0-story

18禁 BL小説です。主に拷問・凌辱等ハード系。 こういう小説に興味の無い方、嫌悪感がある方はご遠慮ください。サイトマップより一気読み出来ます
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【雑記】新テンプレート

変更してみました

変更すると、今までのイメージが・・というお声も頂いたので
出来るだけ、前の雰囲気を残しました

小説用のTOP画面付きも作っていたのですが
私の手でカスタマイズするには 少々難しく、まだ時間が掛かりそうなので・・・


とりあえず サイトマップを付けたので
以前よりは わかりやすくなっていると思うのですが



が!なんと言っても 悲しいかなこちらも小説同様、素人・・・・

私のPCにはIEとGoogle Chrome しかブラウザが入っておりませんので
他のブラウザの確認ができません

どうでしょうか・・ テンプレート、崩れていないでしょうか?



実はこの黒バージョンもあるのですが

0-black-1

もしよろしければ、確認を含め 感想などコメント頂ければ嬉しいです





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【雑記】 テンプレート

変更中です
できれば サイトマップ をつけたくて


あと、私は普段 IEで書いているのですが
Google Chrome で見ると
このテンプレはあまりにも文字の印象が違った・・

書く時には 行間も時間経過や感情的な物を考慮しているつもりなので
この事実はちょっと・・・ いや、かなりショック

なので只今、テンプレート作成中です
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刻印 -解説-

● 舞台はとある組織

合法では手が出せない犯罪者を抹殺するための機関
世界のどんな合法機関より強い権力を持つ

日本がまだ帝国と呼ばれていた時代に作られたためか
未だに正規の制服は軍服様であり、軍隊と同じ階級制度が残る

NO.1と呼ばれる1人をTOPに、NO.2は5人
以下、人数氏名等は一切公表されていない
特に優れた者だけが選抜され、その存在も極秘扱い






● 一ノ瀬 匠 (いちのせ たくみ)

この組織での最初の事件で監禁され、身体に刻印を背負う
今も目と左腕に後遺症を抱えている
一時、視力を失っていた事もあり
非常に感覚が鋭く、人の気配等を読み取ることが出来る
浅葱の恋人
階級は中佐




● 浅葱 恭介 (あさぎ きょうすけ)

過去の事件で同じ組織に居た恋人を失う
自暴自棄になっていたところをオヤジに救われ、チームに入る
匠を愛し、死に急がない事を約束をする
組織での腕はNO.1
階級は大佐




● 深月 流之介 (みづき りゅうのすけ)

捕らえられた匠救出の為に召集されたオヤジの元弟子
匠を愛してしまい離れられなくなりチームに残る
銃火器など実戦は苦手だが、サイバーに関しては天才
チームのムードメーカー
階級は少佐




● オヤジ (おやっさん・工藤)

この4人のチームリーダー
医師であり元軍医、匠の主治医でもある
豪快で器がでかいが本人曰く気が短いらしい
組織での階級は少将




● 透 (とおる)

現組織のN0.2
5人のうちの1人だが、改編後は確実にN0.1になると言われている
高校時代、医大生だったオヤジに家庭教師をしてもらい
慕い続け、オヤジを追ってこの組織に入る
匠を一心に想う深月のひたむきさが気に入り、気になっている
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刻印 -あとがき-

やっと ”刻印” が最終回を迎えました

人生初のモノカキ、それがこの小説でした
去年の4月から、10か月・・・
やっと 完 の文字をUPすることが出来ました

飽き性の私がここまで長く書き続けて来られたのは
読んで下さる皆様がいて下さったから・・

途中、私事でいろいろな出来事もあり、ご心配もおかけしました
そんな私を支えてくれたのもここでの温かいコメントでした

更新が滞っていても毎日数百人の方が訪問してくださる・・
それが励みでした

本当に、本当にありがとうございました




日々忙しく、”刻印” が終わったらゆっくりできるかな・・
なんて 正直、思っていましたが
今は、応援してくださった皆様と離れ難く・・・・

昨日の 完 をUPする前から すでに次は何を書こう・・・と考えて
頭がいっぱいの自分がいます



自分一人の頭の中で ただの妄想として存在した匠や浅葱が
皆様のコメントの中で 本当に生きているかの様に存在し
それがとても不思議で、そしてとても嬉しい

この ”刻印” をシリーズとして
まだまだ匠達のその後を書いていたいとも思うし
全く違った雰囲気での話の妄想も出てきたり・・・

まだ次作はこれ!とは言えませんが
近いうち??? ・・にまた書こうと思います





この ”刻印” は設定のメモも書かず、ただ頭の中だけで文字にしたため
私自身、途中で何度も読み直しながら・・・という苦労があったので
次作はちゃんと、メモも書いて・・・・(笑)






このブログに 雑記 を書くと、肝心の 本編  が探しにくくなりそうなので
今まで小説以外は書いていませんでしたが
この postscript - あとがき - を機に 雑記のカテゴリを作りました
これからは 少しばかり私的な事も書こうと思います


もちろん、今まで通り ツイッター でもコメントのお返事や、裏話を呟いています
よろしければ覗いてください
             


刻印 最終回によせて  -- 凛 --







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刻印 -231 (最終回)

自分の中に ハルへの憎悪や嫌悪はもう無い
だからこそ、後に遺されたこの背中の傷・・・・

ただ痛み続けるだけの この ”刻印” に何の意味があるのか・・・
匠はずっと、その思いだけが拭い切れずにいた





「浅葱さんの愛した・・・ ジンさんの蛇・・・
 そのジンさんが 最後まで守り・・・・ 一緒にいると誓ったハルの蛇・・・・
 ・・・ 一心同体の・・ 蛇・・・・・」

匠は 目を閉じた胸元で、両手でしっかりとジンのタグを握りしめ
自分に言い聞かせる様に 何度も小さく繰り返した





この刻印を 自分が背負って生きなくてはならない理由・・・・
いや・・・ それ以上のもの・・・
これから先、一生、自分を卑下することなく
コレを背負い続けていけるだけの理由・・・ 
自分自身を支えていける、この体を肯定できる強い理由・・・




















「浅葱さん・・・」
 
それから暫くして匠は目を開けた




「この背中の蛇は・・・ 浅葱さんに愛され、ジンさんに守られている
 それなら俺は・・・・・
 堂々とその想いを受け止め・・・・ これを背負う。
  
 そして、この体で浅葱さんを愛していく・・・・・」


そう言って顔を上げた



握り締めていた双頭の蛇を 浅葱へと返す匠の瞳は
真っ直ぐに、目の前の人物だけを見つめていた

浅葱も匠の瞳を見詰め、 「ん・・・・」 とだけ頷く



そして返されたタグを目の前の十字架に掛けると、静かに目を閉じた

「浅葱さん・・・
 それは大事なジンさんの形見・・・・・・」


「いいんだ、元々 このタグはジンが春の為に作った物だ
 俺はもう十分 支えてもらった 
 だから今日は ジンに返すつもりでここへ来た」


浅葱は匠の方へ振り返った
 

「これからはお前が居る
 お前が俺の支えだ
 匠・・・ 愛してる・・・・」



浅葱の腕が匠を引き寄せた


「・・・はい・・」
匠も浅葱の腰に腕を回し、強く抱き締めた







「浅葱さん・・・ 俺は約束、守りましたよ・・・
 自分の足でここまで登り、自分の目でこの景色を見ました
 だから、次は浅葱さんが約束してください、ジンさんの前で・・・」

「・・・何だ・・・・?」
浅葱の腕の中で 匠がじっと顔を見上げていた




「もう、絶対に・・・・・
 自らを責めたり・・・・
 ・・・・死に急ぐ様な事は、絶対にしないと・・・・・」

その言葉に浅葱の表情がフッと緩む



「言っただろ・・・ これからはお前が居ると・・・ 心配しなくていい
 ・・・・・わかった、約束する 匠・・・ もう馬鹿な事は考えない
 ・・・絶対にお前を離さない」

