0-story

18禁 BL小説です。主に拷問・凌辱等ハード系。 こういう小説に興味の無い方、嫌悪感がある方はご遠慮ください。サイトマップより一気読み出来ます
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刻印 story-0

静かな室内に 息使いだけが漏れていた


「・・・んっ・・・・ぁ・・・・・もう・・・無理・・・」
「・・・・」

「お願い・・もう・・・ じらさないで・・・・・・・っ・・・んっ・・」
「なんだもう無理なのか?」
少し挑発するように見下ろす目は、どこか冷たい印象を与える


「・・・・・・もう・・イキたい・・・・・」
「もう終わりか? これしきで根を上げるとはな・・・」




「じゃあ・・・うつ伏せになれ」


驚いたように見上げる目・・

「・・・!! 
 ・・・・・ いやだ・・・このままで・・・・」
「じゃあダメだ・・・これで終わりだ」


冷たく言い放ち、繋がった体を外しかける



「・・んっ・・・・・抜かない・・・で・・・」




この男(ひと)には敵わない
諦めた様な悲しい表情になり その男は細くしなやかな体をうつ伏せた


冷たかった目が その背中を見つめる
「・・・まだ・・痛むのか・・・?」

そう尋ねた声はさっきより ほんの少しだけ優しくなっていた


「少し・・・」
「そうか・・・」
そう言いながら、そっと指で背中に触れた


「・・・んっ・・・!
 お願い・・・・・あまり・・・見ないで・・・ ・・触ら・・・ないで・・」
泣き出しそうな、悲しい声だった




うつ伏せたその背中には 痛々しい程の傷があった


戦闘で傷ついたモノとは明らかに違う
銃創でもナイフでの創傷でもない傷





それは紛れも無く焼き付けられた刻印・・。




刻印-1へ続く
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刻印 -1

一見しただけではそこは、周りのマンションの一室と何ら変わりはなかった



ふぅと一つ息を吐いてから玄関のインターホンを押す


♪ ピンポーーン



「はぁ?? 誰だぁ?? ピンポンなんて押す奴は~」

中から男の声が直接聞こえてきた
声が大きすぎて、インターホンを通さなくても聞こえるのだ


「あ・・俺・・ じゃない・・私、今日付けで・・・」
「いいからさっさと入って来い。 NO.は聞いてるだろー」


言われて見ると、他の部屋とは違うロックが付いている



「あ・・はい・・失礼します・・」
マンションの場所と一緒に教えられたNO.を押す
最後に指紋認証



ガチャ・・ と音がして鍵が開いた





廊下を抜け、声がした部屋に入ると そこは無骨な部屋だった

まだ昼間だというのに黒っぽい遮光カーテンが引かれ
ソファとテーブル、棚、PCの置かれた机

中央の机にはPCとその他の機器
壁際に無数に並べられた棚には それと繋がっている複雑な機材が 
ランプを忙しく点滅させている




その机の1つに
先ほどの声の主と思われる男が 座ったまま振り返っていた



声の主だと直感したのは
あの大声から想像される風体、そのままだったからである



大きな体に不精ひげが生えた四角い顔、短髪。

軍人・・・。

そんな言葉がピッタリの大男がこちらを見ていた




「あの、今日付けでこちらに配属になりました 一ノ瀬 匠 (いちのせ たくみ) です」

言い終わるか終わらないかのうちに
またあの大声が言った


「ほう。 こりゃあまたやけに綺麗な兄ちゃんだな・・・・。」
そう呟き、しげしげと眺めた後

「思ったより若けぇな
 ここでは堅苦しい挨拶なんぞいらねぇよ
 俺の事は みんなおやっさん。 って呼ぶ。 よろしくな」


「おやっさん・・ですか・・・ あ・・はい・・」


「おやっさん。 じゃなくて クソおやじ。だろうが」



急に耳元で声がして匠は振り返った




刻印 -2 へ続く
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刻印 -2

真後ろに一人の男が立っていた
”いつの間に・・・!?”


「おっ・・ もう帰って来たか」
「とりあえずシャワーだ、一晩中ネズミと追いかけっこで汗びっしょりだ」


「あの・・・ 俺、一ノ瀬・・・」
「もういい、さっき聞いた。  新入りだろ、オヤジ」
「あぁ、少しは人員補給もしてもらわねーとな」

”さっきって・・・・この人いつから・・・”



「じゃあ今度から、昨日みたいな追いかけっこは そいつにやらせてくれ
 それに、クソおやじ がいつまでもそうやってイス温めてるから
 若いのが入らないんだ」


「俺様ぐらいじゃねーと お前らみたいなのはまとめられねーんだよ!
 いいから、さっさとシャワーしてこい」


「はいはい。 クソおやじ様」


そう言ってその男は部屋を出て行く



一晩中追いかけっこで汗びっしょり・・ と言う割には
スーツをピシリと着こなし、疲れた様子は微塵もうかがえない

”あれで一晩中走ってた・・?
 それに、後ろを盗られるまで入って来た事さえ気が付かなかった・・・・”



半ば呆然とシャワールームへ向かう男の後ろ姿を見送る匠に
軍人おやじが声をかける

「坊ヤよ、さっきアイツが入って来たの、全く気が付かなかっただろう」
「あ・・・はい・・・」
「アイツがターゲットなら・・お前は今日、殉職だな」



”そうだ・・・ もし敵だったら・・・
 武術にも戦闘にも多少の自信はあった ・・・・なのに・・・”





「お前が何と言われてここに来たかは知らねぇが・・・・」

オヤジは構わず話し続ける


「ここは普通の警察組織とは全く違う
 というか、もうサツでもねぇか・・
 
 ここは全く独立した1つの機関組織

 日本国だけに依存してるわけでもねぇし、もちろんFBIでもCIAでもICPOでもねぇ
 まぁ簡単に言えば・・・ウラだ


 世界のどの機関でも葬れないヤツを殺る・・
 それだけのために集められた集団だが
 ここでは誰が上司でもなけりゃあ、部下でもない


 誰かが死ねばまた代わりが送られてくる
 お前みたいにな
 
 そしてまた狩りが始まる。それだけの場所だ

 
 この部屋の様なアジトは世界中に点在している
 だが、それを覚える必要もねぇし、もちろんメンバーも覚えることぁない
 
 
 いや・・逆に覚えない方がいい・・・
  
 敵組織もあらゆる手を使って、俺達を消そうとしている
 

 万が一、誰かが敵の手に落ちた時、
 どんな手を使ってでも情報を盗もうとするだろうが
 はなっから知らなけりゃ吐こうにも吐けない・・ってことさ
 


 ・・・とりあえず・・生きてここに戻って来い
 それがお前の仕事だ

 
 ・・あ・・さっきのヤツは 浅葱恭介 (あさぎ きょうすけ)
 それだけ知ってればいい
 

 部屋はたくさんあるから好きなトコ使ってくれ
 武器・弾薬等々その他の必要な装備は そっちの部屋だ
 あとで見て 自分の装備は自分で決めろ」

 

「もう話は終わったか? オヤジ」



振り返るとそこにバスローブを着た浅葱が立っていた
”また後ろ・・・・”


「んぁ? ああ、もういいぜ、大して話す事は無いしな・・

 ・・・ああっと!!! もう一つだけ!
 一番大事な事を言い忘れてたぜ!
 
 これだけは忘れるな!

 その浅葱ってヤツはめっぽう手が早えぇからな、
 油断するなよ!」

そう言ってオヤジが豪快に笑う


「手・・って・・・・」





選抜された者だけがその存在を知り、入ることが出来るこの組織
どんな殺伐とした戦闘集団なのかと思っていたが
手が早えぇって・・思春期の中高生じゃあるまいし・・
って・・ 俺、男だぞ・・・・・

それにさっきから 坊ヤ、坊ヤって・・・・・





その時 PCのモニターランプの1つが点滅し始めた

「お。 またお呼びだ」




刻印 -3へ続く
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刻印 -3

浅葱がオヤジのPCに向かう・・・

が、それは気配も何も感じさせない動きだった


”早い・・・・・
 それにあの体・・・・
 俺だって身長もある・・

 でも、あの浅葱って人は俺より一回り大きく見える・・
 いや・・ 大きく見えるのは身長のせいだけじゃない
 身に纏う何かが段違いに違う・・・・・
 ・・・この人は・・・  強い・・・・・”





浅葱を後ろから見つめていると、おやっさんが呟く声が聞こえた

「またここか・・・・」

「あぁ、暫くは大人しくしてるだろうと思っていたが こんなに早く出てくるとはな・・」

「しかも・・・・・
 今回のヤマ・・・ この坊ヤを連れて行けとさ・・・
 上から直々のご命令だ」

「就任初日のアイツを、パートナーで連れて行けっていうのか・・?」

「あぁ・・・ そうらしい」

「・・・・・」



自分の事を話す声が聞こえ、匠も慌ててPCへ向かうと

「今夜だ、いけるか?」
浅葱が声をかけてきた

「あ・・はい。 いつでも」


「無理でも何でも上からのお達しだ・・
 今夜はさほど危なくねぇって情報でもあって
 坊ヤの初陣にしようとしてるって事か?

 何か考えがあるのかもな・・・・

 ・・・・・・・・もしくは・・・・・・・・恭介・・・」


「・・・・・・・あぁ、わかってる、オヤジ・・・・」





”今夜・・
 いつかは出るのだろうが、まさか初日の今日、いきなりとは・・
 相手はいったいどんな・・・”


「どうした? 怖えーか?」
軍人おやじがおどけた様に言う


「まさか・・ 大丈夫です」



その様子を浅葱が黙って見つめていた




刻印 -4へ続く
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刻印 -4

匠は自分の車で、夜の高速を東へ走っていた

就任早々の任務、緊張しないわけではない
が、選ばれてここにいるという自負があった




「落ち合うポイントと時間は頭に入ってるな
 先に出るぞ」
そう言って浅葱は2時間も早く部屋を出て行った


その後 武器部屋で自分に合った銃を選んだ

「ほぉ、いいチョイスだ
 だが・・ 緊張してるのか?
 まぁ、初日は誰でもそんなもんだが・・・ 肩に力が入ってるぞ
 もっと楽にいけ、楽に
 それからこれをシャツに付けておけ」


そう言われて小さな金属片を渡される 


「お前の居場所を特定できる発信機だ
 まぁ そんな子供騙し、ヤツらにとっちゃあ オモチャだろうし
 気休めぐらいにしかならねぇだろうが、まぁ持っとけ


 それから・・・
 恭介と合流したら、必ずアイツと一緒に居るんだ、離れるんじゃねぇぞ
 絶対に一人での行動は避けろ、いいな・・・ 絶対だぞ」






”浅葱さんの側を離れるなとか、居場所が判る発信機だとか
 まるで迷子じゃないか・・・ かなりガキ扱いされてる気がする・・”

ハンドルを握りながら 匠はそんな事を考えていた





小さい頃に見たTVの影響で、夢は仮面ライダーになる事だった
悪い奴らをバタバタとなぎ倒すあの華麗なアクションに憧れて
本気で剣術・武術・柔術・・・ あらゆる格闘技を習った

少し大きくなって 仮面ライダーにはなれないとわかっても
天性の素質か その腕はみるみる上達した

警察に入ってからは銃術も習得し、その働きで表彰された事も数知れない



”俺だって・・ ガキじゃないんだ”


黒い車体はスピードを上げた




刻印 -5へ続く
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刻印 -5

合流ポイントには すでに浅葱の車が止まっていた
近づいて中を確認したが人影はない


この辺りの道は頭に叩き込んで来たが、地図と現実ではかなり印象も違う
腕時計に目を遣ると、合流までには まだ少しある
匠は歩いて表通りに出てみる事にした


街にはいつもと同じ時間が流れていた
何も変わった様子は感じられない
会社帰りのサラリーマン、OL、まだ制服を着た女子高校生・・・
都心から少し外れているせいか、この辺りの人通りは少ない方だった


「そんなに険しい顔してると、怪しまれるぞ・・・ 笑え」



ふいに後ろで声がした


「浅葱さん・・・」
振り返ると、そこには咥えタバコの浅葱の姿があった

スーツに黒いコートのその立ち姿は
どうみても俳優か、高級クラブの敏腕オーナーといった感じだ
その姿に 思わず匠の顔が赤くなる


「笑えって・・・ 浅葱さんこそ 顔、怒ってますよ、どう見ても」
「怒ってはいない。 これが普通だ」


さっさと歩きだした浅葱に追いつこうと、匠は急ぎ足になる




暫く歩いて一軒の雑居ビルに着くと
「ここだ。早くしろ」  浅葱の声がした

”早くしろって・・・ 歩くの早すぎだって・・・”
浅葱の背中を見ながら 匠が呟く




「いいか? ここからは俺から絶対に離れるな」

匠の考えなどお構い無しに、矢継ぎ早に指示を出す浅葱に少しイライラし

「離れるなって・・・ 子供扱いしないで下さい
 ガキじゃないんですから」

そうは言ってみたが
浅葱は聞いているのかいないのか、返事も返ってはこなかった





階段を上り 目的の階の扉の前で二人は銃を構えた
浅葱が手を伸ばし扉をそっと開く


「・・・真・・っ暗・・?」


中には屈強な男達が大勢集まっている
そこに飛び込んでの派手な銃撃戦・・・・・
そんな事を勝手に想像していた匠は、いささか拍子抜けした様に呟いていた



「うるさい・・・・・ 黙ってろ」

小声ながらも迫力ある声に圧倒されながら
匠は浅葱に続いて 真っ暗な部屋へと入って行った




刻印 -6へ続く
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刻印 -6

「真っ暗か・・・  やはりな」
独り言の様に呟く浅葱の声が聞こえた

”やはり・・? これも想定内ってことか・・”



銃を構えたまま次々と扉を開けて行くが、一向に人の気配はない




どれほど経ったのかもわからない程の長い時間が過ぎていく
もういくつの扉を開けただろうか・・・・
どこまでもどこまでも 永遠に続きそうに感じる廊下、そしてたくさんの扉



”いつまでこんな事・・・・”
ずっと張り詰めたままの緊張感からか 匠の額には汗が滲んでいた


「匠、手の汗を拭え、それでは銃は撃てん」



一度も振り返りもしないのに 浅葱には匠の緊張がわかっているかのようだった


「・・・・は・・はい」




警察時代、こんな捕り物の場面は何度も経験した
若いながらも部下を従えて入った事も数多い
だが、その時はもっと大掛かりだった
専従班が組織され、念入りに情報が集められての突入だった


が、今はたった二人
相手が何者なのかも知らず、ただ行って来いとだけ言われてここまで来た



全身が神経の様に張り詰めている
今なら 何度も後ろを盗られた浅葱の気配さえ、感じる事が出来るんじゃないかと思う

また一筋、匠の額に汗が伝う・・







ピシッ・・・




匠の背後で微かな音がした




刻印 -7へ続く
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刻印 -7

”誰かいる!敵だ!”
本能がそう教えた

「浅葱さん! 右後ろ!!  俺行きます!」



それだけ叫んで右後方の扉へと走った


「バカ! 行くな!! 匠!!!!」
 


後ろで浅葱の声がしたが構わず走った
あの気配なら大人数ではない
一人か・・  多くて二人だ
負ける気はしなかった


ずっと一緒に進むより、二手に分かれた方が早いと思った
正直、いつまで続くかわからない緊張状態に 辟易 (へきえき) していた

早く終わらせたい
無意識のうちにそう思っていた・・・・






銃を構えたまま右後方の扉を破り、中へと転がり込む







・・ドォオオオーーーーン!







その瞬間 何かが爆発したような音がして匠は身をすくめた

”・・・!!!・・・・ 何だ!?  
 どこだ・・・・ どこで爆発したんだ・・・!”


辺りを見回すが自分の居る部屋に爆発の形跡はない


”まさか・・・ 浅葱さん・・!!”




そう思い引き返そうとした匠の目の前に、人影が現れた

「だ・・・ 誰だ!!!!」
「ふふ・・ 捕ーーーかまえたっ・・・・・・」




子供が鬼ごっこで相手を捕まえた時の様に、クスクスと楽しそうな男の声だった

浅葱と同じぐらいの身長はあるだろうか・・・
体は浅葱よりかなり細身だ
顔は・・・ 防毒マスクで判らない



「マスク・・・!!? や・・やばいっ・・・・
 ・・・・・・・・ンッ・・・っ・・・」


部屋に仕掛けがあったのだろう
匠が部屋に入ると同時に爆発で扉を封鎖し、何かの薬物が満たされた


”・・・罠・・・・・”
急激に体から力が抜けていく

かろうじて相手に銃口を向けてはいるが、指先に力が入らない
敵が目の前に立っているのに、肝心の一発が撃てない




カラン・・・・


遠のく意識の中で 重さに耐えられなくなった指先から
自分の銃が落ちる音を聞いた

立っていられなくなり、崩れ落ちるように膝をつく
死ぬのか・・・

俺から離れるな。 そう言った浅葱の声が頭の中を回っていた




刻印 -8へ続く
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刻印 -8

気が付くと、そこはどこかの地下室の様だった

コンクリートに囲まれ、
雑多に物が置かれているのはわかるが、それ以上は暗くてよく見えない



・・つっっ・・・ 痛って・・・・・・・
頭が割れるように痛み、こめかみがガンガンと脈打っている


ここは・・・ どこだ・・・
・・・俺は・・・ 生きてるのか・・・
・・・そうだ・・ ・・・あのビルで・・・・  爆発が起こって・・・
・・・マスクの男・・・・   浅葱さんは・・・・!



