咥えさせてやる」

そう言いながら、きつく閉じたままのシュリの後ろに
無理矢理に指を捻じ込んでいく




「ンッ・・・!!!!」

「・・・ それとも・・・・」

ガルシアは楽しそうに顔を上げると
傍らで目を伏せるオーバストをチラリと見る


「おい、お前がシュリを犯してみるか?」 

その声にオーバストがハッと顔を上げ、左右に素早く首を振る

「まさか・・・・その様な事は・・・・・・
 ・・・・・本当にもう・・・・・ 御許しください」




蒼褪めた顔で再び深く頭を下げたオーバストの膝は
わずかだが小刻みに震えている
そんな男を見て、ガルシアは豪快な笑い声を上げた



「その様子では、お前の股間のモノは使い物にならぬだろうな
 ならば・・・・
 それが役に立たないなら、ここでシュリを押さえていろ」

顎で、自分の代わりにシュリの腕を押さえる様に指示をする




「えっ・・・」

オーバストは反射的にシュリを見た

痛々しく巻かれた右手の包帯・・・
嫌がる様に小さく振る首・・・
傷だらけの身体・・・
そして悪魔の・・・  

そこまで視線を滑らせたところで、やはり耐え切れなくなり目を逸らす

この皇子を自分が犯すなど、考えられない
選択肢が2つしか無いのなら、答えは決まっている

俯き、黙ったまま頭側へ回ると シュリの両腕を取り上げ、押さえ付けた



真下には苦痛に歪むシュリの顔がある・・・
オーバストはその苦しそうな顔を見る事さえ出来なかった





ガルシアは自由になった両手で シュリの抱え上げた脚を掴み
大きく広げさせると、露わになった後ろへ一気に指を深く突き込んだ

「ンッ!!」

シュリの身体がビクンと仰け反る


「しっかり押さえていろ」

「・・・・申し訳ありませんっ・・」

オーバストの手にも力が入る





ガルシアは 指で何度かシュリの中を確かめる様に抽挿を繰り返した後
自らの反り起つモノを取り出した


「オーバスト、よく見ておけ
 ワシは悪魔を凌駕し、神をひれ伏せさせたのだ」

そう言うと、既に弩張し、先からヌルリと汁を吐くそれを
シュリの中へと捩じ込んでいった
柔らかな粘膜が 痛みと共に強引に押し広げられていく


「ンァッ!」

再び短い叫びを上げ、シュリの身体が大きく跳ね一気に紅潮する






華燭の城 - 165に続く
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華燭の城 - 163

「オーバスト、構わん」

シュリを止めようと動いたオーバストを軽く左手で制してから
ガルシアは シュリに自分の胸ぐらを掴ませたまま、向き直った



「・・・・で、シュリよ
 ワシを掴み上げ・・・ ここから、残った右手一本でどうする気だ?
 砕けた手でワシを殴るか? それとも斬るか?
 お前の大事な剣はあそこにあるぞ?」



ガルシアの視線が壁にズラリと掛けられた宝剣に向いた

その一番端に 自分の双剣が・・・・
国から連れ出された日、奪われたままになっていた自分の剣が
掛けられていた




「さあ・・・・・ やれるものなら、やってみろ
 早くしないと、こちらも使えなくなるぞ?」

ガルシアの手が 
自分の胸元を掴むシュリの左手をガッシリと握り込む

ギリと音を立て骨が軋む感覚・・・
以前、右手を握り潰された時と同じだった





「・・・ンッ・・・!」

「シュリ・・・!やめるんだ!」

止めたのはラウの声だった



シュリの怒りの意味は判った
だが、だからといって、もうどうしようもないのだ

今更、シュリが庇(かば)ってみても
ヴェルメは生き返りはしないし、
そのために これ以上シュリが傷を負う事もない






「ラウムは ああ言っているぞ?
 ・・・どうする?」

ガルシアの手に力が入る



「お前の事だ・・・
 今、残っている者・・・ 
 あのヴェルメの息子も 粛清の対象にしているのだろうが・・・
 だが・・・!その者達に・・・
 ヴェルメの一族全てに もうこれ以上、手を出すな!
 命も財も・・・ 何一つ奪う事は許さない!」


「ほう・・・
 自らここへ乗り込んで来たのはその為か?
 印を刻まれ、これだけの傷を負わされながら
 まだ人の心配をするとは、見上げた根性だな
 ・・・その気概に免じて 他の者の処分は止めてやっても良いが?」



その言葉にシュリの瞳がクッと開かれる



「お前を襲ったと言う事は、
 直接、ワシに手を出す勇気は無いようだしな
 父親に似て、どこまでも腰抜けなヤツよ
 それに・・・ 
 お前のこの印・・・ あの小心者の息子にも、もう見せたのだろう?
 ・・・・・どうであった?
 驚いたか? 
 恐怖に泣き叫んだか?
 地に這いつくばり許しを乞うたか?」



ガルシアは楽しくてたまらないとでも言う様に クックと笑い出す



「ならば、ワシが簡単に殺ってしまうより
 お前の、この悪魔に一生 呪われ続けると恐怖しながら
 最下層で生き永らえさせるのも面白い
 シュリよ、お前も良い 従僕が手に入ったではないか
 あいつはもう お前に頭が上がらぬぞ?」


ガルシアはシュリの左手をギリギリと締め上げながら
嬉しそうに嗤った



「・・・ンッ・・・・
 ・・・・・そんなものは・・ 要らない・・・・
 だが・・ 今の言葉・・・・忘れるな・・・・・」

痛みに顔を歪ませながら、シュリもガルシアを睨み付ける




二人の視線が交錯し、
誰も言葉を発しない静寂の時・・・





その凍り付いた空気の中に
シュリを見つめていたガルシアが突然、熱い息を吐いた

「ああ・・・ 本当に・・・・ お前の苦痛に歪むその美しい顔は
 何とも言えずワシをそそる・・・
 ・・・・・来い・・・!」





ガルシアは薄い唇で薄気味悪く笑うと
シュリの左手を握ったまま 引き摺る様にして部屋の中央まで行き
いつも酒を飲んでいるテーブルへ、乱暴に突き倒した


ソファーと対になった巨大なテーブルの上に
仰向けで倒され、シュリはその衝撃に呻く

そのまま覆い被さる様に押さえ付けられ、呼吸もままならず
左手も掴まれたままで、身動きさえとれない


ラウの上着は反動で床に落ち、破れたシャツが露わになっていた

ガルシアが 肩で喘ぐそのシュリのシャツをも 引き剥がす





明るい部屋の電灯の下に晒し出されたシュリの傷だらけの体
そして 歪(いびつ)な縫合の隙間から 
じわじわと血を吐き出すあの印・・・・
オーバストは思わず息を呑んだ


「・・召・・・ 魔・・・・    ・・・・・ウッ・・・」

無意識に口元に手をやり、一歩 後退った




その反応を見てガルシアは満足の笑みを浮かべた

「シュリ、見るがいい・・・
 さすがの大佐殿も お前の印には敵わぬとみえる」

「・・・・っ・・」



ガルシアは、悔しさに唇を噛み締め、強く目を閉じたシュリの両手を
片手1つで易々と押さえ付けると
オーバストに見せつける様にして、首筋へと舌を這わす




「そうだ、お前もこの先、この国の王となるならば
 1つ良い事を教えてやろう」

首から這い上がったガルシアの舌が
シュリの耳の中で蠢き(うごめき)ながら囁いた


「他人の為に・・・・ お人好しは止めることだ
 ・・・・・ 己以外、誰も信じるな」


ガルシアはそれだけを言うと、ニヤリと嗤った




「お前の方から、ここに来たのだ・・・
 頼みも聞いてやる
 その代わり・・・・ 覚悟はできているのだろうな」

身を捩るシュリの脚をガルシアの膝がテーブルに押し付けた


「・・・ンッ・・・!」






華燭の城 - 164に続く
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華燭の城 - 162

重厚で巨大な執務机に大量の書類を並べ
オーバストの報告を聞いていたガルシアは 一瞬、怪訝な表情を浮かべた

隣に立つ男をチラと見る



「では・・・ 私はこれで」

その視線でオーバストが軽く頭を下げた


が、これは神国からシュリを連れ帰った際、見張りを任せた程の男だ
側近長という立場であり、全ての事情を呑み込んでいる
何も隠すことは無い



「構わん、ここに居ろ」

「しかし・・・・ 私は急ぎ報告に来ただけですので・・・」

「居ろと言っている ・・・入れ」


前者は退室しようとするオーバストに
後者はノックしたラウに向かって そう言いながら
ガルシアは自らも立ち上がった





重い扉が開かれ、ラウの後ろに続き入ったシュリの姿を見て
ガルシアの顔はわずかな驚きを見せた


服は汚れ、ラウムの上着を肩から無造作に掛けただけで
喧嘩でもしたのか、顔には傷があり 切れた唇の端には血の跡もある




「ほう・・・・・」

ガルシアは興味深げにシュリに近付くと
その姿をまじまじと見た



「どうした・・・・ 何があった?
 自分からここに来る程だ
 体が疼き、抱いて欲しくなったのかと思ったが・・・・
 この様子では そういう訳ではあるまい?」


ニヤリと笑いながら シュリの顎をクイと持ち上げる
唇端の血を親指で拭い取り・・・
そこに自分の唇を押し付けた





退室を許されず、
執務机の横で微動だにせず立っていたオーバストが二人を見つめる


ガルシアに仕えるまで 多くの国を渡り歩き、傭兵を生業としてきた
男しかいない戦場では
戦争という 一種の異常な精神の興奮状態を抑えるために
兵士同士でそういう事が行われるのは知っている

だが、自分の中で それらは全てにおいて実践を伴っていない

話に聞いただけの、頭での知識であり
男同士の行為を実際に見たのはこれが初めてだった





ガルシアの長い舌が、シュリの唇を割って強引に入り込もうと
蠢(うごめ)いていた




オーバストの眉間がピクリと動く
視線がわずかに二人から外れ、彷徨う様に宙を行く

だがそれ以上、表情に出さなかったのは
さすがオーバスト・・・・ ”大佐” とまで呼ばれるだけの事はあった







「・・・ンッ・・・!」

シュリは強く顔を振ってガルシアの唇から逃れると
そのままグッと睨みつける



「・・・ ヴェルメを・・ 粛清したというのは本当か?」

その言葉に ラウが驚き、シュリの方を見る
あのヴェルメの息子がシュリを襲った理由がやっとわかったのだ



「何かと思えば、それで来たのか」

ガルシアは驚きもせず酷笑した
そしてガルシアも、今のこのシュリの姿の意味が判った様だった





「・・・答えろ」

「ああ、確かにヤツは死んだらしいな
 強盗だったと聞いている
 あれも、つくづく運の無い男よな」

「お前が・・・ 殺らせたのだろ・・・・」

「いきなり、人聞きの悪い事を言うやつだな
 ・・・しかしまぁ・・・・ 
 ・・・・で?
 ・・・・そうだと言ったら? ・・・・だから何だと言うんだ?」



罪悪感の欠片(かけら)も無く、平然とガルシアは嗤い
その手がシュリの顎を鷲掴む



「君主に歯向かえばどうなるか、教えてやったまでの事
 あの場で斬り捨てても良かったのだ
 それを、強盗などと面倒な芝居を仕立ててやったのも、
 見逃してやれなどと お前が言うからだ
 お前の顔を立てたのだぞ?
 礼を言って欲しいぐらいだ」


「貴様っ・・・!」



込み上げる怒りで、シュリは左手でガルシアの胸ぐらを掴み上げた




「シュリ・・! いけません!」

「・・・・陛下に何を!!」

見ていた二人が叫ぶのと同時だった






「ハッハッハッ・・・!!」


二人の慌て様がおかしいのか、ガルシアが不意に笑い出した






華燭の城 - 163に続く
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華燭の城 - 161

使用人棟の入り口で、部屋へ戻るロジャーを見送ると
シュリは自室へとは違う廊下を歩き出した


「シュリ・・・?
 どこへ・・・?
 ・・・傷の手当てをしなければ・・・」

そう言うラウの声に返事もせず
それでも傷が痛むのだろう・・・
左手で胸を押さえたままシュリは無言で歩いて行く




「シュリ!!」

「・・・ラウ ・・・報告を」

何度目かの呼びかけに、ようやくシュリが口を開いた



「今日、神国から医師団が戻ったのだろ?
 ・・・・その報告を」


・・・・確かにそうだ・・・ 今日はそれで城を離れたのだ
だが今は 弟君より自分の体の心配を・・・!
そう口をついて出そうになる言葉を ラウは必死に呑み込んだ




「・・・・はい
 ・・・ジーナ様のご容態は安定されているようです
 以前ほど発作も起こさなくなり・・・・・
 良い兆候であると、医師達も喜んでおります
 ・・・・・ このまま行けば、ご全快も望めるだろうとの報告です
 国王、皇后、両陛下もお健やかとの事で神国も変りなく・・・・」


