0-story

18禁 BL小説です。主に拷問・凌辱等ハード系。 こういう小説に興味の無い方、嫌悪感がある方はご遠慮ください。サイトマップより一気読み出来ます
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刻印 -25

ジャラジャラと鎖の音が頭の中で響いていた


・・・・・・・・・鎖・・・・・・・・・・



匠は目を開けた

老人に打たれた薬でしばらく眠らされていたらしい
視界がぼやける・・






音がする上方へゆっくり目を向ける


自分の周りを4人の男達が取り囲こみ、その横にあの白衣の老人がいる
男の姿は見えなかった





男達は匠をどこかへ移動させようとしているのか
手を縛っていた鎖を外そうとしていた

ジャラジャラと聞こえていたのは、その音だ


老人は 匠の横に屈み込み、点滴のパックを取り替え終ったところだった




老人の屈み込んだ丸い背中・・
匠は老人との おぞましい行為を思い出した

嫌悪感で気分が悪くなる・・









ダメだ・・・ 今は・・・ 今はチャンスだ・・考えろ・・・・・
・・・考えるんだ・・  ここから出る方法を・・・


強く目を閉じ、今 自分がすべき事に必死で神経を集中させた


もうすぐ鎖が外される・・ あの男はいない
相手は老人と4人の男
幸いにも意識を取り戻した事はまだ気付かれていない
脱出するなら・・・・  今しかない


薬でまだ頭がハッキリしない
体もまだ回復していない

・・・だが・・・

もうこれ以上 ここで好き勝手に弄ばれる訳には・・・・・





どうする・・・


どうする・・・!!








足元に老人の持っていた金属トレイが置かれているのが見えた





その時、ガシャン! と音がして鎖が床に落ちた・・・・
ずっと縛られていた腕が 一瞬自由になり フワリと宙に浮く


その音と感覚で 反射的に体が動いていた


自由になったばかりの右腕に、渾身の力を込め 
そのまま一番近くにいた男の顔面に一撃を見舞う





「グハッ・・!」

男がひるんだその隙間を縫って前に出ると
トレイの中のハサミを握り取った

目の前に居た老人の首に右腕を回し、左手でハサミを喉元に突きつけた・・・




老人の体に触れた瞬間
あの悪夢が蘇り 自分の体が震えたのがわかった・・





いきなりの出来事に老人は驚き 「ヒィィィ・・」 と小さく声をあげ
ふい打ちを食らった男は 顔を押さえてもんどりうつ









全てが一瞬の出来事だった





ハァ・・・

ハァ・・・


そのまま チラ と後ろを見る
扉まで数十メートル



老人を盾に、ゆっくりと後ずさる



「・・手を上げて・・・ そのまま・・・壁まで・・・さがれ・・・・・・」
4人の男達に向かって言う


声を出すと息が苦しかった・・


だが、弱っている事を悟られる訳にはいかない
驚き動かない男達にもう一度  「さがれっ!」  と大声で叫んだ



胸が張り裂けそうだった・・




「こ・・ 殺される!! お・お前達・・言う事を聞けぇっ・・!!! 
 私がどうなってもいいのかーー!・・・・ さがれっー!」

老人は恐怖し、叫んでいた




刻印 -26へ続く
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刻印 -24

ポイントは点在していた
何の脈絡も無く、ただ無闇に走り回った・・という印象だった

それでもどこにヒントがあるかわからない
調べるしかなかった


港の貸し倉庫
都心のオフィス
郊外の一軒家・・・・・

オヤジをマンションに残し 6人はそれぞれの分担ポイントへ散った




郊外の一軒家へ向かう車の中で浅葱はずっと無言だった
助手席で 深月はずっとPCを操作していた


時折 浅葱の顔を見るが、真っ直ぐ前を向いたままの顔をみると
何も言わず またPCに向かった




インカムに マンションから一番近い都心へ向かった別班から連絡が入る

「こっちはもぬけの空だ、使われた形跡さえない
 完全なダミーだ」


その声に応えるようにオヤジの指示が飛ぶ
「了解ーー。 じゃ、次は・・・・・・」





オヤジの前にあるPC画面に ×印が増えていく

×印が増えるのと同じ速度で、また新しいポイントが点滅し始める
それはまさに  ”いたちごっこ”  だった




「ぁあああーーー! もうキリがねぇええ!」
オヤジは一人 部屋で叫んでいた









オヤジが指示した郊外の一軒屋に着くと 浅葱はさっさと車を止め降りて行く

「あ・・ 浅葱さん! 敵がいるかもしれません!
 僕が今スキャンしますからちょっと待って・・・・・・・」



「必要ない」
深月が言うのも聞かず 浅葱は平然と庭を横切り入って行く


「そんな・・・・ 危険ですっ!!」

後ろで深月が叫ぶが、浅葱は扉の前で一瞬立ち止まっただけで
いきなり 扉を蹴破った


「あ・・ちょ・・・ちょっと・・・・!! 無茶過ぎですよっ!」








一見、建物の中は真っ暗で、人影はない


浅葱は手前から順番に部屋の扉を次々と蹴っていく


深月はタブレット片手に焦っていた
”手がかりを・・ 何でもいい、探さなければ・・・・”




浅葱がテーブルやイスを蹴って行くせいで、室内は散乱し酷い有様になっていた
深月は その荒れた部屋を必死で確認していくが
ここもダミーらしく、何の手がかりも見つけられない





そこへ、奥の部屋まで扉を蹴って行った浅葱が戻ってきた

「帰るぞ。 次だ」
それだけ言って サッサと家から出て行く



「え・・ちょっと・・ 浅葱さんっっ!!!」
そんな浅葱に深月は戸惑っていた

”もっと丁寧に捜査をすれば まだ、手がかりだってあるかもしれないのに!”




それでも渋々 浅葱の後ろについて家を出る




「どうしてですか?! ・・もっと細かく探すべきじゃないんですか!?」
車の中で 深月は食い下がった



浅葱は 「無駄だ」 と一言返しただけだった








次のポイントへ向う間も 浅葱はそれ以上何も話さなかった


”どうして・・何故・・・!”
深月の中に怒りとも困惑とも取れる感情が沸き上がっていた




刻印 -25へ続く
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刻印 -23

マンションには6人の男達がいた


オヤジの隣で若い男がPCを操作している

他の4人は思い思いに装備の手入れをしていた





ガチャ・・


ドアが開き 浅葱が戻って来たのを見ると
男達は口々に 「おう」  「久しぶりだな」 と 声を掛ける

オヤジの隣の男も振り向き、軽く会釈した






懐かしい顔もあった
生死の間を一緒に潜り抜けてきた顔もあった


「今回は すまない」
部屋に入ると浅葱は立ち止まり頭を下げた



いつになく神妙な口ぶりの浅葱に
その中の一人が 「気にするな」 ポンと肩をたたく






全員が 事の成り行きを理解していた
組織より、オヤジや浅葱を信じる男達だった





「久々の再会だろうが 時間が無い」

オヤジが浅葱に声をかける

「今現在 仕事が入ってないヤツで
 今回のこのヤマを任せられるのは これだけしか居ねぇ・・
 任務中のヤツを引き抜くと 上にバレるかもしれねぇし
 テキトーな人材じゃ、信用できねぇからな・・」


「ああ、わかっている、十分だ」

正直、このメンツなら 20人・30人の大部隊より心強いと浅葱は思った




「・・・・それで、どんな具合だ?」
浅葱がPCの側に来て画面を覗き込む


「あ、こいつは初めてだったな・・」
オヤジが隣の男を見ながら言う


「この若いのは 流(りゅう)・・ 深月 流之介(みづき りゅうのすけ)
 オレの一番弟子だ
 実戦要員じゃねぇが、情報収集の腕は ・・・まぁ・・俺の次ってとこだな」

「深月です」
そう言って 男は頭を下げた

「よろしく頼む」





2人の挨拶が済むのを待ってから、オヤジが話しはじめた

「とりあえず・・・・
 ビルから出た車の行き先はすでに数ポイント判明している
 
 まぁ完全に姿を消しちまうと、恭介を呼び出す目的にはならねぇから
 わざと痕跡を残してるってぇ感じだ
 
 かと言って 素直にアジトまでドーゾって訳でもねぇ・・

 このポイントはほぼ全部が罠、もしくはダミーだと考えるのが妥当だろうな

 ・・どうする? 恭介・・」



オヤジが 点々と赤い印の付いた地図画面を見せる




「みんなには申し訳ないが、それでも行くしかない
 
 ・・・今までに判ってる場所を1つずつ潰す
 2人ずつ分かれて3班・・・オレは一人で行く
 
 途中で手がかりを見つけ、一気に4手5手先に飛べれば
 ヤツ等の思惑より早くたどり着く・・」



「申し訳ないなんて、お前らしくないぞ
 オレ達はその為に来たんだぜ」
一人がそう言うと、皆 同様に頷いた



「僕も浅葱さんと一緒に出ます。 現場での情報収集も必要です」

深月が振り返って言った



一瞬考えて 「よし、来い」 とだけ浅葱が答える


全員が身支度に取り掛かった




刻印 -24へ続く
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刻印 -22

「私のも慰めてくれ・・」

老人は確かにそう言った




信じられなかった・・・・

眼の前には背の低い白髪の老人
ニヤリと笑うと 不揃いな前歯が見えた
ボサボサの髪は肩までかかり、御世辞にも清潔とは言えない白衣を着ていた
その老人が奉仕しろと言っている・・