・・痛って・・・・・・・・・・・!
思い出そうとすると益々頭痛は酷くなる





「やぁ・・・・ やっとお目覚めかい?」
意識を失う前に聞いたあの笑う様な声が どこからか響いた

「お前・・・   ・・つ・・・っ・・ぅっ・・・・・」
声を出すだけで、頭が割れそうだった





ジャラ・・

頭を手で押さえようとして
匠は初めて、自分の手足が鎖で繋がれている事に気が付いた


両手は頭の上で重ねられ、天井から下がった鎖で縛られている
足は床に膝をついた状態で、足首にも鎖が巻かれていた




「当分は薬で動けまいが、念のため縛らせてもらったよ・・ 良い姿だね・・・」

「お前は・・・・  いったい・・・・誰だ・・・何の・・目的で・・・」
痛む頭で声を絞り出す

「名乗る程の者じゃない・・・
 目的は・・・ そうだな・・・・ しいて言えば浅葱・・・」



”浅葱・・・さん・・・・・
 じゃあ俺は浅葱さんをおびき出すための餌・・”


「察しが良いようだね
 そう君は餌だ
 いつも、いつも、いつも! 私の邪魔をするあの浅葱に復讐する為の
 餌になってもらうよ」


「クソッ・・・・
 俺一人のために・・・・ 浅葱さんが来るものか・・・・」


「それはどうかな・・・・? 浅葱の事は私の方が良く知っている」





コツコツと コンクリートに足音を響かせて、目の前に一人の男が現れた
確かに あのビルで見た男だった


今は顔もよく見える
東洋系だろうか・・・ エキゾチックな顔立ち
年も浅葱と同じぐらいか・・・・

女性か? とも思えるほど美しい顔をしていたが
左頬の傷が目立っていた



「配属初日の坊やだと聞いていたが・・・ 
 ほう・・・ これはなかなか私好みだ
 気に入った・・・・ 上出来だ」




刻印 -9へ続く
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刻印 -9

男は近付いて来ると 匠の顎に指をかけ、顔を上に向かせた
「いい顔をしている」


そして、ゆっくりと唇を合わせてくる

「・・・・!!・・・んっ・・っ・・・何を・・・・
 んっっ!!! ・・やめ・・・・・・」


拒否しようとするが、軽く指を掛けられているだけの顔は全く動かず
縛られた両手足もジャラジャラと鎖の音を立てるだけだ



薬でまだ痛む頭で、目を閉じてしまいそうになるのを必死にこらえ
相手の顔を睨み付ける


「いいねぇ・・・・ そういう抵抗の表情、大好きだ・・」



指先に力が入り、顎が下へと引かれると
少し開いた匠の口内に 男の舌がスルリと差し込まれる




「んっ!・・・・ぁぁ・・・  あ・・・やめ・・・ろ・・・・んっ・・・!!」


男の舌は執拗に匠を追いかけ、絡みつく


「やめ・・ろ・・・・・・ぁ・・・っっ・・・」
「いい声だ・・・もっともっと鳴かせたいね・・
 だが・・・その前に・・・・・」




匠の舌を開放すると 男の手が匠のシャツにかかった
掌が、匠の胸の辺りをまさぐり始める


やがて 「これは、頂けない」
そう言って指で摘んだ何かを匠に見せた

それは、おやっさんが持たせてくれた例の発信機だった



「この建物自体、こんな物は通用しないが、無粋な物は嫌いでね
 やめてもらおうか・・
 浅葱が、君の喘ぎ声を聞くための盗聴器と言うなら、
 聞かせてあげてもよかったんだけどねぇ・・」


グシャ・・。


発信機は男の手の中で粉々になって砕け、パラパラと床に落ちた


その手で匠の顔を押さえ付け また唇を合わせ、舌を絡ませる

「・・・ぅ・・っ・・・・・ん・・」




奥の方でドアの開く音がした


”ぁ・・・浅葱さん・・・・・” 



淡い期待でわずかに顔を扉に向けるが
入ってきた男は そのままこちらにスタスタと歩み寄ってくると
匠と唇を合わせたままの男に 何かを耳打ちする


男同士が舌を絡ませてる現場を目の当たりにしても、何ら驚く様子もない




「ほう・・ 君は タクミ・・・・ タクミというのか、良い名前だ
 今の君では、名前を尋ねた所で素直に教えてはくれないだろうと思ってね
 早く判ってよかった

 これからは 名前で呼ぼう
 その方が感じるだろ・・・・


 タクミ・・・・ 君の選択肢は3つ
 浅葱の餌になってもらうのは今まで通り
 だが、君が自ら私のモノになると言うなら他に考えないでもない・・・
 もしくは私が君を無理矢理にでも奪い・・・・ そうだな・・・印を付けるか・・・
 それとも浅葱が来るのが早いか・・・

 まぁ、どちらにしても時間はたっぷりある
 ・・・・ゆっくり楽しもう」



そう言うと男は匠のシャツを引き裂いた




刻印 -10へ続く
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刻印 -10

・・ドォオオオーーーーン!



激しい爆発音と同時に浅葱の体は飛ばされ
壁に激突して落ちていた



「・・っ・・!」



匠が 「自分が行く」 そう言って走り出した瞬間・・・・
いや、もっと正確に言えば、背後でピシリ。 と音がした瞬間には
”爆発する!” ・・・ 直感でそう思った


咄嗟にガードの姿勢をとった

ガードしていなければ、すでに自分の心臓は停止していたかもしれない



が、利き腕の右手をかばったせいで、左腕を傷(や)られていた
指先からポタポタと血が落ちる




「くそっっっ!」
浅葱は血の滴る左腕で 崩れ残った壁を思い切り殴っていた


その怒りは 傷を負わされたからではなく
匠を止められなかった自分への怒りだった




とにかく、匠を探さなければ・・・・



手早く装備を確認する
幸い銃も通信機器もまだ使えそうだった


「オヤジ! 俺だ!」
「おっ!待ってたぜー。 首尾はどんな具合だぁ?」

任務完了の一報を待っていたオヤジの、待ち侘びた声が聞こえた


「すまん。 ヘマをした。 爆発だ。 手配頼む」
「お前がヘマ?
 ・・・・珍しいな・・・・ わかった、後始末は任せとけ
 で? お前達の方は大丈夫なのか?」



「・・・・・俺はどうでもいい・・・・匠を探す」
一瞬の間の後、浅葱が答える


「探す・・?!」


オヤジはその一言で 事態を全て理解していた


「どうでもって・・・ 
 とりあえず一度戻って来い! お前もどこか傷られたんだろ」
「俺はいい、それより匠の発信機は・・・・!」



今、浅葱が知りたい情報は1つだった




「坊ヤの発信機は、数分前まで移動してた・・・」 

「移動・・? 数分前まで・・? ・・・・確実に移動はしていたんだな!?」

「あぁ、確かに移動していた
 発信機が壊れてねぇって事は・・・
 それは坊ヤが  ”爆死” は してねぇって事だ・・
 自分の意思で動いたか、そうでないかは・・・・ わからねぇがな・・・・」

「途中で発信が途絶えた。 ・・・と言うなら・・・・・後者だ」

「まぁ、そういうことだな・・・」



2人の結論は同じ 【最悪の状況】 だった



「くそっ・・!  で、どっちへ行った!? すぐに追いかける!!」

「おい! ちったぁ冷静になれ、お前らしくない」

「匠がヤツ等に拉致られたんだぞ!
 これが冷静で居られるか!!!  いいから早く匠の・・・・」

「バカヤローが!!! 恭介っ!!!!!」




久しぶりのオヤジの怒鳴り声にハッと我に返った



「お前が焦るのはわかる
 だがな、ヤツ等が坊ヤを殺らずに拉致したって事たぁ、目的は1つ・・・・ お前だ

 それが判っていて、一人で のこのこと出て行ってどうする
 こうなった以上 人員を増やし、万全の体制で救出する
 指揮を執るお前が冷静でなくてどうする」


「・・・・・・・」


判っていた・・・・そんな事は百も承知だった


「全ては一旦戻ってからだ、いいな?」
「・・・・・・・・・・・・・一度・・戻る」
 


もう一度、壁を思い切り殴った
 
 



外に出ると通報で駆けつけた警察車両、消防車両が集まり始めていた




刻印 -11へ続く
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刻印 -11

さほど広くない通りは、あっと言う間に警察や消防車両で一杯になった



騒ぎを聞きつけた野次馬達も集まっている

手に手にケータイを構え
滅多に無い惨事の現場を見物しようと身を乗り出していた


管轄の刑事だろうか
男が一人、増え続ける野次馬の対応に苦慮しているのが見えた




浅葱は人ごみに紛れ現場を離れようとした
が、さすがに腕から血を流し、埃にまみれ、
所々 裂けたスーツを着る男は見るからに怪しかったのだろう

後ろからその刑事が追いかけてくる


「おい! そこの男! 待ちなさい! 
 ・・・・・・・聞こえないのか!!! お前だ! 止まれ!!」

「・・・・・」



無言で振り返っただけだったが、その気迫に圧されたのか
一瞬 刑事の顔が強張った

「あ・・・ お前・・・ 今このビルから出てきただろ・・・・!
 聞きたい事がある、事情を詳しく・・・・・」

「・・・・・」

「お、・・・おい! 聞こえないのか!!」





その時、キッー っと車のブレーキ音がして
一台の黒塗りの高級車が二人の横に止まった



スッと後部ドアが開き、一人の男が降りてくる
スーツを着、メガネをかけ、いかにもインテリ・・・ といった風情だ



「なんだ!? お前たちは! 
 今ここは、車両侵入禁止だぞ! 勝手に入って・・・
 あ! ・・・おい! そこの男! 待て!」


刑事の制止を無視し、
浅葱は無言のまま 開けられたドアから車に乗り込んだ
座ると同時にドアが閉められる


刑事はまだ何かを叫んで浅葱に手を伸ばしたが、メガネの男に阻まれ
その声はもう、聞こえもしなかった





「遅くなって申し訳ありません・・・」
助手席の男が振り返って声を掛けてくる

「・・・・・」


男は何も答えない浅葱の姿を緊張した様子で見ていたが
出血しているのを見つけると
「お怪我、大丈夫ですか!?!  ・・おい。すぐに病院だ」
運転手に指示をした



「裏の路地の駐車場でいい。 自分の車で帰る」
「あ・・・ でも・・・・  それでは私の任務が・・・・」

途中まで言いかけたが 憮然として自分を睨む浅葱の目に射すくめられ
それ以上の言葉を飲み込んだ
そしてすぐに車を裏へ回す様に運転手に言い直した



バックミラーにはメガネ男に深々と最敬礼をする刑事の姿が映っていた








薄暗い駐車場には
何事もなかったかの様に浅葱の車が止まっていた

細い道を挟んだ反対側の駐車場にも、もう1台
静かに主を待つ車があった


「・・・匠・・・ 待ってろ・・・・」

まだ血の乾かない拳を握り締めた




刻印 -12へ続く
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刻印 -12

部屋に戻ると オヤジは忙しなくキーボードを叩いていた

「帰った」
それだけ言い自室へ戻ろうとする


「おい。 ちょいまちー」
それをオヤジが呼び止めた



「まずは手当てが先だ。 奥で待ってろ。 すぐ行く」
「もういい、大丈夫だ」
「おいおい、お前の為じゃねぇ。 坊ヤを助ける為だ」

そう言われると返す言葉がなかった





マンションの一番奥の部屋

医療器具や薬品が並び、中央にイスと診察台のようなベッド
そこは診療所と手術室を兼ねたような作りになっていた


暫くして入って来たオヤジは、入念に手を消毒しながら
「ほれ、そこに横になって傷、見せてみろ」
顎でクイクイと診察台を指す



上半身裸になり、ベッドに横たわり 無言で左腕を差し出すと
オヤジが小型の無影灯を引き寄せる


「まぁ・・ 傷はでけぇが、さほど深くは無い
 これぐらいなら縫っとけば大丈夫だろ」

「・・・オヤジ・・・ 匠の発信機はどこで途絶えた?」


自分の傷の話など、まるで聞いていない様子で浅葱が尋ねる


「ビル横の道へ出てすぐだ・・・ このまま縫合するぞ」
「・・・車・・・ だな」
「まぁ、そうだろうな
 あの道はそれほど広くねぇから大型は無理だ
 発信機の電波を遮断出来る車を 準備してたって事だな・・」


オヤジも世間話しでもする様に、喋りながら
腕の傷を手早く処置し縫合していく


「やはり最初から一人、もしくは少人数を拉致るためだけの罠・・・
 ・・・・全ては仕組まれてたって事か・・・」
「あぁ、坊ヤの配属当日のいきなりの出動命令はそれだな・・・
 今、応援を召集しているが・・・」


そこまで言うと、オヤジの声が一段小さくなる


「・・・今回は上にナイショで動く
 今までに俺かお前が組んだことのあるメンツだけに召集をかけた
 信用できるヤツだけでな
 大人数って訳にはいかねぇが、少数精鋭ってとこよ」

「・・・だな・・・ そうしてもらえるとありがたい」
「礼は坊ヤを連れて帰ってくれりゃあいいんだ・・・」



「・・・匠・・・・」



・・・・暫く無言の時間が過ぎる
どちらも言いたい事があるのに言い出せない・・・ そんな空気だった



「ほら、いいぜ
 見てみろ~ 俺だってまだまだ縫いモンは上手いもんだ」
沈んだ空気を吹き飛ばすかの様にオヤジが大声で言うが
やはり声は重いままだった



「・・・・・・・・・・なぁ・・ オヤジ・・・ 匠は・・・・・」

自分の気持ちを落ち着かせるように、浅葱が口を開いた


「ん?・・・・・・・ああ・・・どうだろうな・・・
 とりあえず、お前が行くまで殺しはしないだろうが・・・
 指の一本や二本・・・
 運が悪けりゃ・・・ 足の一本・・・・・腕一本・・・・・ で済めばいいがな・・・」


「・・・・・・・・」

「それよりも気がかりは 坊ヤの精神・・・ だな・・・
 壊れなきゃ・・・・ いいが・・・・」



”何をバカな事を考えてんだ、坊ヤは大丈夫だ!”
そんなオヤジの言葉を 少しでも期待していた自分がいた・・・

しかしそれは端っから無理なのは判っていた
ヤツ等の卑劣なやり方は、2人ともよく知っていた



「ここに化膿止めの薬、置いとくぞ
 飲んだら時間まで寝てろ
 オレはまだコッチで用がある」

オヤジは指でPCのキーボードを打つマネをする


「・・・・・いや・・・ 少し出かける」



部屋を出て行こうとしていたオヤジは 驚いたように振り返った

「出かけるってー どこにだよ」
「あいつの・・・ 匠の車を引き上げて来る」

「そんな事たぁ、下のヤツに任せろや」

「・・・俺が行く
 ・・・ここに戻った時、愛車が無いと寂しがる・・」


「・・・・・そうか、なら・・ 送りの車だけ手配するが・・」
「いや・・・念のためタクシーで行く」



それだけ言うと浅葱も部屋を出て行った




刻印 -13へ続く
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刻印 -13

着替えを済ませると 浅葱はマンションを出た
しばらく住宅街を歩き、木陰のある公園で足が止まった


一人でただ黙々と歩いていると、考えたくない事まで考えてしまう

頭の中のシナリオを 払拭しようとすればするほど
最後には 冷たい亡骸となった匠と、それをあざ笑うヤツの顔で思考が止る

マンションを出てから
もう何度も頭の中で迎えた同じエンディングだった



タバコが吸いたかった

木陰の公園の塀にもたれるように体を預け
内ポケットからタバコを取り出し火を点ける

体が酷く重い・・



無睡眠で仕事をする事など何度もあったが
これほどまでに倦怠感を引きずった事はなかった



昼間の明るい日差しの中
公園の砂場で 子供が数人、無邪気な声を上げている
屈託の無いその純粋な笑顔に、一瞬 匠がダブって見え
浅葱は目が離す事が出来なかった


指に挟んだ火を点けたままのタバコは
ほとんどが灰になろうとしていた




怠い身体を引き上げ、大通りまで出ると
タクシーを拾いビルへと向った


昨夜のあのビル・・・・


爆発で上部は激しく壊れ
周囲には警察の黄色い規制テープが張られてはいるが
捜査員の姿はすでに無く、見張りの巡査が一人、暇そうに立っていた

野次馬ももう飽きたのか
近所の主婦らしき3人が立ち話をしているだけだ


「ここでいい」
そう言ってタクシーを降りると、3人の方へ向かって歩く



「昨日の、びっくりしたわよね~~」
「古い配管のガス漏れ事故ですって~~」
「怖いわね~~~うちのは大丈夫かしら~~~」
そう話しているのが聞こえる



”老朽化によるガス漏れ事故か・・
 まったく・・・ オヤジも簡単な理由で片付けたものだな・・・・”

一人、苦笑いしながら、主婦達とすれ違う

まぁ 小細工無しの簡単な造りの物ほど丈夫と言うこともある
これなら 自分達に不利な・・・
街に溢れている防犯カメラの映像も抹消済みだろう



裏路地には昨夜のまま 匠の車が残されていた
国産の黒いスポーツタイプの車
念のため周囲を見て回るが 爆発物らしきものは無い

昨日、出かける前に匠がオヤジに預けて行ったというスペアキーでドアを開た



黒系でまとめられた車内はシンプルで綺麗だった
運転席に乗り込みシートを倒し、目を閉じる

言いようの無いだるさが襲ってくる


半日前まで自分の側にいた匠の匂いがした・・


「・・・匠・・・・」



昨日 初めて会ったばかりなのに何故こんなに匠が心配なのか
自分でも判らなかった・・



あの時、走っていく匠の腕を無理にでも掴み
「行くな」 と言えばよかったのだ
たったそれだけで良かったのに・・・




”・・・浅葱・・ さ・・ん・・”

苦しそうに自分の名前を呼ぶ匠の声が聞こえた様な気がして
慌てて目を開ける


ルームミラーの陰に小さいキーホルダーが1つぶら下がっているのが見えた
手に取ると、それは子供に人気の仮面ライダーのキーホルダーだった


”フッ・・・・
 やっぱりお前はまだガキだよ・・・・・ 匠・・・”




刻印 -14へ続く
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刻印 -14

・・・ビリッ・・!