「そうか・・・・ ありがとう」


「・・・・シュリっ・・・・・・」




それだけ言うとシュリの足はまた速くなる




自分が今、ここに生きている理由を思う
陰惨(いんさん)な凌辱を日々受けながらも、ここに居る理由はただ一つ
それは神国に残した家族と民の為だ

遠い異国で離ればなれ・・・・
もう二度と会えないとしても、自分の両親は生き、
弟も手厚い治療を受けている




だがヴェルメの息子は・・・ 父親を殺された



もしあの日・・・・
神儀の日に、ガルシアが皆を殺していたら自分はどうしただろうか・・

神の子である事も忘れ、
あの息子と同じ事をしたのではないか・・・
実際に自分はガルシアを斬ろうと剣を握ったのだから・・・


そう思うとじっとしては居られなかった


そしてガルシアが、ヴェルメの命を奪った以上、
あの息子も・・・ 
いや・・・ 一族全てに歯牙を向けるのは必至
生かしておけば、後々 必ず禍根を残すのだから・・・
一度に殺されなかっただけでも、幸運だったのだ






目の前に扉が見えていた






後を追うラウは シュリが主塔へ続く扉の前に立った事に驚いた


「陛下の所へ・・・行かれるおつもりですか!?」

今まではガルシアに呼ばれ、仕方なく出向いていた場所だ
自らここに足を踏み入れるなど・・・


「・・・シュリ!」

何も答えないシュリにラウが苛立ちの声をあげた
行く手を阻むように正面に立ち、その両肩を掴む



「こんなお体で、陛下の所になど無茶です・・・・!
 行けば、何をされるか・・・
 タダで済まないのは 判っているでしょう!?
 いったい何をするおつもりなのです・・・!
 ・・・あの小屋で、何があったんです!!!」


「・・・ラウ・・・ 開けてくれ」




扉の前に立ったシュリは静かにそう答えただけだった

傷が痛む
今、この大きな扉を片手で開ける事は 物理的に無理だった


強い意志を持って 真っ直ぐに目を見据えられ、
ラウは仕方なくその体を引いた
今、何を言っても止める事など出来ないと 悟ったのだ




真紅の廊下を進み、
あの石牢へと曲がる廊下も そのまま真っ直ぐに進む

向かったのはガルシアの執務室を兼ねた私室






「・・・・陛下・・・ シュリ様です・・・・」

扉の前でシュリに目で促され、ラウは中のガルシアに声を掛けた







「・・・シュリだと?」






華燭の城 - 162に続く
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華燭の城 - 160

「ここを開けろ!」

西国の一軒の屋敷の前で 男の声が闇に響いた



応対に出たメイドが 
入り口に立ち並ぶ兵士を見て驚いたように屋敷内へ踵を返す
家の主を呼びに戻ったのだろうか・・・
その直後、一人の小男が入り口に現れた

緊張しているのか、表情はわずかに歪んでいるものの
そこはさすが西国の国防のトップに立つ男だけはある



「これはこれは・・・ もしや・・・・
 帝国皇太子 ナギ殿下ではございませぬか?」

と作り笑いを浮かべる余裕はあるようだった




「こんな夜遅くに、いきなり私邸へご訪問とは・・・
 さて、私と殿下はそれほど旧知の仲でございましたでしょうか?」

嫌味を言う事も忘れてはいない





「別にお前と 仲良くしたい訳ではないのでな
 夜遅くに約束もなく尋ね、嫌われたとしても一向に構わない」

ナギの答えに一瞬怯んだ様子の男だったが、
再び口元だけで笑みを作った




「ほう・・・・
 ・・・で? 今宵は何のご用件でしょう?
 ここは西国、殿下のお国とは同盟を結んでおらぬ いわば敵国
 そこに自らお出ましとは・・・・
 我が国に戦でも仕掛けるおつもりで?」
 


「戦か・・・ そうだな・・・・
 別に今すぐ西国をどうこうする気は無かったのだが・・・・
 ・・・急用が出来てな
 今夜 ここに連れて来たのは 私の近衛小隊の中でも1個分隊
 ・・・これだけだしなー・・・ さてどうするか・・・」



後ろに立つ10名程の軍服姿の兵を視線で指しながら

「残りの近衛40名は国境前で待機中なんだ」

わざわざ手の内を見せる様に説明する
 



「10人!?
 いやはや、驚きましたな
 たったそれだけで敵国に乗り込み、
 いったい何をなさろうと言うのですかな?殿下は」

その数の少なさに安堵したのか、男は今度こそ本物の笑みを見せた





「やり合うおつもりならば、
 我が軍を動かすまでの事ですが?
 そちらが10名であっても手加減はしませんぞ?」


「我が軍ねぇ・・・・
 それはこの人達の事か?」


今度は視線だけではない
ナギが体ごと振り返ると、近衛の垣が割れる

その10名の後ろには、違う色の軍服を着た兵が庭を埋めていた




「・・・・!!
 こ・・・ これは・・・・我が国の・・・・・」


男は慌てて屋敷から庭へと走り出る




「お・・・お前達!! ここで何をしている!
 ここは私の私邸だぞ!!
 それに私は 出動命令など、出した覚えは無いぞ!
 誰の命令で動いている!
 勝手な事をするでない!!」


「あー悪い・・・言い忘れた
 命令を出したのは、お前の所のー・・ 西国の王だ」


怒鳴る男の背に向かい、ナギが涼やかな顔で応えた




「・・・王が・・・!?
 何故・・・・
 何の為に・・・・」


「俺は お前と少し話がしたかっただけなんだけどな?
 同盟の無い国に 近衛と言えど、我が軍の兵を入れるにあたって
 ちょっとご挨拶がてら、王に事情をお話したら
 貸してくれたんだよ
 ・・・裏切り者を捕まえるなら協力しよう・・・・ とな」




本当の事を言えば 手を回したのはナギの父である帝国皇帝だ

自分が自国を出る前には 王同士の間で話はついていたのだが
そこはこまごまと この男に説明して聞かせる義理もない
時間短縮の為の省略だ





「裏・・ 切り・・・・って・・・・」


そう自分で言葉にし、
初めて男は それが何を意味するか・・・ ようやく気が付いた様だった

それまで優位に立っていた顔から
途端に表情が消え失せる





「わ・・・ 私は何も知らん・・・・・・・」


「へぇ・・・・ 言われないと判らないか?
 ・・・じゃあ、聞くが・・・ 
 敵であるはずのガルシアと一緒に居たのはなぜだ?
 あの城に居ただろう?
 誤魔化せると思うなよ?
 俺の近衛隊長がハッキリ見ている」


「・・ っ・・・・・」




迂闊だった
ナギ達が同じ城内に居る事は知っていた
だから 出来るだけ目立たぬ様、隠れていたはずだったのだが・・・・・



「何の事か判ったようだな
 では、少しお邪魔するよ」

ナギは笑みを浮かべながら、悠々と屋敷へ上がり込んだ
それはまるで、懐かしい友人の家にでも遊びに来たかの様だった






華燭の城 - 161に続く
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華燭の城 - 159

睨み付ける様にして三人の前に回り込み
入り口前まで来ると、ラウはゆっくりと振り返った

退路を体で塞ぎ、冷たい視線でじっと見下ろす



「・・ヒッ・・っ・・!」

三人はその怒りに満ちた視線だけで、何も言えなくなっていた

かといって目を逸らす事さえ恐ろしく
震えながら、じっとラウの顔を見るしかない




「・・・今、ここで見た事・・・・
 命が惜しければ絶対に他言するな
 そして二度と シュリ様に手を出すな」


この三人にしか聞こえない程の小さな声だったが
それは 氷の様に低く冷く、一言でも言い返そうものなら確実に殺される・・・
そう確信出来る程、殺気を含んだものだった



三人は黙ったまま、ただコクコクと頷く

いくら気が動転していても、
”見た事”  ・・・の意味は瞬時に解る


もとよりラウムに言われなくても、召魔の印を持つ者に手出しなど
誰の命令であってもしたくはない

例えそれが親の仇であっても、
生きたまま一生、悪魔に呪われ続ける事の方が恐ろしい




その無言の応えの真偽を測る様に、ラウはじっと三人の目を見据える
静かだからこそ、余計に恐ろしい視線だった




暫くして 「連れて行け」 ラウにそう言われ
三人は やっと体の力を抜いた
側近の男までが 思わずラウに頭を下げていた
それほどの威を持っていた










「シュリ、大丈夫ですか・・・」

四人が小屋を出て行くと
床に座り込んだまま俯くシュリに ラウは走り寄った




「失礼します・・・」

そう言って 顎を上げさせ、顔の傷を確認した後
チラと上着を除け、胸の傷を診る

縫合部分が裂け、出血はしていたが、幸いにも以前の様に大量ではない
これなら、まだ外科的な処置をしなくても薬だけで何とかなるはずだ



「すぐに手当を・・・ 部屋に戻りましょう」



シュリはラウの声に小さく頷きながら、上着で自分の体を隠し
少し離れた場所で立ちすくんだままのロジャーに視線を向けた



泣き腫らした目が真っ赤になっている
酷く怖がらせてしまったはずだ

暴行の現場もそうだが、この傷・・・・
大人である あの三人でさえ、あの怯え様だ
まだ10歳のロジャーがこれを見て、どれほどショックを受けたか・・・・


怖がらせただけではない・・・
純粋に、自分を神の化身だと信じてくれていたロジャーを裏切ったのだ
それも一番酷い形で・・・






「ロジャー、大丈夫か?一人で部屋に戻れるか?」

ラウが穏やかな口調で声を掛けた
ロジャーに口止めなど必要ない


ロジャーは気丈にも小さく頷いたが、そのまま動こうとしない
唇をぎゅっと噛み締め、両手を強く握り、じっと立ったままだ



「ロジャー・・・・ ごめん・・・・・」

その姿に、シュリは そう言う事しかできなかった





「シュリ・・・・様・・・・・」

走って逃げ出してもおかしくないこの場面で
ロジャーはポツリと呟いた

そして ゆっくりシュリに歩み寄り、その前に跪き、
座り込むシュリをぎゅっと抱き締めた




「・・・・・!
 ・・・・ 

 ・・・・ロジャー・・・・・
 ・・・・もう・・・ 私から離れなさい・・・・
 ・・・・私に触れてはダメだ・・・・・」

驚きながらもシュリは優しくそう声を掛けた



だがロジャーはシュリに抱き着いたまま 強く首を横に振った



「いやだ・・・
 いやだ・・・・!
 シュリ様は・・・ シュリ様だし・・・・
 ・・・・悪魔・・・・・ ・・・ なんかじゃないし・・・
 絶対・・・ 絶対!違うし・・・・!
 シュリ様が悪魔になんてなりたくないって言ったの、
 僕、ちゃんと知ってるし・・・!
 だから、違うし!!!」

そう言ってシュリの胸の印に 小さな手をそっと押し当てた
触れる事などあってはならないその傷に・・・
見る事さえ禁忌とされるその印に・・・

細い指先が血で染まる




「・・・痛か・・・ったんだよね・・・・・
 助けて・・・ あげられなくて・・・ ごめんね・・・
 こんなにいっぱい怪我してたなんて・・・
 僕・・・ 何も知らなくて・・・・」

ポロポロと溢れる様に ロジャーの瞳から涙が零れ落ちた

胸の傷の上にロジャーの温かさが広がっていく




「ロジャー・・・・
 ありがとう・・・ 私は大丈夫だから・・・・」


シュリの腕も ロジャーを抱き寄せる
頭を撫でながら、微笑むと
ロジャーは泣きじゃくりながらも何度も頷いた




「ロジャー、シュリ様の手当てをしなくてはいけないんだ
 もう部屋へ戻ろう」

ラウがそう言うと やっとロジャーは抱き着く腕を緩め立ち上がった






華燭の城 - 160に続く
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華燭の城 - 158

目の前にいるのは20代前半と思われる若者三人
こちらは一人・・・・

数では不利だが、幸いと言うべきか
三人はすでに戦意喪失している様子で 必死に命乞いをしている・・・

正直、剣には全く自信がない・・・
が、これならば勝てるかもしれない・・・・ と思う




方々の国から 腕抜きの・・・
言わば傭兵ばかりを集めた側近・・・ 私兵集団の中にあって
この男は珍しく 純粋なこの国の出身者
生まれも育ちもここであり、一般兵士上がりだった


ガルシア陛下に忠誠を誓い、ただただ与えられた職務を
地味に、真っ当に、誠実に熟す(こなす)ことで、信用を積み上げ
やっと半年前、名誉あるこの黒服を着ることを許された


しかし、実戦経験は一度もない


仕事は主に いわゆる諜報的なもので、
今回の様に 尾行や盗聴が主だった
それも全てが国の為だと思っている




その自分が剣を抜いてしまった





・・・どうする・・・・・・


一人では判断が付かず
部屋にいる六人に順番に視線を送る



震える男三人・・・
泣く子供・・・
ラウム・・・・
そして、シュリ様・・・・・







「・・・やめろ・・・ 手を出すな・・・」

その視線を受けて 言葉を発したのはシュリだった



引き裂かれたシャツにラウの上着を掛けられ 抱き起される皇子は
殴られたのか顔にも傷があり、切れた唇端からは血が流れている



「シュリ様!! ・・・・大丈夫でいらっしゃいますか!
 いったいこれは・・・ 何があったのです!!!」

思考の渦からようやく脱し、声を掛けた




「大丈夫だ・・・」

そう言いながらシュリはラウの腕の中から体を起こす




「お前に頼みがある・・・」


そう言われた側近の判断は早かった

今のこの、意味不明の場面を打開するには
上の者の指示を仰ぎ、その職務を全うする事のみ・・・
そしてその令を発しているのは
国王に次ぐ 権威でいえば2番目にあたる皇太子なのだ
迷う事はない



「はっ! 何なりと!!」

三人の動きに注意しながらも、シュリの方へ体を向け頭を下げる





「三人を・・・・・ 護衛して屋敷まで送り届けろ・・・・」

「えっ・・・護衛・・・  ですか?」



聞き返すのも無理はなかった

この場面では どうみても皇子に危害を加えたのはこの三人だ

なのに捕らえろではなく、守れという・・・
意味が判らないのは当然だった



それでも皇子の命令
下されたからには それは遵守しなければならない



「・・・はっ!
 ・・・・確かに承りました!!」

震える三人に戦意が無い事を確かめ、腰の鞘に剣を収める
そして外へ誘導しようとした時だった





「・・・待て」


立ち上がったのはラウだった






華燭の城 - 159に続く
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華燭の城 - 157

小屋の扉の隙間から 灯りが漏れていた

やはりここか・・・!