「約束、ですからね・・・・・」

安心したように 匠が浅葱の胸に顔をうずめた




そんな匠の頭を愛しそうに撫でながら
「・・・・じゃあ 匠も・・・・・・・」
そこまで言いかけて 浅葱が黙り込んだ




「・・・・? 何ですか? ・・・・浅葱さん?」
なかなか続きを話さない浅葱に匠が首を傾げる





「浅葱さん・・・??」

「ん・・・・・・
 じゃあ・・・
 ・・・・・ お前も約束しろ・・・
 ・・・・・ もう何処へも行くな、ずっと俺の側にだけに居ろ 
 ・・・・・・・・・ もう・・・ ・・・・ 他の男には・・・ 絶対に渡さない・・・・・・・・・・」

浅葱の いつもより少し小さな、照れくさそうな声がした





その言葉に少し驚いたように 匠が顔を上げる
見上げる浅葱の顔は 気のせいなのか・・・ ほんの少し赤く見える



クスリと腕の中の匠が笑うと 「こら、笑うな・・・」
そう言って一層強く抱き締められた


匠はコクンと頷いてから その胸に頭を預け、ゆっくり目を閉じる
少し早い浅葱の鼓動が聞こえた・・・






匠はそのまま 温かい浅葱の腕の中で微笑みながら
浅葱と 十字架のシルエットが映る夜景を見つめていた







「ジンさんは ここから俺達を見守ってくれてるんですね・・・
 今までも・・・  そしてこれからも・・・」
匠が呟く

「ああ、そして俺達もだ・・・
 ウラではあるが この街の灯りを守っている
 匠・・ その事を忘れるな」

「はい・・」








工場地帯の遥か向こうまで続く家々の灯り
その広大な夜景を見下ろす小さな十字架の前で、浅葱が強く匠を抱き締める





「帰るぞ、匠
 オヤジと深月が待ってる
 俺達の家に・・・・・」




刻印 -完-
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刻印 -230

「タグ・・・・・」 
浅葱の手の中のそれを見ながら 匠が呟く

だがそれは 匠の知っている浅葱のタグ・・・ 鷲を象ったモノとは
全く違う形をしているように見えた




「それって・・・・ ジンさんの・・・?
 あの時・・・ あの部屋で最後にハルに見せた・・・・」

「ああ、そうだ、ジンのだ・・・・
 匠、見てみるか?・・・ もうお前の目でも見えるだろう・・・」

浅葱は匠の・・ まだ包帯の巻かれている右手を取ると
しっかりと握らせる様にして手の中へと渡す




浅葱に握らされたジンのタグ
匠は薄明りの中でその指を開いた


そこには2つの頭を持つ 蛇がいた


「・・・・蛇・・・・!!?
 これは・・・  双頭の・・・ ・・・・蛇・・・・・・・
 浅葱さん・・・
 ジンさんのタグって・・・・・・ 蛇 ・・・・・・・・なんですか・・・・」


匠は自分の 蛇 を思い出し
背中にズキンと鈍い痛みを感じながらタグを見つめた


「どうして・・・ よりによって・・・・ 蛇なんて・・・・・・・」
思わず言葉が零れ落ちる





「ああ、そうだ
 ジンのタグは 双頭の蛇・・・
 ハルの腕に 蛇のタトゥーがあったのを覚えているか・・・?」


匠はハルに一生自分のモノだと言われ、そのタトゥーを見せられたことを思い出していた


「・・はい・・・・・」
匠の声が震えていた
そんな動揺を隠しきれない匠の姿を見ながら 浅葱は静かに話し始めた






「・・・・二人のご両親が亡くなった後・・・・
 俺達はこんな仕事だ・・・
 ジンも なかなか家には帰れなかった

 そのうち、まだ学生だったハルは 独りの寂しさを紛らわす様に
 街の悪ガキどもとツルんで遊び始めた

 最初はまだ ジンも笑っていた・・・
 だが、だんだんとハルはエスカレートし・・・
 気付いた時にはもう、その世界から抜けられない程 名が通っていた・・・

 
 ハルが自分の腕に蛇のタトゥーを彫ったと知った時
 ジンは ・・・自らを責めた

 
 たった二人きりになってしまった大事な家族なのに
 自分が側に居てやれなかったからだと・・・
 その時からジンは 自分のタグを双頭の蛇にしたんだ」



そこで浅葱は一度 大きく息を吐いた


 
「ジンは・・・・ 俺にも多くを語らなかったが、1つだけ教えてくれた事がある
 
 その双頭の蛇・・・
 片方の頭はハル・・・・ そしてもう一つの頭は自分だと・・・・
 せめていつもハルを感じられる様に
 タグの中だけではいつも一緒・・・ 一心同体であるように想いを込めた、と・・・

 だから、それは ハルがどんなに道を誤り 悪に染まっても
 絶対に見捨てない、もう離れはしないという 誓いだったのかもしれない・・・・」




「ハルとジンさん・・・・・・  二人で一つの蛇・・・・・・  一心同体・・・」



「ああ・・ だから匠・・・・・
 お前の背中に居るその蛇は・・ ジンでもあると・・・・・・
 ・・俺はそう思っている・・・・・」

「・・・・・ これが・・・ ジンさんの・・・・・蛇・・・・・?」
鈍い痛みを放ち続ける背中の蛇を思い、ポツリと匠が呟く



「すまない・・・
 こんな話・・ お前にとっては、ただの気休めにしか過ぎないのはわかっている・・
 ・・・ だが・・・・・・・・」

小さく頭を下げ、苦脳しながらも話し続けようとする浅葱の言葉を匠が遮った



「いいえ・・・・・  それで、もう十分です・・・・・・」


匠の声に 浅葱が顔を上げる
匠はじっとタグを見つめていた




刻印 -231へ続く
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刻印 -229

山を上り切り、頂上近く
駐車場になっている建物の中で浅葱は車を止めた

コンクリートの駐車場は 人の気配を全く感じさせず
ヘッドライトを消すと闇に近かった


「着いたぞ、匠」
車を降りると 浅葱はあの日と同じ様に助手席のドアを開ける





闇の中をスタスタと歩く浅葱の後に匠も続く
カンカンと甲高い音の鉄の階段を上がっていくと、その先に古びた鉄の扉があった


「帰ってきたんですね・・・ 浅葱さんの大事な場所」
「・・・・・ああ・・ 行こう・・」

一度、深く呼吸をした後 浅葱がドアノブに手をかける
軋んだ音をさせて扉が開くと、またあの つんざくような轟音が二人を包んだ





そこで匠が見たのは 
青い宝石を数千・数万・・・・・数えきれない程、幾重にも散りばめた様な
青く美しく輝く広大な夜景だった


「・・・ぅわっ・・・・・・・・」
匠はその見事さに思わず立ち止まり 息を呑む
手を伸ばせば その宝石が掴み取れるのではないかと思う程の近さだ

まだ完全とは言い切れない匠の目でさえ
その美しさと迫力は充分過ぎるほど感じる事ができた






そこは 巨大な工業地帯を直上から見下ろし一望出来る
丘の上の展望台のような場所だった
まさに工場の真上と言っていい程の近さで
心臓に響く程の轟音は この工場群の稼働音だった

鳴り続け、迫り来るような工場の轟音
陽が落ちた後の星空と 青い灯りが繋がり
じっと見つめていると上下感覚を失い クラクラと眩暈を起こしそうになる






「行くぞ・・・」
「あ・・・・はい・・・・・」

浅葱の声が轟音の中から微かに聞こえ
匠は置いて行かれまいと、速足で浅葱の後を追うが
展望台の照明はポツリポツリと数本あるだけで足元はかなり暗く
駐車場と同じくここも 全く出入りが無いらしい