シャツを破られ、上半身裸になった匠に 男は楽しそうに顔を近づけた
掛けていた匠のペンダントがチャリンと小さな音を立て床に落ちる



「良いな・・・・・ しなやかな、良い体をしている
 美しい筋肉も 背中も・・・・  肩も胸も・・・ 本当に私好みだ」




男は冷たい手で匠の体に触れ、確認するように入念に撫でていく

「タクミはどこが感じるんだい? ・・・どこを壊して欲しい??」

「・・・・・・・」



何も言わない匠の顔をじっと見ながら 男の手だけは動き続ける

「ここ・・・・ かな・・・   ・・・それとも・・
 ・・・・・・・ ここ・・・・」




「っ・・・・ やめろっ・・・ 手を離せっ・・・」

「手は嫌いか?・・・・・」


そう言うと男は近くのテーブルに置かれていた物を掴んだ


「では・・・ これなら、タクミの泣き声を聞かせてもらえるのかな・・・?」
男の左手には鋭く光るナイフがあった



一瞬 背中に冷たいものが走る

「フフ・・ ・・・・ 怖がらなくてもいい・・・・」




ナイフの切っ先を匠の喉元に ツっ・・とあてると
先端に赤い血の雫が溜まり、そして男の手へと流れた

「・・ツッ・・」

「どうかな? 気に入ってもらえると嬉しいが・・・」



・・・ツ、ツツツ・・・



ナイフはゆっくりと匠の胸の中心を通り 真っ直ぐに下がっていく
まるで色鉛筆で線を描く様に、赤い筋を引きながら・・・


「・・んっ・・・!」

「ほう・・・ 苦痛に歪む顔もいいね
 しかし、まだ声を聞かせてはくれないらしい・・・ 
 強情なのも・・・・ 好きだけどね・・・・」


言い終わらないうちにナイフが翻り
今度は左胸から右腹まで 斜めに一気に走った 


「・・!! ・・・ンッゥッ!! ・・・・・っっ・・」

「そうだよ、その声・・・
 もっと鳴いてごらん・・・ ほら・・・ほら・・・!」




ナイフは何度も縦横無尽に匠の体を傷付けていく
胸を、背中を、、腕を・・・

どれも深く刺さってはいないが、上皮を切り裂くには十分だった



ナイフが光る度、天井から吊られ膝で立っている匠の体は ギシギシと揺れた


「ハハハ・・・ アハハハハ・・・・・」
男の高い笑い声だけが響き渡る




・・・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・


・・・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・




肩で息をする度、幾筋もの傷から血が伝う
鎖が巻かれている手首にも体重がかかり 血が滲む


「・・っぁ・・・!・・・んっっ・・」

「もっと・・・ もっとだ・・・・・」



途中までは まだ薬で感覚も鈍っていたが
激しい痛みで急速に脳が覚醒していく

「ぅっ・・・ぁっ・・くっ・・!  ・・ぁ・・ぁあ・ぁあああっっ・・・・!」

「やっと体も目醒めてきたようだね」

「く・・・狂ってる・・・・  お前は・・・ ただの狂人だ・・・・
 お前なんて・・・・・ 浅葱さんの足元にも及ばないっっ・・!」



匠の顔を撫でていた男の右手がピタリと止まった

匠を見下ろす男の目・・・
そこには今までの狂喜はなく、怒りと憎悪があった




男の手が匠から離れた・・・


【・・ドスッ!!】


それはまさにプロの一打だった


匠のみぞおちに 男の拳が突き刺さる
的確にヒットしたそれは 胸の傷口を開き、
鮮血を床に飛び散らせた



全てがスローモーションの様に見えたが実際は一瞬の出来事だった




「ぅぐっ・・・ぐ・はっっぁぁぁっ・・・・・!!」


衝撃と痛みでまた意識が遠のいていく・・



「私を怒らせるな、タクミ・・・  それは無能な人間がする事だ・・・・
 私をがっかりさせないでおくれ・・・・ 
 今のはお仕置きだよ」




傷口からは心臓の鼓動に合わせ 血が溢れていた




刻印 -15へ続く
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刻印 -15

肋骨が数本折れたのがわかった

止まらない出血で呼吸が浅くなる
その苦しさから、出来るだけ多くの酸素を吸い込もうと 本能が深呼吸を繰り返す
が、息を吸う度 胸が激しく痛んだ

「・・っ・・っぅ・・・・っ・・・くそっ・・」





「タクミ・・・ 君がいけないんだよ、私を怒らせるからだ
 ・・・・ 先生・・・・」

男が誰かを呼んだ





いつの間にか部屋の隅のイスに、一人の白衣姿の老人が座っていた


男に呼ばれると 「先生」 という男はゆっくりと立ち上がり
ペタペタとスリッパの音を立てながら、側にあった金属製のワゴンを押し
笑みを浮かべながら 近寄ってきた



「死なない程度で・・・・ ですね」
そう言うと老人は匠の側にワゴンを止める





ワゴンには金属のトレイが載せられていた
中にはメスやピンセット、鉗子といった類の医療器具が並び
他にチューブや液体の入ったパックもあった





老人は皺だらけの手で匠の左腕をとると
何かを探るように慎重に指先を這わせていく

その湿った手の不快な感触に 匠は反射的に体を引いた
ギリッ・・・と胸が痛む



老人はしばらく指を這わせていたが、ある一ヶ所で動きを止めた


「すぐに気持ち良くなる・・・」

湿った手の感触と同じように しわがれ
不快感しか与えないその声がそう言った




”気持ち・・  良く・・・・”
老人の理解できない言葉に目を開けた匠の視界に ワゴンとトレイ・・・
不気味に光る器具が見えた




「・・な・・  何を・・・  やめ・・・・ろ・・・・・」



老人はトレイの中から1本のメスを取り上げると
匠の腕の、その場所に当て そのままゆっくりと 深く切り裂いていく


「・・ウっっ・・んっ・・・! ぁああッ・・!!」

呻く匠の声にニヤリとする




振り払おうと腕を動かし拒絶するが、重い鎖が微かに揺れるだけだった

「動くんじゃない、場所がずれると 死ぬぞ・・・」
しわがれた声が不快に響く



老人は匠の内腕を8センチほど切開すると
傷口を開創器で無理矢理に開き固定する
そこへ針の様な物をズブズブと奥深く突き刺し始めた



「うっンッ!!!・・・ぁぁ・・・・ぁああぁあッ!」

傷口をえぐられ、異物を入れられる痛みに匠は声をあげた



長い1本目の針が切開口に収まると
2本目も同じ様に刺され、その先端にチューブが取り付けられていく



「ぁ・・ぁ・・・・・ああああっっ・・・んっっっぁあ・・・・!!」





その様子を見ていた男が嬉しそうに言う
先ほどの怒りは この一連の光景ですっかり収まった様だった


「もう安心していいよ、タクミ・・・・  これで簡単に死にはしない
 こんなに美しい玩具、出血多量で殺すなんて勿体無いからね・・・・
 それに、餓死や 衰弱死も困る・・  あれは非常に醜い・・・・」






匠の左腕には輸血用と、栄養補給用らしき2本の点滴の針が刺さっていた
そこから出たチューブと液体のパックは テープでグルグルと腕に留められた

今までに流した血を補う様に、輸血パックから血が送られ始める・・・



「針を抜こうとしても無駄だよ、先生は最高の名医だからね」


褒め言葉が嬉しいのか 老人が上機嫌で話し出す

「はい。 針は皮膚深く、埋め込むように入っております
 どんなに暴れようとも 抜け落ちる事はありません」
 
「ありがとう。先生、流石だ
 後でまたお願いします・・・・ それまでそこで見てて下さい」


その言葉にニヤリと笑みを浮かべ、会釈をして老人は隅に下がって行った





その直後だった


匠は自分の体の異変に気が付いた
朦朧としていた意識が急速にクリアになっていく感覚


いや・・・・ それはクリアという簡単な言葉では表現できなかった
そんな段階はとうに過ぎていた


全ての神経、感覚が研ぎ澄まされ、過剰なまでの反応を示していた



ドクン・・

心臓が1つ鼓動を打つだけで、体が熱を帯びる




ドクン・・

ドクン・・


次第に息苦しくなり、呼吸が荒くなる
同時に 折れた胸の痛みも増していった


”ハァ・・ ハァ・・・ 熱・・・い・・・・ 何だ・・・・この感覚・・・・”


そんな匠の様子を男はじっと見つめていた




ドクン・・・

ドクン・・・


「何を・・・ハァ・・・・ハァ・・・   ・・・俺に・・・・何をした・・・」


「効いてきた様だね・・・ 何って・・・・
 それは・・・・ そうだな・・・俗に 媚薬 とでも言うかな
 先生の作る薬はそんな俗っぽい名前で呼ぶには勿体無いけどね・・

 快楽の薬、催淫剤・・・ その他にも色々と点滴に混ぜさせてもらったよ
 残念ながら、鎮痛剤は入っていないけどね

 どうだ? 面白い趣向だろう? 
 その針が入っている限り キミは快楽から逃れられない
 しかし、それを抜けば今度は命が危うい
 さて、どっちをとる?・・・クク・・」


楽しむ様に 匠を見つめる


「そうだ・・・  その姿・・・・
 記念撮影でもして 浅葱に見せてやろう・・・・ 
 さぞ悔しがるだろう・・・・ ねぇ、タクミ・・・・」







ドクン・・・

ドクン・・・



体中の神経が逆立ち、
全身のありとあらゆる器官が敏感に反応していくのがわかった・・・




刻印 -16へ続く
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刻印 -16

男は匠の顔を抱き寄せると その唇を指で撫でた・・


唇端から自分の指をゆっくり挿入し
抵抗出来ない匠の口を易々とこじ開ける


そのまま 唇を合わせてくる


「・・・ぁ・・・・んっ・・・・・・」



腕から容赦なく滴下される薬のせいで
少し触れられただけで声を漏らしそうだった


それほど感覚は研ぎ澄まされているのに
肉体は鉛の様に重く、まるで言うことをきかない




男の舌が容赦なく入ってくる


それはもうさっきまでの感覚ではなかった
何か別の生物が口の中で蠢めいている様だった


唇を塞がれ、男の舌が絡んできても
嫌だという意識だけで、体が動かない

顔を背ける。 ただそれだけの動作が酷く辛い・・





男は舌を絡ませながら、指で匠の胸の先に触れる

「・・ぁ・・・ぁ・・・んっ・・んっ・・」




塞がれた口から吐息とも聞こえる甘い声が漏れていた




匠は自分が発した声に驚く・・・・


その時 匠は、既に自分の体が
コントロールできない所まで来ている事を悟った




匠のその声を合図にしたかの様に 男は首筋から喉へと舌を這わせ始める

「・・・・・っん・・ん・・」


無数に付いた胸の傷を一つ一つ舐めていく
大きく開いた傷には舌先を挿し入れてくる

「・・ぅんんぁああっっ・・・!!」

痛みと快楽という相反の2つの感覚に思わず声を上げた



「・・・や・・・・やめろ ・・・・・・・・・・さわる・・な・・・・
 俺に・・・触るな・・・・」

やっとこれだけの言葉を絞り出した


が、男は 「そうか・・  ここがいいのか・・・・・」
そう言うと、傷口を指で押し広げ、生々しい傷の中を舌で舐め始めた



「んあっ・・!! ・・・・・やめ・・・ぁああああ・・・・!!」



声を上げるとズキズキと折れた肋骨が痛む
言葉を発するのも辛く 声は途切れ途切れだった



「ぁあっっ・・・っっ!!! ・・・浅葱・・さ・・ん・・」

「そうだ・・・・・もっと浅葱を呼べばいい・・・・・
 タクミのこの姿を見たら何て言うだろう・・・
 それまでにもっともっと美しく仕上げないとね・・・・」



男の手が慣れた手つきで匠のベルトを緩め、ファスナーを下げていく


「・・ !!! ・・・や・・・・やめ・・・・・・・」




冷たい手はそのまま下腹部を這い・・・・指先が匠のモノに触れる


「・・・はぁうっ・・・!」


ビクンと体が跳ねた


「もうこんなになって・・・・ 良い子だ・・・・ 
 窮屈だろ・・・ 脱がせてあげよう・・」




刻印 -17へ続く
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刻印 -17

「や・・・・・  やめ・・・ろ・・・・・・・・」

男は何も言わず 匠の服を脱がしていく
どんなに逃れようとしても、それは虚しい抵抗だった




両手を天井からの鎖で縛られ、全裸でひざまずく匠・・

その匠の姿を 男は満足そうに眺めていた



「やはりきれいだ、 タクミ・・
 キミは私の最高傑作になる・・・・・」




男は 匠の胸の傷を嬉しそうに指でなぞり
背後へ回ると、手の掌で背中に触れる 




「ここに、私の印を・・・」
そう呟く声が   聞こえた様な気がした







男は後ろから匠を抱く様に腕を回す



「さわる・・な・・・・ はな・・せ・・・・・・」


強く抱かれた腕から逃れる様に 体をよじると
男の腕の中で 折られた肋骨がギシ・・と軋んだ



その声を黙らせる様に 男は匠を振り向かせると 唇を塞ぎ
そのまま下腹部へと腕を伸ばすと 匠のモノを握った



「ぅ・・っ・・」
塞がれた口から 匠が小さな声を漏らす


「・・・タクミ・・」
男は匠の名前を耳元で呼びながら 握った手を、上下に動かし始める
波の様にうねる指先で、ゆっくりと・・・



「・・・んっ!・・・ぁ・・・ぁ・・・・んっ・・・んっ・・・」

その動きに合わせて匠の声が漏れる





”やめろ! 離せ! どうしてこんな・・!!”
頭の中で叫ぶが声にならない


催淫剤のせいとは言え、こんな男の手の中で感じる自分が悔しかった
が、既に体は敏感に反応し、自分の意思ではどうにもならなかった



「・・タクミ・・ ほら・・ もっと・・ もっと・・・・・」
耳元で囁くような男の声がする


時折 耳や首筋にも舌を這わされ
匠は体を大きく仰け反らせる

匠のモノを握った男の手は 大きく強く、止まる事無く動き続けていた




ハァ・・・ハァ・・・

ハァ・・・ハァ・・・


大きく吸えない空気を 細かい息遣いでしのいでいた

過剰反応する神経が逆立っていく






ゆっくりだった男の手が 徐々に動きを早め始めた

「ぁっあ・・・・・ やめ・・・・ や・・ めろ・・・・・」


上下する男の手の動きに合わせて、
後ろから抱かれた体ごと 無理やり腰を動かされる

「んっ・・ っ・・ぁ・・ んっ・・・ ぁ・・・・・・・ぁ・・・・」


信じたくない自分の声と
男の息遣いが ずっと耳元で聞こえていた







「ぁ・・! ・・・ぁ・・・くっ・・・んっ・・ぁ・・・んっ・・んっ・・・・・・・!!!」


匠の声が一段高くなり、絶頂が近いことを示す



「タクミ・・・・・・ 私の手でイけ・・・」


男の手の動きが早くなった



「ぁ・・ぁぁ・・ぁあ・・・やめろ・・・・・・

 はな・・せ・・・ ぁ・・・んっ!  ・・んっ・・うっっ・・・ぁっ・・・・。。」









匠は甘い声と一緒に 男の手の中に白い粘液を吐き出していた


ハァ・・・ハァ・・・

ハァ・・・ハァ・・・


体の熱さで匠は喘いでいた
自分の体で起こっている事が理解できなかった




「いい子だ・・・ これで少しは楽になっただろう
 本当の楽しみはこれからだ」



そう言うと男は 匠の目の前で自分の服を脱いでいく

細身に見えていた体は、強靭なアスリートの様だった・・




刻印 -18へ続く
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刻印 -18

「今度はタクミが 私を満足させる番だ・・」

自ら全裸になった男はそう言うと
片手で匠の背中を押さえ、片手で腰を引き寄せた


手首を天井からの鎖で縛られていなければ
四つん這いで尻を高く上げた格好になる


「んッ・・・」
「いい格好だ・・」

匠の穴までが露になっていた



「ここは初めての様だな・・」

男は、匠のそこに唇を当てると 舌先で舐め始めた

「・・・んっ!!」 
腰を引こうとするが、押さえつけられた体はビクともしない


「や・・やめろ・・・・っ・・!!」

言葉とは反対に、たった今 男の手でイかされたばかりの匠のモノは
また反応し始めていた


「もっと声を出せ・・・」
 


舐めながらゆっくりと 指で穴の周囲を触る
そして クッと指を曲げ、舌で濡れた穴にそのまま指を滑り込ませた

「・・んっ!!あ・・!! んっっ・・」



いきなり入ってきた指に ビクン・・と更に体が反応する



「狭いな・・・・
 この窮屈な場所に私のモノを飲み込むんだ・・・・
 ほら・・ ここだ・・・」


男は匠の中の指先を 楽しむ様に動かした


「んっ!! ・・・ぁ・・・やめ・・・ろ・・・」


体に力を入れて男の指を排除しようとするが
薬でコントロールできなくなっている体はいうことをきかない



そればかりか下腹部は快感を増し、穴は緩んでいく




・・ズ・・ ズ・・・・・・・


初めての感覚に匠は顔を歪ませた

「っ・・・ん・・・っ・・・っう・・・・・・・・・・・・・・」



男の指は匠の奥へと入っていく



「ぁあっ! ・・・・や・・・め・・・・・んっ・・・・!」

体を仰け反らせ、女の様に声を上げている自分が嫌だった
逃れようとしても 後ろから腰を抱え込んだ男の力は強い・・

・・・・屈辱的だった





「もうすぐ全部入る・・・・ どうだ・・ 気持ちいいか?・・ フフ・・」

そう言うと 最後は一気に突っ込まれた


「・・・ぅんううっ・・・!!!!」



痛みに匠は呻く事しかできなかった





一旦 男の指が停まる

 ハァ・・・・

 ハァ・・・・

呼吸を整えようとするが
肋骨は激しく痛み、心臓も爆発しそうな程脈打っていた

胸の傷も開き、また出血し始める





そしてまた男の指が 匠の中で動き始める

「んっ!!!  ・・あ・・・っ・・・ぁあああ・・」

「さぁ・・  タクミ・・ ここに私を受け入れろ・・」




刻印 -19へ続く
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刻印 -19

匠の中の過敏な神経を 執拗に逆立たせてから
男の指は引き抜かれた



ハァ・・・・

ハァ・・・・

ハァ・・・・



まだ呼吸が整わない匠の後ろに 男のモノが押し付けられる
それが何かは・・・・  判っていた・・



「・・・ !! ・・・ やっ・・・・・やめ・・・・・ろっ・・・・・」


満足に息をすることが出来ず言葉が出ない・・




男は匠の腰を両手で掴むと
今まで指が入っていた場所に、自分のモノを押し込んでくる

狭い入り口が無理矢理こじ開けられる

「ぅぐっ! ・・ぁあっ・・・・・・んっ!!!」


その声に満足なのか 男の腕に更に力が入り グッッッと腰を引き寄せた

「んっっ!!・・・・ぁあああああ・・・!!」



体の奥からの張り裂けそうな痛みに 匠は声をあげた
それは悲鳴に近かった


「いいよ・・ タクミ・・・ 叫んで叫んで・・ 浅葱に助けを求めろ・・・」




男は容赦なく自分のモノを匠の中にねじ込んでいく



「ぁああああ!!!! やめろっっ! ・・・んっ・・・あ・・・あっ・・・・あっ・・・!!」






少しでも男のモノを抜こうと体を動かすが
その度に呼吸は苦しくなった

匠は自分を縛っている鎖を 両手で強く握り締めていた



四つん這いで下を向いている匠には 
自分の胸の傷から、ポタポタと床に血が滴るのが見えていた
そして・・・ 何故か意思に反して、大きく反応している自分のモノも・・・・



・・・・男に犯されている・・・・



「やめ・・・ろ・・・・・・・ は・・・ な・・・ せ・・・・・」


匠は支配される悔しさに唇を噛んだ
嚙み締めた唇の端から 一筋の血が伝う



男は匠を振り向かせると その唇端を舌で舐め そのまま唇を塞ぐ・・

「・・・んくっ・・・・ん・・・!」

口を塞がれ、更に呼吸は苦しくなる





男は腕を伸ばし、体の前に回した片手で匠のモノを握った


「いい子にしていれば、気持ちよくなる・・・・」

男の囁く声がした


”いやだ・・やめろ・・・離せ・・・・・・”