匠は嫌悪感しか感じなかった





老人のまだ小さなモノが目の前に引っ張り出され
匠の顔へ近づいてくる



「やめろっ・・!」

叫んではみるが両手を縛られている匠は逃げる事もできず、
ただ唇を噛んで目をキツク閉じ 顔を背けた



「そうか・・手は無理だったな・・」

老人は 縛られている匠の鎖を見てそう言うと
匠の唇に自分のモノを押しあてた

そして そのままヌメヌメと擦り付ける




「・・・・んっっ!!!!」


気持ち悪さに呻く

「ほれ・・・少しでいい・・・口を開けろ・・・」




顔を振って拒絶するが
頭を押さえられ とうとう匠の口に 無理矢理それは押し込まれた

「ほれ・・・・・・ほれ・・・・・・・・」
「・・ぅっ・・・・・・・・んっっっ・・」



「噛むんじゃないよ・・」

そう言って匠の頭を持ち、腰を動かし始める


「んぁ・・・くっ・・・・・ン・・ん・・・・・・・・んっ・・・」




無理矢理に突っ込まれるモノのせいで息ができない
喉の奥にあたって吐きそうになる
それでも老人は匠の頭を離そうとしなかった・・・


「んっ・・・・・ん・・・・ んぁっ・・・・・・・」


口の中で老人のモノが徐々に大きくなっていく



”・・・・や・・・やめろっ・・・・・はなせっ・・・”
口を塞がれ声にならない・・




何度も何度も それは強引に喉の奥で出し入れされた
苦しさにもがく・・・





その時だった・・
「ぁあ・・」 と言う老人の声と共に 匠の口の奥に何かが放出された


「・んっっ・・くっ・・・!!・・・」






「・・・ぁああ・・・・イイ・・・・・・・・」

口の中でヒクヒクとそれは動いている






老人は暫くそのまま匠の口の中で恍惚感に浸っていたが
やがて満足がいったのか やっと自分のモノを引き抜いた


「うっ・・・ぐはっ・・・・・・・・・・・・・・・・っっ!」




ゴホッ・・・・・
ゴホッ・・・・・・・・・



匠は思わず口に出されたモノを吐き出していた・・・・・・







「・・・ぁあ ・・久しぶりだ・・・ やはりイイ・・・  また頼むよ・・」
そう言って老人は笑った





「さて・・・・・ そろそろ準備をしないとな・・・
 しばらく大人しくしてもらおうか・・」

老人はまだ咳き込んでいる匠の腕に注射針を突き刺した




刻印 -23へ続く
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刻印 -21

バタン・・・


重い扉の閉まる音がして男は見えなくなった




体はまだ重く動かなかったが
男が居なくなった事で呼吸は徐々に落ち着いていく




匠は言い様のない虚無感に襲われていた


男に・・ 犯されたんだ・・・ と・・

まだその激しい痛みは ハッキリと体の中にあり
足には男の吐出したものが溢れている・・・・







茫然とする匠に 一部始終を見ていた老人が 近づいてきた


「楽しませてもらったよ・・ 私も久々に興奮した・・」
そう言うと足元のローブを拾い上げ、匠の肩に掛ける

たった1枚のローブだったが、匠はやっと大きく息をついた・・





が・・
老人の湿った手は そのまま匠の胸へと下りてきていた


”・・・!!・・・ なにを・・・!”


もう終わったと思っていた・・
しかも目の前に居るのは、白髪の老人・・・・・




男が出て行き、緊張の糸が切れかけていた匠の体が
またビクン・・ と反応する






老人はその湿った手で匠の体を触り続け、そのまま胸を撫で始める
胸の先を摘み コリコリと弄りながら
「若い体はいい・・・・・」 不快な声で呟いた



「・・・んっ・・・・・・っっ・・・」
敏感な体がその指で痛む




そして老人は胸に顔を近づけると、舌を出し、匠の胸を舐め始めた
傷も、弄っていた胸も、執拗に舐めていく


絡みつく様な、ねっとりとした感覚・・・・
あの男とはまた違う不気味さと不快感だった




匠の掛けているローブの前をはだけさせ
胸から腹へ・・ そして下腹部へと這うように下りていく
それはまるで爬虫類が這い回っている様に似ていた



「や・・やめろ・・っ・・!」



顔を背ける匠に老人が呟く

「心配しなくてもいい・・ 私は あの方の様なことはしない・・・ もう出来ない
 だからほんの少し楽しませてくれるだけでいい・・・・」
 


そう言って老人は たった今 男の手でイカされた匠のモノを手にとると
ゆっくりと口に運び、長い舌を絡みつかせた



「んっ・・・!!・・」

「まだ残ってるのか・・? きれいにしてあげよう・・」




粘液を吐き出したばかりの 匠の先の穴を刺激するようにチロチロと舐め
小さな穴に舌先を差込んで チュゥ・・と吸い上げる

「・・・うっ・・ん・・・・!」
「ほぉら・・ まだ出てくる・・・」


嬉しそうにそう言って 匠のモノを吸い続ける






「や・・ めろ・・・・・ぅっっっ・・」


呻く匠の前で 老人は自分のズボンのファスナーを開け
モノを引っ張りだすと、匠の目の前に差し出した




刻印 -22へ続く
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刻印 -20

ハァ・・
ハァ・・

ハァ・・


ハァ・・


男のモノが引き抜かれ、少しづ落ち着いていく呼吸・・



ジャラ・・・・・

匠はやっと握り締めていた自分の拳を開き、鎖を離した

ガクンと体が一段揺れる




胸の傷も、縛られた手首も、膝も、もう限界だった
疲れていた
酷く体が重かった



が・・
体の中には まだあの男の感覚と痛みがハッキリと残っていて
体は熱を持ったままだった



そんな体に まだ薬は確実に滴下されている




ぐったりとうなだれたまま 「針を・・・ 抜いて・・・ くれ・・」
そう呟いたが返事は返って来なかった





男はその匠の様子を眺めながら 自分の衣服を整え終えようとしていた



放心している匠に近付き、その顔を指で持ち上げる

うっすらと目を開けた匠に 男はその唇を合わせた



「・・っ・・」

匠は小さく声を出すだけだった





「最初は浅葱を呼ぶエサのつもりだったが・・
 本当に返したく無くなったよ・・ タクミ・・
 ずっと私の側にいないか・・・?」


その男の声に 匠は子供の様に首を振る


「そうか・・・残念だ・・
 では最初の約束通り・・少々強引だが私の物になって貰おう・・
 最高のプレゼントを上げなくてはいけないな・・」



プレゼント・・
約束・・・



熱い体と、重い頭で記憶を呼び起こす


”印を・・・・” そう言った男の声を思い出していた



・・・・印・・・・・しるし・・・



それ以上は考えられなくなっていた





「私が戻るまで、大人しく待ってるんだよ・・タクミ

 先生、後の準備はお願いします」


そう言うと男は ローブの様な上着を1枚匠の足元へ投げると部屋を出て行った





刻印 -21へ続く
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刻印 -19

匠の中の過敏な神経を 執拗に逆立たせてから
男の指は引き抜かれた



ハァ・・・・

ハァ・・・・

ハァ・・・・



まだ呼吸が整わない匠の後ろに 男のモノが押し付けられる
それが何かは・・・・  判っていた・・



「・・・ !! ・・・ やっ・・・・・やめ・・・・・ろっ・・・・・」


満足に息をすることが出来ず言葉が出ない・・




男は匠の腰を両手で掴むと
今まで指が入っていた場所に、自分のモノを押し込んでくる

狭い入り口が無理矢理こじ開けられる

「ぅぐっ! ・・ぁあっ・・・・・・んっ!!!」


その声に満足なのか 男の腕に更に力が入り グッッッと腰を引き寄せた

「んっっ!!・・・・ぁあああああ・・・!!」



体の奥からの張り裂けそうな痛みに 匠は声をあげた
それは悲鳴に近かった


「いいよ・・ タクミ・・・ 叫んで叫んで・・ 浅葱に助けを求めろ・・・」




男は容赦なく自分のモノを匠の中にねじ込んでいく



「ぁああああ!!!! やめろっっ! ・・・んっ・・・あ・・・あっ・・・・あっ・・・!!」






少しでも男のモノを抜こうと体を動かすが
その度に呼吸は苦しくなった

匠は自分を縛っている鎖を 両手で強く握り締めていた



四つん這いで下を向いている匠には 
自分の胸の傷から、ポタポタと床に血が滴るのが見えていた
そして・・・ 何故か意思に反して、大きく反応している自分のモノも・・・・



・・・・男に犯されている・・・・



「やめ・・・ろ・・・・・・・ は・・・ な・・・ せ・・・・・」


匠は支配される悔しさに唇を噛んだ
嚙み締めた唇の端から 一筋の血が伝う



男は匠を振り向かせると その唇端を舌で舐め そのまま唇を塞ぐ・・

「・・・んくっ・・・・ん・・・!」

口を塞がれ、更に呼吸は苦しくなる





男は腕を伸ばし、体の前に回した片手で匠のモノを握った


「いい子にしていれば、気持ちよくなる・・・・」

男の囁く声がした


”いやだ・・やめろ・・・離せ・・・・・・”