街から戻ると
部屋で眠っているとばかり思っていたシュリの姿が無い

城塀には常に門番が立っている
一人で城外に出る事はあり得ない


だとすれば、今のシュリが行きそうな場所は
以前 尋ねて来た自分の部屋・・・
だが今日は、自分が留守なのは知っているはずだ


次に頭に浮かんだのが
あの湖が見える墓地と、マリア像のある小屋だった

・・・あそこしかない
そう思った直感は当たっていた



しかし、そこで見た光景は想像とは全く違う物だった






小屋の奥、雑多に置かれた道具の向こうで
シャツを破られ、傷だらけの上半身を晒したシュリが倒れていた


その傷口はまた開き、床にも血が垂れている


そしてそれを ただ呆然と見つめる男達・・・・








「・・・・・・ラウ・・・・」

シュリの小さな声にラウは我に返った


「・・・・シュリ!!」

駆け寄り抱き起した

背中に回した手にヌルリと血の感覚がある




「大丈夫ですか!!・・・シュリ!!!」

そう言いながら自分の上着を脱ぎ、
無残に晒し出されたままの 冷え切った身体を包み、傷を隠す





「・・・ シュリ様に何をした!!!」

その腕にシュリを抱き寄せたまま、三人の男を振り返った




男達は、恐怖で何も答えず
小さくイヤイヤをする様に首を振って ジリジリと下がっていく

そして積まれた木箱に背が当たり、下がれなくなると


「な・・・・なにも・・・・していない・・・・・・・
 召魔・・・・・ 悪魔が・・・・・・・ そこに・・・・・
 助けて・・・・くれ・・・・・
 本当に・・・何も・・・・」
 ・・・・・・・・・・・・ 助けて・・・」

そう呟き 我、先にと扉へ向かって這いずり出ようとした





が、それはほんの数メートルで徒労に終わる


その扉に ずっとラウを監視し、後をつけていた側近の男が追いつき
現れたのだ

三人の男達は 更なる恐怖に声にならない悲鳴を上げた




目の前に立つ黒服・・・
それは間違い無く、ガルシアの側近・・・
いや、この城の高官ならば誰もが知っている恐るべき裏の集団
ガルシアの忠実な私兵・・・


その私兵がスラリと腰の剣を抜いた

男達の顔色が変わった




「・・・ひぃっ・・!!!
 ・・・こ・・・  殺さないでくれ・・・・・!!
 ・・・頼むっ!!!!」



三人は扉を塞がれ、逃げ場を失い、どうすることも出来ず
一塊になったまま口々に命乞いをし、ただその場で震えるだけだ






だが この場の意味が理解できていないのは
現れた側近も同じだった


雨の中、ラウムの後を付け小屋に来た・・・ 
本当にただそれだけだった

しかしそこには、シュリ皇子がぐったりと倒れ
その場から逃げようとしている三人の若い男と
部屋の隅で泣きじゃくる子供一人・・・



倒れているのが皇子でなければ
ただの若者同士の喧嘩・・・ それで済む

だが、ラウムに抱き起されているのは 紛れもなく次期王であるシュリ様だ





何か大変な事が起こっている・・・ のか・・・・?

そう思い、とりあえず腰の剣を抜いて威嚇し
逃げようとしていた三人をその場に留めた



・・・が、・・・・

・・・ この場をどうしろというのだ・・・・・






華燭の城 - 158 に続く
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華燭の城 - 156

自分の前に跪き、
ガタガタと震えていたヴェルメの姿が鮮明に蘇る

あの時のヴェルメは・・・・
既に こうなる自分の終焉(しゅうえん)を、予想していたのかもしれない
シュリの言葉に頷きながらも
ガルシアが自分を許すなど、そんな甘い事がある訳がない・・・と・・・・
なんと甘い皇子だと・・・・ 内心そう思っていたのかもしれない 

シュリは自分の判断の拙劣(せつれつ)さに唇を嚙んだ




「すまない・・・・」

シュリにはそう言う事しかできなかった



「すまないだと!?
 ・・・・うるさい・・・!
 今更、謝られてどうなる!!
 ・・・ もう父上は戻って来ない!!」


男はシュリに馬乗りになったまま 床へ突き倒すと
腹や胸、腰・・・ 何度も殴りつけた




「・・・グッッ・・・・!!!

 ・・・・ンァッ!! ・・・ンッ・・・・!」


だが シュリは反撃はおろか、抵抗さえしない

ただじっと黙り、人形の様に殴られ続ける
男の声も徐々に遠くなり
ロジャーの泣き叫ぶ声と雨音だけが 妙に大きく聞こえていた





・・・ふと、胸に何か温かいものの感覚がした

傷が開いたのだろう・・・ と思った
胸から流れ出したそれは脇腹を伝い背中へと流れていく



だがそれに驚いたのはシュリではなく殴っている男の方だった

道具を・・・ 刃物で切り付けている訳でもないのに
いきなりシュリの白いシャツにじんわりと血が浮き出たのだ

しかもそれは何かの形を象る(かたどる)ように・・・




「・・・血・・・?」

男は思わず自分の手を見たあと
シュリに跨ったまま、乱れたシャツを腹から捲り上げる



そこにあったのは無残な傷の数々

「・・・・・!
 ・・・・なん・・・ 何だ・・・・これ・・・」



斬られた様なもの、灼かれた様なもの、そして無数の鞭疵・・・
それらがシュリの透き通る様な腹にも腰にも・・・ 
捲ったシャツから見える限りの肌に、それは無数にあった
その時、初めて男はシュリの右手に巻かれた包帯にも目を遣った

それは神の子として 皆から崇められ 
いつも美しい笑みを浮かべるシュリとは 余りにも程遠い
想像し難い程、痛々しい姿だった





「何なんだ・・・ この傷・・・
 何で・・・・ こんなに・・・」

驚いた男がシュリのシャツを乱暴に引き裂いた



「やめっ・・・・・!」

咄嗟に体を捩り、
左手で傷を隠したシュリだったが、もう手遅れだった






現れたのは あの悪魔の紋・・・







「・・ヒッ・・・・ ヒィィィィィーーーーーーー!!」



途端に男はシュリの身体から飛び退った



「あ・・・ああああ・・・・・悪魔だ!!
 ・・・・・・悪魔の・・・ 召紋だ!!!」




薄いランプに照らされたシュリの白い身体に
はっきりと浮かび上がる血で描かれた召魔滅神の印・・・・

体中に多く残る傷痕は まるでその悪魔を倒そうとした悪魔狩りの
拷問の跡の様にも見える

ハァハァと肩で息をするシュリの呼吸に合わせ
それはまさに 今、目覚めたかの様に ゆっくりと血を吐いていた



それ以上は声にもならなかった
なにか口をパクパクとさせ
腰を抜かしたのか 床に座り込んだまま
男は必死にその場から逃げようと尻で後退る



他の二人も、そしてロジャーも
シュリの傷に驚き、震え、ただじっとそれを見つめ動けなくなっていた





恐怖という冷たい空気が張り詰める









「誰かいるのか!!!!」

その止まった時間を 再び動かしたのは ラウの声だった






華燭の城 - 157に続く
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華燭の城 - 155

「お・・・ おい・・・・ あまり やり過ぎるなよ・・・
 シュリ様だぞ・・・ 死んだらどうする・・・」


無抵抗で殴られ続け、ハァハァと肩で息をし始めたシュリを見兼ね、
男の後ろに居た仲間の一人が声を掛けた



「・・・そうだ・・・・ もうそれぐらいにしておけ・・・!」

もう一人の男も、赤毛の男を止めようと
振り上げた腕に取り付き、背後から羽交い絞めにする



「うるさいっっ!!
 こんなヤツ、死んだって構うものか!
 いいや! 殺してやるんだ!
 父上は殺されたんだぞ!!
 仇を取ってやる!!!
 ・・・・・・ 離せっ!!」

仲間の腕を振り解きながら男は叫んだ



「殺・・・ された・・・・?
 ヴェルメが・・・?
 ・・・死んだのか?
 それは・・・  どういうことだ・・・」

そのシュリの声に男は益々激高した



「何を白々しい!!
 これからも忠誠を誓えだとか・・・・
 取り澄ました顔で平然と言い放ったくせに・・・・!
 本当はもう・・・
 あの時はもう、父上を粛清するつもりだったんだろう!!
 この偽君子が!!!
 皆の前ではいい顔をして、父上を油断させて・・・!!」


「・・・・!
 待てっ・・・!」

言いかけた顔面にまた男の拳が飛ぶ


ンッ・・・!


自分より体重の重い男が 跨り暴れているのだ

馬乗りで押さえ付けられたままの体が捩れ
殴られた痛みより、その体の傷の痛みの方が限界に達し
意識がかすれそうになる





「・・・・待・・ てっ ・・・・私は・・・ 何も・・・・・」


「お、おい! 殺すって・・・!
 そんな約束じゃ・・・・ 
 少し脅して、話を聞くだけって言ったじゃないか!」

「・・・・ 相手は皇子だぞ・・・
 さすがにこれ以上はヤバイんじゃ・・・・」


男の声に慌て、仲間の2人は互いに顔を見合わせた
そして、ほぼ同時に2人共が飛び掛かり 
シュリに馬乗りになる男を、後ろから引き剥がそうとする



「もう、それぐらいにしとけ!」

「やめろって!!」

「くそっ!
 離せっっ!!!」


だが男は仲間の手から逃れようと 
大きく腕を振り回し、シュリの上で暴れ回った

その抵抗の甲斐あってか、二人掛かりで引き摺られたにも関わらず
男の体は、わずかにシュリの腹の上から腿へと
移動したに過ぎなかった

手の届かなくなった顔を諦め、男はシュリの胸元を掴み上げる




引き起こしたシュリの顔を間近に見ながら
男はその脇腹にドスンと拳をめりこませた


「ンッっ・・!!」

口の中に溜まっていた血が衝撃で溢れ出る

激痛で一瞬、意識が遠のく
それでもシュリは必死に目を開け男を見た






「・・・・ 何が・・・あった・・・・
 ヴェルメが・・・・・・・ 死んだというのは・・・・・」


「くそっ!まだ言うか!!
 ああ!父上は死んだよ!!
 あの受書の日の次の夜!
 屋敷に入った強盗に撃ち殺された!
 ・・・・だがな! 何一つ盗られていない!!
 金も、宝石も、全部ある!
 何が強盗だ!!  
 初めから父上の命だけを狙って来たくせに!
 それなのに・・・・!
 警察も官吏も・・・・さっさと嘘の報告で片付けやがって!!
 そんな事が出来るのは ガルシアとお前だけだ!
 ガルシアと2人で、コソコソと裏で手を回したんだろう!!
 全部 判ってるんだぞ!!!」