もう声にならなかった・・




振り向いた目で男を睨みつける
・・せめてもの抵抗だった






男は そんな匠を見て フッ・・と笑うと
腰の動きを早めた


「くっ・・・!!!  んっ・・!  ・・ん・・・!!」

「ほら・・・・・・ タクミ・・・・・・ もっとだ・・」

「ぁ・・・ぁあああ・・・・ぁ・・・ぁ・・・・んっ・・・んっっ!」



匠の声を聞きながら、男の動きが一段と激しくなる
と、同時に擦り上げる手の動きも早くなった


「んっ・・・!んっ・・・・・! ん・・・・ぁ・・・ぁああ・・」
「タクミ・・・・・・・・・・・・」





声をあげ、体を反らせ、鎖にしがみつく自分がいた・・・
感じたくはなかった・・
が、体は確実に反応し、限界を迎えようようとしていた

「ぁ・・ぁ・・ぁ・・・ぁあああ・・・・んっ・・・・ぁあっ・・・っぁああああああ!!!」




悲しい絶頂の声と同時に 男の動きも止まる 

男のモノが 自分の体の中で脈打っているのを
匠はハッキリと感じていた




ハァ・・ハァ・・

ハァ・・ハァ・・



匠の激しい息遣いが響く




押さえ込まれたままの腰
その体内に 男から射出された物を受け入れていた







体の中のモノをズッ・・・ 引き抜かれると 匠は小さく声をあげる・・

足に何かが流れ出るのを感じていた・・




刻印 -20へ続く
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刻印 -20

ハァ・・
ハァ・・

ハァ・・


ハァ・・


男のモノが引き抜かれ、少しづ落ち着いていく呼吸・・



ジャラ・・・・・

匠はやっと握り締めていた自分の拳を開き、鎖を離した

ガクンと体が一段揺れる




胸の傷も、縛られた手首も、膝も、もう限界だった
疲れていた
酷く体が重かった



が・・
体の中には まだあの男の感覚と痛みがハッキリと残っていて
体は熱を持ったままだった



そんな体に まだ薬は確実に滴下されている




ぐったりとうなだれたまま 「針を・・・ 抜いて・・・ くれ・・」
そう呟いたが返事は返って来なかった





男はその匠の様子を眺めながら 自分の衣服を整え終えようとしていた



放心している匠に近付き、その顔を指で持ち上げる

うっすらと目を開けた匠に 男はその唇を合わせた



「・・っ・・」

匠は小さく声を出すだけだった





「最初は浅葱を呼ぶエサのつもりだったが・・
 本当に返したく無くなったよ・・ タクミ・・
 ずっと私の側にいないか・・・?」


その男の声に 匠は子供の様に首を振る


「そうか・・・残念だ・・
 では最初の約束通り・・少々強引だが私の物になって貰おう・・
 最高のプレゼントを上げなくてはいけないな・・」



プレゼント・・
約束・・・



熱い体と、重い頭で記憶を呼び起こす


”印を・・・・” そう言った男の声を思い出していた



・・・・印・・・・・しるし・・・



それ以上は考えられなくなっていた





「私が戻るまで、大人しく待ってるんだよ・・タクミ

 先生、後の準備はお願いします」


そう言うと男は ローブの様な上着を1枚匠の足元へ投げると部屋を出て行った





刻印 -21へ続く
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刻印 -21

バタン・・・


重い扉の閉まる音がして男は見えなくなった




体はまだ重く動かなかったが
男が居なくなった事で呼吸は徐々に落ち着いていく




匠は言い様のない虚無感に襲われていた


男に・・ 犯されたんだ・・・ と・・

まだその激しい痛みは ハッキリと体の中にあり
足には男の吐出したものが溢れている・・・・







茫然とする匠に 一部始終を見ていた老人が 近づいてきた


「楽しませてもらったよ・・ 私も久々に興奮した・・」
そう言うと足元のローブを拾い上げ、匠の肩に掛ける

たった1枚のローブだったが、匠はやっと大きく息をついた・・





が・・
老人の湿った手は そのまま匠の胸へと下りてきていた


”・・・!!・・・ なにを・・・!”


もう終わったと思っていた・・
しかも目の前に居るのは、白髪の老人・・・・・




男が出て行き、緊張の糸が切れかけていた匠の体が
またビクン・・ と反応する






老人はその湿った手で匠の体を触り続け、そのまま胸を撫で始める
胸の先を摘み コリコリと弄りながら
「若い体はいい・・・・・」 不快な声で呟いた



「・・・んっ・・・・・・っっ・・・」
敏感な体がその指で痛む




そして老人は胸に顔を近づけると、舌を出し、匠の胸を舐め始めた
傷も、弄っていた胸も、執拗に舐めていく


絡みつく様な、ねっとりとした感覚・・・・
あの男とはまた違う不気味さと不快感だった




匠の掛けているローブの前をはだけさせ
胸から腹へ・・ そして下腹部へと這うように下りていく
それはまるで爬虫類が這い回っている様に似ていた



「や・・やめろ・・っ・・!」



顔を背ける匠に老人が呟く

「心配しなくてもいい・・ 私は あの方の様なことはしない・・・ もう出来ない
 だからほんの少し楽しませてくれるだけでいい・・・・」
 


そう言って老人は たった今 男の手でイカされた匠のモノを手にとると
ゆっくりと口に運び、長い舌を絡みつかせた



「んっ・・・!!・・」

「まだ残ってるのか・・? きれいにしてあげよう・・」




粘液を吐き出したばかりの 匠の先の穴を刺激するようにチロチロと舐め
小さな穴に舌先を差込んで チュゥ・・と吸い上げる

「・・・うっ・・ん・・・・!」
「ほぉら・・ まだ出てくる・・・」


嬉しそうにそう言って 匠のモノを吸い続ける






「や・・ めろ・・・・・ぅっっっ・・」


呻く匠の前で 老人は自分のズボンのファスナーを開け
モノを引っ張りだすと、匠の目の前に差し出した




刻印 -22へ続く
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刻印 -22

「私のも慰めてくれ・・」

老人は確かにそう言った




信じられなかった・・・・

眼の前には背の低い白髪の老人
ニヤリと笑うと 不揃いな前歯が見えた
ボサボサの髪は肩までかかり、御世辞にも清潔とは言えない白衣を着ていた
その老人が奉仕しろと言っている・・

匠は嫌悪感しか感じなかった





老人のまだ小さなモノが目の前に引っ張り出され
匠の顔へ近づいてくる



「やめろっ・・!」

叫んではみるが両手を縛られている匠は逃げる事もできず、
ただ唇を噛んで目をキツク閉じ 顔を背けた



「そうか・・手は無理だったな・・」

老人は 縛られている匠の鎖を見てそう言うと
匠の唇に自分のモノを押しあてた

そして そのままヌメヌメと擦り付ける




「・・・・んっっ!!!!」


気持ち悪さに呻く

「ほれ・・・少しでいい・・・口を開けろ・・・」




顔を振って拒絶するが
頭を押さえられ とうとう匠の口に 無理矢理それは押し込まれた

「ほれ・・・・・・ほれ・・・・・・・・」
「・・ぅっ・・・・・・・・んっっっ・・」



「噛むんじゃないよ・・」

そう言って匠の頭を持ち、腰を動かし始める


「んぁ・・・くっ・・・・・ン・・ん・・・・・・・・んっ・・・」




無理矢理に突っ込まれるモノのせいで息ができない
喉の奥にあたって吐きそうになる
それでも老人は匠の頭を離そうとしなかった・・・


「んっ・・・・・ん・・・・ んぁっ・・・・・・・」


口の中で老人のモノが徐々に大きくなっていく



”・・・・や・・・やめろっ・・・・・はなせっ・・・”
口を塞がれ声にならない・・




何度も何度も それは強引に喉の奥で出し入れされた
苦しさにもがく・・・





その時だった・・
「ぁあ・・」 と言う老人の声と共に 匠の口の奥に何かが放出された


「・んっっ・・くっ・・・!!・・・」






「・・・ぁああ・・・・イイ・・・・・・・・」

口の中でヒクヒクとそれは動いている






老人は暫くそのまま匠の口の中で恍惚感に浸っていたが
やがて満足がいったのか やっと自分のモノを引き抜いた


「うっ・・・ぐはっ・・・・・・・・・・・・・・・・っっ!」




ゴホッ・・・・・
ゴホッ・・・・・・・・・



匠は思わず口に出されたモノを吐き出していた・・・・・・







「・・・ぁあ ・・久しぶりだ・・・ やはりイイ・・・  また頼むよ・・」
そう言って老人は笑った





「さて・・・・・ そろそろ準備をしないとな・・・
 しばらく大人しくしてもらおうか・・」

老人はまだ咳き込んでいる匠の腕に注射針を突き刺した




刻印 -23へ続く
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刻印 -23

マンションには6人の男達がいた


オヤジの隣で若い男がPCを操作している

他の4人は思い思いに装備の手入れをしていた





ガチャ・・


ドアが開き 浅葱が戻って来たのを見ると
男達は口々に 「おう」  「久しぶりだな」 と 声を掛ける

オヤジの隣の男も振り向き、軽く会釈した






懐かしい顔もあった
生死の間を一緒に潜り抜けてきた顔もあった


「今回は すまない」
部屋に入ると浅葱は立ち止まり頭を下げた



いつになく神妙な口ぶりの浅葱に
その中の一人が 「気にするな」 ポンと肩をたたく






全員が 事の成り行きを理解していた
組織より、オヤジや浅葱を信じる男達だった





「久々の再会だろうが 時間が無い」

オヤジが浅葱に声をかける

「今現在 仕事が入ってないヤツで
 今回のこのヤマを任せられるのは これだけしか居ねぇ・・
 任務中のヤツを引き抜くと 上にバレるかもしれねぇし
 テキトーな人材じゃ、信用できねぇからな・・」


「ああ、わかっている、十分だ」

正直、このメンツなら 20人・30人の大部隊より心強いと浅葱は思った




「・・・・それで、どんな具合だ?」
浅葱がPCの側に来て画面を覗き込む


「あ、こいつは初めてだったな・・」
オヤジが隣の男を見ながら言う


「この若いのは 流(りゅう)・・ 深月 流之介(みづき りゅうのすけ)
 オレの一番弟子だ
 実戦要員じゃねぇが、情報収集の腕は ・・・まぁ・・俺の次ってとこだな」

「深月です」
そう言って 男は頭を下げた

「よろしく頼む」





2人の挨拶が済むのを待ってから、オヤジが話しはじめた

「とりあえず・・・・
 ビルから出た車の行き先はすでに数ポイント判明している
 
 まぁ完全に姿を消しちまうと、恭介を呼び出す目的にはならねぇから
 わざと痕跡を残してるってぇ感じだ
 
 かと言って 素直にアジトまでドーゾって訳でもねぇ・・

 このポイントはほぼ全部が罠、もしくはダミーだと考えるのが妥当だろうな

 ・・どうする? 恭介・・」



オヤジが 点々と赤い印の付いた地図画面を見せる




「みんなには申し訳ないが、それでも行くしかない
 
 ・・・今までに判ってる場所を1つずつ潰す
 2人ずつ分かれて3班・・・オレは一人で行く
 
 途中で手がかりを見つけ、一気に4手5手先に飛べれば
 ヤツ等の思惑より早くたどり着く・・」



「申し訳ないなんて、お前らしくないぞ
 オレ達はその為に来たんだぜ」
一人がそう言うと、皆 同様に頷いた



「僕も浅葱さんと一緒に出ます。 現場での情報収集も必要です」

深月が振り返って言った



一瞬考えて 「よし、来い」 とだけ浅葱が答える


全員が身支度に取り掛かった




刻印 -24へ続く
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刻印 -24

ポイントは点在していた
何の脈絡も無く、ただ無闇に走り回った・・という印象だった

それでもどこにヒントがあるかわからない
調べるしかなかった


港の貸し倉庫
都心のオフィス
郊外の一軒家・・・・・

オヤジをマンションに残し 6人はそれぞれの分担ポイントへ散った




郊外の一軒家へ向かう車の中で浅葱はずっと無言だった
助手席で 深月はずっとPCを操作していた


時折 浅葱の顔を見るが、真っ直ぐ前を向いたままの顔をみると
何も言わず またPCに向かった




インカムに マンションから一番近い都心へ向かった別班から連絡が入る

「こっちはもぬけの空だ、使われた形跡さえない
 完全なダミーだ」


その声に応えるようにオヤジの指示が飛ぶ
「了解ーー。 じゃ、次は・・・・・・」





オヤジの前にあるPC画面に ×印が増えていく

×印が増えるのと同じ速度で、また新しいポイントが点滅し始める
それはまさに  ”いたちごっこ”  だった




「ぁあああーーー! もうキリがねぇええ!」
オヤジは一人 部屋で叫んでいた









オヤジが指示した郊外の一軒屋に着くと 浅葱はさっさと車を止め降りて行く

「あ・・ 浅葱さん! 敵がいるかもしれません!
 僕が今スキャンしますからちょっと待って・・・・・・・」



「必要ない」
深月が言うのも聞かず 浅葱は平然と庭を横切り入って行く


「そんな・・・・ 危険ですっ!!」

後ろで深月が叫ぶが、浅葱は扉の前で一瞬立ち止まっただけで
いきなり 扉を蹴破った


「あ・・ちょ・・・ちょっと・・・・!! 無茶過ぎですよっ!」








一見、建物の中は真っ暗で、人影はない


浅葱は手前から順番に部屋の扉を次々と蹴っていく


深月はタブレット片手に焦っていた
”手がかりを・・ 何でもいい、探さなければ・・・・”




浅葱がテーブルやイスを蹴って行くせいで、室内は散乱し酷い有様になっていた
深月は その荒れた部屋を必死で確認していくが
ここもダミーらしく、何の手がかりも見つけられない





そこへ、奥の部屋まで扉を蹴って行った浅葱が戻ってきた

「帰るぞ。 次だ」
それだけ言って サッサと家から出て行く



「え・・ちょっと・・ 浅葱さんっっ!!!」
そんな浅葱に深月は戸惑っていた

”もっと丁寧に捜査をすれば まだ、手がかりだってあるかもしれないのに!”




それでも渋々 浅葱の後ろについて家を出る




「どうしてですか?! ・・もっと細かく探すべきじゃないんですか!?」
車の中で 深月は食い下がった



浅葱は 「無駄だ」 と一言返しただけだった








次のポイントへ向う間も 浅葱はそれ以上何も話さなかった


”どうして・・何故・・・!”
深月の中に怒りとも困惑とも取れる感情が沸き上がっていた




刻印 -25へ続く
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刻印 -25

ジャラジャラと鎖の音が頭の中で響いていた


・・・・・・・・・鎖・・・・・・・・・・



匠は目を開けた

老人に打たれた薬でしばらく眠らされていたらしい
視界がぼやける・・






音がする上方へゆっくり目を向ける


自分の周りを4人の男達が取り囲こみ、その横にあの白衣の老人がいる
男の姿は見えなかった





男達は匠をどこかへ移動させようとしているのか
手を縛っていた鎖を外そうとしていた

ジャラジャラと聞こえていたのは、その音だ


老人は 匠の横に屈み込み、点滴のパックを取り替え終ったところだった




老人の屈み込んだ丸い背中・・
匠は老人との おぞましい行為を思い出した

嫌悪感で気分が悪くなる・・









ダメだ・・・ 今は・・・ 今はチャンスだ・・考えろ・・・・・
・・・考えるんだ・・  ここから出る方法を・・・


強く目を閉じ、今 自分がすべき事に必死で神経を集中させた


もうすぐ鎖が外される・・ あの男はいない
相手は老人と4人の男
幸いにも意識を取り戻した事はまだ気付かれていない
脱出するなら・・・・  今しかない


薬でまだ頭がハッキリしない
体もまだ回復していない

・・・だが・・・

もうこれ以上 ここで好き勝手に弄ばれる訳には・・・・・





どうする・・・


どうする・・・!!








足元に老人の持っていた金属トレイが置かれているのが見えた





その時、ガシャン! と音がして鎖が床に落ちた・・・・
ずっと縛られていた腕が 一瞬自由になり フワリと宙に浮く


その音と感覚で 反射的に体が動いていた


自由になったばかりの右腕に、渾身の力を込め 
そのまま一番近くにいた男の顔面に一撃を見舞う





「グハッ・・!」

男がひるんだその隙間を縫って前に出ると
トレイの中のハサミを握り取った

目の前に居た老人の首に右腕を回し、左手でハサミを喉元に突きつけた・・・




老人の体に触れた瞬間
あの悪夢が蘇り 自分の体が震えたのがわかった・・





いきなりの出来事に老人は驚き 「ヒィィィ・・」 と小さく声をあげ
ふい打ちを食らった男は 顔を押さえてもんどりうつ









全てが一瞬の出来事だった





ハァ・・・

ハァ・・・


そのまま チラ と後ろを見る
扉まで数十メートル



老人を盾に、ゆっくりと後ずさる



「・・手を上げて・・・ そのまま・・・壁まで・・・さがれ・・・・・・」
4人の男達に向かって言う


声を出すと息が苦しかった・・


だが、弱っている事を悟られる訳にはいかない
驚き動かない男達にもう一度  「さがれっ!」  と大声で叫んだ



胸が張り裂けそうだった・・




「こ・・ 殺される!! お・お前達・・言う事を聞けぇっ・・!!! 
 私がどうなってもいいのかーー!・・・・ さがれっー!」

老人は恐怖し、叫んでいた




刻印 -26へ続く
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刻印 -26

男達は老人の声に 為す術もなく少しずつ下がっていく






呼吸はどんどん苦しくなった
ずっと縛られていた腕も、膝立ちだった足も 感覚が無くなりかけていた
胸の傷も開いたのか ローブがうっすらと赤く滲んでいる


自分で思っている以上に体力は残っていないかもしれない・・

このまま ここから出る事が出来るだろうか・・・






そのまま老人を引き摺る様にゆっくり後ずさり、廊下まで出る


誰かが知らせたのか、遠くの方で大勢の足音や声がしていた



「・・・出口は・・・どっちだ・・・・」
「み・・・右ぃ・・・・・・・・」

老人の声は泣き声に近かった





周囲を確認しながらゆっくりと右に出ると エレベーターが見えた

ホールでボタンを押す




廊下には大勢の男達が集まって来ていたが
真っ直ぐな狭い廊下では身動きがとれず 距離を縮められずにいる




じっと立っているのが苦しい・・


ハァ・・・・ハァ・・・

ハァ・・・・ハァ・・・




壁のランプが点滅し、エレベーターの到着を知らせ 扉が開く



扉が閉まりかけると、廊下の男達が焦った様に一斉に走り寄って来るのが見えたが
しかし 到底、追い付ける距離ではなかった






老人にハサミを突きつけたまま エレベーターに乗り込むと
ボタン表示があるドア横の壁に体を隠し
右腕で捕らえている老人を扉の正面に立たせ 男達を牽制する




表示は現在階の 【B 6F】 が点滅している
ボタンは地上5階までしかない



地上5階・・地下6階・・・・?
いったいこの建物は・・・ ここはどこなんだ・・・・・・





扉が閉まりエレベーターが動き始めると 匠は崩れる様に壁に寄り掛かった

天を仰ぎ目を閉じる
体が悲鳴を上げていた
立っているのがやっとだった


ハァ・・・・

ハァ・・・・


ハァ・・・・

ハァ・・・・



匠は老人に悟られない様、左手で握っていたハサミの持ち手を 刃の部分と持ち替えた
医療用のハサミは刃は短いが 先は鋭くメスの様な切れ味がある
左手に 刃を握り締め力を入れる