もう声にならなかった・・




振り向いた目で男を睨みつける
・・せめてもの抵抗だった






男は そんな匠を見て フッ・・と笑うと
腰の動きを早めた


「くっ・・・!!!  んっ・・!  ・・ん・・・!!」

「ほら・・・・・・ タクミ・・・・・・ もっとだ・・」

「ぁ・・・ぁあああ・・・・ぁ・・・ぁ・・・・んっ・・・んっっ!」



匠の声を聞きながら、男の動きが一段と激しくなる
と、同時に擦り上げる手の動きも早くなった


「んっ・・・!んっ・・・・・! ん・・・・ぁ・・・ぁああ・・」
「タクミ・・・・・・・・・・・・」





声をあげ、体を反らせ、鎖にしがみつく自分がいた・・・
感じたくはなかった・・
が、体は確実に反応し、限界を迎えようようとしていた

「ぁ・・ぁ・・ぁ・・・ぁあああ・・・・んっ・・・・ぁあっ・・・っぁああああああ!!!」




悲しい絶頂の声と同時に 男の動きも止まる 

男のモノが 自分の体の中で脈打っているのを
匠はハッキリと感じていた




ハァ・・ハァ・・

ハァ・・ハァ・・



匠の激しい息遣いが響く




押さえ込まれたままの腰
その体内に 男から射出された物を受け入れていた







体の中のモノをズッ・・・ 引き抜かれると 匠は小さく声をあげる・・

足に何かが流れ出るのを感じていた・・




刻印 -20へ続く
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刻印 -18

「今度はタクミが 私を満足させる番だ・・」

自ら全裸になった男はそう言うと
片手で匠の背中を押さえ、片手で腰を引き寄せた


手首を天井からの鎖で縛られていなければ
四つん這いで尻を高く上げた格好になる


「んッ・・・」
「いい格好だ・・」

匠の穴までが露になっていた



「ここは初めての様だな・・」

男は、匠のそこに唇を当てると 舌先で舐め始めた

「・・・んっ!!」 
腰を引こうとするが、押さえつけられた体はビクともしない


「や・・やめろ・・・・っ・・!!」

言葉とは反対に、たった今 男の手でイかされたばかりの匠のモノは
また反応し始めていた


「もっと声を出せ・・・」
 


舐めながらゆっくりと 指で穴の周囲を触る
そして クッと指を曲げ、舌で濡れた穴にそのまま指を滑り込ませた

「・・んっ!!あ・・!! んっっ・・」



いきなり入ってきた指に ビクン・・と更に体が反応する



「狭いな・・・・
 この窮屈な場所に私のモノを飲み込むんだ・・・・
 ほら・・ ここだ・・・」


男は匠の中の指先を 楽しむ様に動かした


「んっ!! ・・・ぁ・・・やめ・・・ろ・・・」


体に力を入れて男の指を排除しようとするが
薬でコントロールできなくなっている体はいうことをきかない



そればかりか下腹部は快感を増し、穴は緩んでいく




・・ズ・・ ズ・・・・・・・


初めての感覚に匠は顔を歪ませた

「っ・・・ん・・・っ・・・っう・・・・・・・・・・・・・・」



男の指は匠の奥へと入っていく



「ぁあっ! ・・・・や・・・め・・・・・んっ・・・・!」

体を仰け反らせ、女の様に声を上げている自分が嫌だった
逃れようとしても 後ろから腰を抱え込んだ男の力は強い・・

・・・・屈辱的だった





「もうすぐ全部入る・・・・ どうだ・・ 気持ちいいか?・・ フフ・・」

そう言うと 最後は一気に突っ込まれた


「・・・ぅんううっ・・・!!!!」



痛みに匠は呻く事しかできなかった





一旦 男の指が停まる

 ハァ・・・・

 ハァ・・・・

呼吸を整えようとするが
肋骨は激しく痛み、心臓も爆発しそうな程脈打っていた

胸の傷も開き、また出血し始める





そしてまた男の指が 匠の中で動き始める

「んっ!!!  ・・あ・・・っ・・・ぁあああ・・」

「さぁ・・  タクミ・・ ここに私を受け入れろ・・」




刻印 -19へ続く
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刻印 -17

「や・・・・・  やめ・・・ろ・・・・・・・・」

男は何も言わず 匠の服を脱がしていく
どんなに逃れようとしても、それは虚しい抵抗だった




両手を天井からの鎖で縛られ、全裸でひざまずく匠・・

その匠の姿を 男は満足そうに眺めていた



「やはりきれいだ、 タクミ・・
 キミは私の最高傑作になる・・・・・」




男は 匠の胸の傷を嬉しそうに指でなぞり
背後へ回ると、手の掌で背中に触れる 




「ここに、私の印を・・・」
そう呟く声が   聞こえた様な気がした







男は後ろから匠を抱く様に腕を回す



「さわる・・な・・・・ はな・・せ・・・・・・」


強く抱かれた腕から逃れる様に 体をよじると
男の腕の中で 折られた肋骨がギシ・・と軋んだ



その声を黙らせる様に 男は匠を振り向かせると 唇を塞ぎ
そのまま下腹部へと腕を伸ばすと 匠のモノを握った



「ぅ・・っ・・」
塞がれた口から 匠が小さな声を漏らす


「・・・タクミ・・」
男は匠の名前を耳元で呼びながら 握った手を、上下に動かし始める
波の様にうねる指先で、ゆっくりと・・・



「・・・んっ!・・・ぁ・・・ぁ・・・・んっ・・・んっ・・・」

その動きに合わせて匠の声が漏れる





”やめろ! 離せ! どうしてこんな・・!!”
頭の中で叫ぶが声にならない


催淫剤のせいとは言え、こんな男の手の中で感じる自分が悔しかった
が、既に体は敏感に反応し、自分の意思ではどうにもならなかった



「・・タクミ・・ ほら・・ もっと・・ もっと・・・・・」
耳元で囁くような男の声がする


時折 耳や首筋にも舌を這わされ
匠は体を大きく仰け反らせる

匠のモノを握った男の手は 大きく強く、止まる事無く動き続けていた




ハァ・・・ハァ・・・

ハァ・・・ハァ・・・


大きく吸えない空気を 細かい息遣いでしのいでいた

過剰反応する神経が逆立っていく






ゆっくりだった男の手が 徐々に動きを早め始めた

「ぁっあ・・・・・ やめ・・・・ や・・ めろ・・・・・」


上下する男の手の動きに合わせて、
後ろから抱かれた体ごと 無理やり腰を動かされる

「んっ・・ っ・・ぁ・・ んっ・・・ ぁ・・・・・・・ぁ・・・・」


信じたくない自分の声と
男の息遣いが ずっと耳元で聞こえていた







「ぁ・・! ・・・ぁ・・・くっ・・・んっ・・ぁ・・・んっ・・んっ・・・・・・・!!!」


匠の声が一段高くなり、絶頂が近いことを示す



「タクミ・・・・・・ 私の手でイけ・・・」


男の手の動きが早くなった



「ぁ・・ぁぁ・・ぁあ・・・やめろ・・・・・・

 はな・・せ・・・ ぁ・・・んっ!  ・・んっ・・うっっ・・・ぁっ・・・・。。」









匠は甘い声と一緒に 男の手の中に白い粘液を吐き出していた


ハァ・・・ハァ・・・

ハァ・・・ハァ・・・


体の熱さで匠は喘いでいた
自分の体で起こっている事が理解できなかった




「いい子だ・・・ これで少しは楽になっただろう
 本当の楽しみはこれからだ」



そう言うと男は 匠の目の前で自分の服を脱いでいく

細身に見えていた体は、強靭なアスリートの様だった・・




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刻印 -16

男は匠の顔を抱き寄せると その唇を指で撫でた・・


唇端から自分の指をゆっくり挿入し
抵抗出来ない匠の口を易々とこじ開ける


そのまま 唇を合わせてくる


「・・・ぁ・・・・んっ・・・・・・」



腕から容赦なく滴下される薬のせいで