そして目の前の夜景は丘の端へ進むにつれ輝きを増した

「すごい・・・・! こんな綺麗な場所 初めて見ました!」
感嘆の声を上げ、匠が前へ走り出ようとした時だった


「無闇に走るな、匠!
 そこは手すりが壊れている
 足を滑らせると崖下へ落ちる事になる」
浅葱に手を掴まれ引き寄せられる


目を凝らすと、暗闇の中に
途中から不自然に壊れ、半ば崩れ落ちた金属の手すりがあった


浅葱は黙ったまま匠の手を握り、慣れた足取りでその脇を抜け
先へと歩き続ける





暫く進むと 展望台の先端にポツリと小さな灯りがあり
その下に何かが建っていた

丘の陰に入ったのか、ずっと鳴り響いていた稼働音も
その場所だけは 少し音量を下げた気がする

浅葱はその場所まで匠の手を引いて行くと その像の様な物の前で足を止めた
それは台の上に建てられた1メートルほどの高さの十字架に似た物だった




「これは・・・・・・・?」
人の気配の全く無い こんな丘に・・・・ 匠が不思議そうに尋ねた



「ここは・・・ ジンが死んだ場所だ
 これは、俺達が建てた慰霊碑でもあり ・・・・・ジンの墓でもある・・・」

そう言いながら浅葱は 静かにゆっくりと十字架に触れる





「ここで・・・・ ジンさんが・・・・
 じゃあ、爆発の現場って・・ ここ・・・・・」



「ああ、ここはある会社の私有地で、さっきの駐車場は 従業員用のものだったが
 その先にあった夜景・・・・
 つまりここが 夜景スポットとして人気が出てな・・ 事件当時は解放されていた
 
 だがあの事件があってからは 関係者以外、立ち入り禁止だ

 入口に居た守衛は 当時のままの人で・・・ 俺の事も覚えていてくれている
 ここが荒れないように、定期的に手入れもな・・・・」



「さっきの手すり・・・・爆発で・・・・」
丈夫そうな金属の手すりがグニャリと曲がり堕ちていたのも
爆発があったと言われれば頷けた


「浅葱さん・・ 俺も手を合わせていいですか・・・?」
「ああ、きっとジンも喜ぶ・・・・」


浅葱は右手で 自分の上着の左胸を握る様にして目を閉じる
匠も 浅葱の横で小さな慰霊碑の前にひざまずき手を合わせた





匠が祈り終え、立ち上がると 浅葱はその左胸の内ポケットから何かを取り出す

「それは・・?」
尋ねる匠に 浅葱が手の掌にのせたそれを見せた


小さな灯り1つで照らされた浅葱の手の中には タグがのっていた




刻印 -230へ続く
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刻印 -228

匠に オヤジから外出の許可が下りると、二人は揃って出かけた



「いいなぁー
 僕もデートしたいなぁーーー」
走り去っていく浅葱の車を
オヤジと二人で見送りながら、プゥーと深月が頬を膨らませる



「そういえば、透から返事が来てたぞ」

オヤジの言葉に深月が 「えっ・・・」 と声を上げ振り返った
組織のNO.2・・・ いや次期NO.1の誘いを 一介の少佐でしかない自分が断ったのだ
気まずさは拭い切れない




「・・・えっと・・・・・・・」

言葉に詰まる深月にオヤジが笑う

「安心しろーー
 お前が 行かない って返事するってこたぁ、透は端っからわかってたさ
 ”やっぱりそうですか”  ・・・だとさー
 笑ってたぞ、それでこそ自分が惚れた男だ! ・・ってな

 んで、誘いの事は気にせずに いつでも本部へ遊びに来いってよ
 お前が透の部屋に自由に出入り出来るように
 セキュリティーの登録も済ませたそうだ」
深月の気持ちをくみ取ってか、オヤジがいつもに増して明るく話しかける



「気にするなと言われても・・・
 それに自由にって・・・
 それだと益々申し訳ないですよー・・・ 合わせる顔がありません」
深月がうつむく


「何言ってんだ、遊びに行ってやれ
 いつも通りのお前でいいんだ
 透はそんな事でヘソを曲げる様なヤツじゃあねぇ
 透の人柄は俺が保障してやる! 
 イイヤツに惚れられたな、流」


「そ・・・そんな・・・」 少しだけ安堵したように深月が顔を赤らめ下を向いた



「んーーー??
 おいおいー 照れてんのかー?
 こいつはもしかするってーと、満更でもねぇ・・ってかー?」



豪快に笑うオヤジの横で 深月が真っ赤になった顔をプイと背け
必死で照れを隠そうと慌てて話題を変える

「え・・・えっとーー
 あ・・・ そうそう!
 浅葱さん達 どこへデートなんですかーー?」


「んー?現場だ」 オヤジが答えた


「えっ? 仕事だったんですか?
 なぁんだ、デートかと思っちゃいましたよ」

「大事な仕事だ、ケジメをつけるためのな」

「ケジメ・・?」

不思議そうにオヤジの顔を見る深月にオヤジは 「ああ」 と呟いた










浅葱の車は 都心を抜け海の方へと走り続けていた



匠の視界には色が戻りつつあったが、それはまだ明瞭とはいえる程ではなく
車窓から見える海の青と空の青の境界はハッキリとはしない



匠はずっと黙ったまま その海を眺めていた

波が寄せる度に水面がキラキラと輝く

その反射が目にわずかな痛みを引き起こし
匠はずっと一人 その痛みと闘っていた




ハルに対する恨みや憎しみといった激しい感情は もう無い

だが、体の痛みだけは・・・
こうやって時折 思い出すように痛みだす左腕や目・・・
その体の痛みだけは 自身ではどうしようも出来ないものだった
そして、背中の傷も・・・・・



匠がふっと小さな息を漏らす

「どうした? 大丈夫か? どこか痛むか?」
浅葱がハンドルを握ったまま心配そうに尋ねる

「いえ、平気です」
匠は微笑みながら浅葱に返事をした・・・






どこかの施設の門の前で浅葱の車が止まると、守衛らしき人物が声をかけてくる
浅葱は以前と同じ様に一言二言交わし
開けられた門から敷地内へと進入していく



山道を登る頃には 匠がマンションを脱走した日と同じ様に、陽が沈み始めていた

「こんな景色だったんですね・・・」
山道を登りながら、あの日 全く見えていなかった風景を静かに眺めながら匠が呟く


「綺麗だな・・・」
遠くの海に夕日が沈もうとしていた




刻印 -229へ続く
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刻印 -227

静かな室内に 息使いだけが漏れていた


「・・・んっ・・・・ぁ・・・・・もう・・・無理・・・」
懇願する匠の小さな声がした

だが浅葱は黙ったまま、匠の体の中心で 再びその動きを止める


それはもう幾度も繰り返されていた
匠が昇り詰めようとすると浅葱の動きが止まるのだ




「お願い・・もう・・・ じらさないで・・・・・・・っ・・・んっ・・」
「なんだもう無理なのか?」
少し挑発するように微笑みながら 浅葱の瞳が匠を見つめる



「・・・・・・もう・・イキたい・・・・・」
「もう終わりか? これしきで根を上げるとはな・・・」


自分の下で組み伏される匠の頭を撫でると
「じゃあ・・・うつ伏せになれ」  浅葱は匠を見つめたままそう言った




匠が驚いたように見上げる

「・・・!! 
 ・・・・・ いやだ・・・このままで・・・・」
首を横に振りながら匠が訴える
が、  「じゃあダメだ・・・ これで終わりだ」
浅葱はそれだけ言うと、繋がった体を外しかける


「・・んっ・・・・・抜かない・・・で・・・  お願い・・・・・・」
匠は目を伏せ、悲しい表情を見せると
諦めた様に、自ら ゆっくりとその体をうつ伏せた









浅葱の目が 目の前の匠の背中を見つめる・・・・

「・・・まだ・・痛むのか・・・?」
「少し・・・」

浅葱の視線が痛いほどだった

匠は腕で顔を隠し、強く目を閉じて
その視線をできるだけ感じないようにして呟く様に答えた



「そうか・・・」
そう言いながら、浅葱の長い指がそっと背中に触れる


「・・・んっ・・・!
 お願い・・・・・あまり・・・見ないで・・・ ・・もう・・ 触らないで・・・・」
匠が震える声で 小さく首を振り訴える




「匠・・・ この傷、まだ見られるのは嫌か・・?」
目の前の 匠の背中に彫られた ”刻印” をゆっくり指でなぞりながら浅葱が尋ねた

匠は黙ったままコクンと頷く・・・






「・・・・・・」

浅葱はそれ以上 何も言わなかった

黙って匠の脚を引き寄せると、再び自らを突き立て動かし始めた


「・・・ぁっ・・・ん・・・!!んっ!!」
うつ伏せたまま手元のシーツを握り締めて喘ぐ匠の声と共に
背中の龍と蛇が徐々に息衝き脈動を始める

それは美しく、艶めかしく・・・・・
匠の体中に入ろうとする者を じっと見つめているようだった











「あ・・・浅葱・・・・さん・・・・もう・・・  ・・イク・・・
 ・・・いかせてっ・・・・・・・・・・」


その匠の甘い声に浅葱の動きが止まることは、もうなかった

浅葱の右手が匠の右手を覆うようにして指を絡め
左手でグイと太ももを引き寄せると、激しく体内を責め立てる



湿った音が更に大きくなった頃
「あ・・・あっ・・・・んっっ・・・!  
 あさ・・ぎ・・・・  さ・・・・・・ もぅ・・・・イク・・・! 