「っ・・・」

掌が切れ、血が落ちる
その新たな痛みで少しだけ意識がハッキリした


ハァ・・・・

ハァ・・・・




呼吸の荒い匠の方を 老人がチラリと見たのが右腕の感覚で伝わる



「こっちを見るな・・ 前を向いてろ・・」



目を閉じたまま、グッと首に回す腕に力を入れる

「は・・・はぃぃ・・・・・・」 老人は直立で前を向いた






ガタン・・

エレベーターに小さい衝撃がきて到着したことがわかる



匠は一度唇を嚙み締めてから、目を開け、体を壁から引き剥がした




刻印 -27へ続く
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刻印 -27

老人を前にしたままエレベーターを降りる



意外にも人影はない



そこは複雑な空間だった

濃いグレーの 毛足の短い絨毯が敷かれた廊下が幾筋も伸び
ポツポツと間接照明があるだけで そのどれもが薄暗い


玄関ホールにでも出られれば・・ そう思っていたが
窓も扉も無い 想像とは全く違う・・・・まるで迷路の様な景色だった


しかも、地下にはあれだけの人数が居るにもかかわらず
地上はまるで廃墟の様な静けさ


ここが普通の建物でない事は明らかだった





「出口はどっちだ・・・」
「真っ直ぐ行って・・・・ 左・・・」



絨毯の廊下は 足音を消すには都合が良かった
姿さえ現認されなければ、後から追ってくるだろう男達にも見つかり難い



が、老人は恐怖の為か 全く自分で歩こうとはしなかった
匠が引き摺る様にして連れて行くが、抵抗し暴れる体が 胸を圧迫する

普段なら易々と抱えられそうな小さな老人が 今の匠にはとても重く感じた






正面の角を左に折れ、踊り場の様な一角に出る
そこからまた四方に通路がある
本当に迷路の様だった・・


「クソッ・・」

匠の腕にも足にも限界が来ていた

暫く壁に寄り掛かり呼吸を整える・・ 


急がなくては・・・

頭では判っているが一歩が出ない





左腕には 替えられたばかりのパックから、未だに薬が滴下されていた
ここで針を抜かなければ、出口まではもう無理だ・・・ そう思った


そして何よりも 全身を襲う苦しさを止めたかった



「とりあえず・・ 腕の針を抜け・・・・
 それから・・・このまま出口まで案内しろ・・・・」

そう言って、老人の首に回した右腕に力を入れる

「ゥグッ・・・・」
老人が呻く



「はやく・・・しろ・・」
ハサミを握った左腕のローブの袖を捲り上げ 老人の前に突き出す




「ぅぅ・・乱暴はするな・・・・・やめてくれぇ!!」
匠の腕から逃げようと、老人は抵抗し声を上げた




「うるさい! ・・黙れ! ・・腕の針を抜けと言っている・・・・!!」



その迫力に老人はビクンと跳ねた



「む・・ 無理だ・・・ ここでは・・・ 抜くには、ちゃんとした道具が・・・・」

「じゃあ・・・ 薬だけでもいい・・   ・・止めろ・・」

「わ・・・わかった・・わかったから手荒な事は・・・・・・」




老人が恐る恐る匠の腕に手をかける






その時だった・・





「そこまでだ、先生を放してもらおうか・・・・・」

あの男の声がした




刻印 -28へ続く
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刻印 -28

「・・・・・・・・・」

匠は溜息の様に1つ大きな息を吐くと、ゆっくりと振り返った


匠の背後に 鋭く光るナイフが突き付けられていた






「なんだ・・・もう帰ってきたのか・・・・・ 思ったより早かったな・・・・・」

匠が苦笑いを浮かべ
ハサミを指に掛けたまま ホールドアップをするように腕を解くと
老人は腰からヘナヘナと座り込んだ





その時やっと、通路の奥から数人の男達が走って来る


「何をしている・・ これだけ人間が居て このザマはなんだ・・・」

一喝され、男達は皆、無言でうつむいた





「先生も・・ 少し気を抜き過ぎですよ」

匠の指からハサミを取り上げながら、男が冷たい声で言う



「も・・・ 申し訳ありません・・!
 薬は打ったんだ・・・・眠っているとばかり・・・・
 でも・・・・・薬が・・・・思った程効かなくて・・」

老人がおどおどと言い訳をする



「先生が薬のせいにするとは・・・・
 ご専門でしょう・・?

 タクミを甘く見るからですよ・・
 彼は若いが、階級は確か・・・・ Lieutenant ・・中佐だったよねぇ・・
 ・・・油断しない事だ・・」






「・・おい・・」 
男の指示で、周囲の男達は慌てて匠を両側から押さえ込み 男の前に立たせた



男は正面に立つ匠の姿を 上から下までゆっくりと眺める・・

ローブの胸元は赤く染まっていた
男はその胸元を指でチラリと開く
胸の傷はすでに開き かなりの出血があった

匠が自ら付けた左掌の傷にも目を止め、 フッ・・と笑う





男は匠の顔を指でクッと持ち上げ、視線を合わせると

「タクミ・・・ その体でよくここまで来た・・・・
 流石だ、褒めてあげるよ・・・
 
 でも・・ 勝手に、体に傷を付けてもらっては困る
 タクミの全ては私のモノなのだから・・・・・

 それに・・・
 
 私は  ” いい子で待ってろ ”  と・・言ったはずだ・・・」





「・・・・・・・」

視線を逸らし、無視する様に何も答えずにいる匠を
男はじっと見つめていた







次の瞬間・・




パァァン!!!



匠の頬に男の平手が飛んだ








「・・っぅ・・」 

キッと男を睨みながら 匠が顔を上げる



「・・連れて行け、2度とこんな失態はするな」
そう言われて男達は匠の両脇を抱える



「さっさと歩け!」
男に叱咤された事への八つ当たりの様に、乱暴に匠を小突いて歩き出させる

匠の後には傷からの血がポツポツと落ちていた・・・・




刻印 -29へ続く
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刻印 -29

男達に連れて行かれた場所は、広い部屋だった

最初に居た地下と同じく 窓も無く薄暗い
出入り用に大きな両開きの扉が1つある


違うのは 床一面にタイルが敷かれている事と
そして・・・
部屋の中央に 大きな金属のベッドの様な台がある事だった






匠はローブを脱がされ、全裸のままうつ伏せで、その台に縛られた







「もう一度だけ聞くよ、 タクミ・・・ 
 本当に 私のモノになる気はないか・・?」

男が うつ伏せた匠を覗き込み、真っ直ぐに顔を見ながら聞く



「・・・何度聞かれても・・・・ない・・!」
そう言って男を睨み返した


「そうか・・・・・   残念だ・・・・・」

そう言うと男は立ち上がり
匠から その表情は見えなくなった








扉が開き、一人の男が 何か大きなモノを押してくるのが視界の端に入ったが
うつ伏せで動けない匠にはそれが何か わからなかった





「おとなしくも出来ない・・・・ 私のモノにもならない
 ・・・・ならば、仕方がない・・・・・・」
冷たい男の声がした




両手両足の鎖がギリギリと一層強く締められ
その上から更に あの4人の男達が、匠の手足を押さえ込んでくる


「・・んっ・・」
うつ伏せだけでも折れている肋骨が痛む
その体を思い切り押さえ付けられ 息が出来なくなる



”・・つっ・・・いったい・・・何を・・・・・・”









・・・ガタン!

大きな音がすると 自分の周りの空気温度が、わずかに上がった気がした





男が匠の頭を愛おしそうに撫でながら
その指に柔らかい髪の毛を絡ませる・・・・・


「タクミ・・・・・」

そう呟くのと同時だった



押さえ付けられた背中に、何か異常な熱気を感じた・・


・・・・・・・・!!??!!

振り返ろうとした瞬間だった・・





大きな重たい物が、 ドンッ!! と背中に下ろされた



それは大きいだけではなかった・・・






とてつもなく熱い・・・ 灼熱の金属・・・・





シュゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!




皮膚が焼ける匂いがした





「んッグッ・・・・・・!!!!」

一瞬 息が止まり、声さえも出ない・・・



神経に直接電流を流されたような激しい熱さと痛み・・・・
いや、それはもう痛みという感覚でさえなかったかもしれない






「う・・・ぅわぁぁあああああああああああああああああああああああーーー!!」

数秒の静寂の後、匠は叫んでいた




暴れて体をよじるタクミを4人の男が押さえつけている


「やめろおおおおおおおお・・・  ・・・ぁぁぁあああああああああ」




金属の台の端を握り締めて暴れる匠の頭を撫でながら 
男は平然とその背中を見つめていた・・・・・




「じっとしてろ・・ というのも無理だろうが・・ もう少しそのままでいなさい」
男が言い放つ



「やめろ・・ やめろおおお・・・・ あああああああああっっ!!」







暗い部屋に 匠の叫び声と、独特の臭気だけが漂っていた




刻印 -30へ続く
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刻印 -30

「くそったれがーーーーー!」
マンションの一室で、オヤジは一人 キレ始めていた





PCの地図画面に記された ×印は 確実に増えていた
×印しか無い。 という表現の方が正しいかもしれない


何箇所踏み込んでも、まさに ”何も無い” 状態が続いていた




組織の大型コンピューターを使えれば
こんな地道な作業はせずに済んだかもしれない・・とオヤジは思う


組織の名を出せば
世界中のあらゆる情報を優先的に引き出す権限が与えられている



だが、今回はある意味 裏切りの捜査だった

少なくとも匠を取り戻すまでは、上にバレる訳にいかなかった







そこへ浅葱と深月が帰ってくる


「外まで声が聞こえてますよ
 深夜に迷惑ですって・・ おやっさん・・・・」
深月が呆れた様に言う



「これが大人しくしてられっかーー!!」

ドンッ! とテーブルの脚を蹴り  一人で 「イテテ・・・」 と呻いてるオヤジは
まるで動物園の暴れ熊だった



「くっそーーーー!! ヤツ等、完全に遊んでやがる!
 どこまで喰い下がってくるか、いつ辿り着くか・・ それを楽しんでんだ!
 まるで 隠れんぼ か 鬼ごっこ・・ ガキの遊びだぜ!!」

足を押さえながら まだオヤジは叫ぶ

深月は そんなオヤジを苦笑いで見ていた







浅葱は一人 窓際で、外を眺めていた・・
声を荒げるオヤジとは対照的に 浅葱は驚くほど静かだった


遠くに流れる車のライトをずっと黙って見ているだけ・・・・


”浅葱さんは、仲間が心配じゃないのか・・・?”
浅葱の後姿を見ながら、深月は思っていた







「・・・時間稼ぎも・・  ・・あるのかもしれない」
浅葱が振り向きもせず、独り言の様にポツリと言う


「時間稼ぎー? 何の為にだよ・・・
 目的がお前なら、遊んでるとしか思えんだろ!」


オヤジが驚いた様に 足を押さえたまま聞き返す
深月も驚いて 浅葱を見た







そのはずだった
今回の一件は、それが目的で始まったのは間違いない


だが・・・
目的が・・ 俺だけじゃなくなった・・・ としたら・・・・



いや・・



ターゲットがもう自分ではなく、匠だけになっているとしたら・・






嫌な予感がしていた







ヤツが欲しいモノ、
それを既に手に入れているとしたら・・・


匠はもう・・


・・戻って来ないかもしれない・・・・




そんな気がし始めていた





が、それを口に出して言いたくはなかった





黙ったまま何も言わない浅葱を オヤジはじっと見つめていた









「オヤジ、次のポイントはどこだ・・  行って来る」

それだけ言ってまた浅葱は部屋を出て行った




刻印 -31へ続く
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刻印 -31

一人で出て行った浅葱を 深月は静かに見ていた



「ん? 流よ、どうした? もう恭介と一緒に行かねーのか?
 一緒に行きたいんじゃなかったのか?」


尋ねるオヤジに 「ええ・・」 とだけ答え
深月は ソファに座り視線を落とす





オヤジはそんな深月を見ながら 「そうか・・・」 とだけ答えた




深月は 内心、ホッとしていた

おやっさんに ” 何故一緒に行かないのか? ” と
その理由を聞かれたら・・・ 何と答えれば良いのかと思っていたからだった



”あの人は・・・ よくわからない・・” 
そんな小さな不信感の様な物が 芽生え始めていたのは確かだった



オヤジもひとしきり吠えて疲れたのか そのまま黙って仕事を始める







部屋が無音になった




深月は この静寂が、自分のせいだとわかっていた

空気が重かった・・・







「・・・・・・・ あの・・」 意を決して 深月は、オヤジの方へ向き直り
「聞いてもいいですか・・・?」 と尋ねた


「ああ・・ 構わんぜ」

オヤジは深月がこう切り出すのが判っていたかの様に平然と答える





「あの・・ おやっさん・・・・・・
 あの浅葱って人、どういう人なんですか?」

「どうって・・ 何が?」

オヤジはPC画面から視線を逸らしもせず言う




「噂では・・ うちの組織の3本の指に入る程の人だって聞いてました
 噂だけでしたけど、憧れてました

 今回、おやっさんにここへ呼んで貰えて嬉しかった
 こんな状況下では・・ 不謹慎かもしれませんが・・

 ・・・ でもここ数日 一緒に居ましたが・・・・・
 行動を見ていても 無茶苦茶だし、無鉄砲だし・・ 雑だし・・
 
 あ・・ 僕は現場経験はあまりありませんが・・・・
 それでも、あれはちょっと理解できません

 もちろん、仕事は出来るんだとは思いますが・・・


 それに・・・ あの人は冷たい・・
 何も話さないし、感情が全く読み取れない・・


 本当に仲間を心配しているかさえ、わからない・・

 正直、どうして みんなにあれだけ信用されるのか、慕われるのか
 ・・理解できないです」




オヤジは黙って深月の話を聞いていたが
「・・・・それはな、流・・・・・・ 口で説明してもわからんさ・・・・」
そう言って深月の方を見た



「ただ・・・・
 恭介は冷たいヤツじゃぁねぇし、雑でもねぇ

 それは、アイツ自身の経験と実績に裏付けされた勘・・ みてぇなものかなぁ・・
 それが雑に見えるのは、お前がまだその域に達してねぇって事だ

 まぁ・・ それをお前が理解するには 100年早ぇーがな


 それに・・・・
 3本の指じゃなくて 確実にNO.1だ
 仕事も人間もな
 そのうちわかる時がくる」



深月は納得できないでいたが、それでももう反論はしなかった


そのまま また静寂が訪れ、キーを叩く音だけがする部屋になった




刻印 -32へ続く
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刻印 -32

・・・・・・・匠は激しい痛みに呻いていた


背中に焼けるような痛みがあった
いや、その感覚が ”痛み” と言えるものなのかどうかさえも
すでに判らなくなっていた



体中が燃える様に熱く
時折 痙攣の様に体が震え、呼吸が出来なくなる




何度目かの痙攣が来て、意識を取り戻し 苦しさに目を開けた・・

そこに人影は無かった






金属の台が見える

うつ伏せている自分の左腕も見える
左腕にはまだ点滴パックが付けられたままだ
指先には 血圧や脈拍を測る物らしき、小さな機械も付けられていたが
手を縛っていた鎖はもう無かった



”ここは・・・ 連れて来られた部屋・・・
 まだ・・・ あの現実が続いている・・・・・・・”




そう認識したとたんに また呼吸が苦しくなった
うつ伏せで痛む胸が 過呼吸と痙攣で更に苦しくなる

指先に付けられた心拍のセンサーから ピーピーと小さな音がし始めた






震える手を押さえようとした・・・・
が、何故か 指がわずかに動いただけで、体も腕も思い通りには動かなかった




・・もう縛られてはいないのに・・・・・ どうなってる・・・・



うつ伏せた体を起こそうと、手を付く・・
正確には・・・ 付こうとした 

しかし自分の体を 自分の意志で動かす事は出来なかった




上半身はまるで台に貼り付いた様に動かない







激しい体の痛みと熱もある・・
肋骨も数本は折れたままだ・・

それは判っている・・
だがそれだけで起き上がれない という事は有り得なかった





・・・・・・・・





足は・・・


ゆっくり動かしてみる・・

ズズ・・

少しだけ膝が曲がった・・・ 足は動く・・・


手は・・・

十分な力は入らないものの 指は動いた・・
肘から先・・・ 手首も大丈夫だった・・・



が、上腕から肩は動かそうとすると背中に鋭い痛みが走った




「痛ぅっ・・・・・・・・・!!」






何故・・・ 何なんだ・・・・

痛みに耐えながら何度も体を動かそうとした
だが何度やってみても その度に背中の痛みが酷くなるだけだった

嚙み締めた唇端が切れ、血が滲む







・・・上半身と 肩から腕までが動かない・・・・・





また痙攣が襲う
センサーの警告音が大きくなっていく






・・・印・・・




あの時・・・ 何をされたのか・・・・・


そう・・ 背中を・・・ 何かで灼かれた・・・


狂いそうな程の衝撃と痛み・・・・





思い出すだけでまた呼吸が苦しくなり 全身が震え始める








センサーの電子音が 鳴りっ放しになった・・




刻印 -33へ続く
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刻印 -33

扉が開き、センサーの音が響く室内に ペタペタとスリッパの音がした

「目が覚めたか・・・・ 」

老人は一緒に入ってきた助手らしき白衣の男2人に センサーを止める様に指示をし
心拍数や脈拍を細かくチェックしていく






その後ろから あの男も部屋に入ってくる

「どうだ? ・・タクミは・・」

「はい、先ほど目覚めた様です
 ショック症状による痙攣と過呼吸、細胞、汗腺破壊による脱水症状と異常体温・・
 いろいろ出てますが、全ては想定内でして・・問題は無いと思います・・
 既に手も打っていますので大丈夫かと・・」