少し触れられただけで声を漏らしそうだった


それほど感覚は研ぎ澄まされているのに
肉体は鉛の様に重く、まるで言うことをきかない




男の舌が容赦なく入ってくる


それはもうさっきまでの感覚ではなかった
何か別の生物が口の中で蠢めいている様だった


唇を塞がれ、男の舌が絡んできても
嫌だという意識だけで、体が動かない

顔を背ける。 ただそれだけの動作が酷く辛い・・





男は舌を絡ませながら、指で匠の胸の先に触れる

「・・ぁ・・・ぁ・・・んっ・・んっ・・」




塞がれた口から吐息とも聞こえる甘い声が漏れていた




匠は自分が発した声に驚く・・・・


その時 匠は、既に自分の体が
コントロールできない所まで来ている事を悟った




匠のその声を合図にしたかの様に 男は首筋から喉へと舌を這わせ始める

「・・・・・っん・・ん・・」


無数に付いた胸の傷を一つ一つ舐めていく
大きく開いた傷には舌先を挿し入れてくる

「・・ぅんんぁああっっ・・・!!」

痛みと快楽という相反の2つの感覚に思わず声を上げた



「・・・や・・・・やめろ ・・・・・・・・・・さわる・・な・・・・
 俺に・・・触るな・・・・」

やっとこれだけの言葉を絞り出した


が、男は 「そうか・・  ここがいいのか・・・・・」
そう言うと、傷口を指で押し広げ、生々しい傷の中を舌で舐め始めた



「んあっ・・!! ・・・・・やめ・・・ぁああああ・・・・!!」



声を上げるとズキズキと折れた肋骨が痛む
言葉を発するのも辛く 声は途切れ途切れだった



「ぁあっっ・・・っっ!!! ・・・浅葱・・さ・・ん・・」

「そうだ・・・・・もっと浅葱を呼べばいい・・・・・
 タクミのこの姿を見たら何て言うだろう・・・
 それまでにもっともっと美しく仕上げないとね・・・・」



男の手が慣れた手つきで匠のベルトを緩め、ファスナーを下げていく


「・・ !!! ・・・や・・・・やめ・・・・・・・」




冷たい手はそのまま下腹部を這い・・・・指先が匠のモノに触れる


「・・・はぁうっ・・・!」


ビクンと体が跳ねた


「もうこんなになって・・・・ 良い子だ・・・・ 
 窮屈だろ・・・ 脱がせてあげよう・・」




刻印 -17へ続く
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刻印 -15

肋骨が数本折れたのがわかった

止まらない出血で呼吸が浅くなる
その苦しさから、出来るだけ多くの酸素を吸い込もうと 本能が深呼吸を繰り返す
が、息を吸う度 胸が激しく痛んだ

「・・っ・・っぅ・・・・っ・・・くそっ・・」





「タクミ・・・ 君がいけないんだよ、私を怒らせるからだ
 ・・・・ 先生・・・・」

男が誰かを呼んだ





いつの間にか部屋の隅のイスに、一人の白衣姿の老人が座っていた


男に呼ばれると 「先生」 という男はゆっくりと立ち上がり
ペタペタとスリッパの音を立てながら、側にあった金属製のワゴンを押し
笑みを浮かべながら 近寄ってきた



「死なない程度で・・・・ ですね」
そう言うと老人は匠の側にワゴンを止める





ワゴンには金属のトレイが載せられていた
中にはメスやピンセット、鉗子といった類の医療器具が並び
他にチューブや液体の入ったパックもあった





老人は皺だらけの手で匠の左腕をとると
何かを探るように慎重に指先を這わせていく

その湿った手の不快な感触に 匠は反射的に体を引いた
ギリッ・・・と胸が痛む



老人はしばらく指を這わせていたが、ある一ヶ所で動きを止めた


「すぐに気持ち良くなる・・・」

湿った手の感触と同じように しわがれ
不快感しか与えないその声がそう言った




”気持ち・・  良く・・・・”
老人の理解できない言葉に目を開けた匠の視界に ワゴンとトレイ・・・
不気味に光る器具が見えた




「・・な・・  何を・・・  やめ・・・・ろ・・・・・」



老人はトレイの中から1本のメスを取り上げると
匠の腕の、その場所に当て そのままゆっくりと 深く切り裂いていく


「・・ウっっ・・んっ・・・! ぁああッ・・!!」

呻く匠の声にニヤリとする




振り払おうと腕を動かし拒絶するが、重い鎖が微かに揺れるだけだった

「動くんじゃない、場所がずれると 死ぬぞ・・・」
しわがれた声が不快に響く



老人は匠の内腕を8センチほど切開すると
傷口を開創器で無理矢理に開き固定する
そこへ針の様な物をズブズブと奥深く突き刺し始めた



「うっンッ!!!・・・ぁぁ・・・・ぁああぁあッ!」

傷口をえぐられ、異物を入れられる痛みに匠は声をあげた



長い1本目の針が切開口に収まると
2本目も同じ様に刺され、その先端にチューブが取り付けられていく



「ぁ・・ぁ・・・・・ああああっっ・・・んっっっぁあ・・・・!!」





その様子を見ていた男が嬉しそうに言う
先ほどの怒りは この一連の光景ですっかり収まった様だった


「もう安心していいよ、タクミ・・・・  これで簡単に死にはしない
 こんなに美しい玩具、出血多量で殺すなんて勿体無いからね・・・・
 それに、餓死や 衰弱死も困る・・  あれは非常に醜い・・・・」






匠の左腕には輸血用と、栄養補給用らしき2本の点滴の針が刺さっていた
そこから出たチューブと液体のパックは テープでグルグルと腕に留められた

今までに流した血を補う様に、輸血パックから血が送られ始める・・・



「針を抜こうとしても無駄だよ、先生は最高の名医だからね」


褒め言葉が嬉しいのか 老人が上機嫌で話し出す

「はい。 針は皮膚深く、埋め込むように入っております
 どんなに暴れようとも 抜け落ちる事はありません」
 
「ありがとう。先生、流石だ
 後でまたお願いします・・・・ それまでそこで見てて下さい」


その言葉にニヤリと笑みを浮かべ、会釈をして老人は隅に下がって行った





その直後だった


匠は自分の体の異変に気が付いた
朦朧としていた意識が急速にクリアになっていく感覚


いや・・・・ それはクリアという簡単な言葉では表現できなかった
そんな段階はとうに過ぎていた


全ての神経、感覚が研ぎ澄まされ、過剰なまでの反応を示していた



ドクン・・

心臓が1つ鼓動を打つだけで、体が熱を帯びる




ドクン・・

ドクン・・


次第に息苦しくなり、呼吸が荒くなる
同時に 折れた胸の痛みも増していった


”ハァ・・ ハァ・・・ 熱・・・い・・・・ 何だ・・・・この感覚・・・・”


そんな匠の様子を男はじっと見つめていた




ドクン・・・

ドクン・・・


「何を・・・ハァ・・・・ハァ・・・   ・・・俺に・・・・何をした・・・」


「効いてきた様だね・・・ 何って・・・・
 それは・・・・ そうだな・・・俗に 媚薬 とでも言うかな
 先生の作る薬はそんな俗っぽい名前で呼ぶには勿体無いけどね・・

 快楽の薬、催淫剤・・・ その他にも色々と点滴に混ぜさせてもらったよ
 残念ながら、鎮痛剤は入っていないけどね

 どうだ? 面白い趣向だろう? 
 その針が入っている限り キミは快楽から逃れられない
 しかし、それを抜けば今度は命が危うい
 さて、どっちをとる?・・・クク・・」


楽しむ様に 匠を見つめる


「そうだ・・・  その姿・・・・
 記念撮影でもして 浅葱に見せてやろう・・・・ 
 さぞ悔しがるだろう・・・・ ねぇ、タクミ・・・・」







ドクン・・・

ドクン・・・



体中の神経が逆立ち、
全身のありとあらゆる器官が敏感に反応していくのがわかった・・・




刻印 -16へ続く
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刻印 -14

・・・ビリッ・・!