 ・・んっぁあッッ・・!」




龍と蛇が鎌首をもたげる様にして ビクンと匠の背中が仰け反り
浅葱の手を握り締めたまま その精を放出する
と、同時に浅葱の動きも止まった

しっかりと匠の背中を抱くようにして
浅葱のモノが匠の体内でトクトクと小さく脈打つ





ハァハァ・・・ 
ハァ・・ ハァ・・・・・・





まだ肩で喘ぐ匠を浅葱がそっと抱き上げ、その唇を塞いだ

「・・・・んっ・・・・・・・・浅葱・・ ・・さん・・・・」
匠も腕を回し浅葱を感じ取る






「匠・・・・ もう少し体が良くなったら・・・・ 歩けるようになったら
 あの場所へ行こう・・・・・・ もう一度・・・」


それはあのうるさかった場所・・
浅葱が一番大事だと言った場所の事だった


その言葉に匠が嬉しそうに頷く



「ん・・・ 俺も行きたかったんです・・・」

匠の腕が浅葱の首に回され しがみつくようにして強く抱き締めた




刻印 -228へ続く
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刻印 -226

「おい、ついて行くって・・
 年上のお前がリードしなくてどうする?」
深月の ”宣言” を聞いていた浅葱が呆れたように尋ねた


「えっ!!!
 匠さんって・・・・・・・ 僕より年下・・・・???」

「ああ、そうだ」
浅葱は そんなことも知らなかったのか・・ と言いたげに答える


「だ・・・・だって、階級も僕より上だったし・・・」
深月は匠の服についていた階級章を思い出していた


「ああ、確かに階級は匠の方が上だが 年はお前の方が上だぞ
 匠とコンビを組むつもりなら もっとしっかりしろ、深月」


「やっばっ!!
 ずっと年上だとばかり・・・・
 じゃあ・・・・ これからは匠・・・・って呼ぼうかな・・・・・
 た・・・・・たくみーー・・・ なんて・・・・・」
言いかけて じっと自分を見つめる二人の視線に気が付く




「えっ・・・あ・・・・ウソ・・・冗談です!! 調子に乗りすぎました!!
 ・・・えっと・・・ すみませんっ!
 僕、頑張ります!!!」

そう言いながら深月は真っ赤な顔で部屋を飛び出して行った










「ったく・・・ いつまでも賑やかなヤツだ・・・
 あれではまだまだ お前を渡す訳にはいかないな・・」
軽くため息をつきながら、浅葱が腕の中の匠に視線を送る


「大丈夫でしょうか・・・ 流さん・・・」
どうみてもカラ元気としか思えない深月を思い 匠も浅葱の方を見上げた


「心配するな、大丈夫だ
 深月はああ見えて 強い」
浅葱が匠の顔を見て微笑んだ















深月はバタンと匠の部屋の戸を後ろで閉めると
そのまま扉に体を預けて目を閉じ、天を仰いだ

細く フゥーーーーーーーーと息を吐く




「いいのか? それで・・・」
いきなりオヤジの声がして、深月は慌てて目を開けた

目の前の廊下の壁に オヤジがもたれかかり、じっと自分を見ていた




「おやっさん・・・・・・」

「流・・・ 辛くはないのか?
 ・・・・恭介も口下手だからな・・・・・
 もうちっとこう・・・ なんていうか・・・・・ 言い方というか、見せ方というかー」
 
「・・あ・・・・・見てたんですか・・・?」

それはオヤジへの問い掛けではあったが
深月はそれに対する答えを聞く前に 自ら口を開く



「いえ、いいんです・・・ これで
 浅葱さんの気持ちも 僕、ちゃんとわかっていますから
 
 あれは浅葱さんの優しさですよね
 ジンさんの事・・ わからないままずっと苦しんでた浅葱さんだから
 愛する人の事を ちゃんとわかっていたいって思う気持ち・・・

 今までみたいに、二人の事を・・ 何もわからないままモヤモヤと考えるより
 ああやっててくれた方がずっと楽です

 
 それに何があっても僕の気持ちは 今言った通り、変わりませんから・・

 あのハルを見ていて わかったんです

 どうしても匠さんが欲しい・・・
 その為なら強引にでもってとこ・・・  僕も同じだった・・・
 
 だけど、それじゃダメなんだ
 例え、無理矢理・・・ 力づくで奪えたとしても・・・
 それは僕の欲しい匠さんとは違う・・・
 
 おやっさん・・・・
 上手く言えないけど・・・・
 僕は僕らしく匠さんの側に居たい・・・ そして守りたい・・・ずっと・・
 
 だから・・ ここに置いてください!」

姿勢を正し、深々と頭を下げる深月が居た




オヤジは壁に体を預けたまま腕を組み 黙って深月の話を聞いていたが
「ん、そうか・・・ わかった
 お前の思うようにすればいい
 透には 俺から返事をしておいてやる」
そう言って ポンと深月の肩に手を置いた












「・・・・・浅葱さん・・・
 あの男は・・・・・ハルは・・・・・・・・」

深月が部屋から出て行くと 匠は思い切ったように切り出した



「ハルは今 取り調べを受けている
 身元受けは あの秘書だった男が是非にと申し出たそうだ
 今でもずっとハルの側についているらしい
 あの部屋でも・・・ハルを守り抜こうとする姿勢も気も
 一度も乱れはしなかった・・・
 あの男になら任せて大丈夫だと思う」

「・・・そうですか・・・・
 でも 取り調べって・・・・」

「ああ、あの委員長は全てを剥奪され、一般人として司法で裁くと透さんが決めた
 その証人としてハルも取り調べを受けている
 勿論、ハル自身もいずれはな・・・

 匠・・・お前もハルの被害者だ、告訴していいんだぞ」




匠は黙ったまま浅葱から視線を外し下を向くと、暫く黙っていたが
「いえ・・・・・・・告訴はしません・・・」 と呟く様に答えた

「そうか・・」
浅葱もそれだけ答えると 再び匠を抱き締めた




刻印 -227へ続く
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刻印 -225

マンションの自分のベッドの上で匠は目を覚ました
側で いつもの様に浅葱が自分を抱きかかえるようにして座り、目を閉じていた


ここは・・・ 俺の部屋・・・・・
浅葱さん・・・・・
戻ってきたんだ・・・・・


匠は右手と左腕に巻かれた真新しい包帯の白さを暫く見つめ
静かに息をついた




「気が付いたか・・・匠」
浅葱の声がした


見上げるとすぐそばに、心配そうな浅葱の顔がある

「気分は・・? ・・・苦しくはないか?」
優しく問いかける浅葱に 匠は小さく頷いた

「そうか、よかった・・・・」
浅葱の指が匠の前髪に触れ、そっとかき分けるように動く



「・・ん・・・・・」
匠は浅葱の顔を見つめたまま、わずかに顎を上げる・・・

浅葱はフっ・・と笑みを浮かべ その上げられた顎を指で軽く支えると
匠の唇に自分の唇を重ねた


2、3度 いたわるように軽く触れた後、浅葱の柔らかな舌が匠の唇を割り入ってくる


「・・ん・・・  ・・・・っ・・・」
その甘く優しい感覚に 匠が小さな声を漏らし始めると
浅葱の匠を抱く腕にも力が込もる

抱き締められ安心したように匠もまた 浅葱の首に右腕を回す
規則正しい浅葱の鼓動を聞きながら、匠は静かに目を閉じた・・・









「匠さんーー・・もう起きてますか・・・・・・?」

ノックも無く、匠の部屋のドアが開かれた
顔を覗かせたのは深月だった


「んっ・・・!」
いきなりの事に匠が驚き、唇を塞がれたまま声を上げる

焦って浅葱の腕から逃れようとするが
浅葱は深月に気が付きながらも 意地悪く、匠の唇を離そうとはしない




「んっ! んっ! ・・・んーーっ・・・・・・・・・!!!」
浅葱の肩口をトントンと拳で叩き、匠が必死に訴えると
ようやく浅葱は クスリと笑いながら匠の唇を解放した