匠に捕らわれた汚名を返上しようとしているのか
かなり早口で饒舌 (じょうぜつ) に語った




「・・・・・傷は・・・・?」


そう言って男は 匠の体に掛けられていた白い布を取ると
背中を覆っていたシートを躊躇無く剥がしていく


ベリベリと皮膚を剥がされるような痛みが襲う



「んっ・・うっ・・!・・ぁぁあああああああ・・・・!!!」



叫ぶ匠の声も無視し 男は背中の傷を眺める
「ふぅん・・・・ まだ修正も要るようだな・・」





灼けた背中の傷の何箇所かを 指で確認する様に触っていく


「や・・・・・・やめろぉおおおおおおおお・・・・・・・・さわ・・るな・・・・・」

「じっとしていれば美しく出来たものを・・・
 タクミが暴れるからだ・・・・」



そう言って傷・・・ 印 を押さえつける


「・・グッ・・・ン・・・・・っ!!」
痛みで声が出ない






「ここからは先生の専門だ・・ お願いしますよ・・・」

「お任せください・・
 今はまだ ただの傷ですが、必ず美しい作品に仕上げてみせます」







匠の背中・・・・
肩下から腰にかけて、付けられたばかりの 印 があった

まだそれは 印 というより赤黒く無残な傷だったが・・・





中央の一本の剣に 蛇と龍が絡み付いている
蛇と龍は互いに牙を剥き、舌を出し、威嚇し合い、睨み合っているが
その2つの体は徐々に近付き重なり合い・・ 
・・下半身は1つに結合していた




男は匠の背中を指で撫でながら言う

「タクミ・・・ この 刻印 をキミに見せてあげられないのが残念だ・・・・

 ここには、蛇と龍がいる

 蛇は私のシンボル
 龍はタクミ・・・・ 
 
 こうして剣を交え戦っていても、体はお互いを求め、欲し合い・・・
 そして最後には、1つになる・・・・
 
 タクミはこれから一生、私のモノ・・ ずっとこの蛇と一緒だ
 そして、この 刻印 を見る度、痛む度に、私を思い出すんだ・・・」



そういって匠の唇に自分の唇を重ねた


「んっ・・・・」

震える体で男の唇から逃れようとするが
やはり体は動かなかった




蛇の舌が、龍の舌をまさぐり求めていた・・




匠の唇の感触を十分に味わってから男は老人に言った

「・・・始めましょうか・・」




刻印 -34へ続く
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刻印 -34

老人が 助手に目配せをすると
匠の側に液体の入った容器が大量に並べられた


「では始めますかな・・・・」

老人はそう言うと 手術用のゴム手袋をはめ
何のためらいも無く、匠の背中の傷にメスを入れた




「・・ンッ・・・・・!!!」




匠の体がビクンと反応する
一瞬、何が起こったのか理解できなかった・・




創られたばかりの無防備な柔らかい傷口から 血液と一緒に体液が流れ出す


「ほれ、かけろ・・」
その老人の声に 助手の男達は容器の液体を
匠の背中にドボドボと掛け始める


「ングうっっ・・・・・・・んっ・・・・!!!・・・ああああああああああ!!!」


傷口に流れ込んでくる液体・・・・
激しい痛みが襲う






「・・・んっあああああああっ・・・!!!!」


叫び声を気にも留めず、匠の体が動かないのを幸いに
老人は背中の破壊された組織を次々と切り取っていく





「ぁああああ・・・・ や・・ やめろ・・・・・・・・・・・・」



足だけは動かせるものの
肝心の上半身はいうことをきかず、抵抗する事ができない




体温調節が出来ず 高温だった匠の体が液体をかけられ、一気に冷えていく

急激に体温が下がり 活動を抑制しようとする神経と
激しい痛みを感じ昂ぶる神経がせめぎあっていた


寒さとも、痙攣ともわからない震えが全身を襲う



「・・・・や・・ めろ・・・・・もう・・・・・」



あまりの激痛に意識を失う事さえ許されなかった




流された水が胸の傷からの出血と混ざり、床の排水溝へ飲み込まれていく







老人は黙々と匠の壊れた皮膚組織を取り除き、メスで傷を修正していく
それはまるで彫刻でも楽しむかの様だった



「美しい最高傑作を・・・・」
老人は笑みさえ浮かべる


「・・・・・・・ぁぁぁぁ・・・・・・んっっ・・・・・・・・・・・・・!!」

叫んでいた匠の喉は枯れ、声さえも満足に出なくなっていく




力の入らない手で台を握り締める匠を 男はただ黙ってじっと見つめていた




刻印 -35へ続く
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刻印 -35

どれほど時間が経ったのか・・・・ 匠はわからなくなっていた


朦朧とする意識の中
老人が 「少し休憩だ・・・・」  そう言った声だけが聞こえ
また背中に液体がかけられた


「・・ゥンッッ・・・・!!!」







過呼吸と痙攣の発作で全身の震えが止まらなかった



そんな匠の様子を男は冷ややかに見ていた

「・・・・やはり、上半身は上手く動かない様だな・・・・
 手と指はいける様だが・・・」



そう言って 匠が必死で握り締めていた台から 易々と指を外す
そして 赤ん坊にするように、自分の人差し指を握らせた



「ほら・・・ 私の指を折ってごらん・・ たった1本だ・・ 容易いだろう・・・
 この指が タクミを陵辱したんだよ・・・・」


クスッ・・ と笑う様に挑発され、匠は思わず指に力を込める・・・・

だが震える指は 相手の指を折るどころか、強くも握れなかった



「力もあまり入らないか・・・・」
男はクスリと また笑う・・・・

 




「震えてるのか? 可愛そうに・・・
 よく頑張ったから、ご褒美を上げないといけないね・・・」

嬉しそうにそう言うと まだ濡れている台の上に腰掛け
匠の震える体を撫で始めた


そしてそのまま・・・・・ グッと足を左右に開かせた




「タクミの鳴く声は私を興奮させる・・・」

匠の濡れた腰を片手で持ち上げる




上半身を台に付けたまま、腰だけを高く上げた匠
掛けられた液体が 背中へ・・ ツッ・・と流れる


腰を持ち上げられ露になった匠の穴に顔を近づけると
男は舌を這わせ始めた



「・・・ぁ・・・ぅんっ・・・・・・・・」
体の痛みと息苦しさ、震えで抵抗する力もない


男はそのまま舐め続ける・・・
指で穴を広げ舌先を細くして、中まで挿入していく


「ぁっァ・・ッ・・・ン! ・・・・・・ンッ・・・・・!!」




匠は無意識に 唯一、満足に動く足で腰を捩った

「どうした・・? よがってるのか・・・・?
 可愛いな・・・タクミは・・・」
 
そんな匠に 男は我慢できなくなったのか、自分のモノを取り出す




台に上がり、匠の開かせた足の間に割って入り
膝を付いて匠の足を抱えると、自分のモノをその穴へ押し付けていく


「ぁっ・・・・くっ・・・・・・」

小さく呻き 力の入らない指で台を握りしめる





男の目の前には 匠の背中・・ 刻印 があった


「タクミ・・・・ こうやって支配しながら眺める 印 は最高に美しいよ・・」

そう言って まだ出血の止まらない傷に手を乗せた




「んっぁああああ・・・・・!!」




ズッ・・・

匠の叫びと同時に 男のモノが入ってくる


「んっ・・・・・ん・・・・・・ぁっ・・・ああああああ!!」



少しでも前へ逃げようとする匠・・・
だが男は その背中の傷を押さえて離さない


「や・・ やめろ・・・・・・・・んっ!!・・・・・」
男のモノが奥へ奥へと入っていく





男はもう片方の手で匠のモノを握ると動かし始めた


「んっ!! ・・・ぁ・・・ぁ・・・・・ん・・・・っ・・・・・」


手で匠を擦り上げながら腰を激しく打つ


振動で傷が痛む・・
呼吸が苦しくて息ができない・・・


が、匠自身も確実に登り詰めようとしていた・・・




刻印 -36へ続く
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刻印 -36

「・・・ぁ・・・・んっ・・・ぁ・・・・・ぁっ・・・」


発作を起こしながらも 匠の小さな喘ぎ声がしていた


挿入された男のモノから逃げようとしているのか
それとも薬のせいなのか・・・・腰がわずかに動いていた




男はそんな匠の背中の 印 に手をつき、激しく中のモノを突き動かす

「・・・ぁっ・・んっ・・・・    ・・・んっ・・・んっ・・・」
途切れ途切れに喘ぐ匠の声の中で
「ンッ・・・!」
男が小さく呻いた・・・

印 についた手に力が入り、グッと傷を掴む・・・




「・・・っ・・!!・・・・ァっあああぁぁぁ!!」


痛みで叫ぶ匠の声と同時に 男は匠の中で果て
トクトクと脈打ちながら 匠に自身を注ぎ込む・・






そしてそのまま 匠のモノを握っていた手も離された・・・


「・・んっ・・!」




それは匠も登り詰める寸前だった




寸前で手を離され、匠の体は行き場を失う



「・・・ぁ・・・・・・・っ・・・・・・ハァ・・ハァ・・」

「どうした・・? 苦しいのか?」





男は、匠の動かない腕を掴んだ

「腕は動かなくても、、指は動く・・よね・・・」

そう言って強引に腕を動かし 匠自身の下半身へと持って行く


「ゥンッ・・・・!!」

肩から背中の皮膚が引き攣っていた
腕を強引に伸ばされ、乾き始めたばかりの皮膚がビリビリと裂ける



「ぁあっああああっっっ・・・・・!!」

痛みに声を上げた



「・・ん? イキたいのだろう・・?」


そう言うと、伸ばした匠の手を 匠自身のモノにあてがった

「ほら・・ 自分でイッてごらん・・・ 見ててあげるから・・」

「や・・・・・ やめろ・・・・・・」



首を振って抵抗する・・
が、手を離そうとしても、腕は動かない

自分の手の中に 自分自身のモノがあり・・・
それは確かに何かを求めていた



「いや・・・ いやだ・・・・・・」

最後の抵抗だった
こんな見世物の様な事は 絶対に嫌だ・・


「ほう・・・ 先生の薬に抵抗できるとは・・・・・」



男はうつ伏せの匠の体の横に腕をつき、覆いかぶさる
そしてもう片方の自分の手を 匠の体の下に滑り込ませた

匠の手を男の手が包み込み 指を重ねる


「少しだけ・・・ 手伝ってあげよう・・・」

耳元で囁くと匠の長い指が、無理矢理 男の手の中で動かされていく
 



「ンッ・・・・ん・・・・ ぁ・・・・ や・・めろ・・・・・」




男の指に操られる様に、匠は自身のモノを刺激していた




「ぁ・・ぁ・・・・んんっ・・ぁ・・ぁ・・っん・・」





ゆっくりだが確実に快感は増していく





男は匠のその顔を見つめていた

「先生の作る催淫剤は最高だ・・・・
 これほどの状況でも、こんな行為をさせ、高みに昇る・・・
 ほら・・・ 自分でイクんだ・・・・」


指を大きく誘導される・・


「ンッ・・・っ・・・・ ・・・・ぁっ・・・・・
 ・・・ンッ・・ん・・・  ・・ぁ・・・もう・・・やめ・・・・・・


 ・・・・  ・・・・・ンッ!!・・」

小さく呻き 匠が自身の手の中でイクのがわかった





手の中に 自分の射出したものがあった
それは匠の指から男の指をつたい 台へと滴る・・・



ずっと横で見ていた老人も褒められ、興奮し、上機嫌だった
「はい・・! 私もこんなショーを見る事が出来て幸せです・・・!」




匠は屈辱に体を震わせていた・・・・




刻印 -37へ続く
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刻印 -37

マンションの部屋は 重苦しい空気が漂っていた

PC画面で、点滅するポイントは激減していた
×ばかりの画面を睨む様に見つめ オヤジはずっと黙り込んでいる


ここ数日で一気にポイントが減った・・

以前は追いかけても追いかけても増えるポイントに キレかけていたオヤジだったが
今は少しでも点滅が増えてくれ・・・・と願っていた




全てのポイントが無くなれば ・・・それは匠を失うという事だった






「少し、空気入れ替えましょう」
深月がオヤジの横にコーヒーカップを置き、窓を開けながら言う

「んん? ・・ああ・・そうだな・・・・」
「匠さんの部屋も風を通しておきました」
「んん? ・・ああ・・サンキュ・・・」
「浅葱さんは・・?」
「んん? ・・ああ・・出かけた・・・・」

・・・心ここに在らず ・・・だった







浅葱は一人車を走らせていた

車内には音もなく
ただタイヤが拾う高速道路の規則正しい路面音だけが聞こえている



インカムは付けているが、今 オヤジが呼びかけて来ることは無い

それは浅葱もオヤジも同じ・・
お互いという存在を 良く理解していたからだ





深夜の高速は車も少ない

・・・運転しながら浅葱は昔の事を思い出していた




組織に入ってからの事・・
仲間の事・・


以前の浅葱は一匹狼だった
口下手で 他人と上手くやっていく、折り合いを付ける・・
そういうコニュミケーションという物が苦手で群れるのを嫌がった


組織にいれば多少のお世辞や、愛想笑い・・
時には媚びる事も必要かもしれないが
自分には到底出来ない

それでもいいと思っていた


解ってくれるヤツだけ・・ 解ればいい



それでも仕事を完璧にこなす浅葱は 一目置かれる存在になっていく




だが そんな態度が災いし
当時、唯一の理解者だった仲間を失った事がある・・・・


浅葱とオヤジが出合ったのはその直後だった




仲間を失うのは もう嫌だ・・・


浅葱は一度 軽く目を閉じ胸に手をあてる
何かを振り払う様に思い切りアクセルを踏み込んだ

加速でシートに体が押し付けられる
走馬灯の様に流れる景色

オレンジの街路灯に映し出されるその顔は曇っていた






匠、オヤジ・・そして深月・・


あれから深月は 一度も浅葱と行動を共にしていない
一緒に来ない理由もわかっていた



オヤジと知り合い、柔らかく物腰のいいオヤジに 浅葱は随分と助けられてきた
浅葱が話さない部分をキチンと汲み取ってくれる
豪快なキャラは周囲をも和ませる

浅葱にとって仕事でもプライベートでも
オヤジは、良き理解者であり大事な存在になった



信頼だの絆だのという甘い言葉は苦手だが
オヤジが居なければ、自分もここまで来られなかったと思う
いや、生きてさえいなかったかもしれない・・・


そんなオヤジが連れてきた深月・・・
一番弟子だという深月は、きっと匠の良いパートナーになる
浅葱とオヤジがそうであった様に・・


あの2人は自分達の後ろをちゃんと歩いて来る
そしていつか、追い抜いて欲しいとさえ思う



だからこそ、深月にも匠にも自分達の全てを伝えたかった



が・・ あの日・・・・
匠が連れ去られた日・・・・
オヤジに 「冷静になれ」 と怒鳴られてから、自分が掴めずにいた












・・浅葱さんっっ・・・・!


急に匠の苦しげな声が聞こえた気がして ふと我に返りアクセルを緩める・・・・



高速の出口が近づいていた




刻印 -38へ続く
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刻印 -38

浅葱の車は高速を降り、一般道へ入る


暫く進むと 徐々に緑が増え始め、ポツポツと別荘が点在し始める
バブル時代には注目された土地だった


今はもう別荘を持つ者も減ったのか、空き家・売り家 の貼り紙が目立つ
シーズンオフというのもあって、人影は無い



白みかけた空に 目的の別荘のくすんだ屋根が見えてくる



古く錆びた門扉を抜け 敷地内へ入ると、新しい轍 (わだち) があった
最近、誰かがここまで入って来た様だ

罠としてここに連れ出すのが目的なら それも不自然ではい・・





かなり立派な建物だった


そこはもう長い間使われていない様だったが
景気が良い時代には、どこかの会社の保養施設だったのかもしれない




車を降りて、周囲を見渡す

わずかな風が吹き抜けるだけで、敷地も建物内にも人の気配はない



アプローチを横切り ドアの前でもう一度立ち止まる

ずっと使用された形跡のない建物・・・
だが、ドアノブには砂埃一つ 付いていなかった




中にまで侵入したか・・・・



今までのポイントは 建物内にまで侵入の形跡はなかった
初めての事だった



夜明けとはいえ、まだ薄暗い屋内で小型の懐中電灯を構える


廊下にも侵入の形跡がわずかだが見て取れた
つい最近ドアが開かれ風が吹き抜けた跡、不自然な埃溜り・・

その痕跡を追うと、リビングらしき広間に出た




内装は嫌味なほど豪華だった
ヨーロッパあたりの煌びやかなテーブルにソファー、飾り棚・・・


だがどれもが埃を被り、そこは時間が止まったようだった




その豪華なテーブルの上 
何十年も時が止まった室内とは 明らかに異質な物があった





現代の携帯・・・・・







「オヤジ、携帯だ・・」

インカムに向かって言うとオヤジの反応は早かった

「携帯? 認証NO.は!!!?」


浅葱は手袋をはめると、内ポケットから小さい機械を取り出し
それを携帯に接続する


機械の画面に小さな文字が次々映し出される


「ナンバーは・・KYRNDHYST5937・・・・・・・・」



オヤジは浅葱が読み上げるNO.を 登録されている匠の携帯認証と照合していく


「ビンゴだ! それは確かに坊ヤのだ!
 携帯だけか?! 他には!? 何でもいい、すぐに持って帰って来い!!」




刻印 -39へ続く
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刻印 -39

携帯発見の一報に 他のメンバーも呼び戻された
浅葱以下全員がマンションに集まっていた


 
別荘のテーブルに 見つけてくれと言わんばかりに置かれていた携帯


「ヒント・・  にしちゃあ、判り易過ぎる置き方だよなぁ・・・・」
機材を繋ぎながら オヤジが呟く


「じゃあ何の為に・・・・・」

全員が同じ気持ちだった





「考えていても仕方ねぇ・・・」

そう言うと オヤジが外装を調べていく
が、これと言って次に繋がりそうなモノは出てこない



同時に内部を調べていた深月も結果は同じだった

「内部情報も ほとんどが消去されていますね・・・・・
 手がかりになりそうな物は・・・・・・・」



「まぁ、それが当たり前だろうなぁ・・」
・・・・と、オヤジが言いかけた時だった



「あれ・・・!?」
深月が呟く
 
「ん? どうした?? 流・・・・」
「おやっさん!・・ 1つだけ・・ 中に1つだけ何か残ってます」



2~3秒の短い動画が入ったファイルが残されていた



「画像こっちへまわせ!」

オヤジの声で画像が部屋のモニターに映し出される




そこには、両手を頭の上で交差し 鎖で手首を縛られ
膝立ちで上半身裸にされた匠の姿・・・・



それは連れ去られたあの日
男が ” 浅葱に見せてやろう・・ ”
そう言った時のモノだった




誰もがその画面を息を呑んで見つめていた


拉致されたという事実から、もしかすると・・・と頭では理解していたが
実際の映像を見せられると 一同が声を失っていた




ひどく古い防犯カメラの画像を3秒程切り取っただけのものらしく
薄暗い部屋のせいもあるが、画像はかなり悪い

それが匠だと やっと認識できる程度だった



「・・・・なんでもいい、ここから手がかりを探してくれ」

絞り出すように浅葱が言う
その拳は怒りで震えていた







画像を取り込んだPCの前で
オヤジのうるさい指示を深月は手早くこなしていく


だが、音声も無く わずか3秒ほどの画像からは
ここがコンクリートの壁に囲まれた地下室か、倉庫の様な場所・・・・
・・だとしか判らない


「何か手がかりは無いのかー!手がかりは!」
苛立った一人が言う

しかし、その問いに答えられる者は誰も居なかった





そのままどのくらい時間が経ったのか・・
絶望感が漂い始めた部屋で 憮然と画面を睨んでいたオヤジが
「・・・ん?」 と呟いた




刻印 -40へ続く
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刻印 -40

「おい・・流・・・坊ヤの後ろに、何か物が置いてあるだろう・・?
そこ、目一杯ズームしてくれ」


深月が 縛られている匠の横をズームで引き伸ばす


「もっと・・もっと大きくならねぇか・・?」



最大限に画像をクリアにしても
雑多に置かれた物の中に・・ダンボール・・・それとも何かの容器だろうか・・
うっすらと箱状の四角いモノが見えるだけだった



「これが何か・・?」 
深月が尋ねるが オヤジは答えず、じっと画面を見つめている





「おい・・・・もうちょいこっち・・・・ここだ・・・・・ここ・・・」

オヤジが指差す画面の先、斜めに置かれた箱状の物の横に
何かのマークらしき形があった


「なんだ・・? これは・・・・」

マークが逆さまなのか、特殊なのか よく読み取れない




オヤジが自分の顔を傾けて画面を睨む・・・


「んんーーーーーーーーー
 ずっと昔・・・・どこかで・・・・似たようなものを・・・・・・・・・」











「・・・・・・・・・おおおおっっっ!!!!」

じっと画面を睨み続けていたオヤジが急に立ち上がり叫ぶ




そして慌てて自分の部屋へ走ると 何かを探しているらしかった
そんなオヤジの行動を一同は呆気にとられて見ていた





しばらくしてオヤジは部屋から 自前の古いノートPCを持って戻ってくると
大急ぎで立ち上げ、ファイルを次々と開き始めた



中には膨大な量の医学関係のファイルがあった


「・・・・こいつはすげぇな・・・さすが 元軍医」
誰かが驚いた様に言う




その声も無視し、オヤジはその中から、1つのファイルを取り出す




それは数十年も前、
医療機関と大学が共同開発したある新薬のレポートと
その付属記事のファイルだった



手早くページを捲っていく・・

「どこだ、どこだぁーーーーーーーーーーー!!!