「そんな・・・・・・・・」


シュリは何も反論できなかった



酷薄な笑みを浮かべ、
足元のヴェルメを見下ろしていた冷たい視線のガルシアの顔を思い出す


自分に敵意を・・・
いや、あれは明らかな殺意・・・・・ を向けた男は殺す・・・
あのガルシアなら・・・・ やり兼ねない・・・・

・・・ 違う・・・・
そもそも ガルシアがヴェルメを許すなど、最初からあり得なかったのだ


そしてこの男が
自分とガルシアが手を組んで命令を下したと、そう思うのは仕方のない事だ

あの日、自分はガルシアに従順な、最愛の息子を演じたのだから・・・
憎いガルシアを 「父上」 と呼んでまで・・・






華燭の城 - 156に続く
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華燭の城 - 154

一気に冷たい空気と強風が小屋になだれ込み
思わず傍らのロジャーを抱き寄せる


そこには手提げランプを持った3人の男が立っていた


薄暗くなった小屋で、顔も良く見えはしないが
先頭に立っている男の背格好は、明らかにラウではない



「誰だ・・・・」

粗暴な客にそう問い掛け、目を凝らす




赤毛・・・・
シュリには見覚えがあった

それは 先の受書で自分が窘めた(たしなめた)あの官吏、
ヴェルメの息子だ


決して明るくはないランプの灯に映し出されたその顔は雨で濡れ、
赤い髪を乱し、さながら東洋に出ると言われている伝説の魔物・・・
鬼そのものだった


その音と容姿に驚き
眠っていたロジャーも目を覚まし、シュリの腕にぎゅっとしがみついている
一言も声を上げなかったのは恐怖からだろう






その赤毛の、鬼の様な形相の男は
薄暗い部屋で シュリの顔を確認するようにランプを持ち上げる


「・・・シュリ・・・だな」

甲高いはずの声が低く聞こえる


「そうだ・・・」

その声に身の危険を感じた
味方では・・・ 無い


シュリは無意識にロジャーを隠す様に背に回す

こんな場所にいきなり現れたのだ
ずっと自分を探していたか、もしくは後をつけていた・・・・

どちらにしても、
その全身から 隠す事もせず垂れ流している敵意は尋常ではない





男はシュリの前まで来ると、いきなりその胸ぐらをグイと掴み上げた


「んっ・・・!」

この男とはまだ2度しか会った事はない
一度は挨拶の途中でガルシアに止められ
一度は見かけた・・・ というレベル
その男が自分の後を付けて来た理由、
そして、こうして自分を掴み上げる理由・・・

その意を推し測る様に
シュリは無言でグッと相手を睨み返すだけだった



「な、何するんだよ!!
 シュリ様だぞ!! 無礼だぞ!!! 手を離せ!!」

その代わりにロジャーが、シュリの背に隠れながらも大声で叫んだ





「うるさいっ!!!!」

騒ぐロジャーの声に 男の方も抑えていた感情が爆発する


「わかっている!!
 この国の皇太子、偉大な次期王、シュリだろ!!!!
 わかっている!!!!!
 そして僕の仇だ!!!」




ドンッ!と掴んでいた胸ぐらを離しシュリを床に突き倒すと
男は仰向けに倒れたシュリの体の上に馬乗りになった


「この人殺しがっ!!」

叫ぶと同時に シュリの顔を殴りつけた


「・・・ン”ッ!」




口の中に血の味が充満する
鈍い音が何度も続く




「やっ!!! ・・・ やめろっ!! やめてーーー!」


必死に叫ぶロジャーの悲鳴に近い声を聴きながら
シュリは殴られながらも 状況を冷静に判断しようとしていた


身長はシュリの方が高いが、体重で言えば相手の方がかなり重い
その相手を 跳ね除け反撃するか・・・

胸の傷は・・・・
男に馬乗りにされた時点で激しく痛んでいる
このまま大人しく殴られ続けても同じ事だろう・・・


相手は、この男と後ろにあと二人・・・


小屋の内部にも視線を走らせた
壁に立てかけられた木材や農具・・・
あれならば充分に剣の代用になる

立ち上がれさえすれば、負けはしない



だが、こちらにはロジャーがいる・・・・
もしロジャーに危険が及んだら・・・



それにこの男は自分の事を人殺しだと・・仇だと言った

・・・仇・・・・

シュリはその意味が分からずにいた






華燭の城 - 155 に続く
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華燭の城 - 153

「あ・・・・雪・・・・・?」

ロジャーが子供に戻ったのはその一言からだった


「シュリ様!!雪だよ!!!!」

ひらひらと落ちてくる雪を掌にすくおうと、ロジャーが空を見上げる





「これが・・・ 雪・・・」

温かく穏やかな気候の神国に雪が降る事はない
国外へも公務で何度も出たが、
シュリが雪を見たのは これが初めてだった

その小さな白い物は ロジャーと一緒に空を見上げたシュリの頬の上で
ツ。と極小の粒になる

重く暗いダークグレーの空間からゆっくりと落ちてくる真っ白な雪
シュリはただじっとその不思議な光景を見上げていた



ロジャーは仔犬の様にひとしきり雪の中をクルクルと走り回ると

「シュリ様ー もうお城へ戻りましょう? 
 雪が降るとすぐに天気が荒れるんだ
 暗くなるし、めちゃくちゃ寒くなりますよ?」

そう言って シュリの濡れた髪の水滴を払い、
頬の雫をそっと指で拭い微笑んだ




「・・・そうだな・・・
 ロジャーに風邪を引かせると、ラウに怒られる」

「うん!
 ラウはねーーーこうやって怒るんだよー
 親方はこうでしょー・・・」

ロジャーは得意顔で、もの真似をしながら屈託なく笑い
立ち上がったシュリの手を引き歩きだした




だがすでに遅かった


墓地を出る前には 美しい雪だった物はすぐに雨に変わった
嵐の様な激しい風雨が 丘の上に立つ二人に叩きつける





「ロジャー、あそこへ!」

シュリはロジャーの手を握り あの物置小屋へと向かった
鍵の場所も知っている

あそこなら暫くは雨宿りも出来るはずだ




ラウがしていた様に扉横のイスの下から鍵を取り出し
その扉を開ける

中に入るとシュリは 道具を端に寄せ腰を下ろせる場所を作った
そこにロジャーを座らせ、暖を獲れる物を探す

だが、物置き小屋には勿論、暖炉などなく
入り口横の壁に掛けられていた小さなランプに
火を灯すのが精一杯だった




「ロジャー、大丈夫か? 寒くないか?」

冷たい床に並んで座り、ロジャーの肩を抱き寄せる


「うん・・・大丈夫
 シュリ様の上着、めちゃくちゃあったかいし、中までは濡れてない
 ・・・それより、シュリ様が・・・ 大丈夫?」


シャツ1枚だけのシュリは全身ずぶ濡れになっていた

「ああ、大丈夫だ」

軽く左手で髪の水滴を払う




幸いロジャーも、顔や頭は濡れているが 体は大丈夫だと言う

雨が止むまでここに居ればいい

もし降り続いたとしても、自分が居ない事はすぐに判るだろう
何よりガルシアが 居なくなった自分を放っておく訳がない
側近を総動員させてでも 探すはずだ




ロジャーの肩を抱き
体の左側に温かな体温を感じながらシュリは目を閉じた
体がわずかに震えるのはやはり雨に打たれたからか・・・

ロジャーも急な事に疲れたのか
今はシュリの方へ頭を預け、じっとしている


小屋の屋根に ザーザーと雨が叩きつける音だけが聞こえ
その単調な音に 頭の中がぼんやりと霞む
自分も疲れているのだろうとは思う
胸の傷が小さく痛み、そっと右手で胸を押さえた









窓の外で陽が落ち暗くなっても、雨はまだ止む気配を見せなかった
相変わらず 激しい雨音だけが聞こえる


・・・・はずだった



だがそこには違う音が混じっていた

シュリは その、石の上を踏み歩く数人の足音に気付き
閉じていた目を開けた



誰かが探しに来たのか・・・
だがそれには少し早すぎると思った

こんな城裏の小屋、知っている者も多くないはずだ
だとすれば、ここを知っているラウかもしれない

夕方には戻ると言っていたのだから、
部屋に居ない自分を探しに、ここへ来るのはあり得ることだ


ラウ・・・

そう思って重い体を引き起こそうとした時、
バンッ!と乱暴に小屋のドアが開け放たれた






華燭の城 - 154 に続く
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華燭の城 - 152

上着を脱ぎ、隠す物を失った右手
包帯の巻かれたシュリの痛々しい右手が見えていた


咄嗟に腕を引き、背中の後ろに回す

だがロジャーは、心配そうに、ただ真っ直ぐにずっとシュリを見つめ
目を離そうとはしない




「・・・・ロジャー・・・
 ・・・もし・・・・・
  もし・・・ 私が悪魔に堕ちていたら・・・ どうする?」


その純粋な瞳の重圧に耐え切れなくなり俯いたシュリの口から
そんな言葉がこぼれていた





「えっ・・・・?」

驚き、一瞬怯えた表情を見せたロジャーの肩がピクンと震えた


シュリは、そのまま肩に置いた手を振り解かれ、
ロジャーが走り去ってしまう事さえ覚悟した

それでも仕方がないと思った
いや、出来る事なら そうして欲しいとさえ願っていた


だが、意に反しロジャーの手は ぎゅっと強くシュリの左手に重なり
握り締めたのだった




「・・・ロ・・・ジャー・・・?」

「シュリ様ー??
 何かイケナイ事したでしょー?
 で、ラウに怒られた?」

シュリの顔を覗き込む様にして、ロジャーはふふふ。と微笑む





「ラウって普段は優しいけど、たまーに怖い顔するんだよねー・・・
 つまみ食いしたら、なんかいつもバレてるしー・・・
 なんで判るんだろー・・・
 ・・・・でも大丈夫!
 どんなに悪い事しても、それを反省しー
 えっと、何だっけ・・・ 神父様がお話してくれたんだけどなぁ・・・・」


「・・・・神父様・・・?」


「うん、あのねー・・・
 お城に来る前ー・・・ 父さんと母さんが事故で死んだ後だけど
 僕、食べる物が無くて・・・
 いけないって思ったけど、市場でパンを盗んだんだ」



小さき者の その急な告白に
シュリは驚いた様に顔を上げたが、何も言葉を返す事はできなかった




「だけど、見つかってー
 追いかけられて、いっぱい走って逃げて
 何度も転んでー・・・・ それでやっと教会に逃げ込んだの
 それで、椅子の陰に隠れてそのパンを食べてたら
 神父様に見つかって・・・・・ 
 怒られる!って思ったんだけどね
 神父様はにっこり笑って、美味しいか? って聞かれたんだ」


「うん・・・・」


「・・・美味しくなかった
 転んだから潰れてたし砂もついてたし・・・
 パンの味なんて全然しないのに、なんかめちゃくちゃしょっぱくて・・・

 ・・・そう言ったらね・・・
 神父様が、そう思えるなら大丈夫だって
 それが悪い事だって判ってるなら大丈夫って抱き締めてくれた・・・
 それからね、いっぱいお話を聞いたんだ ・・・いっぱいね!
 全部は覚えてないけど・・・」


「うん・・・・・」



見詰めるシュリの目を真っ直ぐに見て
ロジャーは話し続けた



「それでね、僕、神父様に聞いたんだ
 僕は人のパンを盗る様な悪い事をしちゃったから
 もう 神様は僕の事 嫌いになった?って・・・
 こんな悪い僕は、死んだらきっと地獄に行くから、
 天国に居る父さんや母さんにも、もう会えないの?って・・・
 だけど・・・・・ んー・・・
 難しい話はよくわからないけどー」



ロジャーは少し首を傾げ、頭の中の記憶を必死に思い出し
言葉を整理し紡ごうとする



「とりあえずね・・・・・・!
 生きてる人間は、間違いをいっぱいするんだけどー
 神様はそれ ぜーーーんぶ!に、赦しを与えてくださるの!
 それが神様なんだよ!」


「・・・・・・・・」


「だから、悪い事したからって、
 悪魔になっちゃう訳じゃなくてー・・・
 自分から悪魔になりたい!って思わなかったら大丈夫なんだよ?
 
 悪魔を信仰するのには、めちゃくちゃ悪い心が要るんだって!
 パンを盗んでも平気だったり、
 人を殺したり・・・・ 
 ううん・・・・ それだけじゃ まだまだ足りないぐらいの
 想像も出来ないぐらい すっごい!すっごい!!・・・
 すっっっごぉぉーーーい!!酷い事をしたい!って思う人だけが
 悪魔になるんだって!
 神様なんて大嫌いーーーって言っちゃうぐらいの凄い事!
 
 だから、ちょっとぐらいラウに怒られても大丈夫!
 シュリ様は悪魔になりたいの?
 悪魔になりたいなんて、シュリ様は思ってないでしょ?」
 




心臓が震えた
唇も震え、声さえまともに出ない


「・・・思って・・・・ない・・・」



やっとの思いで 今にも溢れそうになる涙を堪え、
シュリは俯き、そう答えるのが精一杯だった




「うん!・・・じゃあ大丈夫!」

そう言って、ロジャーは目の前で片膝を付くシュリの身体を、
頭を包み込む様にしてぎゅっと両腕で抱き締めた

そして小さく 
”今ーなんじの罪は消えー なんじは赦された・・・・
 そしてまたここに、新しく神の子がうまれ、、、たまー・・・たもうたー”
 と神父の口真似をしてみせた




「・・・ふふ。 神父様の真似!
 最後がよくわからないけどー・・・ これであってる?
 こうやって、ぎゅってされたら あったかくて安心するでしょ?
 僕もこうやって してもらったからわかるんだ
 ・・・・あ!最後はこうだよ!