シャツを破られ、上半身裸になった匠に 男は楽しそうに顔を近づけた
掛けていた匠のペンダントがチャリンと小さな音を立て床に落ちる



「良いな・・・・・ しなやかな、良い体をしている
 美しい筋肉も 背中も・・・・  肩も胸も・・・ 本当に私好みだ」




男は冷たい手で匠の体に触れ、確認するように入念に撫でていく

「タクミはどこが感じるんだい? ・・・どこを壊して欲しい??」

「・・・・・・・」



何も言わない匠の顔をじっと見ながら 男の手だけは動き続ける

「ここ・・・・ かな・・・   ・・・それとも・・
 ・・・・・・・ ここ・・・・」




「っ・・・・ やめろっ・・・ 手を離せっ・・・」

「手は嫌いか?・・・・・」


そう言うと男は近くのテーブルに置かれていた物を掴んだ


「では・・・ これなら、タクミの泣き声を聞かせてもらえるのかな・・・?」
男の左手には鋭く光るナイフがあった



一瞬 背中に冷たいものが走る

「フフ・・ ・・・・ 怖がらなくてもいい・・・・」




ナイフの切っ先を匠の喉元に ツっ・・とあてると
先端に赤い血の雫が溜まり、そして男の手へと流れた

「・・ツッ・・」

「どうかな? 気に入ってもらえると嬉しいが・・・」



・・・ツ、ツツツ・・・



ナイフはゆっくりと匠の胸の中心を通り 真っ直ぐに下がっていく
まるで色鉛筆で線を描く様に、赤い筋を引きながら・・・


「・・んっ・・・!」

「ほう・・・ 苦痛に歪む顔もいいね
 しかし、まだ声を聞かせてはくれないらしい・・・ 
 強情なのも・・・・ 好きだけどね・・・・」


言い終わらないうちにナイフが翻り
今度は左胸から右腹まで 斜めに一気に走った 


「・・!! ・・・ンッゥッ!! ・・・・・っっ・・」

「そうだよ、その声・・・
 もっと鳴いてごらん・・・ ほら・・・ほら・・・!」




ナイフは何度も縦横無尽に匠の体を傷付けていく
胸を、背中を、、腕を・・・

どれも深く刺さってはいないが、上皮を切り裂くには十分だった



ナイフが光る度、天井から吊られ膝で立っている匠の体は ギシギシと揺れた


「ハハハ・・・ アハハハハ・・・・・」
男の高い笑い声だけが響き渡る




・・・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・


・・・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・




肩で息をする度、幾筋もの傷から血が伝う
鎖が巻かれている手首にも体重がかかり 血が滲む


「・・っぁ・・・!・・・んっっ・・」

「もっと・・・ もっとだ・・・・・」



途中までは まだ薬で感覚も鈍っていたが
激しい痛みで急速に脳が覚醒していく

「ぅっ・・・ぁっ・・くっ・・!  ・・ぁ・・ぁあ・ぁあああっっ・・・・!」

「やっと体も目醒めてきたようだね」

「く・・・狂ってる・・・・  お前は・・・ ただの狂人だ・・・・
 お前なんて・・・・・ 浅葱さんの足元にも及ばないっっ・・!」



匠の顔を撫でていた男の右手がピタリと止まった

匠を見下ろす男の目・・・
そこには今までの狂喜はなく、怒りと憎悪があった




男の手が匠から離れた・・・


【・・ドスッ!!】


それはまさにプロの一打だった


匠のみぞおちに 男の拳が突き刺さる
的確にヒットしたそれは 胸の傷口を開き、
鮮血を床に飛び散らせた



全てがスローモーションの様に見えたが実際は一瞬の出来事だった




「ぅぐっ・・・ぐ・はっっぁぁぁっ・・・・・!!」


衝撃と痛みでまた意識が遠のいていく・・



「私を怒らせるな、タクミ・・・  それは無能な人間がする事だ・・・・
 私をがっかりさせないでおくれ・・・・ 
 今のはお仕置きだよ」




傷口からは心臓の鼓動に合わせ 血が溢れていた




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刻印 -13

着替えを済ませると 浅葱はマンションを出た
しばらく住宅街を歩き、木陰のある公園で足が止まった


一人でただ黙々と歩いていると、考えたくない事まで考えてしまう

頭の中のシナリオを 払拭しようとすればするほど
最後には 冷たい亡骸となった匠と、それをあざ笑うヤツの顔で思考が止る

マンションを出てから
もう何度も頭の中で迎えた同じエンディングだった



タバコが吸いたかった

木陰の公園の塀にもたれるように体を預け
内ポケットからタバコを取り出し火を点ける

体が酷く重い・・



無睡眠で仕事をする事など何度もあったが
これほどまでに倦怠感を引きずった事はなかった



昼間の明るい日差しの中
公園の砂場で 子供が数人、無邪気な声を上げている
屈託の無いその純粋な笑顔に、一瞬 匠がダブって見え
浅葱は目が離す事が出来なかった


指に挟んだ火を点けたままのタバコは
ほとんどが灰になろうとしていた




怠い身体を引き上げ、大通りまで出ると
タクシーを拾いビルへと向った


昨夜のあのビル・・・・


爆発で上部は激しく壊れ
周囲には警察の黄色い規制テープが張られてはいるが
捜査員の姿はすでに無く、見張りの巡査が一人、暇そうに立っていた

野次馬ももう飽きたのか
近所の主婦らしき3人が立ち話をしているだけだ


「ここでいい」
そう言ってタクシーを降りると、3人の方へ向かって歩く



「昨日の、びっくりしたわよね~~」
「古い配管のガス漏れ事故ですって~~」
「怖いわね~~~うちのは大丈夫かしら~~~」
そう話しているのが聞こえる



”老朽化によるガス漏れ事故か・・
 まったく・・・ オヤジも簡単な理由で片付けたものだな・・・・”

一人、苦笑いしながら、主婦達とすれ違う

まぁ 小細工無しの簡単な造りの物ほど丈夫と言うこともある
これなら 自分達に不利な・・・
街に溢れている防犯カメラの映像も抹消済みだろう



裏路地には昨夜のまま 匠の車が残されていた
国産の黒いスポーツタイプの車
念のため周囲を見て回るが 爆発物らしきものは無い

昨日、出かける前に匠がオヤジに預けて行ったというスペアキーでドアを開た



黒系でまとめられた車内はシンプルで綺麗だった
運転席に乗り込みシートを倒し、目を閉じる

言いようの無いだるさが襲ってくる


半日前まで自分の側にいた匠の匂いがした・・


「・・・匠・・・・」



昨日 初めて会ったばかりなのに何故こんなに匠が心配なのか
自分でも判らなかった・・



あの時、走っていく匠の腕を無理にでも掴み
「行くな」 と言えばよかったのだ
たったそれだけで良かったのに・・・




”・・・浅葱・・ さ・・ん・・”

苦しそうに自分の名前を呼ぶ匠の声が聞こえた様な気がして
慌てて目を開ける


ルームミラーの陰に小さいキーホルダーが1つぶら下がっているのが見えた
手に取ると、それは子供に人気の仮面ライダーのキーホルダーだった


”フッ・・・・
 やっぱりお前はまだガキだよ・・・・・ 匠・・・”




刻印 -14へ続く
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刻印 -12

部屋に戻ると オヤジは忙しなくキーボードを叩いていた

「帰った」
それだけ言い自室へ戻ろうとする


「おい。 ちょいまちー」
それをオヤジが呼び止めた



「まずは手当てが先だ。 奥で待ってろ。 すぐ行く」
「もういい、大丈夫だ」
「おいおい、お前の為じゃねぇ。 坊ヤを助ける為だ」

そう言われると返す言葉がなかった





マンションの一番奥の部屋

医療器具や薬品が並び、中央にイスと診察台のようなベッド
そこは診療所と手術室を兼ねたような作りになっていた


暫くして入って来たオヤジは、入念に手を消毒しながら
「ほれ、そこに横になって傷、見せてみろ」
顎でクイクイと診察台を指す



上半身裸になり、ベッドに横たわり 無言で左腕を差し出すと
オヤジが小型の無影灯を引き寄せる


「まぁ・・ 傷はでけぇが、さほど深くは無い
 これぐらいなら縫っとけば大丈夫だろ」

「・・・オヤジ・・・ 匠の発信機はどこで途絶えた?」


自分の傷の話など、まるで聞いていない様子で浅葱が尋ねる


「ビル横の道へ出てすぐだ・・・ このまま縫合するぞ」
「・・・車・・・ だな」
「まぁ、そうだろうな
 あの道はそれほど広くねぇから大型は無理だ
 発信機の電波を遮断出来る車を 準備してたって事だな・・」


オヤジも世間話しでもする様に、喋りながら
腕の傷を手早く処置し縫合していく


「やはり最初から一人、もしくは少人数を拉致るためだけの罠・・・
 ・・・・全ては仕組まれてたって事か・・・」
「あぁ、坊ヤの配属当日のいきなりの出動命令はそれだな・・・
 今、応援を召集しているが・・・」


そこまで言うと、オヤジの声が一段小さくなる


「・・・今回は上にナイショで動く
 今までに俺かお前が組んだことのあるメンツだけに召集をかけた
 信用できるヤツだけでな
 大人数って訳にはいかねぇが、少数精鋭ってとこよ」

「・・・だな・・・ そうしてもらえるとありがたい」
「礼は坊ヤを連れて帰ってくれりゃあいいんだ・・・」



「・・・匠・・・・」



・・・・暫く無言の時間が過ぎる
どちらも言いたい事があるのに言い出せない・・・ そんな空気だった



「ほら、いいぜ
 見てみろ~ 俺だってまだまだ縫いモンは上手いもんだ」
沈んだ空気を吹き飛ばすかの様にオヤジが大声で言うが
やはり声は重いままだった



「・・・・・・・・・・なぁ・・ オヤジ・・・ 匠は・・・・・」

自分の気持ちを落ち着かせるように、浅葱が口を開いた


「ん?・・・・・・・ああ・・・どうだろうな・・・
 とりあえず、お前が行くまで殺しはしないだろうが・・・
 指の一本や二本・・・
 運が悪けりゃ・・・ 足の一本・・・・・腕一本・・・・・ で済めばいいがな・・・」