「んっ・・・・! もぅ・・・・  浅葱さん・・・・・」
恥かしさに顔を隠す匠とは反対に
「深月、ノックぐらいしろと何度言ったらわかるんだ?
 それに今、取り込み中だー 後にしてくれ」
そう言って浅葱は笑う





「えーーー だってーー
 おやっさんが、様子 見て来いってーーーーー
 いいなぁ・・・ 浅葱さんばっかりーー・・・・
 あーあ。
 結局 僕は匠さんにフラれ、一人ぼっちかーーー」

深月は わざと拗ねた子供のように体をブラブラとさせながら答えていたが
その声は明るかった



「何を言ってる
 透さんに本部へ・・ 自分の所へ来いと誘われたんだろ?」
 

「えっ・・そうなんですか?」
匠も驚きながらも、浅葱の腕の中で微笑んだ





「ああ、 匠は覚えてないかもしれないが
 透さんは あの部屋で真っ先に深月の手錠を外し・・・抱き締めたんだ。深月を。
 
 そうだよな? 
 あれは 仲間というよりも・・・ 愛情だ
 よかったな、深月」

優しく深月に笑いかけながら
浅葱はあの部屋で 匠が気を失った後の事を話して聞かせた




「・・・もう! 浅葱さんっーー!
 あれは・・・・・・
 ああいう緊迫した状況だったからで・・・・・・・からかわないで下さいよっー!

 それに僕はここに居ますからね!  これからもずっと!
 
 ・・・で!
 ずっと匠さんを想い続けて、最高のパートナーになって
 それから 浅葱さんとおやっさんを上回る名コンビになるんです!
 