 ・・・・・ ”この清き子に再び神の祝福をーーー”」



そう言うとシュリを抱き締めたまま
何度も よしよし・・・・ と呟きながらそっと頭を撫でた




「・・・ありがとう・・・ ロジャー・・・」

シュリもロジャーを抱き締めていた


「もう、シュリ様ー、子供みたい」

そう言ってロジャーは笑いながら 心なしか胸を張り、
父親の気分にでもなった様に、いつまでもシュリの頭を撫で続けていた






華燭の城 - 153 に続く
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華燭の城 - 151

「・・・あ、そうだ!シュリ様!!
 ・・・この前、すごかったって、親方達が話してた!!
 めちゃくちゃお強くて、めちゃくちゃお綺麗で
 もう本当の神様が降りて来たみたいだって!!
 僕も見たかったなーーー!!」

キラキラと輝く眼差しが 一途にシュリを見る



「そう・・・  ・・・か・・・ 
 ・・・ロジャー・・・・?  体・・・・ 何ともないか・・・?」

「ん? 何がですか??」

「・・・・・・いや・・・何でもない・・・・」



当たり前のことだ
自分に触れたからと言って ロジャーがすぐに悪魔に取り憑かれ
その場で変容するなど、おとぎ話でもない限り有るはずがない
そんな事は判っているのだ

判っていながら、まだそう聞かずには居られなかった自分自身に
シュリはふと自嘲をこぼした


「大丈夫なら・・・ いいんだ・・・・」

そう言いながらシュリは、
そっと左手でロジャーの体を自分から引き離した



「ふふ。変なシュリ様~」

ひとしきり抱き付いて満足がいったのか、ロジャーも素直にその腕を緩めると
キョロキョロと周囲を見渡した



「あれ? 今日、ラウは? 
 一人でこんな所へ どうしたんですか?」

ニコニコと見上げるロジャーはいつもの屈託のない笑顔を見せる




「ラウは・・・・ 今日は街へ行ったよ
 私は裏の墓地まで・・・ 散歩かな・・・」


「えっ、墓地?
 お城にそんなのがあるんですか!?
 全然知らなかった!
 ・・・じゃあ・・・ 僕も一緒に行っていいですか???
 死んだ母さんが、亡くなった人は敬いなさいって!
 だから じいちゃんのお墓とか よく行ったんですよ!」


「・・・・そうか・・・・  ・・・でも・・・」

全てを言い終わらないうちにロジャーは
「やったー!仕事終わりっー!」 と喜び
シュリの左手をぎゅっと握り締めた








午後の薄い日を浴びながら大小2つのシルエットが
手を繋ぎ歩いていた

その間もロジャーは話し通しだった
学校でのこと、城での暮らし、亡くなった両親の事・・・・



「・・・・でね、父さんと母さんと
 毎週教会へ行ってお祈りしたんだよ
 神父様のお話は、ちょっと難しかったけど
 それでも良いんだよって、大きくなったら判るからって」


「・・・そうか、良いご両親だったんだな」


「うん! で、母さんにシュリ様の話も聞いた事があったんだ!
 神様の生まれ変わりー? で・・・と・・・
 なんか・・・ 世界中の人を救ってくださる凄い方だって!
 そのシュリ様と僕が 今、一緒に居るって言ったら
 天国の母さん、驚くだろうなぁー!」



微笑むロジャーの握る手が一層強くなる
だがシュリは その手を放してしまいたい衝動に駆られていた



世界を救う・・・
神の生まれ変わり・・・・

違う・・・ 今の自分は・・・・・








墓地の入り口、あの鉄柵のある門へ着くとロジャーが驚きに声を上げた


「わぁー!すごい!! こんな場所があるなんて!
 シュリ様 見て!! あそこ! 湖が見える!!!」


ロジャーはシュリの手を離し、鉄柵に取り付いて
城の裏に わずかにその姿をを覗かせる湖を見ようと
爪先立ち、必死に背伸びをする



「ロジャー、おいで
 ここから中に入れるよ」

シュリが門を開けてやると ロジャーは目を輝かせた

そのまま城の裏手まで一気に走り込み
その壮大な湖の全貌が見える開けた墓地に出ると
ロジャーの興奮は最高潮に達した



「すごい! すごい! すごーーーーい!!
 シュリ様! 僕、こんな綺麗な場所初めて見た!」

振り返り満面の笑みで両手を広げる



「そうか、よかった」

「でもシュリ様ー ここって墓地?」



ロジャーが振り返った目線の先、
ただ無造作に置かれただけの石を見て首を傾げる



「父さんや母さんや・・・・ じいちゃんのいる墓地はもっと古いけど
 ここより綺麗だよ?
 花とか、いつもいっぱいだし」

「そうだな・・・・
 でもこの城に花はダメな決まりなんだろう?」

「ああ、そうか・・・・
 じゃあ仕方ないね」


ロジャーは少し寂しそうな表情を浮かべたが
すぐに 目の前の石・・・・ 墓石の前に跪いた

小さな両手を胸の前に組み、目を閉じて一心に祈りを捧げる



その後ろ姿を、シュリはじっと見つめていた

こんな小さな子までが 神に祈るというのに・・・・
自分が祈ることを ここの死者達は赦してくれるだろうか・・・

それ以前に、自分の様な者が
この神聖な場に踏み入ってよかったのか・・・


シュリは 立ち尽くしたまま、祈る事も出来ず、
ただ ロジャーを見ていることしかできなかった


そんなシュリの心を映した様に、空は徐々に黒さを増してく






「寒っ・・・・」

湖からの丘を駆け上った冷たい風が 遮蔽物(しゃへいぶつ)無しに
直接体に当たり、ロジャーが思わず声を上げた

その声にシュリの意識も現実へと引き戻される




「ロジャー・・・ 大丈夫か?」

シュリがロジャーの前に片膝を付き
自分の羽織っていた上着を脱いでその小さな肩に掛けてやると

「うんー、ちょっと寒いけど・・・」

そう言いかけていたロジャーが慌ててシュリを見た


「あ・・・ ありがとうございます!
 でもー・・・・ シュリ様はへーき? 寒くない?」

真っ直ぐな瞳が 申し訳なさそうに自分を見つめていた



「ああ、私は大丈夫だ・・・・」

「よかった!」

シュリの、まだ温もりの残る上着にすっぽりと身を包み 
自分の肩に置かれたシュリの手に、
嬉しそうに頬擦りするような仕草を見せるロジャーが
ふと、シュリの右手に目を止めた


「・・・ね・・・ シュリ様・・・・手どうしたの?
 怪我してる・・・」






華燭の城 - 152 に続く
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華燭の城 - 150

執務棟の重い扉を開けると、冷い風が勢いよく吹き込んでくる

その冷たさで無意識に力の入った筋肉が収縮し 傷がドクンと痛み
眩暈と頭痛を引き起こす


それでも シュリは歩き続けた




向かっていたのは城裏の墓地・・・

ラウが教えてくれたあの小屋の、マリア像に祈りたかった
滅神の印を刻まれた事を ただただ懺悔し、赦しを乞いたかった・・・
まだそれが赦されるのなら・・・

そして以前の様な気持ちで、またラウに触れる事が出来たなら・・・・




前回、この石畳を通った時はラウと一緒だった
ピクニックに行きましょうと、隣でラウが微笑んでいた
両手にランチを詰めた袋を抱え、一緒に・・・・


ラウ・・・・・


頬にツ。。と涙が伝う
それを留める様にシュリは足を止め、暗い空を見上げた





暫くしてシュリはふと我に返った
遠くで馬の声が聞こえていることに気が付いたのだ

自然とその方へ足が向き
厩舎の前に立った時、一際大きな低い嘶き(いななき)を聞いた


レヴォルト・・・・




厩舎の一番奥にその黒馬は居た
シュリが来るのが判っていたかの様に、じっとこちらを見つめている


「レヴォルト、元気だったか・・?」

その黒い瞳に引き寄せられる様に側に寄り、指先でそっと首筋に触れた
レヴォルトはそれに応える様に、静かにシュリを見ていたが
左右の耳はクルクルと動き続ける


「・・・・ 私の事を心配してくれているのか・・・・」

そう呟くとシュリは その場に崩れる様に膝を付いた



酷く疲れていた
この馬で森に行き、花や湖を見たのは・・・ あれは夢だったのかとさえ思う

あの日、レヴォルトが城へ戻る事を拒んだのは
こうなる事が判っていたのだろうか・・・・



お前と ここを出て行けたらどんなに・・・・・

俯き座り込んだシュリに寄り添う様に黒馬は脚を折り
ゆっくりと体を横たえる
鼻面を摺り寄せ、自分の背へ乗れとでも言う様に
一度だけ後ろへ首を振った 



「・・・・・
 ・・・・ ありがとう・・・・
 ・・・ でも・・・・・・ ダメなんだ・・・・・・・」

大きな馬体に、もたれ掛かる様にして
シュリはその体を抱き締めた








 
「・・・リ様?!  ・・・・・シュリ様ー!」

その体温と鼓動を感じながら目を閉じていたシュリは、
厩舎の入り口で自分を呼ぶ声に目を開けた

振り返るとロジャーがシュリを見つけ、
大きなバケツを下げたまま、手を振り走って来ていた



咄嗟に立ち上がったシュリの中に ”来るな・・・” と思いが走る


・・・ロジャー・・・・やめろ・・・

満面の笑みで走ってくるその子は、あまりにも純粋無垢で美しい

来るな・・・
来ないでくれ・・・・
私に触れるな・・・・


だがそんな思いは届くはずがない


ロジャーは走ってきた勢いそのままに
シュリの真正面からガバッ・・・ と抱き付いたのだ



「・・・・・!!」

「シュリ様っ!! また会えた!!」



ぎゅっと抱き締める非力な子供の温かさが、シュリの身体に伝わっていく
それはシュリの記憶の中の、もう遠い遠い昔・・・・
神国での幸せな日々に、
弟のジーナが抱き付いてきた時と同じ温もりを持っていた


両腕で抱き締め返してやりたい衝動と、自分への嫌悪で
シュリの左手は宙に浮いたまま、何も出来ずにいた



そしてやっと
「・・・ロ・・ジャー  ・・・・ 今日は・・・ ここの仕事か?」
それだけを発した


「うん!・・・・じゃない・・・・ はいっ!
 今日は馬小屋の掃除!!」

満面の笑みがシュリを見上げていた






華燭の城 - 151 に続く
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華燭の城 - 149

「で、どんな具合だ?」

自分の公務用執務室に ヴィルが入って来たのを気配で感じると
ナギは読みふけっていた資料から顔も上げずに尋ねた


「色々とオモシロイのが出て来たぞ・・・」

ヴィルは手に持っていた分厚い報告書をナギの前に差し出した

ナギは黙って顔を上げ、ニヤリと笑うヴィルを見て
読みかけの資料を机の端に置き、差し出された報告書を手に取る





「ほら、こいつだ・・・・ この前、俺が言ってたヤツ・・・」

印のあるページを指差し、そこにあった写真を指でトントンと叩きながら
「ここ、読んでみろ・・・」 プロフィールを示す

それを見た途端にナギの表情が変わった





「へぇぇ・・・・・・・
 これが本当なら、親父の手も借りないといけないかもなぁ・・・・」

呑気な口調とは裏腹に、その声は珍しく低く鋭かった


 
「まぁ、相手が相手だから、そうだろうな」

「借りられたら、どうにかなりそうか?」

「ああ、腕力なら任せとけ」




会話を進めながらもナギは報告書を次々と捲っていく

途中で何度か驚きの声を発しながら、最後まで一気に読み終えると
ナギは椅子から立ち上がった


「早速、親父の所へ行ってくる
 ここに書いてある事が事実なら、急いだ方が良さそうだ・・・・
 ヴィル、許可が出たらどれぐらいでいける?」

「ああ、どうせ取っ捕まえるんだろ?
 捕縛だけなら10分もあればいい
 居場所なら、もう見張りも付けているし 閣下のOKさえ貰えればいつでも」


その応えにナギは思わず吹き出しそうになった

「10分って・・・・!あのなぁー!
 確かに捕まえればいいんだけどさぁ・・・
 相変わらず、お前ってヤツは血の気の多いというか・・・」


呆れた顔をしながらも、今はその血の気の多さと、
帰国してから数週間足らずでここまで調べ上げ
見張りまで付けていた仕事の速さに ナギは感謝するばかりだった




そらから1時間もしないうちに、ナギは父親である帝国皇帝の許しを取り付け
ヴィルが指揮を執る自分の近衛一個小隊と共に再び国を出発した











午後近く、シュリは一人ベッドを降りた

ラウの縫合した脚の傷は、まだ痛みはあるものの
歩いた程度で口を開くことはない
ベッド横の上着を羽織り、部屋を出る


廊下ですれ違う官吏達はシュリを見つけると
いつもと同じ様に・・・ いや・・・ それ以上に喜び、微笑み、
道を開け 深々と首を垂れた

あの受書式の日に シュリが見せた神々しいばかりの美さと
凛とした強さは 今も記憶に新しい



実際に あの場に居らず、噂だけであの顛末を聞いた者は
現実の上に更に想像という産物まで加え
シュリの存在は 国内外問わず神そのものとなっているのだ

そのシュリが目の前を・・・手の届く所を歩いている
この広い城内で出会えた偶然に喜ばぬはずがない



そんな多くの官吏、使用人の尊崇の念を
シュリは痛い程感じ取っていた
だがそれを感じれば感じる程、シュリの心は痛んだ






自分の胸にある召魔・・・・


今握手を求められ、手を差し出されても
シュリは 人に触れることさえ、躊躇しただろう



こんな疵(キズ)を持つ自分が触れてしまったら・・・・
穢れた自分が、純粋な人々までを汚すのではないか・・・
ガルシアに言われるまでもなく、シュリは本気でそう思っていた