「・・・・・・・・」

「それよりも気がかりは 坊ヤの精神・・・ だな・・・
 壊れなきゃ・・・・ いいが・・・・」



”何をバカな事を考えてんだ、坊ヤは大丈夫だ!”
そんなオヤジの言葉を 少しでも期待していた自分がいた・・・

しかしそれは端っから無理なのは判っていた
ヤツ等の卑劣なやり方は、2人ともよく知っていた



「ここに化膿止めの薬、置いとくぞ
 飲んだら時間まで寝てろ
 オレはまだコッチで用がある」

オヤジは指でPCのキーボードを打つマネをする


「・・・・・いや・・・ 少し出かける」



部屋を出て行こうとしていたオヤジは 驚いたように振り返った

「出かけるってー どこにだよ」
「あいつの・・・ 匠の車を引き上げて来る」

「そんな事たぁ、下のヤツに任せろや」

「・・・俺が行く
 ・・・ここに戻った時、愛車が無いと寂しがる・・」


「・・・・・そうか、なら・・ 送りの車だけ手配するが・・」
「いや・・・念のためタクシーで行く」



それだけ言うと浅葱も部屋を出て行った




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刻印 -11

さほど広くない通りは、あっと言う間に警察や消防車両で一杯になった



騒ぎを聞きつけた野次馬達も集まっている

手に手にケータイを構え
滅多に無い惨事の現場を見物しようと身を乗り出していた


管轄の刑事だろうか
男が一人、増え続ける野次馬の対応に苦慮しているのが見えた




浅葱は人ごみに紛れ現場を離れようとした
が、さすがに腕から血を流し、埃にまみれ、
所々 裂けたスーツを着る男は見るからに怪しかったのだろう

後ろからその刑事が追いかけてくる


「おい! そこの男! 待ちなさい! 
 ・・・・・・・聞こえないのか!!! お前だ! 止まれ!!」

「・・・・・」



無言で振り返っただけだったが、その気迫に圧されたのか
一瞬 刑事の顔が強張った

「あ・・・ お前・・・ 今このビルから出てきただろ・・・・!
 聞きたい事がある、事情を詳しく・・・・・」

「・・・・・」

「お、・・・おい! 聞こえないのか!!」





その時、キッー っと車のブレーキ音がして
一台の黒塗りの高級車が二人の横に止まった



スッと後部ドアが開き、一人の男が降りてくる
スーツを着、メガネをかけ、いかにもインテリ・・・ といった風情だ



「なんだ!? お前たちは! 
 今ここは、車両侵入禁止だぞ! 勝手に入って・・・
 あ! ・・・おい! そこの男! 待て!」


刑事の制止を無視し、
浅葱は無言のまま 開けられたドアから車に乗り込んだ
座ると同時にドアが閉められる


刑事はまだ何かを叫んで浅葱に手を伸ばしたが、メガネの男に阻まれ
その声はもう、聞こえもしなかった





「遅くなって申し訳ありません・・・」
助手席の男が振り返って声を掛けてくる

「・・・・・」


男は何も答えない浅葱の姿を緊張した様子で見ていたが
出血しているのを見つけると
「お怪我、大丈夫ですか!?!  ・・おい。すぐに病院だ」
運転手に指示をした



「裏の路地の駐車場でいい。 自分の車で帰る」
「あ・・・ でも・・・・  それでは私の任務が・・・・」

途中まで言いかけたが 憮然として自分を睨む浅葱の目に射すくめられ
それ以上の言葉を飲み込んだ
そしてすぐに車を裏へ回す様に運転手に言い直した



バックミラーにはメガネ男に深々と最敬礼をする刑事の姿が映っていた








薄暗い駐車場には
何事もなかったかの様に浅葱の車が止まっていた

細い道を挟んだ反対側の駐車場にも、もう1台
静かに主を待つ車があった


「・・・匠・・・ 待ってろ・・・・」

まだ血の乾かない拳を握り締めた




刻印 -12へ続く
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刻印 -10

・・ドォオオオーーーーン!



激しい爆発音と同時に浅葱の体は飛ばされ
壁に激突して落ちていた



「・・っ・・!」



匠が 「自分が行く」 そう言って走り出した瞬間・・・・
いや、もっと正確に言えば、背後でピシリ。 と音がした瞬間には
”爆発する!” ・・・ 直感でそう思った


咄嗟にガードの姿勢をとった

ガードしていなければ、すでに自分の心臓は停止していたかもしれない



が、利き腕の右手をかばったせいで、左腕を傷(や)られていた
指先からポタポタと血が落ちる




「くそっっっ!」
浅葱は血の滴る左腕で 崩れ残った壁を思い切り殴っていた


その怒りは 傷を負わされたからではなく
匠を止められなかった自分への怒りだった




とにかく、匠を探さなければ・・・・



手早く装備を確認する
幸い銃も通信機器もまだ使えそうだった


「オヤジ! 俺だ!」
「おっ!待ってたぜー。 首尾はどんな具合だぁ?」

任務完了の一報を待っていたオヤジの、待ち侘びた声が聞こえた


「すまん。 ヘマをした。 爆発だ。 手配頼む」
「お前がヘマ?
 ・・・・珍しいな・・・・ わかった、後始末は任せとけ
 で? お前達の方は大丈夫なのか?」



「・・・・・俺はどうでもいい・・・・匠を探す」
一瞬の間の後、浅葱が答える


「探す・・?!」


オヤジはその一言で 事態を全て理解していた


「どうでもって・・・ 
 とりあえず一度戻って来い! お前もどこか傷られたんだろ」
「俺はいい、それより匠の発信機は・・・・!」



今、浅葱が知りたい情報は1つだった




「坊ヤの発信機は、数分前まで移動してた・・・」 

「移動・・? 数分前まで・・? ・・・・確実に移動はしていたんだな!?」

「あぁ、確かに移動していた
 発信機が壊れてねぇって事は・・・
 それは坊ヤが  ”爆死” は してねぇって事だ・・
 自分の意思で動いたか、そうでないかは・・・・ わからねぇがな・・・・」

「途中で発信が途絶えた。 ・・・と言うなら・・・・・後者だ」

「まぁ、そういうことだな・・・」



2人の結論は同じ 【最悪の状況】 だった



「くそっ・・!  で、どっちへ行った!? すぐに追いかける!!」

「おい! ちったぁ冷静になれ、お前らしくない」

「匠がヤツ等に拉致られたんだぞ!
 これが冷静で居られるか!!!  いいから早く匠の・・・・」

「バカヤローが!!! 恭介っ!!!!!」




久しぶりのオヤジの怒鳴り声にハッと我に返った



「お前が焦るのはわかる
 だがな、ヤツ等が坊ヤを殺らずに拉致したって事たぁ、目的は1つ・・・・ お前だ

 それが判っていて、一人で のこのこと出て行ってどうする
 こうなった以上 人員を増やし、万全の体制で救出する
 指揮を執るお前が冷静でなくてどうする」


「・・・・・・・」


判っていた・・・・そんな事は百も承知だった


「全ては一旦戻ってからだ、いいな?」
「・・・・・・・・・・・・・一度・・戻る」
 


もう一度、壁を思い切り殴った
 
 



外に出ると通報で駆けつけた警察車両、消防車両が集まり始めていた




刻印 -11へ続く
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刻印 -9

男は近付いて来ると 匠の顎に指をかけ、顔を上に向かせた
「いい顔をしている」


そして、ゆっくりと唇を合わせてくる

「・・・・!!・・・んっ・・っ・・・何を・・・・
 んっっ!!! ・・やめ・・・・・・」


拒否しようとするが、軽く指を掛けられているだけの顔は全く動かず
縛られた両手足もジャラジャラと鎖の音を立てるだけだ



薬でまだ痛む頭で、目を閉じてしまいそうになるのを必死にこらえ
相手の顔を睨み付ける


「いいねぇ・・・・ そういう抵抗の表情、大好きだ・・」



指先に力が入り、顎が下へと引かれると
少し開いた匠の口内に 男の舌がスルリと差し込まれる




「んっ!・・・・ぁぁ・・・  あ・・・やめ・・・ろ・・・・んっ・・・!!」


男の舌は執拗に匠を追いかけ、絡みつく


「やめ・・ろ・・・・・・ぁ・・・っっ・・・」
「いい声だ・・・もっともっと鳴かせたいね・・
 だが・・・その前に・・・・・」




匠の舌を開放すると 男の手が匠のシャツにかかった
掌が、匠の胸の辺りをまさぐり始める


やがて 「これは、頂けない」
そう言って指で摘んだ何かを匠に見せた

それは、おやっさんが持たせてくれた例の発信機だった



「この建物自体、こんな物は通用しないが、無粋な物は嫌いでね
 やめてもらおうか・・
 浅葱が、君の喘ぎ声を聞くための盗聴器と言うなら、
 聞かせてあげてもよかったんだけどねぇ・・」


グシャ・・。


発信機は男の手の中で粉々になって砕け、パラパラと床に落ちた


その手で匠の顔を押さえ付け また唇を合わせ、舌を絡ませる

「・・・ぅ・・っ・・・・・ん・・」




奥の方でドアの開く音がした


”ぁ・・・浅葱さん・・・・・” 



淡い期待でわずかに顔を扉に向けるが
入ってきた男は そのままこちらにスタスタと歩み寄ってくると
匠と唇を合わせたままの男に 何かを耳打ちする


男同士が舌を絡ませてる現場を目の当たりにしても、何ら驚く様子もない




「ほう・・ 君は タクミ・・・・ タクミというのか、良い名前だ
 今の君では、名前を尋ねた所で素直に教えてはくれないだろうと思ってね
 早く判ってよかった

 これからは 名前で呼ぼう
 その方が感じるだろ・・・・


 タクミ・・・・ 君の選択肢は3つ
 浅葱の餌になってもらうのは今まで通り
 だが、君が自ら私のモノになると言うなら他に考えないでもない・・・
 もしくは私が君を無理矢理にでも奪い・・・・ そうだな・・・印を付けるか・・・
 それとも浅葱が来るのが早いか・・・

 まぁ、どちらにしても時間はたっぷりある
 ・・・・ゆっくり楽しもう」



そう言うと男は匠のシャツを引き裂いた




刻印 -10へ続く
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刻印 -8

気が付くと、そこはどこかの地下室の様だった

コンクリートに囲まれ、
雑多に物が置かれているのはわかるが、それ以上は暗くてよく見えない



・・つっっ・・・ 痛って・・・・・・・
頭が割れるように痛み、こめかみがガンガンと脈打っている


ここは・・・ どこだ・・・
・・・俺は・・・ 生きてるのか・・・
・・・そうだ・・ ・・・あのビルで・・・・  爆発が起こって・・・
・・・マスクの男・・・・   浅葱さんは・・・・!