 匠さん! 僕、どこまでもついて行きますからね!!」


少々オーバーとも見えるジェスチャーを交え
深月が熱く語っていた・・




刻印 -226へ続く
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刻印 -224

「お前が持っていろ、ジンの形見だ・・・・」
そう言う浅葱に ハルが手を差し返す

「・・・いいや・・・
 見せてもらえただけで十分だ・・・・ 恭介・・・・・」



浅葱にタグを返すと ハルは匠の方を振り返った
ベッドに座り まだ苦しそうに息をしながら、匠もハルの方を見ていた


二人の視線が合うと
ハルは匠の瞳を見つめたまま、そっとその頬へ手を伸ばす




そのいきなりの行動に驚いたのは深月だった

「や・・ やめろ!! ハル!
 まだ何かするつもりなのか!! 匠さんにそれ以上触るな! やめろーっ!」

声を荒げて叫ぶが、ハルは深月の声など全く耳に届いていない様子で
そのままゆっくりと手を伸ばす


匠の頬に両手をあてがい包む様に触れた後、ギュッと肩を抱き寄せた




”・・・・!!・・・・”
浅葱も思わず肩に力が入り、一歩前に踏み出しそうになる





その浅葱の放つ気で 静穏を取り戻しつつあった部屋の空気が
一瞬にして張り詰める




が、ハルは匠の背中に回した手で ゆっくりと刻印をなぞっていくだけだった





「・・・んっ・・クッ・・・・・!」
今まで 何度も何度も・・・
文字通り 体に刻み込まれる様に繰り返されてきたハルのその手の感覚

発作を起こし、声を上げそうになるその感覚に
匠はキツク目を閉じ 唇を噛み締めて、じっと耐えていた




「ジンと同じ瞳・・・・・
 ・・・愛しいタクミ・・・・・・・  ・・・、、、、、」

匠を強く引き寄せ その刻印を抱いたまま、耳の側で囁くようなハルの声がした
が、その最後の言葉は 唇が動いただけで言葉にはならなかった







「・・・行きましょう・・・・」 
クルリと匠に背を向け、側に来ていたオヤジへ ハルが向き直り立ち上がる

「・・・ああ、行こう」
ハルを先に歩かせ、その後からオヤジが部屋を出て行く








二人の気配が部屋から消えた途端
張り詰めていた緊張の糸が切れる様に
匠は小さく呻き、前のめりにベッドへ倒れ込んだ




「匠・・・! 匠っ!!」

浅葱がぐったりとする匠を抱き起こす

素早くネクタイを外し 刺されている左腕の止血を行うと
自分の上着を脱ぎ 匠の肩に掛けた


「よく頑張った・・・・・匠・・・・・」

「・・ん ・・・・・・・・」 
苦しさに耐えながら匠が頷く



浅葱の両腕がしっかりと匠を抱き締めると
「浅・・・ 葱さん・・・・・・・・」
匠は右手をその腕に重ねるようにして 体を預け、安心したように目を閉じた




「よかった・・・」
深月が安堵の声をあげた




刻印 -225へ続く
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刻印 -223

「う・・・・うがぁぁぁがあっ・・・・・!!!」

注射器を握ったまま 振り上げた右腕を撃たれた老人が
濁った叫びを上げ ベッドの上をのた打ち回る




硝煙がわずかに上がる銃を握るのは浅葱だった

秘書の男より早く 浅葱の銃が老人を捉えていた
一瞬の出来事に秘書の男は驚き、唖然と浅葱を振り返る


「秘書とはいえ、お前は一般人だ!
 銃を撃つ資格などない!」

怒気を含んだ声・・ 浅葱が鋭い眼つきで秘書の男を睨んでいた






「い・・・・痛いぃぃぃーーーーーーー!
 助けてくれっっ!!
 腕が・・・・腕がぁーーーーーーーーーーーー!!
 血がぁーーーー!!!」


叫びながらベッドから転げ落ち、醜く床の上を転げ回る老人に浅葱は近付くと
その胸ぐらを掴み上げた



「うるさい!! 
 お前が今まで匠にしてきた事に比べれば・・・・
 こんなものは ただのかすり傷だ!!
 急所を外してもらっただけでも 有難く思え!!」

そのまま老人を掴み上げた腕を強く払い除ける



老人は叩きつけられるようにしてガラステーブルに激突し
自分が並べていた酒瓶を ガラガラと派手になぎ倒すと

「・・ンギャァァツッ!!」
潰れた声を短く残し 床へと沈み堕ちた








皆がその光景を・・・ 堕ちた老人を見つめていた
声を発する者は誰も居ない



全てがストンと落ちたような静寂に包まれた部屋に
ブラインドの隙間から夕陽だけが薄く差し込む










全ての物音が消えると その静けさにオヤジが ふぅ・・と一息つき
そして、ゆっくりと口を開いた

「これで終わりだ・・・・
 透、コイツを頼むぞ」

捕らえていた委員長を透へと差し出す



「・・・はい
 同じNO.2として、今まで何も知らず・・ こんな失態を・・・
 本当に申し訳ありませんでした
 この件、最後まで私が責任を持ってカタをつけます」

オヤジの目を真っ直ぐに見た後
透が委員長を後ろ手にし、自ら手錠を掛ける







「ハル・・・・・・」
浅葱が銃をホルダーに収めながら ゆっくりとベッドへ歩み寄った

ハルは茫然として黙ってうつむき 座ったまま、微動だにしない
その目はどこか一点を じっと見つめたままだった



「ハル・・・・・これを・・・・」
浅葱は自分の上着の左内ポケットから何かを取り出すと
ハルの手を取り、その手の掌にチャリ・・ と握らせた


「・・・・・・」
ハルは黙ったまま、一度 浅葱の顔を見上げ
ゆっくりとその手を開く


そこには浅葱が何度となく上着の上から握り締めてきた ジンのタグが乗せられていた




「これ・・・ は・・・・・・・・?」
「・・・・ジンのタグだ」
「これが・・ ジンの・・・・・・・・」

ハルの声が震える

「ああ・・・
 わかるか・・・? ハル・・・ ジンの想いが・・・・」


ハルはそのタグをギュッと両手で握り締めると その手を額へと持っていき
祈るように目を閉じる
肩をわずかに震わせながら 頷いた




刻印 -224へ続く
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刻印 -222

「やめるんだっ!!!  ハルっ!!」
浅葱が身を挺し 委員長の前に立ちはだかった


「やめろっ・・・!」
匠も咄嗟に ハルの握る銃身を、傷だらけの右手で掴んでいた




「なぜだ・・・・・  恭介・・・!!
 コイツはジンを殺したんだぞ!!
 何故かばう!!
 タクミまで・・・・・・ どうしてだ!!!
 手を離せっ!!  ・・・そこをどけっっ!!」


ハルは叫びながら匠の手を振り解こうとする
匠は 自由に動かない左腕までもハルの腕に絡め
必死に自分の体で、その銃を抑え込んだ


「もうやめるんだ・・・」 
匠の声にも
「離せっ ・・タクミ!!」
自我を失ったハルは 銃を握る手をゆるめようとはしない

再び出血し始めた匠の左腕を
ハルが思い切り押さえ付けると 匠が痛みに呻く



「匠さんっ!! ダメです! それ以上動かないで下さいっ!
 もう離れて・・! ・・・じゃないと血が!!」
動けない深月の悲壮な声がした




「・・・同じだ! ハル!!!」
匠と銃を奪い合うハルに 浅葱が叫んだ




「俺も同じだ!!
 俺だって出来る事なら・・・
 今すぐここで、コイツを殺りたい! 
 だが、それではジンの死が無駄になるんだ! 
 わからないのかっ!!

 ジンはコイツを調べていた
 それは殺る為ではなく、白日の下にさらすこと・・・!

 コイツの一番捨てたくない物・・ 見栄やプライド、階級・・全てを奪い
 一般人として法で裁く・・・・・
 それがジンの遺志だ!!

 ここで、NO.2の座のまま・・・
 たった一発の銃弾で楽にしてやるほど・・・ 俺は優しくは なれない!!
 
 コイツには・・ 
 コイツには生きて地獄を味あわせてやるんだ、ハル!」




「この私が・・・ 一般人として・・・・?
 法で裁く・・・だと・・・
 そんなことが・・・
 そんな・・・・・・・・・・・
 私が・・・ 私がムショなんかに・・・・・・・
 いやだ・・・・ やめてくれっ・・・・・! 頼む!助けてくれっ!」

オヤジの脚にすがりながら 委員長は体をガタガタと震わせる
今まで地位と名誉を欲しいままに君臨してきた者とは思えない程の
情けない哀れな委員長の声だった




その声にハルの動きが止まる

匠ともみ合う腕から力が抜け、銃を握る手が パタンと力なくベッドへ落ちた
秘書の男が無言で手を伸ばし、ハルの手から その銃を取り上げる







その時だった

「待て!それでは・・・・・・それでは話が違う!
 お前が捕まったら・・・ 私は・・・・私はどうなる!!!
 おい!答えろ!
 私の一生の身の安全と不自由しないだけの金・・・酒・・・!
 それに・・・ 研究!!
 そうだ、忘れたのか!
 この男の側に居れば、好きなだけ薬を作り 実験をしてもいいと・・・
 そう言って話を持って来たのはお前の方だぞっ!
 おいっっ!!! ・・・私はどうなる!」

ベッドの上から老人が委員長に向かって叫んでいた




「先生・・・・
 アナタもあの男と・・・・ 私を騙していたのか・・・・!」

低い冷たい声でハルが老人の方へと振り向く

今まで銃を握っていた手が
そばに擦り寄って来ていた老人の細いシワだらけの首を
怒りに任せてグィッと掴み上げた




「ンぁグッ・・・・ッ!!」
容赦なく 力任せに首を締め上げられた老人が、呻き声をあげる




「ハル! 手を離せ!
 そんな奴の為に これ以上罪を重ねるな!」

浅葱が叫ぶのと同時だった




真っ赤になった顔を仰け反らせ 頭を振り必死に抵抗する老人は
それまでずっと鞄に突っ込んでいた手を抜き出した

その手にはしっかりと注射器が握られている



”死なない程度の薬” は既に握り潰された後・・・
残っているのは ”殺傷能力がある薬” 


・・・・・・!

「あぶないっ!」 秘書の男が咄嗟にハルから取り上げた銃を老人へと向ける




「ンッギャァァぁーーーーー!」
塞がれた喉から 獣のような声を上げながら
老人は 注射器を握り締めた手を
自分の首を締め上げるハルの腕へと 思いっきり振り下ろした







ズギュン・・!



乾いた銃声が短く轟く




刻印 -223へ続く
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刻印 -221

入って来たのは透だった

「そうか、ご苦労だった」  オヤジが声を掛ける



「だ、、、誰だお前は!!
 ここは私の部屋だぞ!!
 この組織のNO.2だぞ!!
 その個人の居室に、ズカズカと勝手に入ってきおって!!!」
 こんな事をして、タダではすまんぞ!」

四つん這いで叫ぶ委員長の側に 透が片膝を付く



「この組織は本当に秘密が好きだ
 同じNO.2でありながら、互いに顔も知らない
 だから、内部でこんなヤツがのさばり悪事を犯しても 外に漏れない・・・
 この体質、なんとかしなければいけませんね、先生・・・」


「ああ、そうだな
 お前がNO.1になったら、一番に改善するこった」


「な・・・NO.1??」

委員長が驚いたように 透の軍服の肩に付く階級章に目をやった
そこには自分と同じ5つ星が付いていた


「ま・・・まさか・・・・・・・お前も・・・」
「ええ、残念ながら私もNO.2ですよ・・・・ まだ・・・・ ね」

そう言って委員長の顎に手をかけ、背けようとした顔を掴む



「や・・・やめろ!  私に触るな!」
委員長は思わず顔を振って透の手を払いのけた

「お・・・・ お前がどんな裏を取ったか知らないがな・・・
 それが絶対正しいと誰が言える!
 私は断固、身の潔白を訴えるぞ!
 
 こ、、 こんなハルなどと言う男も そこの医者も私は知らんっっ!!!」



「呆れた人だ・・・」
透が小さくため息をつく
 

「私は以前 あなたとそこの老人、そしてあなたの秘書の3人が
 同じエレベーターに乗って来るのに出くわした事があるのですが・・・
 ・・お忘れですか?
 
 面識が無いなどと、よく言ったものだ・・・
 証人はこの私、言い逃れはできませんよ?

 それに 階級で裁く裁けないが決まるのなら
 同じNO.2の私には あなたを裁く資格がある・・・  違いますか?
 