ナギとの別れの日
挨拶を拒否したのは 右手を見られたくなかった以上に
その思いが大きかったからだった




出来る事ならば、ラウが触れる事さえも拒否したかった
あの美しく優しいラウを、自分の穢れた血で汚すなど
考えただけで恐ろしく悲しかった・・・


だがそんな事はラウが許さない
ガルシアも許さない


あの夜以来、ガルシアは
シュリを見世物の様にして、目の前でラウに犯させる事を
何度となく楽しんでいる





そしてそれ以上に・・・
ラウへの想いを断ち切れない自分の気持ちが・・・・
ラウを拒否するなど出来るはずがなかった

こんなにも愛しいのに・・・・

触れるな・・・ など言えるはずがない・・・・

今でも苦しくて、すぐにでもラウに強く抱き締めて欲しいと思ってしまう
そんな自分が許せなかった



シュリはずっと、この葛藤の中で何も言えずにいたのだった

口を開けばラウを求めてしまう
ガルシアの命令ではなく、自分自身の心が・・・




でもそれは・・・ してはいけない
でも・・・  でも・・・・   でも・・・・・・・・

それはどこまで行っても出口の見えない迷路の様だった






華燭の城 - 150 に続く
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華燭の城 - 148

ナギが帰った翌日・・・ あの凌辱の日から
ガルシアとシュリの公務は益々忙しさを増した

受書式でのシュリの美しさが諸国に知れ渡るにつれ
その反響は想像以上に大きく、
謁見待ちの各国の首脳陣達が続々と列を成したのだ



だがまだ右手が使えないシュリは あまり表には出ず、
いつもガルシアの一歩後ろで、静かに控えていた

その姿からガルシアは、
まさしく 神の子を心服させた王
神の父となった王、として その名声は上がって行く一方だった




そしてシュリは、あの日以来ほとんど食事を摂らなくなっていた

謁見や宴での立ち振る舞いは、今まで通り品格に満ち美しかったが
その微笑みは、凛とした中にも儚さ(はかなさ)を併せ持ち、
見る者の心を奪い、シュリはまさしく神の化身として
神格化されていった












「おはようございます、シュリ」


ラウがシュリの部屋に食事を持って行くと
シュリはベッドの上に座ったまま、じっと一点を・・・・
自分の右手を見つめていた

声を掛けても、シュリは全く動こうとはせず
挨拶も返ってこない



ここ数日、シュリはずっとこの状態だった

心が剥離した人形の様に食事も満足に摂らず
公務以外の時間は、ただこうしてベッドに座っているのだ




ラウは黙って近付き、シュリのベッドの横に跪くと
そっとその右手に触れた


「まだ熱を持っていますね・・・
 あとで包帯を変える時に、何か冷やすものを・・・・」

「ラウ・・・」

シュリがぽつりと呟いた



「・・・何ですか?」

尋ねてはみても
シュリの口からは、それ以上 何も聞こえてはこない





「・・・シュリ・・・ 
 朝食が出来ています
 何かお召し上がりにならなければ・・・・
 出血は止まっても まだ血は足らないのですから・・・
 お食事が無理なら、飲み物だけでも・・・・」

その声にシュリはゆっくりと首を振る
このやり取りも もう何度目かわからない程だった


ラウは小さく息を吐き
シュリを見つめることしかできなかった






風が出てきたのか、窓のガラスが小さくカタカタと鳴る


「ラウ・・・ あの薬を・・・ くれないか・・・・」

その音に顔を上げたシュリが 小さく呟いた



「またその様な事を・・・・ シュリ・・・・
 あれはもうダメです、言ったでしょう・・・?
 今、新しい物を調合していますから、それが出来るまではこちらを・・・」

ラウがベッド横の箱に手を伸ばす


「前の物ほど、痛みは取れないと思いますが・・・・」

そう言って小さな包みを差し出すラウに、シュリは静かに首を振った




「シュリ・・・・」

それでもその薬を、シュリの左手の中に包み込む様にして握らせる

自分の手を包むラウの温かな体温・・・

シュリは何かを言いかける様にラウを見たが、またその言葉を吞み込んだ



そんなもどかしさの中でラウの手に力が入る

子供を諭し(さとし)、言い聞かせる親の様に 
ラウは視線を合わせ、じっとシュリを見つめた



「シュリ、今日 私は少し街へ行って来ますね
 神国の医師団が戻ってくる日なので、その報告を聞きに行ってきます
 食事、少しでも摂ってください・・・
 シュリが弱ってしまっては、折角 ジーナ様がお元気になっても悲しまれます」
 

”ジーナ” の名に、シュリは一瞬我に返った様な表情を見せる


「よろしいですね?
 食事は昼の分も置いておきます
 夕方には戻りますから、少しでも召し上がってください」


そう言うと、ラウはシュリの手と、胸の傷の手当てを済ませ部屋を出た






長い廊下の少し先に、黒服の男が立っている
自分を監視する男・・・


あれからもずっと ラウに対する監視は続いている
日替わりで人が代わる事から
側近を交代番にしてまで見張るつもりらしい

相手も もう慣れたものだ
隠れる訳でもなく、堂々と廊下に立つその姿にラウの眉間にシワが寄る




「・・・・まだ私を見張っているのか?」

すれ違い様にラウが冷たく尋ねても、
ガルシアの側近は職務に忠実なのか、何も答えはしない

チラリと視線で見返すのみだ



「今日は一人で街へ出るだけだ
 陛下にも許可は頂いている
 付いて来るなら勝手にすればいいが、
 そんな暇があったらシュリ様の護衛をしろ・・・・」

苛立ちの中で 吐き捨てる様にそう言い、
背を向けて歩き出したラウの数メートル後ろを男が無言で追った






華燭の城 - 149 に続く
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華燭の城 - 147

「・・・・・・・・!!!」


それは本当に一瞬の出来事だった
驚きに瞳を開き、目の前のガルシアを認識した途端
身体の感覚が一気に痛みだけの現実へと引き戻される




「ングッ・・・・ンッ!! ・・・・・・ンッ・・・・・ンッ・・・・!」


ただただ、嫌悪感で頭を振り抵抗する
だが、ガルシアの手はシュリを押さえ付けたまま 離そうとはしなかった

猛ったモノを喉に突き込まれたまま 擦り上げる様に無理矢理に動かされ、
シュリはその苦しさに呻いた

その苦痛の声に思わずラウの動きが止まる





「おい・・・ 誰が止めて良いと言った?
 ・・・・ 続けろ・・・・」

ガルシアは目の前に立つラウに、鋭い眼光を向けた

ラウは何かを言いかけたが、グッと言葉を呑み込むと
無言のまま目を伏せ、シュリの腰を掴む手に力を入れる




「・・・・ッツンっァ・・・・・!!」

再び後ろを突き上げられ声を上げたシュリに、ガルシアは満足そうに嗤うと
更に激しくシュリの動きを、思うがままに先導していく

そして次第に 全身に満ちていく強い快感に狂い酔いながら
シュリの口内のそれは着実に質量を増張していった




「・・・シュリ・・・
 ・・・・お前も・・・ ンッ・・・・ やれば出来るではないか・・・・
 口も・・・ 後ろも男を咥え込んで・・・・
 ・・・・・・・ンッ・・ンッ・・・・  ・・・良い恰好だ・・・・
 ・・・・神の子が聞いて呆れる・・・・・」



その声はシュリにもハッキリと聞こえていた
喉の奥に当たる男のモノ・・・
それと同じモノが自分の体内にもある・・・・
自分は今、犯され、凌辱されている・・・・
やめろと叫びたかった・・・
だが今それは言葉にもならない




「ンッ・・・ンッ・・・・!・・  ンッッッ”ーーーーーー・・・!!」

シュリの上げた悲痛な呻きに ガルシアの腕が動いた

前から手を伸ばし、喘ぐシュリのモノを鷲し掴むと
擦り上げる様に上下し、指先が先の穴を探る




「ンッ!・・・・・ンッっ!・・・グッっ・・!」

悔しさと痛みと苦しみが身体を覆い尽くす



「もっとだ・・・・・ もっと吸い付け・・・ 
 ・・・・舌を使え・・・・ 喉の奥で擦り上げろ・・・・・」

グッッと喉の最奥までガルシアのモノが突き込まれ
呼吸が出来なくなる

硬く反り立つソレは容赦なく喉上の粘膜を乱暴に撫で上げ
嘔気が込み上げる

それでもガルシアは、頭を振って必死に抵抗し嫌がるシュリを
押さえ付け動かし続けた


永遠とも思える凌辱の時間・・・
その苦しさに身体が震え、シュリの身体がぐったりと崩れ落ちそうになった頃

「・・・・・クっ・・!」

ガルシアの声と共にそれは唐突に終わりを告げた
シュリの口内に、ガルシアの精が解き放たれたのだ




「ンッグッ・・・・・!!!  ンッンンッンッ・・・・・・!!!」

放出と同時に更に深く強く押さえ込まれた頭は 動かす事も出来ず
大量の粘液は シュリの喉から直接、体内に流れ込む

その強制的な苦しさにシュリは目を見開き
ガルシアに懇願するように首を振った

だがその願いは受け入れられるはずもない

ガルシアの弩張したモノは、自分の口内でドクドクといつまでも脈動を続け
むせかえる様な激しい男の精の匂いと
息が出来ない苦しさで シュリの目に涙が滲む






「・・・ゴフッ・・・!」

やっとそれが口から引き抜かれた時、
シュリはあまりの苦しさに四つん這いのまま
崩れ落ちる様に蹲って(うずくまって)いた


飲み込みきれなかった白い粘液が ポツ。。と
シュリの口端から床に滴る

それを後ろから見ていたラウが クッと唇を嚙んだ
それではガルシアが許さないと、判っていたからだ・・・





「一滴もこぼすなと教わらなかったか?」

ガルシアの足が 床に蹲り激しく肩で息をするシュリの右手を
ジリ・・・ と踏みつけた


「ンッッッーーーァァア”ッッ!!!」

叫びを上げるシュリをガルシアは冷酷に眺め
そしてラウムに視線を向けた


「・・・・止まるなと言ったはずだ
 見世物はまだ終わっていないぞ
 それに、お前の調教はなっていない・・・
 まだまだだな、ラウム」

ラウは痛みに叫ぶシュリを直視できず目を伏せると
再び、自分のモノをシュリに突き立てる


「・・・・・んンっっっ・・・!!!」

踏まれたままの右手を押さえながら、
肘だけで体を支えたシュリを、ラウは犯し続けた
だがそれはもう形だけの抽挿だった

痛みにもがくシュリを前に、胸が張り裂けそうになる



「ラウム、どうした?
 早くイッてやらないと、シュリが苦しそうだぞ?
 それともまだ焦らし、弄ぶ(もてあそぶ)気か?
 ならば・・・・こちらももう一回だ・・・・」

ガルシアは二人を眺めながら一口 酒を煽ると
再びシュリの口に自らを咥え込ませた


「お前がシュリの中でイクのと、ワシと・・・ 
 両方が終わるまで止めるな、続けろ」

「・・・ ンッッッ!!」

「シュリ・・・・・・・・」


ラウも もう動きを止める訳には行かなかった
自分もシュリの中で果てなければ終わらない・・・・・
グッと唇を嚙んで、シュリを犯し続けた



激しい痛みと苦しさにシュリの意識が薄くなり、呻きが小さくなると
ガルシアは足の下に置いたままのシュリの右手をジリジリと踏みつける

そして再び声を上げるシュリの叫びに、ガルシアは完全に酔っていた









同じ頃・・・・
この城からそう遠くない郊外の広大な一軒の屋敷でも
一人の男の 甲高い叫び声が響いた・・・・






華燭の城 - 148 に続く
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華燭の城 - 146

露わになる白い肌、細い脚・・・
その太腿には まだ生々しい縫合の痕がくっきりと残り
全裸にされたシュリの身体は貧血のためか、まだ蒼白く
それ故に透明さを増し、美しかった