・・痛って・・・・・・・・・・・!
思い出そうとすると益々頭痛は酷くなる





「やぁ・・・・ やっとお目覚めかい?」
意識を失う前に聞いたあの笑う様な声が どこからか響いた

「お前・・・   ・・つ・・・っ・・ぅっ・・・・・」
声を出すだけで、頭が割れそうだった





ジャラ・・

頭を手で押さえようとして
匠は初めて、自分の手足が鎖で繋がれている事に気が付いた


両手は頭の上で重ねられ、天井から下がった鎖で縛られている
足は床に膝をついた状態で、足首にも鎖が巻かれていた




「当分は薬で動けまいが、念のため縛らせてもらったよ・・ 良い姿だね・・・」

「お前は・・・・  いったい・・・・誰だ・・・何の・・目的で・・・」
痛む頭で声を絞り出す

「名乗る程の者じゃない・・・
 目的は・・・ そうだな・・・・ しいて言えば浅葱・・・」



”浅葱・・・さん・・・・・
 じゃあ俺は浅葱さんをおびき出すための餌・・”


「察しが良いようだね
 そう君は餌だ
 いつも、いつも、いつも! 私の邪魔をするあの浅葱に復讐する為の
 餌になってもらうよ」


「クソッ・・・・
 俺一人のために・・・・ 浅葱さんが来るものか・・・・」


「それはどうかな・・・・? 浅葱の事は私の方が良く知っている」





コツコツと コンクリートに足音を響かせて、目の前に一人の男が現れた
確かに あのビルで見た男だった


今は顔もよく見える
東洋系だろうか・・・ エキゾチックな顔立ち
年も浅葱と同じぐらいか・・・・

女性か? とも思えるほど美しい顔をしていたが
左頬の傷が目立っていた



「配属初日の坊やだと聞いていたが・・・ 
 ほう・・・ これはなかなか私好みだ
 気に入った・・・・ 上出来だ」




刻印 -9へ続く
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刻印 -7

”誰かいる!敵だ!”
本能がそう教えた

「浅葱さん! 右後ろ!!  俺行きます!」



それだけ叫んで右後方の扉へと走った


「バカ! 行くな!! 匠!!!!」
 


後ろで浅葱の声がしたが構わず走った
あの気配なら大人数ではない
一人か・・  多くて二人だ
負ける気はしなかった


ずっと一緒に進むより、二手に分かれた方が早いと思った
正直、いつまで続くかわからない緊張状態に 辟易 (へきえき) していた

早く終わらせたい
無意識のうちにそう思っていた・・・・






銃を構えたまま右後方の扉を破り、中へと転がり込む







・・ドォオオオーーーーン!







その瞬間 何かが爆発したような音がして匠は身をすくめた

”・・・!!!・・・・ 何だ!?  
 どこだ・・・・ どこで爆発したんだ・・・!”


辺りを見回すが自分の居る部屋に爆発の形跡はない


”まさか・・・ 浅葱さん・・!!”




そう思い引き返そうとした匠の目の前に、人影が現れた

「だ・・・ 誰だ!!!!」
「ふふ・・ 捕ーーーかまえたっ・・・・・・」




子供が鬼ごっこで相手を捕まえた時の様に、クスクスと楽しそうな男の声だった

浅葱と同じぐらいの身長はあるだろうか・・・
体は浅葱よりかなり細身だ
顔は・・・ 防毒マスクで判らない



「マスク・・・!!? や・・やばいっ・・・・
 ・・・・・・・・ンッ・・・っ・・・」


部屋に仕掛けがあったのだろう
匠が部屋に入ると同時に爆発で扉を封鎖し、何かの薬物が満たされた


”・・・罠・・・・・”
急激に体から力が抜けていく

かろうじて相手に銃口を向けてはいるが、指先に力が入らない
敵が目の前に立っているのに、肝心の一発が撃てない




カラン・・・・


遠のく意識の中で 重さに耐えられなくなった指先から
自分の銃が落ちる音を聞いた

立っていられなくなり、崩れ落ちるように膝をつく
死ぬのか・・・

俺から離れるな。 そう言った浅葱の声が頭の中を回っていた




刻印 -8へ続く
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刻印 -6

「真っ暗か・・・  やはりな」
独り言の様に呟く浅葱の声が聞こえた

”やはり・・? これも想定内ってことか・・”



銃を構えたまま次々と扉を開けて行くが、一向に人の気配はない




どれほど経ったのかもわからない程の長い時間が過ぎていく
もういくつの扉を開けただろうか・・・・
どこまでもどこまでも 永遠に続きそうに感じる廊下、そしてたくさんの扉



”いつまでこんな事・・・・”
ずっと張り詰めたままの緊張感からか 匠の額には汗が滲んでいた


「匠、手の汗を拭え、それでは銃は撃てん」



一度も振り返りもしないのに 浅葱には匠の緊張がわかっているかのようだった


「・・・・は・・はい」




警察時代、こんな捕り物の場面は何度も経験した
若いながらも部下を従えて入った事も数多い
だが、その時はもっと大掛かりだった
専従班が組織され、念入りに情報が集められての突入だった


が、今はたった二人
相手が何者なのかも知らず、ただ行って来いとだけ言われてここまで来た



全身が神経の様に張り詰めている
今なら 何度も後ろを盗られた浅葱の気配さえ、感じる事が出来るんじゃないかと思う

また一筋、匠の額に汗が伝う・・







ピシッ・・・




匠の背後で微かな音がした




刻印 -7へ続く
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刻印 -5

合流ポイントには すでに浅葱の車が止まっていた
近づいて中を確認したが人影はない


この辺りの道は頭に叩き込んで来たが、地図と現実ではかなり印象も違う
腕時計に目を遣ると、合流までには まだ少しある
匠は歩いて表通りに出てみる事にした


街にはいつもと同じ時間が流れていた
何も変わった様子は感じられない
会社帰りのサラリーマン、OL、まだ制服を着た女子高校生・・・
都心から少し外れているせいか、この辺りの人通りは少ない方だった


「そんなに険しい顔してると、怪しまれるぞ・・・ 笑え」



ふいに後ろで声がした


「浅葱さん・・・」
振り返ると、そこには咥えタバコの浅葱の姿があった

スーツに黒いコートのその立ち姿は
どうみても俳優か、高級クラブの敏腕オーナーといった感じだ
その姿に 思わず匠の顔が赤くなる


「笑えって・・・ 浅葱さんこそ 顔、怒ってますよ、どう見ても」
「怒ってはいない。 これが普通だ」


さっさと歩きだした浅葱に追いつこうと、匠は急ぎ足になる




暫く歩いて一軒の雑居ビルに着くと
「ここだ。早くしろ」  浅葱の声がした

”早くしろって・・・ 歩くの早すぎだって・・・”
浅葱の背中を見ながら 匠が呟く




「いいか? ここからは俺から絶対に離れるな」

匠の考えなどお構い無しに、矢継ぎ早に指示を出す浅葱に少しイライラし

「離れるなって・・・ 子供扱いしないで下さい
 ガキじゃないんですから」

そうは言ってみたが
浅葱は聞いているのかいないのか、返事も返ってはこなかった





階段を上り 目的の階の扉の前で二人は銃を構えた
浅葱が手を伸ばし扉をそっと開く


「・・・真・・っ暗・・?」


中には屈強な男達が大勢集まっている
そこに飛び込んでの派手な銃撃戦・・・・・
そんな事を勝手に想像していた匠は、いささか拍子抜けした様に呟いていた



「うるさい・・・・・ 黙ってろ」

小声ながらも迫力ある声に圧倒されながら
匠は浅葱に続いて 真っ暗な部屋へと入って行った




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刻印 -4

匠は自分の車で、夜の高速を東へ走っていた

就任早々の任務、緊張しないわけではない
が、選ばれてここにいるという自負があった




「落ち合うポイントと時間は頭に入ってるな
 先に出るぞ」
そう言って浅葱は2時間も早く部屋を出て行った


その後 武器部屋で自分に合った銃を選んだ

「ほぉ、いいチョイスだ
 だが・・ 緊張してるのか?
 まぁ、初日は誰でもそんなもんだが・・・ 肩に力が入ってるぞ
 もっと楽にいけ、楽に
 それからこれをシャツに付けておけ」


そう言われて小さな金属片を渡される 


「お前の居場所を特定できる発信機だ
 まぁ そんな子供騙し、ヤツらにとっちゃあ オモチャだろうし
 気休めぐらいにしかならねぇだろうが、まぁ持っとけ


 それから・・・
 恭介と合流したら、必ずアイツと一緒に居るんだ、離れるんじゃねぇぞ
 絶対に一人での行動は避けろ、いいな・・・ 絶対だぞ」






”浅葱さんの側を離れるなとか、居場所が判る発信機だとか
 まるで迷子じゃないか・・・ かなりガキ扱いされてる気がする・・”

ハンドルを握りながら 匠はそんな事を考えていた





小さい頃に見たTVの影響で、夢は仮面ライダーになる事だった
悪い奴らをバタバタとなぎ倒すあの華麗なアクションに憧れて
本気で剣術・武術・柔術・・・ あらゆる格闘技を習った

少し大きくなって 仮面ライダーにはなれないとわかっても
天性の素質か その腕はみるみる上達した

警察に入ってからは銃術も習得し、その働きで表彰された事も数知れない



”俺だって・・ ガキじゃないんだ”


黒い車体はスピードを上げた




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刻印 -3

浅葱がオヤジのPCに向かう・・・

が、それは気配も何も感じさせない動きだった


”早い・・・・・
 それにあの体・・・・
 俺だって身長もある・・

 でも、あの浅葱って人は俺より一回り大きく見える・・
 いや・・ 大きく見えるのは身長のせいだけじゃない
 身に纏う何かが段違いに違う・・・・・
 ・・・この人は・・・  強い・・・・・”





浅葱を後ろから見つめていると、おやっさんが呟く声が聞こえた

「またここか・・・・」

「あぁ、暫くは大人しくしてるだろうと思っていたが こんなに早く出てくるとはな・・」

「しかも・・・・・
 今回のヤマ・・・ この坊ヤを連れて行けとさ・・・
 上から直々のご命令だ」

「就任初日のアイツを、パートナーで連れて行けっていうのか・・?」

「あぁ・・・ そうらしい」

「・・・・・」



自分の事を話す声が聞こえ、匠も慌ててPCへ向かうと

「今夜だ、いけるか?」
浅葱が声をかけてきた

「あ・・はい。 いつでも」


「無理でも何でも上からのお達しだ・・
 今夜はさほど危なくねぇって情報でもあって
 坊ヤの初陣にしようとしてるって事か?