 しかし、残念ながら、我々の組織は裏
 法で裁く、裁かないのという次元は全くの無意味・・・・
 今ここでアナタを射殺しても構わない組織ですよ、これもお忘れですか?」


「クッ・・・」 委員長は言葉に詰まり 両手を床につけたままうなだれる


「まぁ、そんな事はしませんがね・・・」
透は振り払われたその手で、もう一度 うつむく委員長の顎を掴むと
グッと自分の方へ向けさせた








その光景を 呆然と見ていたのはハルだった

「本当なのか・・・・・・・・・・・・・・・
 私は騙されていたのか・・・?
 ジンを殺ったコイツに、まんまと騙され恭介を狙っていたというのか・・・
 そんなのは・・・ 嘘だ・・・・・・・・・・」

悪夢を払拭するかのように激しく首を振るハルの腕は
匠を抱き寄せたまま 小さく震えていた




「残念ながら、本当です
 そこに情けなくうずくまるのは、私の元主

 これまで関わってきた多くの事件を、私は知っています
 が、今 話されていた件の詳細は知りませんでした・・・
 まさか、兄弟だったとは・・・・」

今まで無言を貫いていた秘書の男が 呟くようにハルに告げる




「元、主・・・・・
 そういえば、お前はこの腐ったNO.2の秘書だったよな?
 いつの間にハルについた?」

皮肉るオヤジの言葉にも 秘書の男は冷たい視線を返しただけで
ハルに寄り添い護ろうとする姿勢は 依然として崩そうとはしなかった






「ハル・・・・・ この茶番も終わりだ・・・・
 俺達がジンの事で闘う必要はもう無い・・」
浅葱が静かに口を開いた




「・・・・・・・!
 ・・・・・・・・・・るさん・・・!
 ・・・・許さん・・・・・・っっ!!
 絶対に許さんっっ!!!
 キサマ!!!  よくも・・・・ よくもジンをっ!!!」


今まで耐えていたモノを一気に吐き出すような悲痛な叫びと共に 
力無く握られていただけだったハルの銃が
オヤジの足元でうずくまる委員長へ向けられていた

怒りで震える指にグッと力が入る




刻印 -222へ続く
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刻印 -220

「どういう事だ・・・」
ハルの声が 話の本旨を図りかねるように低くなる



「ハル・・・・・・お前は今 名前の表記を変えているが
 本名は季節の ”春” と書いて ”ハル” ・・・そうだな?
 その名前は 春に生まれてくる弟を楽しみに兄のジンが付けた・・」


「どうしてそれを・・・」


「ここに書いてあるからだよ・・・・
 この中にはお前の・・・・・というか正確にはジンのだが・・・
 事細かな身辺調査が書かれている
 どこで生まれたか、家族や親族、生い立ちまでもな・・・
 と、同時にジンの弟でもあるお前の事もだ・・・」


「ジンの身辺調査を・・・ 委員長、お前が・・?
 何故そんな事をする必要がある・・・・・・ おいっ!!!」

ハルが鋭い視線で睨むと
委員長は  「も・・・ 黙秘する!」  それだけ言って顔を背けた






「ここにはな、この男の悪事・・・
 この無能な男が NO.2にまで成り上がってきた 組織への裏切り・・
 それを 証明できるだけの書類が揃っている
 ジンは偶然それを どこかで知ったんだろう・・・
 そしてコイツを秘密裏に調べ始めた

 だが、それがバレ・・・

 ・・・・コイツが仕組んだ罠で・・・ 抹殺された・・・」




「今・・・・ 
 今・・・  何と言った・・・・・」
ハルの表情が強張り、声がわずかに震える

匠に突き付けていた銃口も外れていた
今、自分が銃を手にしている事さえ既に意識に無い事は 誰の目にも明らかだった

そんな虚脱状態のハルを護る (まもる) ように
秘書の男がそっとハルの横へと移動する




「ジンは コイツの罠で死んだと言ったんだ・・・・・

 ただコイツは、大きな思い違いをした
 それは・・・
 ジンのパートナーだった恭介も 一緒に捜査していると思った事・・・

 いや、仮に捜査まで同行していなくとも
 きっと親密な関係にあった恭介にも
 自分の話しをしていると・・ そう勝手に思い込んだ」



「勝手な・・・・・思い込みだと・・・・?」
足元の委員長が顔をあげ
自分の横に立つオヤジと 数メートル先で振り返り、自分を見ている浅葱とを
交互に見遣った

 

「ああ、だが恭介は ジンから何も聞いちゃぁいねぇ・・・・
 ・・・だな? 恭介・・・」

浅葱は悔しそうに唇を噛み締めると、小さく頷いた





「委員長よ・・お前・・・
 本当はジンを殺した爆発で、二人とも殺る予定だったんだろう?
 が、思惑は見事に外れ 恭介一人が生き延びた・・・・

 焦っただろうなぁ・・・・
 自分の秘密を握ってるヤツが まだ生きていると思ってるんだからな
 すぐにでも恭介を殺ってしまいたかっただろうよ

 だが、ジンの死の直後に恭介まで、、、となるとさすがに怪しまれる
 で、思いついたのが お前だ、ハル・・・」



「・・・・・違う・・」 
ハルが小さく首を振り呟いた



「兄貴がこっちの組織に居ながら、お前は結構バカやって荒れてたらしいな
 この資料だと、お前が荒れ始めたのは
 ご両親が事故で亡くなってから、らしいが・・・

 街でロクでもないヤツ等と組んで悪さをしていた反面、兄貴を敬愛する弟・・・
 両親が亡くなり、唯一の家族となってからは その兄への想いは更に深くなる

 そんなお前に目をつけ 利用し、恭介を殺らせようとコイツは思いついた

 その為に まだ意識のハッキリしない恭介を病室で審議会にかけ
 自分がやったという内容の証拠を捏造し、お前に見せた」



「捏造・・・・・・
 全てが嘘・・・・・・・・」


 
「ああ、、そもそもだ、意識のハッキリしないヤツをいきなり病室で審議なんて
 おかしいだろうよ?
 まぁ、今回と同じく、公式なモノじゃなかったんだろうがなぁ・・

 それに 顔も公表されないはずの審議会で、録画なんぞ録るのもおかしい
 ・・・そうは思わねぇか?
 
 だが怒りに我を忘れたお前は、それを見事に信じ込み
 恭介を兄貴の仇として狙い始めた
 
 その為の組織や資金も、コイツが相当援助したんだろ?
 そこのバカ医者を ハル、お前に引き合わせたのもどうせコイツだろうよ」




「わ・・・・わたしは・・・・・・・なにも・・・・・」
自分の事を口にされた途端、老人は庇護を求める様にベッドの上を
ズルズルと鞄を引きずりながら ハルに擦り寄った


 


「そしてお前は この委員長が恭介を殺りたがってる本当の理由を聞くことも無く
 その医者の作る薬を巧みに使い
 恭介に対する憎しみだけで、組織のトップに上り詰める

 で・・・・罠を張り、匠を連れ去った・・・・

 ・・・・ジンの死の真相はこんなとこだ・・・・

 恭介は、俺にも何も言わねぇからな・・・・
 お前さんの事を いつジンの弟だと気付いたかは知らねぇが
 お前達二人の間に私怨があるのは、側で見ている俺にもわかってたぜ」



「ご両親の葬儀の時に、ジンに付き添って・・・ 弟だと紹介された
 まだその頃は・・・ 春が悪さをして困ってると・・ ジンはそう言って笑って・・・・
 そのハルが 相手組織のトップだと気付いた時は驚いた・・・・」

浅葱がハルを見つめる

が、ハルは無言のまま オヤジの横に居る委員長を睨んでいた



その視線に
「し、知らん・・・嘘だ・・・・
 そんな書類1つを信じて・・・・ この私を疑うのか! ハル!
 デタラメに決まっているだろっ!!」
委員長は四つん這いのまま、小刻みに首を振った







「いいえ
 ここに書かれている内容は 残念ながら本当の事・・・ 事実です
 今、裏付けを取りました」




刻印 -221へ続く
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刻印 -219

「あの時は・・・まだ意識を取り戻したばかり・・・・
 意識が朦朧とする中、そのまま・・・
 病室でいきなり審議会にかけられた・・・・

 しかもジンが死んだと聞かされた直後・・・ショック状態だった・・・

 全てが・・ もう どうでもよかった・・・
 自分だけが生き残った事が許せず・・・・

 ・・・・すぐにでもジンの後を追うつもりで・・・・」



その言葉に 匠と深月が一斉に浅葱の方へ顔を向ける



だから浅葱さんは、いつもあんな無茶を・・
いつだったか・・・
浅葱さんは死を恐れていない、それどころか望んでいるのでは?と思った事を
深月は思い出していた





「自棄になっていた・・・
 病室での審議会・・・ 誰が何を言ったのかさえも・・・
 本当に何も覚えてはいない・・・・・」


必死に思い出そうとする浅葱の顔が苦悩に歪む
 

「委員が・・・ 他人が・・・
 簡単に・・・ ジンの死を口にする事が・・ 我慢できなかった
 早く終わらせたかった・・・・だから・・・ 
 言われるままに 全てYESと答えた・・・・・」