 出て来い、出て来いーーーーーー!!


 ・・っと・・・・・・・こいつだ!」



レポートの中ほどに 新薬開発の医師チームと題されて集合写真が載っていた

その写真の中央で満面の笑みを浮かべる小柄な一人の男・・・・
白衣の胸には 箱と似たマークが付いていた




「すっげー! よくこんなの覚えてたな、おやっさん!」
誰かが喜びの声を上げた





「おだてんな! こいつは・・・・・・・」


オヤジは愕然としていた・・・・・・




刻印 -41へ続く
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刻印 -41

「な・・・何なんだよ・・・・こいつがどうかしたのか?」
尋ねる声に答えもせず、オヤジはしばらく黙っていた



そして・・
「こいつは・・・厄介かもしれねぇぞ・・・・・」 と呟いた


「この男・・が、ですか?」
深月が 中央の小柄な男を指差して聞く



「ああ・・・・こいつだ・・・・
 若いお前等は知らないだろうが・・・・」


オヤジは深月が淹れたコーヒーを一口飲んで 話し始めた




「俺がまだ医学生だった頃・・もう数十年も前の話しになる
 
 こいつはその頃 ” 神 ”と、もてはやされた医者だ
 ・・・まぁ医者ってのも 今となっては謎・・・・自称だがな・・・」


「自称・・?・・・・神???」


「・・こいつはある医療機関と手を組んで新薬を開発していた
 その薬の効果が絶大だと評価され、一気に名医と称された


 その名声はすごかったさ・・
 夢の薬、神の医者・・そう呼ばれ こいつは一躍時の人となり
 どの病院も・・いや、国もだ。 その薬を絶賛した


 だが・・・・

 しばらくすると 新薬を投与された患者の異常死が多発し始めた」



「異常死・・・・」
 深月が呟く・・


「ああ、その夢の新薬ってのは 嘘っぱち・・実は大失敗だったのさ・・
 ・・・こいつはそれを知っていた

 わかっていて、金と名誉欲しさに、こんな薬を作ったんだ
 一つ誤算だったのは、 ・・・思ったより早く死人が出たことだ・・・」



「そんな・・・酷すぎる・・・・」



「そうだな・・マジでひでぇ話だ
 
 国は推奨していた手前、事を荒立てたくなかった様だが
 そのうちマスコミによって事実が明らかにされ、弾劾され始めると
 こいつは裏社会へと逃げた

 裏では未認可だろうが、相手が死のうが、そんな事はお構いなしだ・・
 ・・・逆に・・・殺せる薬の方が重宝される
 
 その頃になると、こいつの名声は地に落ちた


 ウソかホントかは知らねぇが・・  人身売買に臓器売買・・・
 果てには生きたまま人間の 人体実験までやってるってぇ噂になった


 そして こいつは表社会から消えた・・」




「・・・・・それで・・・この男はどうなったんですか・・?」
深月が身を乗り出す




「数年後に ある山奥で白骨死体が見つかってな・・・・
 周囲に散乱していた遺留品や 年格好から
 その遺体はこいつだと断定された」


「断定? そんなに簡単に!?」



オヤジがファイルの続きを捲ると

【 人体実験医師 ・ 山中で自殺遺体発見!!】

そう大見出しでショッキングにあおる新聞記事があった





「国もその薬を推奨してたからな・・・嫌なモンには早く蓋をして
 無かった事にしたかったんだろ・・

 汚名に耐え切れなくなっての自殺・・・
 もしくは、裏社会でヘマをやっての抹殺・・・そう処理された

 どっちにしても、遺体があるなら もう終わりにしてしまえ・・・ってことだ」


「そんなの無茶苦茶だ・・!
 DNAは? 一致したんですか!?」


「当時はまだそんなモン、今ほど進んでなかったさ
 まぁ、もし替え玉だったとしても・・・・
 コイツなら 当時の捜査を上回るぐらいのDNA操作は
 遊び程度で出来たろうがなぁ・・・」




「オヤジはまだコイツが生きていると・・・?」
浅葱が尋ねる



オヤジはもう一度モニターに目を移す・・・・

「ああ・・・この場所に このマークがあるのはたまたまかもしれねぇ・・・・
 こいつはもう、公には死んでるんだからな・・

 だが・・・もし・・・・

 もしもだ・・・
 こいつが裏で生き延び、今回の一件に絡んでるとしたら・・・


 冗談ヌキで 坊ヤが危ねぇ・・・・・」




刻印 -42へ続く
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刻印 -42

オヤジの言葉に 室内が静まり返った
「おいおいっ! お前等! 何 沈んでやがんだっ!」


重い空気を払拭するようにオヤジが叫ぶ

「今の話は参考程度で聞いとけ!
 確証は何も無ぇんだ!

 それに もしコイツがヤツ等の仲間に入っていたとしても
 坊ヤを助けるって目的は何も変っちゃぁいねえ・・!

 だろうが・・!??

 この画像をよこした理由は知らねぇ
 だが、このマークはでっけえヒントだ

 これで俺達はヤツ等より一歩前に出た
 何があっても、それだけは紛れもねぇ事実だ! 
 
 ここからが勝負だ! 一気に行くぞ! 


 ・・流!

 
 当時のこの医療機関、大学・・・・なんでもいい
 関係ありそうな場所をピックアップしろ!

 中でも地下室、倉庫・・この画像に合致しそうな場所は要チェックだ
 
 他の者も手伝ってくれ!
 かなり大掛かりな機関だったはず・・
 ポイントはいくらでも出て来るはずだ!」



自らの・・いや、全員の不安を消し去るように 大声で一気に指示を与える



「・・だな
 ゴチャゴチャ考えてたって仕方ねえ。 おやっさんの言う通りだ
 みんな手分けしろー!」

「・・・・・ よっしゃー! やるかーー!!」


その声に全員が気持ちを立て直す


バタバタとそれぞれに場所を陣取り、PCを立ち上げ、地図をテーブルに広げる
慌しく動く事で 自らを奮い立たせていた





浅葱は一人少し離れた場所から 黙ってその様子を見ていた



オヤジと目が合う・・・・・


オヤジの話に一番ショックを受けていたのは 浅葱だった
   
目の前の 縛られている匠の画像・・・・
多分、これだけでは済まない・・・いや・・もうすでに・・・・
ここに居る誰よりも危機感を感じていた

   
そしてこの画像の理由・・それは・・・自分への宣戦布告

   
そう思っていたのはオヤジも同じだった
浅葱の怒りや動揺が手に取る様にわかっていた

   
”・・・落ち着け・・・恭介・・・
 お前が焦ると全員が不安になる・・・
 ・・・坊ヤを助け出せるのは お前だろ・・・”




オヤジ・・・・
浅葱は無言のままオヤジに頭を下げた

それに答えるようにオヤジも頷く・・





そんな2人の無言のやり取りを深月はじっと見ていた 
最強と言われる二人を・・・







一歩前へ進んだ・・・
ここからが本当の戦いだ・・・





当時の古い資料を参考に
関連の病院、医療施設、薬品会社、倉庫・・・
関係者の住宅や寮まで あらゆる情報が集められていく


何十年も前の話しで、現存するものは少なかったが
それでもPC画面に点滅するポイントは 1つ・2つと増えていった




刻印 -43へ続く
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刻印 -43

ゴホッ・・・

ゴホッ・・・・

誰も居ない部屋で匠は激しく咳き込んでいた
ずっと口から水分を摂っていなかった


点滴がつけられているので生命維持には何の問題もないのだろうが
喉は乾燥し、今にもその蓋を閉じてしまいそうな感覚だった


ゴホッ・・・

ゴホッ・・・・


咳き込む度に うつ伏せ、折れた肋骨が悲鳴を上げる
腕に力が入らず、寝返りさえうてない・・

足に力を入れ、わずかに上体を捻り、
肋骨が圧迫されるのを防ぐのが精一杯だったが
その姿勢もまた、胸の痛みを増すには十分だった





扉の開く音がし、ペタペタと足音が聞こえてくる
もう何度も聞いた音だった


匠は窓の無い部屋で、時間の感覚というものを 全くといっていいほど失っていた
が、あの老人の足音は こらからまた壮絶な痛みとの戦いを告げる合図だった




老人の作業・・・匠の背中に刻印を彫る作業・・・は途中で何度か中断される

中断の時間が短い時は昼・・
かなり長く途切れる時は たぶん夜・・
それぐらいの感覚しか残っていなかった


そしてそのわずかな合間に何度となく陵辱された・・・・・
いつもはあの男に・・・
時には・・この老人に・・・・

途中で意識を失うと、傷を掴まれ、液体をかけられた






苦しげな匠の側で 器具を準備しながら老人は
「・・・・・辛そうだな・・・・」 そう言い、逆に満悦の表情さえ浮かべた


そしてまた作業が始まる

咳き込み震える匠の背中にメスが入れられ、針を刺され、縫合され
そうして龍と結合した蛇が 徐々にハッキリと美しく形作られていく・・


「・・・んっっっ・・・・・・・・・」

声も出なくなっていた




「随分と出来上がったな・・・」
嬉しそうなあの男の声がした


「はい・・これは最高傑作かと・・・・
 いま少し修正が必要ですが、その後 全ての抜糸が終わって腫れが引けば
 それはそれは美しくなるでしょう・・・」
老人が両手を擦り合わせながら言う




「もう タクミは私のモノ・・・・・」
男は満足そうに匠の体を撫でた


体に触れられるのが嫌だった
体が震え また息苦しくなった


ハァ・・・

ハァ・・・



「はなせ・・・・・さわるな・・・・・・」



やっとの思いで絞り出した声に
男が目を細め、その表情は イラついたものに変る

「タクミ・・・まだわからないのか・・・・」


暫く何か考えていた男は 
「・・・先生・・・ 今 作ってらっしゃる薬を何か持って来てください・・・」
そう言った



「アレを・・・・ですか・・・?」
老人は驚いた様に聞き返した


「ええ・・・
 どうも最近・・・先生の薬の効果が弱くなった気がしてね・・・・
 どう思います?・・・先生・・・」



「あ・・・そ・・・それは・・・・・
 背中の痛みの方が・・・ 勝ってるせいではないかと・・・・・
 それで・・・ その・・・・ 催淫剤の方の効き目が・・・
 もう長いですし・・・・ その・・・・ 慣れと・・耐性も・・・・その・・・」

老人はしどろもどろで必死に言い訳をした




「弁解はしなくていい・・・ 先生・・・・
 責めてる訳ではない・・・
 先生は 面白そうなモノをいくつか作っていたでしょう・・・?

 それを持って来てくれればいい・・・

 どうせ 今のタクミは満足に動けないのだし
 体を弄ぶ (もてあそぶ) のは私の自由・・・

 でもね・・
 タクミの・・・ 心が欲しいのですよ・・・
 私に許しを乞いたくなる様な・・・
 絶対に反抗はしない、服従すると ・・・そう言わせる薬がね・・・・・」



「服従・・・ですか・・・・・」

老人は黙って考えていたが

「では、あの・・・・・まだ完成ではありませんが・・・・
 1つだけ・・ 使えそうな物がございます・・・・
 快楽の催淫剤とは違い、痛みだけのものです・・・
 
 血管に刺す今の点滴と違って
 これは 吸収の良い粘膜に直接注入するのです
 持続力より即効性で・・・ 効果はかなりあるかと思いますが・・・」



「粘膜か・・・・ それはおもしろそうだな・・・・・」



「そ・・・・そうですか・・!
 粘膜であればどこでも大丈夫です
 鼻孔、口、耳、生殖器、肛門・・・ どこでもよろしいかと・・・

 ・・・・もし使って頂けるなら、貴重なサンプルになります」


老人は 男が好反応を見せた事に喜び、窮地を脱したように嬉しそうに答えた




「そうだな・・・・どこがいい・・? タクミ・・・」
男は匠の顔を覗き込むと 頭を撫でながら呟いた




刻印 -44へ続く
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刻印 -44

今の匠に 二人の話は何も聞こえてはいなかった
息苦しさに喘いでいた



ただ、男に頭を撫でられる・・・・ 触れられる事が苦痛だった

「・・・・・・・・・・」
男の質問に 匠はクッと唇を噛み、無言のまま男を睨み返した



「・・・・その目だ・・・・
 その反抗的な目が 私を苛つかせる・・・・・・」


男は匠をじっと見下ろしながら呟くと そのまま老人に何かを囁いた


「だ・・ 大丈夫かと・・
 承知しました・・ すぐに準備を・・・・」

そう言うと老人は パタパタと足音を立て部屋を出て行った






「タクミ・・・ これから楽しい事をして遊ぼう・・・
 後ろの穴に直接入れても楽しそうだが・・・
 それは次のお楽しみだ・・・・」


嫌がる匠の頭を撫でながら男は嬉しそうにそう言った






暫くすると老人は 金属のトレイを持って戻って来る
「持って参りました・・・」


トレイの中を見て 男は満足そうな表情を浮かべた
「ありがとう、先生・・・
 ・・・薬の効果はどれくらいだ・・?」
 

「それが・・・・ データがありませんので何とも・・
 少なくても 1週間から・・・ 1、2ヶ月・・・ ぐらいが限界かと・・・
 その間は 頭に近い分、激しい痛みが襲うでしょうが・・・・」


「ああ・・ それでいい・・
 それだけあれば、タクミも自分の立場を思い知るだろう」






男は台に腰掛けると、助手の男に 「おい・・」 と 手のひらを返す仕草をした
その指示で助手の男達は 乱暴に匠を仰向けにひっくり返す


「・・・・・・・・・!!・・・ンッ!!!」

うつ伏せだった体を急に動かされ 匠は声をあげる
動かない腕が人形の様に パタンと台に落ち
背中の傷に体重がのしかかる・・・

「・・・グッ・・・・・・・ンァッ・・・・・・・・・!!!」


背中を離そうにも 体は持ち上がらない
膝を曲げて体を浮かそうと 動けば動くほど、傷は擦られ痛みが増した

「・・っ・・・ぁあ・・・・クッ・・・・・・」


「印が傷んだら・・・また直せばいい・・・」
男はそう言い捨てた




助手が、匠の手と頭を押さえ付けた




”・・な・・・何・・・・・・・・・・何が始まるんだ・・・・・”

いつもと違う男達の行動に匠は戸惑っていた




匠の顔に強烈なライトが向けられる

「・・ンッ・・・・・・」

薄暗い部屋に長く居たせいで 明るさに目が慣れていない
眩しさに目を閉じ、顔を背けようとするが、強く押さえつけられていて
頭は全く動かない


「ほら・・ タクミ・・・
 今度は目隠しをして遊ぼう・・・・・・・
 もう私を睨んだり出来ないようにしてあげよう・・・」



・・・目隠し・・・・・・・?