ラウはそのまま自分の衣服も脱ぎ取ると
四つん這いのシュリの後ろへ顔を寄せる


傷に障らぬ様、両手でシュリの脚を開かせ、後ろを割り広げ
そこに自分の唇を当てがった



「・・・っ・・!」


シュリの身体がピクンと震え、思わず天を仰ぐ様に顔を上げる

その顔を・・・
目の前に座り、自分達を見下ろし・・・
嗤って見ているガルシアと視線が合い
シュリは悔しさに唇を噛み締めた


そんな まだ硬いシュリの後ろをゆっくりと指でなぞりながら
ラウはそっと舌を差し入れる



「・・・・・・・ン・・・・っ・・・・・」

柔らかな、いつもと同じラウの舌が
自分の中に滑り込み、優しく解していく

だが、今は二人きりでもなければ、ここは自分の部屋でもない
痛みだけを放つ身体と、どうしようもない怒りの感情、そして屈辱・・・・

こんな状態でいつもと同じ・・・・と、いくはずもなかった

どんなにラウの舌が 優しくいたわる様に動いていても
それは痛みでしかない


「・・・ンッ・・・・・  ・・・ンッッ」

苦痛だけの声を漏らすシュリにラウの表情が曇る




「シュリ・・・・・・・
 目を閉じて・・・・・・・・・
 何も考えずに・・・・
 ・・・・私だけを感じて・・・・」

後ろからそっと背中を抱き締め、ラウが囁く
ガルシアが満足しなければ
いつまでもこの見世物を終わらせる事は出来ないのだ



「・・・ラ・・・ウ・・・・・・」

シュリにもそれは判っていた
目を閉じ、今、自分の後ろに挿し入れられ動いている
ラウの舌の感覚だけに神経を集中する


・・・・・ラウ・・・・

・・・・・ラウ・・・・・・・・・・・


心の中でひたすらに愛しい者の名を呼び続ける


「・・・・いい子です・・・・
 ゆっくり息をして・・・・・・
 ・・・・力を抜いて・・・  ・・・大丈夫・・・・」


静かなラウの声だけが頭の中に幾度も響く
視界を塞いだ事により
体中の神経が そのラウの行為のみに注がれる




そこへ前触れなく クッと強く圧し込まれた指先・・・


「・・・んぁっ・・・ ・・・・ラウ・・・・っ・・・んっ・・・・」

不意のその動きに、思わず零れ出た甘い声・・・
途端に、頭の中が真っ白になった

それは一気に波のうねりの様に大きくなり
熱い身体が、痛みの熱とは明らかに違う種の熱を放ち始める




「・・っ・・・ぁぁ・・・ ラ・・ウ・・・・
 ・・・・・・・んっ・・・・ぁっ・・・・・・・・」

シュリの傷だらけの身体が小さく震える

室内に 愛しい者の名を呼ぶ声と
湿った音が静かに響き始めていた









「ほう・・・ さすがだな
 あのシュリを、その気にさせるとはな・・・・
 ・・・もういいだろう・・・・ さっさと挿れろ・・・」

その様子をじっと見つめていたガルシアの低い声で
ラウはゆっくりと立ち上がり、シュリの後ろに自らを当てがった



「・・っ・・・・ぁっ・・・・」

その感覚にシュリの背中がのけ反る様に伸び
ガルシアの目の前で、その口から小さな喘ぎが漏れる


ラウがシュリの腰を押さえ、力を加えると
小さな声と共にシュリの身体はそれを迎え入れ
先を呑み込み、柔らかく開いていく・・・



「んっっっ・・・・・ぁあ・・・っん・・・・・・・・!」

肩で息をしながら、僅かに声を上げ体を捩るシュリの動きに合わせ
ラウは自身の全てをシュリの中に挿し入れようとしていた


シュリの体内は熱のせいか、ひどく熱い

絡み付いて来るようなシュリの中で、ラウの体にも汗が滲む
それでも休む事無く、抽挿を繰り返した

ようやく最奥まで到達すると、今度はそれをゆっくりと引き抜いていく



「んっ・・・んっ・・・・」

微かに聞こえるラウの息遣いと、自分の内を擦り上げていく繊細な動き・・・




「ぁああ・・・ ・・ラ・・ウ・・ ・・・・んっんっ・・!」

奥を突き上げられ、痛みを凌駕したシュリが思わず声を上げたその時、
シュリの頭が グイとガルシアの手で掴み上げられた


熱い喘ぎを漏らしていたシュリの口に
ガルシアの猛るモノがいきなり深く突き込まれていた・・・






華燭の城 - 147 に続く
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華燭の城 - 145

あまりにも静かなその声・・・・
それは、静かさ故に狂気さえ含んでいる様に聞こえる

一瞬、動きを止めたシュリの髪を掴み、
ガルシアがグイとその頭を引き上げた



「・・ンッ!」

目を閉じたままのシュリは 黙ってされるがまま、無抵抗だった


「陛下っ・・・・私が!」

耐え切れなくなったラウが横から叫ぶ




「うるさい、お前は黙っていろ
 シュリが自らやると言ったのだ
 なぁ? シュリ・・・ そうだろう?
 出来ぬものを出来ると言ったのか?
 ・・・ん?」


ガルシアは跪いていたシュリを
自分の顔の前まで引き上げると その顎を片手で鷲掴んだ

そしてもう片方の手を伸ばし、シュリの衣服の中に手を差し入れると
その下半身を直に手に取った




「・・ッ・・・・!」

「・・・ん?  ・・・・どうした・・・・
 ここは無反応か・・?
 自分が感じなければ、人のモノを咥える気にもならぬか・・・?」

ガルシアの手は 何も反応を示していないシュリのモノを掴んだまま
何度も擦り上げる




「・・っ・・! ・・・クッ・・・」

だがシュリの身体は、その神経は・・・
既に痛みに支配され尽くし
どんな行為をガルシアから受けようが それはもう痛みでしかなかった


「・・・ッ・・ 痛っ・・・や・・やめ・・・・・んっ・・」

頭を振って嫌がるシュリの顔をじっと見ながら、暫く手を動かしていたガルシアが

「つまらんヤツめ・・・」

吐き捨てる様に乱暴にその手を突き放した




「ンァッ・・!」

その反動で、ドサッと床に倒れ込み
砕けた右手をまともにぶつけ、呻くシュリを すかさずラウが抱き寄せる


「シュリ! 大丈夫ですか!シュリ・・・!」

「・・・ラウ・・・・」

その様子を見降ろしてしたガルシアの唇がニヤリと動いた



「ああ、そうだ、ラウム・・・
 この芸をシュリに教え込んだのはお前だったな
 ならば、今この場で お前がシュリを後ろから犯せ
 シュリも、お前のモノは咥えたのだろう?
 大好きなお前に挿れてもらえれば、少しは感じ その気になるだろう
 シュリ・・・・ 
 お前は後ろを犯られ(やられ)ながら
 犬の様に その口でワシのモノを咥えるんだ
 いい見世物ができるぞ?」


「・・・陛下! ・・・・・もうお許しください!」


「うるさいぞ!ラウム!
 何度も同じことを言わせるな!」




ガルシアの脚がラウの右足をガンッと蹴り上げた
分厚く硬い靴底と、骨とがぶつかる鈍い音が響く



「・・・・ンァッッ!!」

思わず悲鳴に近い声を上げ ラウが右足を押さえ蹲った(うずくまった)




「やめろ・・・!ガルシア・・・!」

今度はシュリがラウを庇う(かばう)様に 覆い被っていた



「・・・ん? 庇い合いか? 美しいな
 しかし、出来なければ何度でも同じ目に合うだけの事・・・」

ガルシアが薄ら嗤いながらシュリの肩口を掴み、庇い合う二人を引き剝がすと
再びラウを蹴り上げ様と足を上げる





「・・・やめろ! やれば・・・いいのだろ!
 見世物でも何でも・・・・ やれば・・・!」

「・・・・フッ・・・
 やると言ったのはこれで二度目だぞ
 三度目は無いと思え」


肩を掴まれたままのシュリが小さく頷いた

ガルシアはソファーにドッカと腰を下ろすと
剥き出しの下半身で大きく足を開く

その前で、右手で体重を支えられないシュリは
左手だけを床に付き、自らガルシアの前に四つん這いになった




「ラウ・・・ 構わない・・・・ ここで私を・・・・」

「シュリ・・・」


ラウは目を伏せたまま、
右足を引き摺りながらシュリの後ろに回り、膝立になる



「見物だな・・・」

鼻で笑うその声に、ラウは顔を上げ
睨む様にじっとガルシアを見ながら、シュリの衣服に手を掛けた






華燭の城 - 146 に続く
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華燭の城 - 144

「お前は魔に穢された、醜い、不浄の神の子だ」


「・・・・ やめろと言っている!!!
 ・・・・・・
 ・・・・今まで・・・ 
 今まで、何でもお前の言う事を聞いてきた・・・
 ・・・これ以上何がしたいんだ・・・・」


シュリの声が震えていた



「何でもだと・・・?
 お前はまだ ワシとの約束を守ってはおらんぞ
 ・・・・それで勝手な事を言うでないわ」


ガルシアがシュリの目の前で自分の衣服を緩め始める
そこから引き出されたモノは
既に 熱り勃って(いきりたって)いた




「咥えろ
 ・・・・ そう言いつけていたはずだ」

「陛下!お止め下さい!
 シュリ様はまだお身体が・・!」


ラウが隣に跪いたまま叫んだ



「・・・ ラウムよ・・・ お前もだ
 昨夜の勝手な行動・・・ 言葉だけで許されたと思うたか?
 それに、作れと命じたあの薬はどうした?
 あれもまだ 受け取っておらんぞ」


「・・・! 
 ・・・それは・・・・・まだ・・・・ 出来て・・ おりません・・・」

ラウが ガルシアを見上げていた視線を逸らし俯いた





「そうか・・・ 結局・・・・
 お前達はワシの言いつけを 何一つ守っていないと言うことだ
 それで何でも言う事をきいたとは・・・・笑わせるな
 そういう事は、ちゃんと芸が出来てから言うんだな・・・
 ・・・・ シュリ、跪け」


ガルシアは自分のモノを手で擦りあげながら
それをシュリの目の前に突き出した

それは既に先の穴から ヌルヌルと粘液を滴らせている


シュリがグッと唇を嚙む




「どうした? まだ出来ぬというか?
 ならば今まで通りだ・・・ ラウム・・・来い」


「・・・・・・!!
 ・・・・・やめろ!!
 ・・・・・ガルシア・・・・・・・・  私が・・・・・ 私がする・・・・・・・・」

「シュリっ・・・・・」

「うるさい」

止めるラウの声をガルシアが遮った



「今、私がする、と・・・そう言うたか?
 自分で言ったのだからな?
 だが・・・
 もしも、ワシを満足させられない時は・・・ わかっているな?」




ニヤリと笑うとガルシアはシュリの頭を掴み 脚間に跪かせると
自分のモノをグイと押し付けた


「ンッ・・・!」
目の前にガルシアのモノがあった


今までガルシアの手の中で弄ばれていたソレは
粘液を纏い(まとい) 嫌な光沢を放ち 黒い首を持ち上げている





シュリはゆっくりと それを片手に取った
直視することは出来なかった
ためらうように目を閉じ、小さく口を開ける
ゆっくりと舌を出し・・・ 舐め始めた





ガルシアは黙ったままじっとシュリの動きを見下ろす



シュリは何度となくソレに舌を這わせはしたが それが精一杯だった
体が熱を発し、傷が痛み、
貧血の体は跪いているとはいえ、自分を支える事さえ辛かった

天地なく回り続ける眩暈のせいで酷く気分が悪く
ソレを口に含む気には 到底なれない




「おい、いつまでそうしているつもりだ?」

ふいに頭上でガルシアの声がした

その声にシュリが動きを止めた
ラウもクッと唇を噛み締める



「・・・いつまでそうしているのかと聞いている」

ジロリと冷たく見下ろすガルシアの声に 誰の返事もなかった



「それでワシが満足するとでも思っているのか・・・?」






華燭の城 - 145に続く
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華燭の城 - 143

ナギ達を乗せた車列が門を出て見えなくなる頃
ガルシアはシュリの横へ立っていた

その気配に頭を上げたシュリに ガルシアの冷たい視線が突き刺さる



「ふん、面倒な小僧め、やっと居なくなったか・・・・ 部屋へ行くぞ」

それだけを言い捨て戻って行くガルシアの後ろ姿を
シュリはじっと見ていた

またあの部屋・・・ これ以上何をしようと言うのか・・・




本格的に降り出した雨が熱い体温を冷やしていく
血の足りない体が 天も地もなく世界を回す
だがまだ倒れる訳にはいかなかった







濡れた服のまま、ガルシアの後を追い部屋に入った時には
既にガルシアはソファーの背もたれに大きく体を預け
酒に手を伸ばしていた


「・・・来たか
 昨日、夜中にラウムが手当てをしたようだな?
 見せてみろ」

シュリを一瞥(いちべつ)すると、顎で近くに来いと呼んだ





シュリは黙ってガルシアの前まで進み、
言われるがまま、左手でシャツのボタンを外し始める

右手が動かなくても、普段のシュリならば問題はない
いつもならば・・・ 


だが今は、痛みと、貧血の眩暈とで
体は不安定に揺れ続け、立っているのさえ辛い

濡れたシャツも、普段より重く張り付き、
冷え切っているにも関わらず、熱で手が震え、
ボタンを外す・・・ 
たったそれだけが、今のシュリには余りにも困難だった



「・・・・何をもたもたしている、早くしろ!」

ガルシアが痺れを切らし声を上げた




「おい、ラウム!
 ここへ来て、さっさとシュリを脱がせろ!
 今朝は途中で止めたからな、この火照り、どうにも我慢できぬわ!」

「朝・・・・」

その言葉にシュリが反応した



驚いた様に、自分の前に来て跪くラウの顔を見た



「朝って・・・ ラウ・・・まさか・・・・」

その問いかけにラウは無言を貫き
ただ黙って俯いた(うつむいた)まま、シュリのボタンを外していく

だがその無言は、肯定でしかなかった





「ガルシア・・・・ お前・・・ まだラウを・・・・!
 ・・・・私が居るだろ!
 ラウにはもう手を出すなと、そう言ったはずだ!」




その声にガルシアが立ち上がり、シュリの前に歩み寄った



「ラウム・・ 退け・・」 

跪くラウを横へ押し退け、代わりにシュリの前に立つと
両手でシュリのシャツを鷲掴み、ビリと引き剥がした
巻かれていた包帯も、面倒そうに乱暴に振り解く

そうしてシュリの蒼白の透き通る様なその胸の
ラウが縫合したばかりの あの印が、赤黒い傷痕となって露わになった


だがそれは所詮、素人の処置・・・・
所々で引き攣った糸には血が絡み付いている





「歪(いびつ)だな・・・」

ガルシアが、その血に指を捻じ込みながら ニヤリと嗤う



「なぁ、シュリよ・・・ 覚えているか・・・?
 お前は、ワシや使用人・・・・
 そして見知らぬ異国の男にまで身体を差し出し
 脚を開き、抱かれ、貫かれ、凌辱され・・・」