「何も覚えていないだと・・?
 ほう・・・・・都合の良い事だな・・

 では、後を追うつもりのお前が なぜまだ生きている!?
 さっさと死ねばいいものを・・・
 どこまで口先だけの言い訳を並べるつもりだ・・・ いい加減に・・・・・・・・」




「ちょい待ちー」

二人のやり取りを遮るように、オヤジが執務室から現れた


右手に銃を握り
その体の左側には しっかりと軍服の襟元を掴まれた委員長が
四つん這いに近い格好で引き摺られる様にして歩み出てくる



「恭介が今、生きているのは俺が止めたからだ・・・
 んで・・・
 この問答の真相は・・・ コイツと・・・この中にあるようだぜ、恭介・・」

そう言ってオヤジは委員長から奪い取った小型の端末を掲げて見せる




委員長の男は いきなり引き摺り出された目の前に
ハルと浅葱が揃って居るのを見て  「ヒィ・・・・」 と小さな声を上げた
四つん這いのまま後ずさろうとするが
「おとなしくしてろ」 オヤジの手が首元を捉え、離そうとはしない





「大丈夫か? 二人とも・・・・・」
「おやっさんっ!!! ・・はいっ!」
深月の返事にオヤジが頷く




「長い間 お前さんとは、やり合ってきたが・・顔を見るのは初めてだな、ハル・・

 恭介が言った事は嘘じゃあねぇよ
 と言っても、俺と恭介が知り合ったのは その審議会の後で
 実際に診察した訳じゃあねぇがな

 何も覚えてねぇ・・ってのは・・・
 たぶん爆発に巻き込まれた事と、ジンの事でのショック性健忘・・・
 まぁ、一時的な記憶喪失・・・みてえなもんだ」


「お前が工藤か・・・
 審議会の後・・・・それならば 真実が何かは知らないはずだ
 口出しはするな」



ハルは睨むようにオヤジを見つめた後
その足元に居る委員長に目を向け嘲笑する

「フン・・・ いい格好だ・・・・
 NO.2も地に堕ちたな、よく似合っている」


「黙れ!ハル! お前がさっさと・・・・・・・」
そこまで言いかけて委員長はハッと言葉を止めた




そんな足元の委員長に オヤジは視線を落とす
「真実か・・・・ ああ、その通りだ
 俺が恭介と知り合ったのは、ジンが亡くなった後
 
 だからジンと恭介の事も、その事件の事も 俺は何も知らねぇ・・・・
 いいや・・・
 ”知らなかった” と言う方が正しいかな・・・」


「・・・・かった・・?」
ハルが眉を寄せる


「ああ、知らなかった。
 だが 今はわかってるつもりだぜ・・
 少なくとも、今のお前さんよりは・・・な
 それは、ここに真実があったからだ」

オヤジは再び委員長の端末を高く掲げ、ハルを見た


「これはな、コイツが・・・ この腐ったNO.2が命を懸けてまで守りたかった秘密
 それこそが、ジンの死んだ事件の真相だ」




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刻印 -218

匠の額に銃口を付けたまま、キッと睨み付けるハルの顔は
今までと違い 暗い憎しみに満ちたものに見えた



その表情に 浅葱も懐疑の表情を浮かべる

「何も・・・? 何も・・とはどういう意味だ
 お前は何を知っていると言うんだ・・・ ハル・・・・・」


「何を・・・・だと?
 この期に及んでまだシラを切るのか・・・」



じっと浅葱の顔を憎悪の目で見つめるハルが口を開く



「ジンの死の真相・・・・・・・
 そこまで言えば、さすがのお前も 良心の一つでも痛むか?
 私に懺悔でもする気になるか・・・?」


「ジンの・・・・ 死の・・・」
浅葱の体がピクンと反応する

右手で銃を構えたまま
左手が自分の心臓の上・・ 上着の胸元を掴むように握り締めた




「どういう事だ、ハル・・・
 お前はジンの最期を知っていると言うのか・・・・・?」


「ああ、知っている・・・」  鼻先で苦笑しながらハルが答える
「誰が、いつ、どこで、どんな風に殺ったか・・・・・・全てをな・・
 どうだ・・? 私が知っているとは誤算だったか?」


「誤算・・・・?  誤算とは、いったい・・・・・・」


「もう芝居はよせ、恭介・・
 愛しいタクミの前で 私に懺悔し、許しを乞うなどという惨めな姿をさらすのは嫌か?
 それとも、愛だの幸せだのとほざいていた そこの甘っちょろい男の手前もあるか?
 
 だが・・・ タクミも、お前もよく聞いておけ・・
 この浅葱恭介という男の本性を・・・」

ハルは銃口を突きつけたまま、匠とその後ろにいる深月の両方へ視線を向ける



「浅葱さんの・・・・本性?  ジンって・・・・」
深月が思わず呟いた



「ああ、この浅葱という男は 自分の利欲だけで大事な仲間を殺した
 仕事でも・・・ 私生活においても大切なパートナーだったはずの男をな」


「そんな・・・・浅葱さんはそんな事は絶対にしない!
 そんな人じゃない!!」
深月が手錠を鳴らし叫ぶ




「やはり甘いな、お前は・・・・
 私も・・・・ 私も初めはそう思っていた
 そう思うからこそ、ジンを・・・・
 私の大事な・・・たった一人の家族だった兄を、浅葱に託した
 恭介ならば、大丈夫だと・・・・・・・
 恭介なら、兄を幸せにしてくれると・・・

 だが・・ その想いは見事に裏切られた
 コイツは・・・・ 
 恭介は・・・ 自分の欲を満たす為だけに・・・ ジンを殺った・・・・・
  
 ・・・今思えば、私も甘かったな・・・・」


「兄・・・・・・って・・・」
深月が驚いたように ハルの美しく憎しみに歪んだ顔を見つめる

「ジン・・・さんが・・・・・・・・・お前の・・・」
それは その場に居る匠も
そしてハルの話をじっと押し黙って聞いていた秘書の男も同じだった





「待て、ハル!
 どういう事だ、俺は知らない
 俺は未だに、ジンの最期を知らない・・・・・・
 俺がジンを殺しただと?
 そんな馬鹿な事があるはずかない!!
 ジンは・・  ジンは何故 死んだんだ!!」



フッ・・・とハルが大きな溜息をつき呆れたように浅葱へと向き直る


「まだそんな事を・・・・・・
 ジンの死後にかけられた審議会で、お前は全て自分がやったと認めている
 その時の録画も サインされた書類も、私は見た 
 あれは偽造などでは無い、本物だ

 だが、お前は一切お咎め無し・・・
  
 何故だ・・?
 ジンを殺しておきながら・・・・ どんな取引をした!?

 今のお前は、ジンの死を踏み台にして存在するのだ 
 
 ・・・今更 私に懺悔などして貰わなくて結構だが
 最期まで お前の事を、本当に愛し信じていたジンを
 これ以上冒涜しながら一人生き延びるのはやめてもらおう・・
 潔く全て認めてここで逝け、恭介・・・・」



浅葱が小さく頭を振る・・
「違う・・・
 俺は・・・
 あの時は・・・・・・・・・・」

ハッキリしない過去の記憶をたどる様に 浅葱が声を絞り出す




刻印 -219へ続く
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プロフィール

凛

Author:凛
BL・MLを日々妄想してる腐女子

しかもかなりハード目が好きな壊れかけ

SM・拷問等の酷い描写が苦手な方は、ご遠慮ください

1作目 『刻印』
2作目 『華燭(かしょく)の城』 
完結しました。
ブログタイトル下のマップより全話読んで頂けます。
『刻印』の簡単な解説はこちら から


まだまだ初心者故、描写の至らない点
設定の矛盾は笑って見てください 

読みやすく・・と思っているので、長編小説ですが、各回短く、短文、1日1回UP予定です


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