その言葉にハッとする
男達の行動の意味・・・ これから何が行われるのか・・・・
匠は直感した



「や・・ やめろっ・・・・・・・・・・・!!!!」




閉じていた匠の右の瞳を 誰かの指が強引に開けようとしてした

「やめろっ!!!!・・・・離せっ・・・・・・・・!!!」

叫びはやっと言葉になったが 瞳はこじ開けられていく
どんなに強く目を閉じても、指の力には敵わなかった




再び眩しいライトが見え始めた時・・
器具で瞳を無理矢理 開らかされた

頭に刺さる様な強烈な光が 一気に目に飛び込んでくる


「ンッ・・・・・・・・・」

思わず目を閉じようとするが
瞼はしっかり固定され 閉じる事が出来ない



「さあ、タクミ・・・・・
 しっかり恐怖を味わうんだ・・・・・
 そして、私にすがりつけ・・・」

男は匠の手に触れると 指を絡ませながらそう言った







眩しいライトの中に何か黒い点が見え始める


・・・・な・・・・に・・・・・・・・・・・


それは徐々に近付き、だんだんハッキリと輪郭を成してくる



最初はとても小さな黒い点でしかなかったそれは
鋭く銀に輝く注射針だった


その瞬間からは、もう恐怖しかなかった・・・
針が目の前に迫っていた
反射的に動かない顔を振る・・・

男に絡められた指に力が入る

「や・・・ やめろっ!・・・・ やめてくれ・・・・・・!!」


「動くなよ・・・・ 暴れると本当に見えなくなるぞ・・・」
老人の声がした



「いや・・・・いやだ・・・・・・やめろっっ・・・・・!」


足で周囲の物を蹴りまくった
最後の抵抗だった


「やめろぉっーーーーーーー!!!!」





・・・次の瞬間、 プツリ。 針が刺さる








「んっぁ!!!! ぁぁああああああああああああああーー!!!!!!!」



頭の中に冷たい水が入って来る感覚・・・
まるで水中に落ちた様に視界は揺らめき、鮮やかな赤へと変わった




刻印 -45へ続く
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刻印 -45

それは例えようの無い恐怖と 壮絶な痛みだった


針が刺さった瞬間 全身の神経が逆立った
視界は真っ赤になった後、すぐに闇に包まれた


「ゥううううわあああああーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
匠はただ叫び 頭を振って足をバタつかせ暴れた



背中を灼かれた時は うつ伏せで何が起こるのか わからなかった
わからないまま激痛に襲われた


だが今回は違った・・
迫って来るものを認識し、凝視し、それでも抗えない恐怖・・・



器具が外されてからも右目は激痛に襲われ続けていた
痛みで目が開かない・・・
手で目を覆いたくても、手も動かない

「ぁぁああああああ・・・・・・・んんんんんんっっっ!!」
ただ叫ぶしかなかった





「タクミ・・・絶望という物が何かわかるか・・・
 それから逃れる為に人は 誰かに懇願し、祈るんだ・・・
 タクミは私に祈れ・・・助けてくださいと・・・
 ・・・服従しろ・・・」


男の声がしていた



だが匠に冷静な思考力は残っていなかった・・・
ただただ 動く部分だけの体で暴れるしかなかった



「・・もう片方もだ・・・」
冷たい男の声が聞こえた



「あの・・・・続けてやるのは・・・・
 精神の方が・・・壊れてしまう恐れが・・・・・・」
老人が言い難くそうに答える



「先生・・・おかしな事をおっしゃる・・・
 今まで何人もの人間を壊してきたアナタが・・・・」
そう言って笑う


「それに・・・ 私のモノにならないのなら・・・
 手放してしまうぐらいなら・・・・この手で壊してしまった方がいい」
その声はあまりにも冷酷だった


「しょ・・・承知しました・・・・・・・」






右目と同じ様に左の瞼も開かれる
全てを理解しているだけに、その恐怖は2度目の方が強かった

「も・・・・・・・もう・・やめろ・・・・・やめて・・・・・・・」

恐怖で絞り出すほどの声しかでなかった



暴れていた匠の体が硬直し始め、徐々に動かなくなる
そしてその体は 小刻みに震え始めていた



「まるで仔犬だな・・・」
嘲笑する男の声・・・・



しかしそれは震えているのではなかった
匠は発作で痙攣を起こしはじめていた・・・

苦しさで声が出なくなった・・・
体も動かない・・・


ただじっと目の前に迫ってくる針の鋭い一点を見つめるしかなかった

「・・・ぃや・・・・・・・・・・」




精神が壊れそうな恐怖だった・・・・




針が刺さった瞬間 ビクンと体が跳ねた

声は無かった

声を出そうにも呼吸が追い付いていなかった



ハァ・・・

ハァ・・・



両目の焼け付くような激痛
真っ赤な視界・・

器具が外されてもなお消えない恐怖


ハァ・・・

ハァ・・・







一瞬 室内がシンと静まり返った






そして・・・





匠の絶叫が響いた・・・・・・・




刻印 -46へ続く
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刻印 -46

部屋にはもうずっと 匠の叫び声が響いていた
枯れた喉から絞り出す悲痛な叫びだった



すでに意識はハッキリしていない

痛みがどこから来るのかも、何の痛みなのかも理解できていなかった

が、叫ぶ事で なんとか精神を正常に保っていた




視界は全く無く 闇そのものだった

ささくれた金属の上に剥き出しの眼球が置かれている様な痛み
少しでも眼球を動かすと目の奥から頭の中の神経まで激痛が走る

その痛みも激しかったが、それ以上に匠を襲ったのは恐怖だった



今まではどんな激痛でも状況が見えていた
うつ伏せで 視界がほんのわずかだったとしても
まだ目で見る事ができた



だが今は闇しかなかった・・・

上も下も左右もなく
誰がいるのか、これから何をされるのか
何もわからなくなっていた
力の無い指で必死に台を握り締め 落ちて行きそうになる体を支えていた



乾いた喉から咳が出て止まらなくなる
呼吸は苦しくなるばかりだった
気持ちが恐怖に支配されると発作が起きた

呼吸できない・・それもまた恐怖だった・・・







「どうだ・・・? タクミ・・・ 恐怖というものは・・・」
そう言いながら男が叫び続ける匠の頭を撫でる


「針はまだたくさん残っている・・  次はどこがいい・・・・?」
そう言って トレイの注射針をカラカラと鳴らしてみせる








その音で匠の脳裏に あの銀に鈍く光る尖った針が蘇る・・・


それは 何本も何本も目の前に浮かび、
そしてそのまま 真っ直ぐに匠の目を貫いた

目から鮮血を流し、絶叫する自分の姿があった





「もう・・・・やめ・・・て・・・・・・くれ・・・・・」



匠は震える様に反応した


男は匠の顔を見つめる
「・・・やっと私の言う事を聞く気になったのか・・・?」



その問いに匠は震えながら わずかに頷いた

それは意思というよりも 恐怖と痛みに支配された本能だった



「そうか・・いい子だ・・・」
そう言って 男は匠の唇を指でなぞる・・


唇端からそっと指を口へ差し込むと、
痛みと恐怖で叫ぶ匠に自分の指を噛ませた


「・・んァッ・・・・・・・・・ン・・・・ッ・・・・・・」
声が出せなくなり叫びが小さくなる


苦し紛れに噛む匠の力で 男の指から一筋の血が流れ
匠の唇を染めた





「ほら・・タクミ・・・舌を出すんだ・・・・」


何も見えない世界で 男の声だけが、まるで暗示の様に頭に入ってくる

匠は震えながら小さく口を開け舌を差し出す



「そうだ・・・・それでいい・・・」
男は差し出された匠の舌に そっと自分の舌で触れる



「やっと私のモノになったな・・・タクミ・・・
 最初からこうしていれば、こんな思いはしないで済んだのに・・・」

出させた舌を 触れるか触れないか程度で絡めながら
男は満足そうに言う
欲しかった玩具をやっと手に入れた子供の様に・・・



頭を撫で、舌を触れ合わせながら
男の手は匠の下腹部へと伸びて行く

顔を見つめながら 手は足を割って入り
匠のモノをゆっくり大きく手で包み込む




匠が反射的に体をよじる・・・
背中の傷が擦られ、また痛み 両目は激痛をもたらす

「・・んっ!!・・ぁッ・・・・・んんアッ・・・・・・・・・んんんんん・・・・」
「ほら・・・じっとしているんだ・・・  動くと痛むぞ・・・・」


闇の中、静かに響くその声に 匠の体は抵抗できなくなる


じっとしていれば・・・抵抗しなければ・・・・苦しくない・・・





「足を上げるんだ・・・足は動くだろう・・」

そう言われて匠はわずかに両足を上げる
男は膝裏に匠自身の手を入れて 匠が自分で足を持ち上げた格好にする


嫌だと言う意識は無かった・・・
ただ闇に置かれた人形の様に言われるがままだった



何も考えられない・・・いや、自ら考え、感じる事を拒否していた





・・・本当の闇に堕ちようとしていた




刻印 -47へ続く
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刻印 -47

男の手が匠のモノを握り、動かし始める
「・・・ぁ・・・・っ・・」

最初はゆっくりと・・  そしてそれは徐々に早くなる・・・・
「ァッ・・んっ・・・んっ・・・」


擦りあげられる振動で 匠が小さな声を上げる
細い指が体に掛けられていた布を握り締める





男は匠のいる台に上がり 持ち上げさせた両足の間に体を置くと
すでにそそり勃っている自分のモノを 匠の穴に押し付けた


その様子を 老人と2人の助手がじっと見つめ
目の前で行われる行為に 顔を紅潮させていた




男のモノは匠のヒダを掻き分け 挿し込まれていく
 
「・・ァァッ・・! んッ・・・・!・・・・」 
呻きながら 穴はゆっくり広がり 男のモノを徐々に深く飲み込む


それはもう何度も強要され、痛みと屈辱と共に受け入れた行為だった・・・


男のモノが 体の最深部まで入ろうとしていた



ハァ・・・

ハァ・・・




匠はゆっくりと目を開けた・・・
その目は何も見えてはいない・・・




ハァ・・・

ハァ・・・





自分の呼吸する音だけが聞こえていた
漆黒の闇には、他に音も光も 何も無かった




浅い呼吸を繰り返すだけの匠
ただじっと目を開け 宙の一点をだけを見つめていた

・・・もう声は無かった





「心に蓋をしたか・・・・・・」 男が呟く
動きが激しくなる




匠が持ち上げている膝を 抱えるようにして
何度も何度も自分のモノで匠を突き上げた

振動で折れた肋骨がギシギシと鳴る
背中の傷が開き 台に血と体液が滲んでも 男の動きは止まらない
それでも不思議と痛みも無かった


興奮した老人が 
「あの・・・・」 と自分のモノを引っ張り出しながら男に言う
「私も・・・・・・・」 と・・。


男は 「ああ」 とだけ頷いた


老人は 「あ・・・ありがとうございます・・」 そう言うと
台へ上り、匠の顔の近くへ行く


「ほら・・・私も・・・・」
そう言って 小さく開いていた匠の口に 老人は自分の舌を差し込んだ

長い舌で匠の口の中を探りまわっている


舌で匠の柔らかい口中を味わうと
老人は自分のモノをその口に咥えさせた

「ンッ・・・」
老人のモノが 喉の奥にあたる・・


自分の口と肛門に 男達のモノが入っているのはわかっていた
が、まるで体から 自分自身が抜け落ちていた



ただ 自分の体をした人形が 2人の男に犯されているのを
宙からぼんやりと見ている・・そんな感じだった



先に声をあげたのは老人だった
「ああああ・・・・・イイぞ・・・   イクぞ・・・・あああああああ・・」

ピクピクと震えながら 喉に何かが流れ込んでくる


それはグッタリと萎えるまで 匠の口に差し込まれたままだった



やがて老人のモノが引き抜かれると 側にいた助手も我慢出来なくなったのか
匠の口の中に自身のモノを放り込んだ

老人は名残惜しそうに 匠の体を手で撫で続けていた



男はそれを見ながら 「ふん・・」 と笑う



男は匠の片足を上に持ち上げ、自分の肩に掛けると
腰を打ち付けながら、匠のモノを 手で激しく擦り上げた


匠のそれも意思とは関係なく徐々に猛っていく 

穴の先から汁を流し始めると 男はそれをもう一人の助手に差し出した

横でただ見ていた助手は 飛びつくように匠のモノを咥え、しゃぶり始める
流れ出ていた汁も先の穴も 口に入れて上下する



「4人で犯すか・・・・・それもいい・・・・」
男は匠の腰を掴み 激しく突き動かす




いつ果てるともない陵辱が続いた後
匠の性がビクンと震え 助手の男の口の中に粘液を吐き出した

それと同時に男も 匠の穴の中で脈打つ・・

匠の喉にもまた ヌルリとした液体が流し込まれる





匠はそれを 声も出さずに全て受け入れていた

ライトに照らされた台の上・・
そこには 弄ばれるだけの体があった



匠は何も映らない目で ただ宙を見つめていた




刻印 -48へ続く
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刻印 -48

「体を洗ってやれ・・・ それが終ったら、印 の修復を・・」
そう老人に言い残して、男は部屋を出て行った


「はい・・・」
老人と2人の助手は 傷の洗浄に使う液体を、匠の体に容赦なく浴びせ掛けた



それでも匠は反応しない・・・・ただじっと宙を見ていた



「とうとう呆けたか・・・・・」
そう言いながら老人は匠の体を洗い始める


「あの方のモノは どうだったんだ・・?
 ここは感じたのか・・? 
 気持ちよかったのか・・・?」 

老人は独り言のように呟きながら
匠の穴の中にまで 掻き出す様に指を入れた

匠の体の余韻を味わっていた 

助手の男も 洗う。と称し匠の体中を撫で回した



「口もだ・・」
そう言ってもう一人が 匠の口に乱暴に水を流し込む・・



ンッ・・・・!!! 

ゴホッ・・・!

ゴホッ・・・!


いきなり大量の水を口に注がれ、息が出来なくなりむせる



ゴホッ・・・




その時、無理矢理 指を突っ込まれ掻き回されていた穴に
わずかに痛みが走った・・・

「・・・・・・・・・・・んっ・・・・!」
思わず足に力が入り、体を仰け反らせる





それは 一度水中に沈んだ者が、
引き上げられ 水を吐き出し 意識を取り戻す作業に似ていた



ゴホッ・・・

ゴホッ・・・・・・・

苦しさにむせる度に 体の感覚・・・ 痛みが少しずつ戻ってきていた
頭も目も、背中も胸も・・・犯された場所も・・

その痛みは体の奥深くから湧き上がるように
ゆっくりと確実に匠の体を覆い尽くしていく・・







・・・この体は・・・ まだ痛みを感じるのか・・・・

・・・もういいのに・・・・

・・・もう何も感じなくて・・・ いいのに・・・

・・・・もう・・・・・

・・・・・・

・・・

・・








「・・・・・・・・・・・・・・・・・ろせ・・・」
匠が声を絞り出す

「何だ? 気が付いたのか?」 老人が聞き返す








「・・・・・・もう・・・    ・・・・  ・・・・殺せ・・」







その声を聞き取ると 老人は一笑に付した

「はは・・ 何かと思えば・・・ 勿体無い事を言うな・・
 お前さんは 私の最高傑作だ・・・  もうすぐ仕上がる・・
 あの方もお待ちなんだ・・・

 ・・・それに私も・・・
 もう少し楽しませてもらうよ・・・ この体でな・・・」

そう言いながら老人は匠の体を撫でた



「試したい薬も まだまだたくさんある・・・
 お前はその大事な実験台だ・・・」
老人は男の真似をして注射器の入った箱を鳴らして笑った





その言葉は、匠にとって絶望の宣告だった




そうだ・・
あの男は 
” タクミはこれから一生、自分のモノ・・
  ずっとこの蛇と一緒だ・・・・ ” そう言った
  
このままずっと この状態が続く・・・・
この痛みも苦しみも・・・

いくら耐えてもまたすぐに次の痛みと恐怖が待っている


もう・・・終る事はない・・・
終らせても もらえない・・・




それならもう・・・ いっその事・・・ 自分で・・・




刻印 -49へ続く
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刻印 -49

終らないなら・・・・


自分で終らせる・・・・


もう・・・・・・




それで、終わりに出来るなら・・・




老人と助手は匠の体を洗い終え、
また 刻印 の修復をすべく準備に取り掛かっていた



体に掛けられた布の下で 匠の指がわずかに動く
闇の中、無意識に ”その行為” に使えそうな物を探していた

宙を見つめた瞳に また痛みが戻る



匠の指に 冷たいモノが触れた

ツッ・・と痛みが走り、指先が切れる・・






ゆっくりとそれを指で取り


布の下に忍ばせた・・・



そして・・・たぶんメスの様な物・・・ の刃を手首に向ける・・・





宙を見つめながら




・・・・そのまま刺した・・・





「・・・ンッ・・・」 痛みが走り
指先がトクトクと脈打つのがわかる・・





だが・・・・それだけだった・・





力の入らない指先では、十分に切り裂く事は出来ず
刺した傷から 血を流すだけで精一杯だった


布が血に染まるのに気付いた老人が慌てて布をはらう
「おいおい・・・何をバカな事を・・・」

そう言ってメスは簡単に取り上げられた



ハァ・・・

ハァ・・・




手首に何かが巻かれる


今の自分には それ さえも許されない・・
自分の体で満足に動かせそうな場所が あまりにも少なかった




舌を・・・噛み切る・・・・か・・・・





それが非現実的な事はわかっていた
が、もうそれぐらいしか 手は無い様に思えた

それだけの力が残っていれば・・ だが・・・・









・・・目を閉じた








今まで暗闇に浮かぶのは、あの 迫る鋭い針だけだった

が、突然 匠の脳裏に浅葱やおやっさんの顔が浮かんできた




浅葱・・ ・・さん・・・・・・・


妙に遠い記憶の様な気がした






・・・出来るなら、もう一度逢いたかった・・・
もっと一緒に居て、仕事がしたかった・・・




一度そう思い始めると
頭の中には何故か もっと・・もっと・・・という言葉ばかり浮かんできた

もう終らせると 決めたはずなのに・・・




その時、浅葱の声を思い出した

それはあの日・・・・一緒に任務に出た日
ビルで匠一人が飛び出した時に最後に聞いた浅葱の声・・・


・・・・・バカ! 行くな!! 匠!!!!・・・


その声にハッとして我に返る



そうだ・・ おやっさんにも言われた
初めてあのマンションに行った日に・・

・・・とりあえず・・生きてここに戻って来い


と・・・

それがお前の仕事だと・・・







不覚にも涙がこぼれた




ここへ監禁されてから 初めて流した涙だった
そしてそれは激しい痛みを伴っていた


「・・・ ッ・・!!! ・・・」
その激痛は匠を現実へと引き戻して行く・・



そう・・もっと・・・もっと・・・




・・・またあそこへ戻りたい


浅葱さんは・・・
浅葱さんは・・・必ず来てくれる・・必ず・・
それまでは・・・・






きつく目を閉じていた匠の瞼に 突然、指が触れた


ビクッ・・・ 体が震える



それはあの男の指だった

「どうした・・? タクミ・・・泣いているのか・・・・?」
そう言いながら 匠の睫毛に溜まった涙を 指で拭う



匠は必死で目を開け、声がした方向を見つめた


男は涙を拭った指で クッと匠の顎を持ち上げ
匠の唇を覆うように 自分の唇と合わせる

「・・・ンッ・・・・」


男はそのまま まだ何も見えない匠の目を見つめる
匠も目を閉じようとはしない
激痛が走る



みんなの元へ戻りたい・・ただそう思っていた




刻印 -50へ続く
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プロフィール

凛

Author:凛
BL・MLを日々妄想してる腐女子

しかもかなりハード目が好きな壊れかけ

SM・拷問等の酷い描写が苦手な方は、ご遠慮ください

1作目 『刻印』
2作目 『華燭(かしょく)の城』 
完結しました。
ブログタイトル下のマップより全話読んで頂けます。
『刻印』の簡単な解説はこちら から


まだまだ初心者故、描写の至らない点
設定の矛盾は笑って見てください 

読みやすく・・と思っているので、長編小説ですが、各回短く、短文、1日1回UP予定です


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