ガルシアの左腕がグイとシュリを抱き寄せ
その手指が後から脚根を這い上がった


「ここから・・・ その男達の精がトロトロと零れ出ていたのだ
 忘れたとは言わせんぞ・・・・ 穢れた(けがれた)神の子・・・
 人前でどれほど美しく振舞おうと、
 お前には この醜くゆがんだ 歪さ(いびつさ)がお似合いだ・・・」

「・・・・・・」

耳元で聞こえるガルシアの誹り(そしり)にも
シュリは黙ったまま耐え 唇を嚙んだ


「それに・・・
 この身体では、お前の夢であった神国の地には、
 もう 一歩たりとも踏み入る事は叶わぬだろうな・・・
 そんなことをしようものなら・・・」

 
「・・・やめろ・・・・・」

シュリが呟く


「・・・・ん?? 何か言ったか?」



やっと反応を示したシュリを面白がる様に
ガルシアはシュリの顔を覗き込み、
抱き寄せたまま、その胸の傷にグッと右手指を喰い込ませる

「・・ッっ・・」

「痛いか?
 痛いだろうな・・・
 この悪魔は もうお前の体にしっかりと刻まれ消えぬのだ
 ・・・・穢れた身体・・・・
 こんな身体で戻れば・・・・ 神国そのものが汚れてしまう」


「・・・・・ やめろ・・・・」


「もう お前の様な不浄な魔には
 帰る国も、待つ者も居ないのだ
 お前のこの身体は、神国の民を裏切ったのだからな」


「・・・ やめろ!! やめろ!!!・・・・ やめろっ!!!
 ・・・それ以上、もう何も言うなっ!!!!」




ガルシアの声を自分の声で打ち消そうとするかの様な
シュリの悲痛な叫びが響いた


だがそんなシュリさえも、ガルシアは嘲笑った(あざわらった)






華燭の城 - 144 に続く
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華燭の城 - 142

「・・・・ シュリ!!
 ・・・・まさか、これ・・・  あの馬駆けで俺を助けた時にか・・・!!?」


「いえ・・・違います・・・・
 ちょっとぶつけただけですから・・・・」



シュリは自分の手を ナギの手の中からそっと引き抜き
周囲からも見えないように、素早く自分の上着の中へと差し入れた

ガルシアが もうすぐそこまで来ていた




「でも・・・ それ、熱もあるぞ・・・!
 ただ、ぶつけただけじゃそんなに・・・・!
 ・・・・!  
 ・・・・ だからあの騒ぎの時も 左手だけで剣を・・!?
 ・・・・なぁ!・・・おい!・・・・シュ・・・!」


必死に問い掛け続けるナギの声を制する様に
シュリはスッと頭を下げた



「・・・殿下・・!
 ・・・・私からの最後の願いです!
 このまま何も言わず、すぐに国へお帰りください・・・!」

それはひどく辛そうで、懇願にさえ聞こえる声だった



「・・・・ っ・・・
 ・・・シュリ・・・・・」

ナギの表情が戸惑いを見せる
だがそれは、ほんの一瞬の事だった




「・・・・・
 ・・・ ああ・・・・  わかった・・・ 帰るよ・・・
 だが忘れるな、何があっても、お前は俺の命の恩人だからな・・・?」


それだけ言うとナギは シートに体を預け
運転手に 「出してくれ」 と声を掛けた


石畳の上をゆっくりと走り出し、遠ざかって行く車の音を聞きながら
シュリは頭を上げることができなかった


 








「ナギ・・・ ・・・・本当にいいのか? このまま帰って・・・・
 ・・・ あの手は、ただぶつけただけじゃない・・・
 たぶん折れてる・・・ いや・・・
 ・・・・あの腫れは、砕けてる・・・ しかも相当酷い・・・」


隣に座るヴィルが 運転手にも聞こえない程の小さな声で囁いた


今まで近衛隊隊長として多くの戦さを経験してきたヴィルだ
その数に比例するだけ、負傷兵も見て来ている

一目見れば、どの程度の怪我なのかは判るし、
それが判らない様では隊長職などやってはいけるものではない



”すぐに引き返す”  ヴィルはその言葉を期待していた
だが、ナギは黙ったままだ

その間にも、ミラーに映るシュリの姿は 見る見るうちに小さくなっていく



「・・・おい・・・・ ナギ・・・・
 ・・・・いいのか? あれは普通じゃないぞ・・・!」

ヴィルは焦れ、主の答えを待ちきれなくなり、思わず腰を浮かせた



「振り返るな、ヴィル」

それをナギの声が止めた


ちょうど車列がガルシアの横を通り過ぎようとしていた



ガルシアは口の片端を僅かに上げ、車内のナギに小さく頭を下げる
それに応える様に、ナギも形ばかりの会釈を返した


その無言の、一瞬のやり取りに
ヴィルは 目には見えない殺気に似た何か・・・・
只ならぬ張り詰めた空気を感じ取っていた





「まさか・・・・ガルシア・・・・・・・・なのか・・・?」

ヴィルが唇をほとんど動かさないまま、ナギに呟いた




「このまま、真っ直ぐ国へ帰る」

「でも・・・・」

「シュリがあれ程、頑なに(かたくなに)帰れと言うんだ
 ・・・何かある」

「何かって・・・・それ・・・・ まさか・・・
 お前の・・・帝国皇太子の身に何か起こるかもしれないって警告か?」

「あのガルシアなら・・・・無いとは言えないだろうな・・・」

「馬鹿な!いくら何でも、ここは我が国の支配下だぞ
 その国の王がお前に手を・・・・」


そこまで言いかけて、ヴィルもゴクリと言葉を呑み込んだ
前を見据えたままのナギの、何時になく険しい表情が
それも事実だと語っていたのだ





「・・・・で・・・ 探しモノは見つかったのか?」

驚きと怒りで言葉を失ったヴィルをなだめる様に、ナギが顔を向けた


「あ・・・ああ・・・ 一応な・・・
 だが素人ではよく判らないんで・・・・ 手あたり次第って感じだが・・・」


ヴィルが自分の上着のポケットから ジャラとなにかを取り出した
手の上に広げて見せたそれは、いくつもの小さなガラスの容器だった




「それでいい、とりあえず国へ帰って、後はそれからだ」

「わかった・・・
 ・・・・・ ああ・・・ あとな・・・・・ 実はさっき・・・・」

ナギに何事か、小さく耳打ちをする




「・・・それは本当か? 見間違いではないのか?」

「お前を守る近衛隊長としての俺の記憶力は、確かだ」






華燭の城 - 143 に続く
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華燭の城 - 141

「・・・ シュリ・・・・  シュリ・・・・・」

まだ痛みにうなされながら、苦し気に眠っていたシュリを
無理矢理にラウは揺すり起こした

その体は まだかなり熱い

薄っすらと目を開けたシュリに ナギが出立する事を伝えると
シュリは小さく頷いた



左手だけでグッと力を入れ
起き上がろうとするシュリを支える為に差し出したラウの手を
シュリは小さく首を振って断った



「シュリ・・・・」

「大・・・丈夫・・・ だから・・・・」

シュリは大きく肩で息をしながら頷き ベッドに座ると
自分の体に巻かれた真新しい包帯に目を落とした
そっと手で触れる・・・
血は止まっているのか、それは白いままだ



「・・・ ありがとう・・・・」

シュリはそう呟くと、ラウの差し出す衣服に着替えを済ませ
渾身の力で立ち上がった













城の正面門に、ナギが出た時には既に
帝国からの迎えの車列が整列し
広場には見送りの兵や官吏達が、ずらりと並び揃っていた



「またこんな大騒ぎにして・・・・」

ナギは呆れた様に肩をすくめ苦笑した
だが、車列の横にシュリを見つけると 
それは一気に満面の笑みとなる



「シュリ!!!」

呼びながら側へ駆け寄った




「やはりここは最後までこんな天気だなぁ」

笑いながら ポツポツと降り出した黒い空を見上げる



「ええ・・・ きっと別れを惜しむ涙雨でしょう」

シュリが微笑むと、ナギもクスリと笑う





そこへ遅れて来たヴィルも走り寄った

「遅いぞ、ヴィル」

「ああ、悪いナギ・・・ 少し探し物をしていてな・・・」

ヴィルがそう言いながらシュリとラウに頭を下げると
ラウも ヴィルに小さく会釈を返した





「・・・シュリ、本当にお前に会えてよかった
 いつでも遊びに来いな
 それと、落ち着いたらまた学校へも来い、待ってるからな」

そう言って抱き締めようと両手を広げ、一歩前に歩み寄った
咄嗟にシュリが一歩後退る・・・



「おいーー、別れの挨拶だぞ? そんなに俺とのハグはダメか?」

冗談めかして笑うナギに 

「ええ、ダメですよ」 とシュリも笑みで返しながら

「・・・殿下、早く車に・・・ 雨が強くなってきました」

そう言い シュリ自ら車のドアを開け
ナギを追い立てる様にして車内へと座らせると、バタンとドアを閉めた


「あ・・・・ おい・・・・ ちょっと待ち・・・・」

一方的にドアを閉められ、慌ててナギが窓から顔を出す




シュリはナギに微笑みながらも、
ゆっくりとこちらに近付いて来るガルシアの姿とその視線に気が付いていた

4人の睦まじい光景を
湿った視線で、探る様にじっと見ている冷たい視線に・・・





「これぐらいの雨、少々濡れても大丈夫だっていうのにー・・・・」

「殿下、寄り道はせず、真っ直ぐに国へ帰ってください」

名残惜しそうに話し続けるナギの声を無視し、
シュリは早口でそう告げた


顔は微笑んではいるが、ひどく真剣な声だった




「えっ・・・・
 寄り道ってー・・ お前なぁ・・・ 俺は子供じゃないぞー?
 ・・・・ったく、どうした? シュリ」

ナギが車窓から身を乗り出す様にして シュリの顔を伺い見るが
シュリは変らず、優しく微笑んで見せただけだった




「もう・・・・・
 ・・・・はいはい、わかったよ、大人しく、真っ直ぐ帰ればいいんだろ?
 ・・・・じゃあまたな!」


そう笑いながら、車窓の縁(ふち)に掛かっていたナギの手が握手を求め
ふいにシュリの右手を取った


「・・っ・・・!」


反射的にシュリがその手を引く
が、それはわずかに間に合わなかった


上着に隠される様にしていたシュリの右手は、
その時、既にナギの手の中にあった


それは白い包帯がぐるぐると巻かれ、わずかに指先が見える程度・・・
しかも、その大きさは
普通では到底考えられない程に腫れ上がり、かなり熱い



「おい・・・シュリ・・! ・・・ どうした・・・これ・・・」






華燭の城 - 142 に続く
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プロフィール

凛

Author:凛
BL・MLを日々妄想してる腐女子

しかもかなりハード目が好きな壊れかけ

SM・拷問等の酷い描写が苦手な方は、ご遠慮ください

1作目 『刻印』
2作目 『華燭(かしょく)の城』 
完結しました。
ブログタイトル下のマップより全話読んで頂けます。
『刻印』の簡単な解説はこちら から


まだまだ初心者故、描写の至らない点
設定の矛盾は笑って見てください 

読みやすく・・と思っているので、長編小説ですが、各回短く、短文、1日1回UP予定です


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