 何か考えがあるのかもな・・・・

 ・・・・・・・・もしくは・・・・・・・・恭介・・・」


「・・・・・・・あぁ、わかってる、オヤジ・・・・」





”今夜・・
 いつかは出るのだろうが、まさか初日の今日、いきなりとは・・
 相手はいったいどんな・・・”


「どうした? 怖えーか?」
軍人おやじがおどけた様に言う


「まさか・・ 大丈夫です」



その様子を浅葱が黙って見つめていた




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刻印 -2

真後ろに一人の男が立っていた
”いつの間に・・・!?”


「おっ・・ もう帰って来たか」
「とりあえずシャワーだ、一晩中ネズミと追いかけっこで汗びっしょりだ」


「あの・・・ 俺、一ノ瀬・・・」
「もういい、さっき聞いた。  新入りだろ、オヤジ」
「あぁ、少しは人員補給もしてもらわねーとな」

”さっきって・・・・この人いつから・・・”



「じゃあ今度から、昨日みたいな追いかけっこは そいつにやらせてくれ
 それに、クソおやじ がいつまでもそうやってイス温めてるから
 若いのが入らないんだ」


「俺様ぐらいじゃねーと お前らみたいなのはまとめられねーんだよ!
 いいから、さっさとシャワーしてこい」


「はいはい。 クソおやじ様」


そう言ってその男は部屋を出て行く



一晩中追いかけっこで汗びっしょり・・ と言う割には
スーツをピシリと着こなし、疲れた様子は微塵もうかがえない

”あれで一晩中走ってた・・?
 それに、後ろを盗られるまで入って来た事さえ気が付かなかった・・・・”



半ば呆然とシャワールームへ向かう男の後ろ姿を見送る匠に
軍人おやじが声をかける

「坊ヤよ、さっきアイツが入って来たの、全く気が付かなかっただろう」
「あ・・・はい・・・」
「アイツがターゲットなら・・お前は今日、殉職だな」



”そうだ・・・ もし敵だったら・・・
 武術にも戦闘にも多少の自信はあった ・・・・なのに・・・”





「お前が何と言われてここに来たかは知らねぇが・・・・」

オヤジは構わず話し続ける


「ここは普通の警察組織とは全く違う
 というか、もうサツでもねぇか・・
 
 ここは全く独立した1つの機関組織

 日本国だけに依存してるわけでもねぇし、もちろんFBIでもCIAでもICPOでもねぇ
 まぁ簡単に言えば・・・ウラだ


 世界のどの機関でも葬れないヤツを殺る・・
 それだけのために集められた集団だが
 ここでは誰が上司でもなけりゃあ、部下でもない


 誰かが死ねばまた代わりが送られてくる
 お前みたいにな
 
 そしてまた狩りが始まる。それだけの場所だ

 
 この部屋の様なアジトは世界中に点在している
 だが、それを覚える必要もねぇし、もちろんメンバーも覚えることぁない
 
 
 いや・・逆に覚えない方がいい・・・
  
 敵組織もあらゆる手を使って、俺達を消そうとしている
 

 万が一、誰かが敵の手に落ちた時、
 どんな手を使ってでも情報を盗もうとするだろうが
 はなっから知らなけりゃ吐こうにも吐けない・・ってことさ
 


 ・・・とりあえず・・生きてここに戻って来い
 それがお前の仕事だ

 
 ・・あ・・さっきのヤツは 浅葱恭介 (あさぎ きょうすけ)
 それだけ知ってればいい
 

 部屋はたくさんあるから好きなトコ使ってくれ
 武器・弾薬等々その他の必要な装備は そっちの部屋だ
 あとで見て 自分の装備は自分で決めろ」

 

「もう話は終わったか? オヤジ」



振り返るとそこにバスローブを着た浅葱が立っていた
”また後ろ・・・・”


「んぁ? ああ、もういいぜ、大して話す事は無いしな・・

 ・・・ああっと!!! もう一つだけ!
 一番大事な事を言い忘れてたぜ!
 
 これだけは忘れるな!

 その浅葱ってヤツはめっぽう手が早えぇからな、
 油断するなよ!」

そう言ってオヤジが豪快に笑う


「手・・って・・・・」





選抜された者だけがその存在を知り、入ることが出来るこの組織
どんな殺伐とした戦闘集団なのかと思っていたが
手が早えぇって・・思春期の中高生じゃあるまいし・・
って・・ 俺、男だぞ・・・・・

それにさっきから 坊ヤ、坊ヤって・・・・・





その時 PCのモニターランプの1つが点滅し始めた

「お。 またお呼びだ」




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刻印 -1

一見しただけではそこは、周りのマンションの一室と何ら変わりはなかった



ふぅと一つ息を吐いてから玄関のインターホンを押す


♪ ピンポーーン



「はぁ?? 誰だぁ?? ピンポンなんて押す奴は~」

中から男の声が直接聞こえてきた
声が大きすぎて、インターホンを通さなくても聞こえるのだ


「あ・・俺・・ じゃない・・私、今日付けで・・・」
「いいからさっさと入って来い。 NO.は聞いてるだろー」


言われて見ると、他の部屋とは違うロックが付いている



「あ・・はい・・失礼します・・」
マンションの場所と一緒に教えられたNO.を押す
最後に指紋認証



ガチャ・・ と音がして鍵が開いた





廊下を抜け、声がした部屋に入ると そこは無骨な部屋だった

まだ昼間だというのに黒っぽい遮光カーテンが引かれ
ソファとテーブル、棚、PCの置かれた机

中央の机にはPCとその他の機器
壁際に無数に並べられた棚には それと繋がっている複雑な機材が 
ランプを忙しく点滅させている




その机の1つに
先ほどの声の主と思われる男が 座ったまま振り返っていた



声の主だと直感したのは
あの大声から想像される風体、そのままだったからである



大きな体に不精ひげが生えた四角い顔、短髪。

軍人・・・。

そんな言葉がピッタリの大男がこちらを見ていた




「あの、今日付けでこちらに配属になりました 一ノ瀬 匠 (いちのせ たくみ) です」

言い終わるか終わらないかのうちに
またあの大声が言った


「ほう。 こりゃあまたやけに綺麗な兄ちゃんだな・・・・。」
そう呟き、しげしげと眺めた後

「思ったより若けぇな
 ここでは堅苦しい挨拶なんぞいらねぇよ
 俺の事は みんなおやっさん。 って呼ぶ。 よろしくな」


「おやっさん・・ですか・・・ あ・・はい・・」


「おやっさん。 じゃなくて クソおやじ。だろうが」



急に耳元で声がして匠は振り返った




刻印 -2 へ続く
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刻印 story-0

静かな室内に 息使いだけが漏れていた


「・・・んっ・・・・ぁ・・・・・もう・・・無理・・・」
「・・・・」

「お願い・・もう・・・ じらさないで・・・・・・・っ・・・んっ・・」
「なんだもう無理なのか?」
少し挑発するように見下ろす目は、どこか冷たい印象を与える


「・・・・・・もう・・イキたい・・・・・」
「もう終わりか? これしきで根を上げるとはな・・・」




「じゃあ・・・うつ伏せになれ」


驚いたように見上げる目・・

「・・・!! 
 ・・・・・ いやだ・・・このままで・・・・」
「じゃあダメだ・・・これで終わりだ」


冷たく言い放ち、繋がった体を外しかける



「・・んっ・・・・・抜かない・・・で・・・」




この男(ひと)には敵わない
諦めた様な悲しい表情になり その男は細くしなやかな体をうつ伏せた


冷たかった目が その背中を見つめる
「・・・まだ・・痛むのか・・・?」

そう尋ねた声はさっきより ほんの少しだけ優しくなっていた


「少し・・・」
「そうか・・・」
そう言いながら、そっと指で背中に触れた


「・・・んっ・・・!
 お願い・・・・・あまり・・・見ないで・・・ ・・触ら・・・ないで・・」
泣き出しそうな、悲しい声だった




うつ伏せたその背中には 痛々しい程の傷があった


戦闘で傷ついたモノとは明らかに違う
銃創でもナイフでの創傷でもない傷





それは紛れも無く焼き付けられた刻印・・。




刻印-1へ続く
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プロフィール

凛

Author:凛
BL・MLを日々妄想してる腐女子

しかもかなりハード目が好きな壊れかけ

SM・拷問等の酷い描写が苦手な方は、ご遠慮ください

1作目 『刻印』
2作目 『華燭(かしょく)の城』 
完結しました。
ブログタイトル下のマップより全話読んで頂けます。
『刻印』の簡単な解説はこちら から


まだまだ初心者故、描写の至らない点
設定の矛盾は笑って見てください 

読みやすく・・と思っているので、長編小説ですが、各回短く、短文、1日1回UP予定です


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